表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

序章という名の書き置き 2

そして、30分。ほかに用事があるからと言って(嘘)帰ってしまおうか、と僕がベンチから腰を浮かしかけた時、

「思い出したーっ!!!」

と彼女は叫んだ。文字通り叫んだ。


……五月蝿い。君には人の目を気にすることができないのか、と言いたくなった。

  言わなかったけど。

言っても無意味というか無駄というか。そんなことぐらいこれまでの付き合いにおいて嫌というほど知っている。


…なんか虚しくなってきた。まぁ、しょうがない。話を聞くこととするか。


「で、何?」

「あー。えっとさぁ、うちの後輩ちゃんが郷に会いたいってさ」

「うんうん……って……え?」

なんだろう。

僕は彼女の後輩に会いたいと思われる理由を一つも持って無いんだが。

無いはずなんだが。

無いにきまってる。


「えっと……まさか僕の知り合い……?」いやでも僕の知り合いはあの学園じゃ接穂ぐらいしかいない。

大体彼女がイレギュラーなだけで、普通はお嬢様学校の生徒とお近づきになれるはずもない。


「違う違う」

予想通りの返事が返ってきた。

「ふうん……。じゃあ僕の生き別れの妹とか?」なんとなくそう言ってみる。


「え……郷って生き別れの妹いんの?」


驚かれた。

冗談のつもりだったんだけど。


「そっかぁ……。そりゃ大変だな……。生き別れの妹ね……」

考え込まれてしまった。いやいや冗談だよ?冗談ですよ接穂さん?


「会えるといいね、妹さん」

朗らかな笑顔で言い切る接穂。……ぐあ。

「……」

今更嘘だとは言えず、なんとも言えない気持ちになる僕。

罪悪感が増していく。


「……話を、進めようか」

無理矢理話題を変えてみた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ