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警察不信  作者: 山本正純
Episode 4  ミステリファンなら必ず分かる。だから安心してサスペンスに集中できるバスジャック事件
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Side.083 天使たちの策略 Angels' artifice

 午後1時15分。宮本栞は横浜中央大学の会議室で神奈川県警の刑事たちの事情聴取を受けていた。宮本栞は何度も刑事たちに呼びかける。

「ですから私も小早川せつなの所在はしりません」

「いいや。あんたは隠している。早く教えないと10人の人質の命が危ない。彼女をバスジャック犯に会わせるだけで10人の人質が解放されるんだ。そうすればバスジャック事件は解決される。いいから警察に協力して事件を解決しようじゃないか」

 

 強引だと宮本は思った。長時間警察に取り調べされたら、気が狂うと言う。今宮本栞は真実を口にしそうなくらい気が狂っている。

 

 その時机の上に置いてあった彼女のスマホから着信音が聞こえた。非通知設定がしてあったため番号は分からない。彼女はスマホを手に取り、電話に出る。

 電話に出た宮本栞は顔を青くする。

「嘘でしょう。せつな」

 

 せつなという言葉を聞き神奈川県警の刑事たちは反応する。

「分かった。午後6時に東京スカイツリー前ね」


 電話が切れると宮本栞は刑事たちに報告する。

「先ほど小早川せつなから電話がかかってきました。彼女は午後6時東京スカイツリーに現れるそうです」


 狩野警部たちは宮本栞を会議室に残し出て行った。こうして宮本栞は刑事たちから解放された。

 兵どもが夢の後とはこのことだろう。一人取り残された宮本栞はラグエルに電話する。

「どういうことですか。小早川せつなは存在しないはずでしょう」

『こうでもしないとあなたを警察からの包囲網から救出できなかったので。先ほど電話してきた小早川せつなは偽者です。サマエルが開発した声紋システムを使いました。システムに登録してあるあなたの声紋を調整して、小早川せつなの声紋に偽装しました。まあ小早川せつなと宮本栞は双子の姉妹であると警察が思い込んでいるから偽装トリックをしたのですが』

「それでこれからどうしますか。小早川せつなが午後5時に東京スカイツリーに現れるそうだけど」

『大丈夫です。この前のアリバイトリックの時にハニエルが使ったマスク型変声器。あれを改良してあなたの声を小早川せつなの声紋に変更する機能も付けましたから。マスク型変声器をあなたがつけて、小早川せつなとしてバスに乗り込めば警察を欺くことができるでしょう。その前にバスジャック犯さんを懲らしめますが』


 午後2時。横浜オリエント観光バスをジャックした牧田の携帯電話に一本の電話が届いた。

「警察か。小早川せつなが見つかったのか」

『はい。彼女は午後6時に東京スカイツリーに現れます。だから残りの人質を解放してください』

「全員は解放できないな。彼女に会えないとバスをジャックした意味がなくなるから。最低でも三人は人質がいないと」

『それなら三人の警察官に人質になってもらうか。そうすればそこにいる人質10人は解放できるだろう』

「だからできないって言っているだろう。そんなことして彼女に会えなかったら意味がない。三人も警察がいればバスジャック犯の一人くらい制圧できるだろう。SATって奴らもいるらしいな。こういうバスジャック事件の時に狙撃許可が下りれば犯人を射殺することができる奴だ。こいつらが人質役になれば、絶対狙撃されるに決まっている。警察官に告ぐ。小早川せつなに5分間会うことができれば、いくらでも狙撃しても構わない。いずれ人質は3人に減る。だからお前らの交渉は受け付けない」


 牧田は怒って電話を切る。その様子を見た東條と江角はひそひそ話を始める。

「どうやらこのバスジャック事件の目的は小早川せつなさんに会うことのようですね」

「それで間違いないやろう。ただ気になるんは、五分間会うことができたらという文言や。たぶん爆弾のタイマーが五分に設定されているんやろうな。最初からあいつは小早川せつなはんと心中するつもりやったちゅうわけや」


 その時牧田の携帯電話に非通知の電話がかかってきた。警察だろうと思った牧田は苛立ちながら、電話に出る。

「警察だろう。だから交渉はしない」

『馬鹿だよね。アマチュアは』


 その声は変声器を使った若い男の声だった。電話の男は子供のような口調でバスジャック犯に話しかける。


『まさか先客がいたなんて思わなかったよ。世間で注目されている横浜オリエント観光バスをジャックしようと思ったのに。こちらはプロらしくスマートにバスをジャックしようかな。運転手はこれから1時間横浜市内を走行してもらう。その間に横浜駅で降ろす人質を3人決めて貰おうかな。もちろん運転手も人質の一人にカウントしているから。人質同士で話し合ってもいいし、独断で決めても構わない。もちろんゲームに参加しなくてもいいけど、参加しないと小早川せつなには会えないからね。実はこのバスに爆弾が仕掛けてあるんだ。神奈川から東京へ向かう道には我々の仲間が張り込んでいるからね。爆弾に内蔵したセンサーが張り込んだ仲間の持っているタブレット端末で感知したら爆発するよ。1時間経過したら仲間の張り込みを解除するから支障はないよね』


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