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警察不信  作者: 山本正純
Episode 3  幻影の娘
72/106

Side.072 とある天使の集積回路 A certain angel's integrated circuit

不正アクセス事件とテレビディレクター殺人事件の解決編のスタートです。

 午後5時10分。萩原を殺害した犯人はノートパソコンを立ち上げた。自分が立ち上げたサイトのアクセス数を確認する前に犯人はメールを確認した。メールは届いていないと思ったが一つだけ差出人不明のメールが届いていた。

 

 犯人はそのメールを読み、首を傾げる。

『Roongnxhwnfugh』

 

 ただの悪戯メールだろうと犯人は思った。この時にこれが罠であることに気が付いていればよかったのだが。


 当初の目的であるサイトにアクセスするため犯人はインターネットに接続する。だが接続は解除されてしまった。何かがおかしいと思ったのも束の間、今度はパソコンに警告文が表示された。


『退屈な天使たちです。あなたのパソコンをハッキングしました。これからあなたの犯行を警察に告発するつもりです。このクイズに答えることができたなら、あなたの犯行を黙秘します。今年の8月イタリアンレストランディーノで佐藤真実が再開した高校の後輩は誰でしょうか。答えが分かったら入力してください』


 犯人はこのクイズを読み大笑いした。

「どいつもこいつも馬鹿だ。こんなサービス問題を出すなんて」

 

 犯人はモニターに『小早川せつな』と入力する。すると警告文は消えた。

 だがこんどはパソコン上に『Roongnxhwnfugh』という文章が表示された。

「まさか」


 パソコン上に表示された文章は三秒後別の文章に変わり始めた。目を見開き驚いた犯人は玄関のドアが開き何者かが侵入してきたことに気が付かなかった。部屋に侵入したウリエルは犯人に話しかける。


「やっぱりあなたが犯人でしたか。久保田太郎さん」


 久保田は黒いパーカーを脱いでから振り返る。

「ウリエルか。俺が何の犯罪をしたって言うんだ」

「不正アクセス防止法違反。ストーカー規制法違反。殺人罪。窃盗罪。主な犯罪はこれくらいでしょうか」


 ウリエルの言葉を聞き久保田は大笑いする。

「どれも心当たりがないな。何かの間違いではないのか」

「いいえ。最低でも不正アクセス防止法は違反していますよね。だってあなたのパソコンも言っているではありませんか」

 

 久保田はパソコンを凝視する。パソコン上には『犯人はあなた』という文字が表示されていた。久保田太郎はウリエルの顔を睨みつける。


「何をしやがった」

「簡単なトラップです。まず我々退屈な天使たちはあなた宛てにパソコンに例のメールを送りました。意味不明のあのメールをね。その後で我々は組織のコンピュータに侵入した化け狐のコンピュータにハッキングして、あのクイズを表示するように仕掛けをしました。政界の機密コンピュータに侵入できるほどのハッカーであるあなたならもう分かりますよね」

「くそ。コードブレーキングか。あのクイズの答えを入力したことで俺はパスワードを知らない内に入力したのか」


 ウリエルは微笑む。

「正解。まあ気が付かなくても無理はないよね。本当のコードブレーキングはAという文章をある法則に基づきBというランダムに並んだ意味不明の暗号にするシステム。答えであるAという文章の暗号化を解くにはCというパスワードのような文章を入力するしかない。しかし今回は最初にBというランダムに並んだ意味不明の暗号を最初に見せました。その後でCというパスワードをあなたに入力させ、答えであるAを表示させました。順序が本来のコードブレーキングの逆だったからあなたは疑わず我々の罠にはまったということですよ」


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