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警察不信  作者: 山本正純
Episode 3  幻影の娘
54/106

Side.054 侵入者 Invader

 10月24日深夜0時。ハニエルと鴉たちは東京都警察病院にいた。ハニエルの近くには赤いネクタイをした男が立っている。ハニエルは彼に仕事内容を確認する。

「あの病院から佐藤真実を盗み出せばいいのですよね。鴉さん」

「ああ。今頃医者に変装したブルーとピンクが病院内に潜入している。あいつが邪魔な警官や医者たちを気絶させたら、合図が来る。この病棟から500メートル離れた所で待機しているイエローがサマエルから防犯カメラのスイッチを切りセキュリティシステムをハッキングしたというメールを受信した後で俺たちが突入するという手筈だ」


 確認が終わると、病棟内で赤いランプが光った。この合図はいつでも潜入しても構わないというサインだ。それから三十秒後病棟から500メートル離れた位置から黄色いランプが光った。これは突入開始のサインだ。

 

 二つの合図を確認したハニエルたちは病院内に侵入する。周りにいる医者たちは全員が眠っていた。

「一時間で目が覚めるでしょう。それまでおやすみなさい」

 ハニエルがそうつぶやくと、彼女たちの前に青いネクタイの男は現れた。

「ハニエル。佐藤真実の病室を発見しました。今ピンクが第二段階の準備をしています。案内します」

 ハニエルたち彼についていく。その病室の前で二人の警察官が眠っている。彼らは佐藤真実の監視をするために病室を張り込んでいるのだろうとハニエルは思った。

 

 ハニエルたちは佐藤真実の病室に足を踏み入れる。その病室は個室で、佐藤真実の右腕には点滴が注射されている。彼女の腰とベッド柵は紐が結ばれておりその中心には鈴が取り付けてある。

 この状況からハニエルは考え込む。

(点滴を外したら大きなエラー音が流れるはず。そうなれば眠っている医者たちが目覚める)


 仕方なくハニエルは青に質問する。

「すみませんが、あの点滴対策はできているか分かりますか」

「分からないな。外で待機しているイエローにでも聞いてみますか」


 彼は鞄から青いランプを取り出し二回光らせる。それから間もなくして黄色いランプが三回光った。

「大丈夫ですか。ハニエルさん。あの点滴は抜いても大丈夫だそうです」

「そうですか」

 

ハニエルは点滴を抜く。だがエラー音が出ることはなかった。それからピンクのネクタイの男が車いすを持って病室に現れた。

「準備が出来たっす」

「ご苦労様。それではこちらも仕上げをしますか」


 ハニエルは名刀黒薔薇を取り出しベッド柵に繋がれた紐を切った。こうして自由になった佐藤真実を青いネクタイの男が移乗させる。

 車いすに乗ったことを確認したハニエルは青いネクタイの男からピンクのランプを受け取り光らせる。

 

 その合図を頼りに黄色いネクタイの男は車を玄関前に停車した。それから三分後、ハニエルたちは車に乗り込む。こうして佐藤真実は退屈な天使たちに拉致された。


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