Side.005 退屈な天使たちの長い夜 Tedious angels' long night
早くも今回の彼らの目的が明らかになります。
出席者が全員集まったことで30分遅れの集会は始まった。ラグエルは頭を下げる。
「皆さん。本日は遅刻してごめんなさい。流星会の麻薬取引についての捜査会議に出席していました」
ラグエルの話を聞きながらレミエルは煙草に火をつける。
「謝罪はここまでにして、この集会の目的について説明しろ」
「時間が30分オーバーしていますので早速始めましょうか」
ラグエルは中央のテーブル席に立ち集会の目的について説明を開始する。
「今回の目的は4人の怪物の一人透明人間の暗殺」
ラグエルの発言にレミエルたちは驚く。
「本気か。4人の怪物と我々は協力関係だよね。その幹部を殺したら抗争の火種が生まれる。それを分かっているのか」
レミエルの問いに対してラグエルは微笑む。
「はい。これはあの方からの命令です。もちろん4人の怪物のボス吸血鬼の許可を受けています」
なぜ協力関係のある組織の幹部を殺さなければならないのか。ウリエルたちは理解できなかった。補足するようにラグエルは説明を続ける。
「最近透明人間は退屈な天使たちを潰すために不穏な動きをしているそうです。彼の目的は組織の重要人物である喜田参事官の暗殺。彼を殺すことで組織の情報を表舞台に引きずり出すつもりです。その準備のため透明人間本人は喜田参事官に一度接触したと僕は考えました。容疑者はこの三人」
ラグエルはテーブルに三枚の写真を並べる。
「一人目は北海道警海原三郎警部。二人目は群馬県警赤城小太郎警部。三人目は島根県警の八雲圭一警部です。彼らは私が警視庁に潜入調査を開始した二か月の間に喜田参事官と接触しました」
ウリエルは手を挙げてラグエルに質問する。
「誰が透明人間なのかは分かったのですか」
「それはまだです。しかし近い内に正体は明かされるでしょう。連続強盗殺人犯の鬼頭にあの三人の容疑者の管轄内で強盗殺人を起こすよう依頼しました。そうすれば容疑者たちは確実にこの東京に集まる。透明人間にとっては絶好のチャンスだが、こちらも正体を暴く機会を得る。彼の命日は10月31日。怪物が死ぬのにふさわしい日でしょう。その日はハロウィンだから」
説明が終わりハニエルはワイングラスを配った。それを見たサマエルはイタリア料理に合うワインを選ぶ。テーブルにはイタリア料理が並んでいる。そしてラグエルは業務連絡を始める。
「最初の仕事は10月13日。残る三日間楽しい夜を過ごしましょう。次の集会は二日後の10月12日午後11時。前日の打ち合わせです」
こうしてテロリストたちの長い夜は始まった。
次回は鬼頭が北海道で強盗殺人をする話です。グロ表現があるため苦手な人は注意してください。




