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警察不信  作者: 山本正純
Episode 2  信賞必罰
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Side.041 悪魔の研究記録 Devilish research record

 その頃群馬県の馬場研究所に赤城警部たちはいた。陸の孤島という言葉がよく似合う廃墟となった研究所に彼らはいる。彼らがここにいる理由は、この研究所にある防火金庫の中身を確認するため。


 2002年この研究所の近くにある馬場家で事件は起きた。この研究所の所長馬場大輔が家族を巻き込んで家に火を放ち無理心中事件を起こしたのだ。後にこの事件がある人物による殺人事件であったことが判明した。

 

 またこの研究所の研究員は呪われたように次々に不審な死を遂げた。研究所には防火金庫があり、研究員たちはその中身を狙っていたのではないかと群馬県警は考えた。

 そして8月17日群馬県警の赤城はたまたま現場に居合わせた喜田参事官とある約束を交わした。

「最後に一つだけ約束してください。実行犯の偽中川宏一の身元を特定し調書を作成してください。そして可能であればあの金庫の中身を空けてください」

 この約束に赤城は驚く。

「そこまでする必要はありますか。真相を解明することに何の意味がありますか」

「事件の真相を暴くことは死者への鎮魂歌となります。この清明村に伝わる陰陽師伝説のように我々警察組織は霊魂を鎮める義務があります」 



 その金庫の中身が今分かるのだ。もしかしたら不審死の謎を解く手がかりかもしれない。そう考えながら赤城は鍵が開くのを待っている。

 

まもなくして金庫は開いた。汗を掻きながら作業をしていた男は刑事たちに呼びかける。

「やっと開きました」

 

その言葉を聞き赤城たちは金庫の前に集まる。金庫の中には大量の研究記録が入っていた。

 赤城たちはその研究記録を読んでいく。パージを進めるごとに刑事たちの顔は曇っていった。そして赤城は呟く。


「感染率90パーセント。死亡率70パーセントの殺人ウイルス。ブラッディティア。そんな研究をしていたのかよ」


 赤城は最後のページを読む。

『1997年7月19日。最後の人体モルモットが死亡した。このままでは研究を中断するしかないだろう。今まで通り鬼頭と流星会を使って拉致をしなければ。だが鬼頭は現在海外を逃亡している。帰国時期は未定だ。仕方ない流星会を使うしかないか。奴らなら麻薬工場をプレゼントしたから、乗り気でやってくれるだろう。人体モルモットはいくらでもいる』



 赤城はこの研究記録を読み激怒した。

「人体モルモットを使って殺人ウイルスの実験をしていた馬場大輔とその研究員たち。死人を悪く言うのは悪いが、あいつらだけは許せない」

 

 赤城は不審死の真相が分かった気がした。殺人ウイルスという悪魔の研究をしていた研究員を神も許さなかったのだろう。その悪魔の研究を止めるために呪いという形で神は彼らを殺したのだろう。

 

 不審死の真相がこの悪魔の研究記録の奪い合いなのか。それとも神による正当な裁きだったのか。はたまた悪魔の研究記録の存在を知った正義感の強い人物による連続殺人だったのか。それは誰にも分からない。だが赤城は一連の事件は正統なる神の裁きのような気がした。


次回は詳細なブラッディティアの情報を公開します。





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