Side.040 透明人間が残したウイルス The virus which invisible man left
ブラッディティア編が遂にスタート。
13時北海道札幌市にあるマンションシライ壮。二階建てで1LDK。部屋の数は八つしかない狭いマンションだ。
そのマンションの前にサイバー犯罪対策課と海原警部たち捜査一課は集まった。
海原はサイバー犯罪対策課の市川に質問する。
「確かにあのマンションの22号室にあるパソコンからハッキングされた形跡があるのですか」
「はい。間違いありません。海外のサーバーを経由していき最終的に辿り着いたコンピュータがあのマンションにあるパソコンでした」
8月8日。株式会社センタースペードで人質籠城事件が起きた。この事件の主犯とされる透明人間という人物はこの会社のセキュリティシステムにハッキングすることで人質籠城事件を起こしたのだ。この事件と同時に発生した殺人事件は解決されたが、透明人間という主犯は逮捕されることはなかった。事件当時株式会社センタースペードのコンピュータにハッキングした端末の所在が今日判明りたため彼らは現場に臨場しようとしている。
確認が終わると、海原は仲間の警官に指示を出す。
「これから透明人間のアジトへ突入する」
十人の警察官は拳銃を構える。サイバー犯罪対策課の市川が合鍵を借りてきて、部屋の鍵を開けると彼らは現場に突入する。
だが部屋の中には人はいなかった。部屋には誰かが生活をしたような形跡がない。リビングルームにある机の上にはノートパソコンが置かれていた。
海原は逃げられたのだと思い、サイバー犯罪対策課の刑事に指示を出す。
「このパソコンを押収してください。もしかしたら透明人間の身元を特定する手がかりがあるかもしれません」
さらに海原は周りにいる刑事にも指示を出す。
「この部屋には手がかりが隠されているかもしれない。慎重に探してくれ」
「うわぁ」
キッチンから警察官の叫び声が聞こえた。何事かと思い海原たちはキッチンに集まる。
「どうした。鯨井」
鯨井は冷蔵庫を指差す。海原は冷蔵庫を覗き込む。冷蔵庫の中ではアンプルが敷き詰められていた。数は最低でも二百本があるだろう。アンプルの中には赤い液体が入っている。
「このアンプルの中身はウイルスかもしれません。至急国際微生物研究所に提出してください」
すると寝室を捜索していた刑事が海原の所へやってきた。彼はノートを見せる。
「海原警部。寝室のベッドの下からこんなノートが見つかりました」
海原はノートを受け取る。ノートを広げて内容を読むと、海原の表情は青白くなった。
「どうやら僕たちはとんでもないものを発見したようですね」
海原は周りにいる刑事たちにノートのあるページを指差しながら見せる。
『ウイルス・ブラッディティア。我々の夢と希望』




