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警察不信  作者: 山本正純
Episode 2  信賞必罰
31/106

Side.031 赤く染まった日本地図 The Japanese map which dyed red

 午後2時木原と神津は会議室で大量の捜査資料とにらめっこをしていた。神津はこの状況にぼやく。

「これは全国から警察庁を通して取り寄せた鬼頭が起こした連続強盗殺人事件の資料。警察庁がデータベースを作っていればこんなことしなくていいのにな」

「そう言わないでください。もしかしたらこの捜査資料の中に真実が隠されているかもしれません」

「その通りです」

 

 この声と共に月影管理官は会議室に現れる。その後ろには三人の警察官がいる。

「サボらないでくださいね。助人として三人連れてきたのだから、手がかりを掴まないとただじゃおかない」

 

 木原たちはまだ読んでいない捜査資料を三人の警察官に分け与える。

「ありがとうございます。これで夜が明ける前に仕事が終わります」

「それほどでもない。ここまでで分かったことはありますか」

「はい。それが分かりません。十年前に発生した連続強盗殺人事件の捜査資料を読んでいるのですが、法則性がありません」

 

 木原の言葉を聞き月影は聞き返す。

「木原。今何と言いました」

「十年前の連続強盗殺人の捜査資料を読んでいるのですが、法則性がありません」

 月影は確信する。

「やっぱり法則性はない。ということは最初の疑惑を検証する必要があります」

 

 そう言い月影は会議室を退室する。そして五分後月影は赤い色鉛筆と日本の白地図を持ってきた。

「これまで鬼頭がこの日本で起こした強盗殺人事件は延べ43件。今月発生したのは北海道と島根県。そして群馬県でした」

 

 そう言いながら月影は北海道と島根県と群馬県を赤い色鉛筆で塗りつぶす。

「鬼頭が同じ都道府県で強盗殺人を二回行っていないとしたら、この白地図が二か所を残し赤く染まる。木原と神津。捜査資料の内容はまとめてありますか」

「はい」

 

 それを確認すると月影は会議室にいる五人の警察官に指示を出す。

「木原と神津はどこで強盗殺人事件が発生したのかを発表してください。それ以外の三人は捜査資料から事件が発生した都道府県のみを抜き出してメモしてください。その作業が終わりしだいメモを私に提出してください」

「はい」

 

 三人の警察官が作業に集中している中で木原たちは事件が発生した都道府県を発表する。

「20年前が鹿児島県と山形県と兵庫県。18年前が宮崎県と青森県と福井県。15年前が大分県と山梨県です」

「13年前が香川県と栃木県と富山県。12年前が沖縄県と岐阜県と静岡県。11年前が熊本県と神奈川県だ」

 月影はこれらの該当箇所を赤い色鉛筆で塗りつぶす。

「今のところかぶりはないですね」


  すると作業をしていた警察官の一人が立ち上がった。

「月影管理官。作業が終わりました。これが9年前から7年前までの事件が発生した都道府県のリストです」

 月影はメモに目を通す。

『9年前、岡山県と滋賀県と秋田県。8年前が京都府と新潟県。7年前、山口県と長崎県と高知県』

 読み終わったのと同時に二人の警察官がメモを提出した。

『6年前、福岡県と愛媛県と石川県。5年前、岩手県と宮城県と埼玉県。4年前、徳島県と佐賀県』

『3年前、広島県と大阪府と千葉県と茨城県。2年前が鳥取県と長野県と奈良県と三重県』

 

 これまでに発生した全40件の事件と今回発生した3件の事件が発生した都道府県を白地図で赤い色鉛筆で塗りつぶす作業が終わった月影。

「やはりそうですか。これは千間刑事部長に報告した方がいいでしょう」


 白地図は東京都と愛知県と和歌山県と宮崎県を残して赤く染まっている。


47都道府県をすべて書いてみました。あなたの地元はありますか?


案外記入漏れがあるかもしれません。忘れられた都道府県のみなさん。なかったらごめんなさい。

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