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警察不信  作者: 山本正純
Episode 1 連続強盗殺人犯を確保せよ!
20/106

Side.020 勝敗の行方 The whereabouts of victory or defeat

 午前11時53分。鬼頭は渋谷クリーンビルの屋上にいた。彼は辺りを見渡す。下には多くの警察官が集まっている。もう時期警察官がこの屋上に到着することだろう。逃げ場はないように思えた。

 

 一方ビルの下で神津はイラついていた。

「SATは何やっている。そろそろ屋上に追い詰めた鬼頭を逮捕してもおかしくない頃なのに」

 

 彼がビルの屋上に現れて五分は経過している。同時期にSATがビル内に突入した。しかし中々彼らが現れる気配がしない。もしかしたらビルの中で何かがあったのかもしれない。木原はそう考えた。

 その考えは正しかった。ビル内に突入したSATはレミエルたちによる襲撃を受けていた。

 

 屋上へと続く階段には二人のSATの射殺体が転がっている。レミエルは向かいのビルからスコープをのぞかせる。

「邪魔なネズミは殺せ。一発で死ぬとはたいしたことないな」


 突入を最優先した隊員は屋上まで後一歩のところで気絶した。生き残ったリーダーは屋上への一歩を踏み出す。しかし彼の背後にいたウリエルはスタンガンでリーダーを気絶させた。

 

 ウリエルは回りを見ると鴉たちに指示を出した。

「それではこのフロアで気絶しているネズミと一つ下の階段でレミエルたちが殺したであろう隊員の後始末をお願いします」

 

 鴉たちは失神している隊員の体をゴミ袋の中に収納する。かなりの重さになったゴミ袋を巨大なゴミ箱の中に放り込む。

 


 そんなことを知らないビルの下にいる警察官たちの耳にヘリコプターの音が聞こえた。

 木原たちが空を見上げるとヘリコプターがビルに向かって低空飛行をしていた。そしてヘリからは梯子が出し、停止した。

 ヘリコプターの中にいるサマエルは呟く。

「来るなら。来い」

 

 それを見た鬼頭は躊躇することなくビルの屋上か飛び降りる。鬼頭はヘリから出された梯子を掴み登った。まもなくしてヘリは梯子を収納して飛び立った。

 

 鬼頭がヘリで逃走したことを知った千間刑事部長は無線で呼びかける。

『鬼頭はヘリで逃走した。警視庁のヘリを飛ばして追跡を開始する。一応陸からも追跡をしてくれ』

 

 千間の隣にいた喜田は拍手する。

「敵ながらすごい手を使いますね。彼らは。飛び上るより飛び降りる方が楽だから、低空飛行をして鬼頭を奪還したのですか」

 


 だが喜田の考えは間違っていた。鬼頭を回収したヘリの中でサマエルは大笑いする。

「まさかここまで出し抜けるとはな」

 

 ハニエルは奪還した鬼頭の頬を引っ張る。

「ええ。まさかこの鬼頭は変装だとは思わないでしょう」


 マスクは剥がれ落ち鬼頭の顔は四十代前半の無精ひげ男に変わった。

「まあ。遠くから見ただけの警察官が鬼頭と間違えても無理がないでしょう。人は遠くから人を見る時に同じ服装と身長と体系の人物がいたら錯覚するでしょう」

 ハニエルは替え玉の顔を見る。

「それにしてもよくこんな芸当ができましたね」

 男は照れ臭そうに話す。

「俺の職業はスタントマンだからな。あんなアクションシーン。朝飯前よ」

 サマエルは外の景色を見つめる。外では大量のパトカーがヘリを追っている。

「鬼ごっこの始まりだな。このヘリは武装していないから一方的な鬼ごっこになるが」


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