Side.018 退屈な天使たちの動向 Tedious angels' trend
鬼頭が東京都に突入してから五分後、レミエルとラジエルはやっと東京都に入ることができた。
ラジエルは外の景色を見つめる。外には100人の警察官がうつ伏せの状態で倒れていた。さらに爆破されたパトカーの破片がそこら中に散らばっている。
「それにしても凄いことをしましたよね。たったの五人でこの百人を気絶させた上で邪魔なパトカーの大群を爆破するとは。たった一人でもできそうな人はいますが」
「ああ。鬼頭だろう。そいつは無理だろうな。あいつは人を気絶させることができない。手加減ができないから絶対に死ぬ。百人の警察官が殉職しなかったんだ。よかったじゃねぇか」
レミエルは捨て台詞を唱えたが、ラジエルは首を横に振る。
「いいえ。私が行ったのはハニエルのことです。彼女は組織の暗殺シミュレーションを最速記録10秒で暗殺を完了しましたから、こんな芸当を一人でできたのではないでしょうか」
ラジエルの言葉を聞きレミエルは煙草を噛んだ。
「あんな奴大したことない。暗殺というのは遠くから殺すからいいんだ。接近戦で暗殺なんて間違っている。あいつの剣術は凄いかもしれないが、俺の方が強い。いつか手合せしたい野郎だ」
レミエルは一息ついてから呟く。
「さて鬼頭は無事東京都に突入できた。だから先回りするか」
そうしてレミエルはアクセルを踏み速度を上げ渋谷へと向かう。
その頃サマエルは組織のヘリポートにいた。彼は現在ハニエルを待っている。今から五分前鬼頭が東京都に突入したという知らせを聞いた。だがその近くにハニエルの姿はなかった。きっとトイレだろうと思い女性のメンバーにトイレを探してもらったがどこにもいなかった。いったいどうしたものかと考えていた時ハニエルが日本刀を持って現れた。
「どこに行っていた。探した」
「ごめんなさい。この名刀黒薔薇を大分の実家から取り寄せていました。どうもこの子じゃないとしっくりこなくてね」
なんで暗殺スキルのある人はこんな変人なのだろうとサマエルは思った。非戦闘員であるサマエルにはこだわりが理解できない。
「早く乗り込んだ方がいいだろう」
サマエルはヘリコプターを指差す。
「そうですね」
二人はヘリコプターに乗り込むと、ヘリは離陸を開始した。
サマエルは隣に座っているハニエルに質問した。
「今回の目的は覚えているか」
「捜査の撹乱でしょう。でもこんな武装もしていないヘリで撹乱なんてできるのですか」
「できるだろう。計画師ガブリエルが考えたんだ。可能に決まっている」
するとサマエルは気になっていることを質問した。
「ところでその名刀黒薔薇はいつ使うんだ」
「さあ。いつでしょう」
ヘリコプターは渋谷クリーンビルへと向かう。




