Side.001 逃亡犯の最期 The last moment of a fugitive from justice
登場人物
鬼頭 宗成 連続強盗殺人犯
佐藤 真実 東都大学四年生
牧田 誠 東都大学四年生
山本 尊 犯罪心理学者
西沢 冬馬 コンビニ店店員
Episode2以降も登場人物は更新していきます。
その衝撃の発言は突然発せられた。
「実は近日中に退屈な天使たちが動き出そうとしているそうなの」
10月10日公安調査庁で浅野房栄公安調査庁長官は合田警部と木原と神津の三人に対してこのような発言をした。
突然な話を聞き合田たちは驚く。いきなり呼び出されてテロ組織の活動について報告されて戸惑わない人間はいないだろう。
「それはどういうことですか」
合田が質問すると、浅野公安調査庁長官の秘書をしている遠藤アリスは一人の男の写真を机の上に置いた。
「名前は鬼頭宗成。46歳。連続強盗殺人犯として海外で活躍しているタフな男。宝を盗むためなら躊躇することなく邪魔な人間を殺害する残忍な男です。身長は200㎝。鬼のような腕力と拳銃ワルサーで多くの人間を殺害し、正面突破でいかなるセキュリティーも突破したことから国際指名手配犯となっています」
木原は遠藤に聞き返す。
「その連続強盗殺人犯と退屈な天使たちの関係はなんでしょう」
「それは・・」
遠藤は浅野の顔を見る。浅野は遠藤の顔を見て頷いた。
「ここからは私が話すのよ。鬼頭が10月に来日するそうよ。鬼頭と退屈な天使たちは協力関係。鬼頭にとって退屈な天使たちはスポンサー。退屈な天使たちは彼に資金を渡すことで、好きな時に彼の能力を利用できるようにしているそうなの。公安もこのことで警戒しているそうだけどご存じではなくて」
浅野の話を聞き神津は首を傾げた。
「それでなぜその話を俺たちに話した」
「そう言うと思って用意しておいたの。あなたたちになぜこの話をしたのかという根拠をね」
遠藤アリスは書類を木原たちに見せる。その書類は鬼頭が海外で殺害した人物のリストだがページ数は10枚しかない。そのことに気が付いた木原は浅野に質問する。
「でも妙にページ数が少なくないですか。国際指名手配されている連続強盗殺人犯の被害者リストなら最低でも100枚はあると思いますが」
「日本人以外の被害者は削除しておいたからページ数は少ないのよね。海外で鬼頭に殺された被害者は20人しかいないから。おかげで節約になったわ。エコロジーや経費削減が騒がれているこのご時世だから節約しないといけないしね」
木原たちは目を点にする。海外で鬼頭に殺された日本人の被害者リストの7ページ目には丁寧にマーカーがされている。そのページに載っていた写真を見て合田は驚く。
「国枝博」
「誰ですか。その人。この人の名前は市川修一ですよ」
木原はマーカーがされた7ページ目に書いてある名前を指差しながら訂正する。しかし浅野は木原の訂正を聞き、首を横に振った。
「いいえ。この男の本当の名前は合田警部の言うように国枝博なのよ」