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資格試験と私

作者: 野田あいみ
掲載日:2026/03/01



人間、興味のないもの(事)は、あまり覚えられないというのが真理だと思う。




私の場合、小さい頃(3〜4歳くらい)から本(絵本含む)が好きで、謎の筆記体(ヒエログリフ)みたいな文字しか書けなかったけど、とりあえず読めた。


というか、弟が生まれたばかりで忙しい親に何度も読んでもらうのはなんとなく気が引けたしたし、どちらかといえば、読み聞かせてもらうよりも、自分の好きな場面を好きなタイミングで読みたかったから覚えた。



まさに『好きこそものの上手なれ』であったと思う。





それとは逆に、『必要に迫られて覚えざるを得なかった』ということも、確かにある。


それを実感したのは、一昨年の暮れのことであった。





勤め先の総務部長から、


「◯◯さんか■■さんに衛生管理者取らせて」


と言われた。




万が一の保険のつもりだったのか冗談だったのか、


「なんなら、アンタも受けるか?(笑)」


とも言われた。




今の会社に入って、もうじき三年。

ギリギリではあるが、試験当日であれば受験資格は満たしている。




考えを巡らせたのは一瞬。



「え、じゃあ受ける」



私は二つ返事で受けることにした。




何故なら。

会社のお金で講習と試験を受けられる上に(自分は一銭も払わず)、|自分の価値を高めることになる(資格手当がもらえる)からだ。




余談だが。

ここで、これまでの実務経験(職歴)が、まさかの方向で活きた。



初めての職場で普通に総務として採用され、なんだかんだで安全衛生委員の一人として会議に参加し、議事録をつけていたこと。

その後、検体回収の仕事に就き、検査項目(尿素窒素は尿じゃ)と検体(なくて血液検査)を一致させるべく色々覚えたこと。

今の職場で、健康診断やらストレスチェックなど、実務に携わっていたこと。



そうした経験と記憶。

そして、クイズ好きで負けず嫌いな私の性格。

有資格者(衛生管理者)であるお館様の助言と解説。




これらの要素と、ある一点が上手く作用した結果。


“大抵1回は落ちる”と言われる衛生管理者試験に、私は1回で合格した。



その、ある一点とは何かと言うと。














私がとんでもない方向音痴なことである。






まず、講習会場に辿り着くまでに迷った。


本来であれば、駅を出て一直線のところに目的のビルはある。

ほんとにただ真っすぐ進むだけ。



にも拘らず、お館様がわざわざ印刷してくれた地図を見て尚、私は謎の右折展開を繰り広げ、明後日の方向に歩みを進めた。





『なんか違う気がする……』



仙台駅を出て、記憶した道順を歩んでいるつもりなのに、一向に目印のコーヒーショップが見えてこない。



講習会が始まるまで、あと20分。




焦った私は、生まれて初めて、地図アプリとやらを開いた。

現在地から目的地まで、点線で表示されるアレである。



それによると、なんかもう、思いっきり違う場所に歩みを進めていた。



ていうか、今いるココ何処よ。

(ファミマのなんたら店)




地図アプリに頼り、なんとか講習会場まで到着したものの、今度はホテルまでの道でまた迷った。


迷った先で到着したのが、行きたいと思っていたバーガーキングだったから良かったものの、この時点で私は件の地図アプリを手放せなくなっていた。




都会怖い。



基本的に地元(青森県)から出ない私は、たった2日の滞在でゴリゴリに精神力が削られた。




無事に帰りの新幹線に乗り、帰路につきながら、ふと思った。



『試験に落ちたら、またこの移動しなきゃいけないってコト……!?』





マジ無理。

こんな思いは一回で済ませたい。



というわけで、そこから猛勉強した。




出勤前のコーヒータイム。

会社の休憩時間。

夕飯後のダラダラタイムにお風呂の時間。


寝る前のリフレッシュタイムでさえも、私は携帯片手にネットで過去問を解き、解説動画を見ることに全フリした。




多分だけど。

有資格者である総務部長が、過去に費やしたのと同じ時間をかけた。(1日平均約3時間)




そんなこんなで。

受験のために再び仙台駅に降り立った私。




試験会場は、仙台駅から乗り継ぎが必要だった。



行きはなんとかなった。

すんなり岩沼行きの電車に乗れた。




問題は帰りだった。


何故かまたしても岩沼方面に乗ろうとしたのである。


出発する直前、土壇場で気付いて慌てて降りた。

あのまま乗っていたら、果たして私はどこに向かっていたのだろう。(ベストアンサー:岩沼)



当然ながら。

仙台駅行きの電車に乗るには、反対側のホームに行かなければならなかったのだよチクショウ。

見ればまだ電車が停まっていた。

今行けばまだ間に合うーー。


ダッシュで階段を駆け上がり、通路を渡り、階段を駆け下りる私の目の前で、無情にも電車は出発した。




それを悲しい顔で眺めつつ、思った。





『落ちてたらまたコレやんなきゃないってコトでしょぉぉぉ……!?』






ちなみに。

軽い気持ちで受ける宣言をしてから、だいたい1ヶ月半くらいの期間の出来事です。





いやもうマジで、受かっててヨカッタ。




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