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9)

 フレデリカ嬢が帰った後、私はフレデリカ嬢について考えていた。


 ―それにしても、フレデリカ嬢は一体何者なのだろうか。余りに王子のことを知り過ぎている気がする。知っているというよりも理解しているというべきか。

 それにあの表情。ただの令嬢ではない。王子と同じような激烈なものを秘めていると思う。そうだ。フレデリカ嬢は王子に似ている。実は双子の妹ということはないか。いや、さすがにそんなことはないだろう。

 それに、フレデリカ嬢とは会話ができる。ここは王子と全く違う。そう言えば、アレクサンドラ・マリアと王子はどんな会話をしているのだろうか。取り巻き連中とも普通に会話ができているはずだ。

 今日初めて気づいたのはアレクサンドラ・マリアへの敵意だ。あれは敵意だと思う。そう考えると王子に思いを寄せていた従姉妹かも知れない。そもそも王子に従姉妹がいるかどうかも知らないが。


 今度もしアレクサンドラ・マリアから手紙が届いたら、フレデリカ嬢について尋ねてみることに決めて、その日はとりあえず眠りについたのだった。


 数日後、修錬生から声を掛けられた。

 「ヴィクトールさん。君、王子殿下と因縁があるんだって?」

 「まあ、ちょっとね」

 「その王子殿下だけど、最近、ふっと姿を消されるそうだよ。」

 「姿を?」

 「そうそう。しばらくすると何食わぬ顔で戻ってこられるんだってさ。」

 「その話をどこで?」

 「ちょっとした噂だよ。それじゃ。」

 「あ、ありがとう。」

 一体、どういうことだ。まだあちこち探っているのだろうか。いや、そんな必要はないはずだ。もうフレデリカ嬢が私と接触しているのは知っているのだから。

 というより、さっきの彼は誰だ?


 しばらくして、私は何故か大神官様に呼ばれた。

 大神官は天つ后神殿(全国の分祠も含む)の長であり、現大神官は国王陛下の叔父に当たる方である。

 「ヴィクトール・アントン修錬生、お召しによりただいま参上致しました。」

 「楽にしなさい。急に呼び出してすまない。」

 「とんでもありません。」

 「そなたはフレデリカという娘を知っているか?」

 まさか大神官様からその名前が出てくるとは思わず、ぐっと身が固まる。

 「どうかな?」

 「は、はい。存じ上げております。」

 「正直でよい。何度か神殿で会っておろう。」

 「はい。恐れながら、決して後ろ暗いことはなく、人目のあるところでございます。」

 「それも分かっておる。」

 「失礼致しました。」

 「さて、そのフレデリカだが、あれが王宮の者であることも知っておるな。」

 「はい。王子殿下のお使いとしていらしておりますので、存じ上げております。」

 「うむ。あれがそなたに好意があることも知っておるか?」

 「は?い、いえ、それは、……、そう言えば、そういったことを仰っていたようにも思います。」

 大神官はニヤリと笑って言った。

 「還俗してフレデリカと一緒になる気はないか?」

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