13)
「さて、本題だ。」
王子の顔が引き締まった。しかし、見れば見るほど、王子はフレデリカ嬢だ。何で気づかなかったのだろう。
「あまりジロジロ見ないでほしい。」
「すみません。」
「婚約パーティーに君を呼んだのは仕方がなかった。呼ばないわけにはいかなかったからね。そこに悪意はなかった。婚約解消から1か月しか間がなかったのは、僕たちの判断ミスだ。申し訳ない。ただ君を傷つけようとしたのではなかった。分かってほしい。」
「そこは分かりました。」
「僕はね、あのパーティーで正式に君を僕の学友にしようと思っていたんだ。和解を演出したかった。しかし、参った。一人で来るんだもの。前も言ったけど、アレクサンドラ・マリアのことが忘れられないんだと思ったら、嫉妬でもう訳が分からなくなってしまった。しかも、僕はフレデリカじゃないから、直接嫉妬であることを言えない。今思うと支離滅裂で、きっと君はあの時僕は頭がおかしい人だと思ったよね。」
「いや、まあ。そうですね。」
「ただ、僕も言い過ぎたと思った。このままだと君が二度と僕の前に現れなくなると思って、表情を取り繕った。後でアレクサンドラ・マリアから聞いたら酷い顔だったらしいね。」
「失礼を承知で申し上げますと、あれは私への侮蔑としか解釈できませんでした。」
「申し訳なかった。僕も必死だったんだ。それで君に僕のものになれ、と言ったつもりだったけれど、まあ、ああいう酷い言葉となった。それでも僕は歩み寄れたと思ったんだよ。」
「無理があるかと存じます。」
「そうだよね……。とにかく、その時は繋ぎとめられると思ったけど、君は出家すると言った。どうしようもなく許せなかった。君だけじゃなく、これまでのすべてが許せなかった。結果、こういうことになった。」
「そうでしたか……。」
大神官様が久しぶりに口を開いた。
「こういう事情があって、王子殿下はそなたに謝るために必死で探し回り、どうしようもなくなって、どう考えても危険としか言えないがフレデリカとなって、そなたに会いに来たということなのだよ。」
「事情はよく分かりました。」
「王子殿下は私にとって孫のようなものだ。ゆえに、いかに愚かであっても可愛いのだ。それだけではなく、この子の育ちは余りに歪なのだ。その点も勘案して、どうだろう。許してもらえぬだろうか。」




