うつる話 一
これはたぶん、口から耳に伝染するんですよ。
ああ、わからないっていう顔ですね。
いえ、遠まわしな言い方をしてしまったようです。
もっとわかりやすく言いますとね、これは、話を聞いたらうつるんですよ。
あくまでも私の予想、ですがね。
え。
いや、じらしているわけじゃあないんですよ。
言い表すのが難しいだけです。
そうですねぇ、あるお話を聞くとかかる、病気みたいなものなんです、これは。
いいえ。
私だって、おかしなことを言っている自覚ぐらいありますよ。
だからね、これは私の推測なんです。
だって、私のこの症状、と言うんでしょうか、これは、そのお話を聞いたときから始まったんですから。
私にそのお話を聞かせてくれた方も、この症状のことを言ってしましたし、信憑性は高いのではないかと思っているんですがね。
そんな。
じらしているように聞こえるかも知れませんが、そんなつもりはありません。
確かに、あれやこればかりで、聞いているぶんには気持ち悪いかも知りませんが、
私だってなんとか伝わりやすいように――。
はぁ。
それは、聞きたいっていうことですか。
でも、私と同じ症状に苦しむかも知れないんですよ。
ええ。
気のせい、ねぇ。
そう、気のせいなんだって、私もそう思おうとしているんです。
だけど、気味が悪くって……。
ははは、わかりましたよ、言います。
実を言いますとね、気味が悪いなりに、私自身、誰かに喋りたくてうずうずしていたところなんです。
私は、あなたならこの話を聞いてくれるだろうと、心のどこかでは期待していたのかもしれません。
じゃあ、言いますね。
期待しないでくださいよ。




