表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/34

乗務9 運転手:カーク・キーン③

私の名は『カーク・キーン』。

先日まで騎士団に所属していた、今はしがない『職業:運転手』だ。


スモールシダーで乗せた乗客はこのストランド王国の第三王子殿下だった。

私は殿下を乗せ、王都騎士団の宿舎へと車を走らせていた…。


道中の車内の会話から私と殿下の蟠りは、少しは解れたのではないか…そう思う。


しかし…


「おやおや?これは副団長殿…いや、今は運転手でしたか…。こちらにはどのようなご用件で?」


騎士団宿舎に到着して殿下を降ろし、殿下に挨拶を…と私が車から降りたところで声が掛かる。

そこには黒銀のハーフプレートアーマーに身を包んだ男が、ニヤニヤと厭らしく口の端を歪め、見下ろすように私に視線を向ける…


「………副団長…」


王都騎士団の元三席、そして私が去ったあとの騎士団の現副団長がそこにいた…。


「副団長、カークは私をここまで送ってくれただけだ」

「殿下、私は#ソコ__・__#の運転手に聞いているのです。何故、殿下が応えるのです?」

「副団長っ!」


殿下が私より先に応えるも煽るように返す副団長。そして殿下が激昂するが…


「殿下」


私は殿下を止める。


「カーク…しか」「殿下」


殿下は何かを言葉にしようとするが、私は首を振りソレも制止する。

そして私は副団長に向かい…


「私はただ仕事で第三王子殿下をお載せしただけです…では失礼します殿下」


一言だけ言い、直ぐに殿下に向き直る。殿下に一礼しクルリと踵を返し、運転席へ戻「まあ待ちたまえ#元__・__#副団長殿…」


はぁ…やれやれ…。

私は嘆息しながら小さく頭を振り、副団長に向き直す。


「副団長殿…私は仕事がありますので、申し訳ありませんが失礼させていただきます」

「そんな固いことを言わず…どうだね?久しぶりに剣でも振っていかないか?」


厭らしい笑みを崩さず、そんな事を宣う副団長…。

そろそろ私も面倒くさくなってきたのだが…応えたのは殿下だった。


「副団長…カークは仕事だと言っているだろうっ!……まだカークに絡むと言うのなら…」

「殿下…何をお怒りになっているのです?私はただ、#元__・__#副団長殿に『剣を振っていってはどうか?』と『提案』しているだけ…。他意などありませんよ?」

「くっ…」


殿下…庇ってくれるのは大変嬉しいのですが、余計面倒くさいことになっていませんかね?

しかし、これは…


『王都騎士団"現"副団長ザークォ・フォン・コモーノ』


コモーノ伯爵家の長男で次期当主。性格は傲慢で貴族至上主義、格下の者に強く、平民には容赦のない、絵に書いたような悪徳貴族である。

そしてコモーノ伯爵は『貴族派』に属し、平民を多く重用する『国王派』に属する第三王子殿下の失墜を狙っている。

そんなところに平民の成り上がりである元上司の私が来たワケか…。


間接的には私が原因か…やはり面倒くさいな…。もう車に乗って帰って良いですかね?


とは言っても殿下のご厚意は無下には出来ませんね。ここは私にだけ敵意を向けさせる様にしましょうか…。

副団長…いや、ザークォを釣るのなんて、それこそ赤子の手を捻ることより簡単ですしね。

まぁ、家族には迷惑をかけてしまうかもしれませんが…。


覚悟を決め、私が…いや、"俺"が動こうとした時…。


「何を騒いでいる…」


静かに…だがはっきりと聞こえる威厳のある声がこの場に響く。


俺と殿下、そしてザークォが声のした方に顔を向ける。

そこには…


「「団長…」」

「だ、団長殿…」


王都騎士団の団長であり、『剣聖』の称号を持つ…


『エムリス・"ナイト"・ストランディア』


この国で最強の騎士が静かに立っていた…。





"俺"の名は『カーク・キーン』。

先日まで騎士団に所属していた、今はしがない『職業:運転手』なんだが…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:『ザークォ』と『コモーノ』

今回のネタ②:未だに名前の出ない殿下…


タクシーと全く関係ない話に…。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ