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乗務4 運転手:ヒル・バーン③


俺の名は『ヒル・バーン』。この道四十年のベテランではあるが、しがない『運転手』だ。


『コンコン』

「っ!?おっと…」


後部座席側の窓を叩く音がする。乗客待ちで少し気が抜けていたようだ。

振り向くと待っていた乗客を確認する。


俺は運転席シート横のレバーを操作しドアを少し開ける。


「開けまぁす」


一声掛け、乗客がドアからしっかりと離れるのを確認してからドアを全開にする。


「すみません、荷物…良いですか?」


ドアで隠れて見えなかったのだが、どうやらいくつか大きめの荷物を持たされた様だ。


「はい、今後ろ開けますね」


俺はそう言い、『トランク』のレバーを引く。『ガコン』と後方から音が鳴り、トランクが開いたのを確認。

自身のシートベルトを外し、車外へ出て後方へ向かう。


トランクをゆっくりと上へ上げてから乗客を見ると簡素な台車にいくつかの荷物が……まぁ入るか。


「台車も積みます?」

「あっ、お願いします」

「了解しました」


俺はトランク内にどう配置するか一瞬だけ考えて荷物を入れていく。


「………しょ…っと…」


台車を荷物の上に置くかたちになってしまったが仕方あるまい。


「これで……全部ですかね?」

「はい」

「じゃあ閉めまぁす」


トランクは一気には閉めない。

一気に閉めると乗客に当たって怪我をさせる可能性もなくはないし、何より音がうるさい。

俺はゆっくりとトランクを下げ、少し浮いた状態から『グッ』と押す。

『カチン』と静かに音を鳴らし、一度開ける動作をして、しっかりと閉まったのを確認してから運転席へと戻る。


乗客が乗車したのを確認、ドアを閉め出発。


……する前に…


「ここからだと1号線より15号線からの方が良いですかね?」


経路(行き方)の再確認。

ちなみに1号線やら15号線やらは『K1』『K15』と表記されたりする。

『K』は『国道の頭文字』なんだとか…。

さらにちなみに1号線は『リバーケープ』から北側の大きい街道で15号線は南側のこちらも大きい街道である。


「あっ、行き先をヨーハマ南門から港の倉庫にしてもらえますか?」

「港の倉庫……了解しました。では15号線で良さそうですね」

「よろしくお願いします」


経路確認を終えて、サイドブレーキを外し、ギアをドライブへ。そしてゆっくりとアクセルを踏み込んでいく。


…さて、行きますかね。



~~~~~~~~~~~~~~~~



その後は何事もなく『港湾都市ヨーハマ』を少し通り過ぎ、倉庫の建ち並ぶ港の区画の入口に到着。


「こちらでよろしいですか?」


降車場所に間違いがないか確認。


「はい、大丈夫です」


その声を聞き、俺はメーターを操作する。

『支払い』を押すと『300』と『8400』がメーターに表示される。

続けて『合計』を押し、表示されたのは『8700』。

結構料金いったな…。


ここでさらにボタンをもう一つ押す。


それは『商会』。


すると料金は『8700』が『17100』に変わる。


これはこの国が階級社会であるがために国で設けた制度で、平民、商会、貴族1、貴族2、王族、と料金に対して変倍するシステムが採用されているからだ。


この剣と魔法の世界において、非常に便利な『タクシー』ではあるが、金持ちにも若干痛いくらいの料金設定にすることで平民にも門を広げ、利用しやすくはしているのだろう……多分。


それはさておき、お会計お会計…。


「えぇっと…金貨一枚、銀貨七枚、銅貨一枚ですね」

「あっ、『コレ』でお願いします」


…と明るい緑色の『紙切れ』を渡される。


「『チケット』ですね。少々お待ちください」


『チケット』

冒険者ギルド運輸部で発行している、後払いが可能なモノである。


俺は渡されたチケットに料金、走行した区間、日付、そして俺の名前を記入して、一度乗客にチケットを戻す。


「内容を確認して間違いがなければサインをお願いします」


そう言い、ペンを渡す。

乗客は確認後、サインをしてペンと一緒に再度、チケットを俺へと渡す。


「はい、ありがとうございます。あとお荷物ですね。先にドア開けますね……あっ、お忘れ物ご注意ください」


俺は『空車』ボタンを押してメーターを戻し、ドアを開け降車してもらい、ほぼ同時にトランクを開ける。

俺も車から降りてトランクから荷物を取り出していく。


「よいしょ…っと…。お忘れ物、大丈夫そうですかね?」


トランクの中を確認してもらい、大丈夫ならばお仕事終了である。


「はい、大丈夫です、ありがとうございます」


よし、終了だな。


「ありがとうございました」


ペコリと軽く頭を下げ、今回の『配車』は終了。


俺はトランクを閉め運転席へ戻り、シートベルトを閉める。


「ヨーハマかぁ……さて、どうやって戻ろうかね?」



俺の名は『ヒル・バーン』。この道四十年のベテランではあるが、しがない『運転手』だ。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:『K』=日本なら『R』

今回のネタ②:港の倉庫=赤いです

今回のネタ③:料金設定=倍になるのは迎車を除いた料金


私なら『サンケイ』を使って戻りますが、この世界には高速はありません。

次回もよろしくお願いします。


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