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乗務34 『氾濫』⑨


「報告っ!第三陣はワイバーン、グリフォン、キマイラの混成っ!」

「伝令っ!第一・第二騎士団より救援要請っ!」


冒険者ギルド、王国騎士団の斥候・伝令係がテントに飛び込んでくる。

報告を受けて動いたのは…


「行くぞ、友よ!」

「応っ!」


第三・第四騎士団の団長二人。二人は副団長を伴ってテントを出て行く。


「俺たちも出るぞ」

「オーケーよん」


そして『ランペイジ』の二人が後に続いた。


「じゃあ俺も…」『ガシッ』「お前はまだ待機だ」


そっと出て行こうとするカークの首根っこを掴むエムリス。


「………………」

「………………」


「離せっエムリス!一般人の俺を大ボスと戦わせようとするなっ!」

「残念だったなカーク。お前の嫁さんからは許可はちゃんと貰っているぞ」

「ちくしょぉぉぉおっ!」


「まったくカークは騒がしいのぅ…」

「すりすりすりくんかくんか…はふぅ」

「お前も離れんかシズク…」

「やだ」

「やれやれ…」


カーク・キーンは言わずもがな…勇者シズクも負けず劣らずマイペースを崩さない。


「過去の記録よりも戦力が多い…」

「そうだな。だがこちらも見合う戦力は集まっておる。ある程度までは誤差にしかならんよ」


冒険者ギルドマスター:イゴールの言にそう返す魔王。


「魔王さま…」

「………………」

「ハスハスハスハス」


「シズクはどうにかなりませんか?」

「………ならんな」

「………そうですか」


…台無しである。



~~~~~~~~~~~~~~~~



「プレートアーマー、パージッ!『#天翼__ウイング__#』展開っ!『#身体強化__ブースト__#』全開っ!」

「魔力炉、出力最大っ!………『#身体強化__ブースト__#』ッ!!」


第一・第二騎士団長が身に付けていたプレートアーマーを外し、『風』と『光』の属性魔法『#天翼_ウイング__#』を発動。

その背に白く美しい魔力の翼を羽ばたかせ、『#身体強化__ブースト__#』と合わせて敵に突っ込む。


的になったのは『オーガルクスキマイラ』。『#合成魔獣__キマイラ__#』の亜種で上位種であり、冒険者ギルドの討伐推奨ランクはS。

通常ならば『#集団戦闘__レイド__#』案件なのだが、第一・第二騎士団長には関係ないようだ。


「「おおおおおおっ!!」」


二人は裂帛の気合いを上げ『オーガルクスキマイラ』へ攻撃を開始する。


「「「アインスッ!!」」」


「ぬんっ!!」

「「「ツヴァイッ!!」」」


「ふんっ!!」

「「「ドライッ!!!」」」


高速で動く二人は魔力による光の帯を残しながら攻撃を繰り返す。そして光の帯が交じり、また離れた次の瞬間、再度交差するべく『オーガルクスキマイラ』へと襲い掛かる。


「ツインッ!!(アイツら…合いの手入れる暇があるなら…)」

「ナイトッ!!(『#氾濫__スタンピード__#』後の休暇、一日減だな…)」


「「「ストラァァァァイクッ!!!」」」


第一・第二騎士団長の二人とその団員たちの掛け声が重なった瞬間、光の矢と化した二人は『オーガルクスキマイラ』を撃ち抜き切り抜ける。


『グキャオォォォッ!!』

『ドゴオォォォンッ!!』


交差の中心にいた『オーガルクスキマイラ』は二人が駆け抜けたあと、一拍遅れて断末魔をあげながら大爆発を起こす。

…属性的には『斬撃』のはずなのだが…。


こうして第一・第二騎士団の休暇が一日減りつつも、無事『オーガルクスキマイラ』の討伐を完了。

そして…


「どんなに鱗が硬かろうと…撃ち貫くのみ」

「だそうよん。覚悟してねん翼竜ちゃん」


ワイバーン種の亜種にして最上位種であろう『ハイ・ワイバーンエンペラー』を『ランペイジ』の二人が標的に見定めていた…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:「行くぞ、友よ」「応っ!」=だいたい合体技前。


今回のネタ②:『ツインナイトストライク』=二回目。合いの手=大事?


今回のネタ③:「撃ち貫くのみ」=パイルバンカーはさすがに無い。


ほぼ『オージー』ネタ。しかし『ツインナイトストライク』はオッサン二人で…。

次回もよろしくお願いします。



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