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乗務33 『氾濫』⑧


晴れていなくても明るくなってくるであろう時間になっても、空は闇色に染まっていた…。そしてその日は昨日一昨日よりも『闇』が濃くなっているように見えた。


『#氾濫__スタンピード__#』三日目…最終日である。




スモールシダー営業所は五時の点呼を開始。運転手が並び、運行管理者の言葉を待つ。


「点呼を始めます。おはようございます」

「「「おはようございます」」」


「えー、ご存知の通り『#氾濫__スタンピード__#』最終日です。今日は怪我人の輸送が多くなるかと思いますので輸送時は丁寧な運転を心掛けるようお願いします」

「それから…討ち漏らしが出る可能性もあります。その辺りの判断はお任せになりますが、出来る限り自身が怪我をしないようにしてください」

「あと暗いのでヘッドライトとフォグも点灯させて走行してください」


「では気を付けて、行ってらっしゃい」


注意事項を伝え、送り出す。…しかし待っているのは納金待ちの運転手たちの列だった…。



~~~~~~~~~~~~~~~~



スモールシダーから次々にタクシーが到着し、続々と集まる強者たち。


そんな中、第三・第四王国騎士団の団長・副団長たちが到着していた。

黒の大剣を背負う銀髪の男とウェーブがかった長めの金髪を靡かせる丸サングラスの男。如何にも「行くぞ、友よ!」「応っ!」とか叫んでいそうである。…多分、合体技も持っているだろう。


また別の場所では到着した高ランク冒険者たちも集まっている。


一組の男女のコンビ…白を基調とした装備で人懐っこそうな表情を持つ金髪の女性と赤を基調とした装備で落ち着きのある男性…通称『ランペイジ』と呼ばれている二人組。この二人もなにやら合体技を持っていそうである。

ちなみに男性は「分の悪い賭けは嫌いじゃない…」だそうだ…。


男性二人女性一人の三人パーティー。

黒髪短髪の活発そうな男性は『天上天下~』などと言っている。金髪の優男は『やれやれ~』といったポーズだ。宝石のような翠の髪を持つ女性はソレを暖かく見守っている。

彼らは通称『あるたあど』…大物狩りを得意としているパーティーだ。そのうち四人組になって合体技を使いそうなのは気のせいではないだろう。…いや、場合によっては五人組か…?


多種多様な強者たちの中でも異彩を放つのはやはりというかなんというか…『勇者』と『魔王』の二人。魔王の腰の辺りにガッチリと抱きついて離れない勇者の姿は異彩ではなく異様じゃなかろうか?と思わなくもないが…。


そして一台、回送のタクシーが到着する。

後部座席から降り立ったのは王都騎士団長エムリス、運転席からはカーク・キーンである。


「まったく…戦闘前からダメージを負ってどうする…」

「いやいや、お前が来るのが#早__はえ__#んだよ…」


闘技場に近付く二人…いや、カークを良く見ると何故か顔が腫れていた。どうやら、この土壇場でも家から出るのをごねたらしく、嫁にやられたらしい…。

エムリスはやれやれ…と頭を振り、カークは「あっ魔王さま、#回復薬__ポーション__#持ってない?」などと宣っていた。


そしてカークたちを最後に今現在参戦可能な強者たちが集合していた。



~~~~~~~~~~~~~~~~



「複数の『#古代龍__エンシェントドラゴン__#』…ねぇ…」

「『竜』種じゃなくて『龍』種か…」


「厄介どころのレベルじゃあないわね…」

「もう『災厄』レベルじゃねえか…」


「だがやるしかない…」

「だな…」


初日二日目と未参戦の者もいるため、騎士団と冒険者の双方を集め、情報の開示と作戦の擦り合わせを行う。

情報を聞いた者は#各々__おのおの__#で感想を述べるも、誰一人逃げ出そうと言う者はいない。


「でだ…。一番厄介そうな『#古代龍王__エンシェントドラゴンロード__#』は我とシズク、エムリスとカークの四人で当たるつもりなのだが反対は…」


「…あるか?」と魔王が言った瞬間…「意義ありっ!」『ビシィッ』と手を上げたのはカーク・キーンだけだったが、直ぐ様エムリスとイゴールの二人で拘束。集まっていたテントから退場させられていた。


「何匹出てくるか…で難易度が大分変わるな」

「でもこの面子なら大丈夫じゃないかしら?」


とは『ランペイジ』の二人。


「フッ…我らに…」

「断てぬものはない…」


第三第四騎士団長たちも続く。


「私は魔王さんと一緒だから問題なし!」

「………離れろ」


勇者は気合いが入っているのかどうかよくわからなかった。魔王は少しげんなりしているようだが…。


概ね作戦も決まり、それぞれがアイテムの確認やら#準備運動__ウォームアップ__#を行う。ちなみにカーク・キーンもアップは真面目にしていたりする。

そして『#氾濫__スタンピード__#』第一陣・第二陣と前日より多くの怪我人を出しつつも、何とか抑えていた…。


しかし…


『#氾濫__スタンピード__#』第三陣…。


#ソレ__・__#は抑えこまれていたのが分かっていたのか…鬱憤を晴らすようにその牙を剥き始めた…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:第三騎士団長=悪を断つ人。第四騎士団長=ボス戦でも曲が変わっちゃう人。


今回のネタ②:『ランペイジ』=「コレが俺たちの」「切り札よん」


今回のネタ③:『あるたあど』=「フルコンタクトッ!」「オーバードライブッ!」「超必殺っ!!」


次回もよろしくお願いします。


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