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乗務31 『氾濫』⑦


魔王とエムリス、カーク・キーンの三人がトードゥロ闘技場から姿を消し、そしてカーク・キーンが魔王に『#完全回復薬__エリクサー__#』を使われた頃…。


「「「行けぇっ、団長ぉっ!!!」」」


「ツインッ!」

「ナイトッ!」


「「ストライクッッッ!!」」


第一、第二騎士団長二人のオッサンによる合体技が『#氾濫__スタンピード__#』二日目の最後の敵、『グランドオーガエンペラー』に炸裂した。


「ふぅっ…やったな」

「あぁ…」


『コツン…』と拳を合わせる二人の騎士団長。実際はガントレットを装備しているのでもっとゴツい金属音がしたワケだが…。


「っと…まだ残ってるし行くか…」

「だな。まだ『ロード』やら『ジェネラル』が残ってるからな…」


『グランドオーガエンペラー』を倒したことで残りのオーガ種は多少弱体化したものの、まだまだ戦闘は終わっていない。


「さて…と。じゃあ俺らは『ロード』から殺りますかね」

「そうしますかね…」


そう言い、二人は副団長たちが必死に抑えている複数の『オーガロード』に向かって疾る。

この少しあとに『#氾濫__スタンピード__#』二日目は終了を迎えた。


今回は難易度が高いこともあり、近年よりも怪我人が続出。闘技場周辺に設営していた簡易な救護所では数も間に合っていなかった。

ここで活躍するのは、もちろんタクシーである。


臨時の乗り場に待機していたタクシーがフル稼働でスモールシダーと闘技場をピストン輸送することで現状を乗りきったのである。

闘技場とスモールシダーが近いこともあり、多くの低ランク冒険者や新人騎士たちが大事なく明日を迎えることができたのである。


スモールシダー側もただ受け入れるだけでなく、トードゥロ闘技場側…北門に臨時の救護所を設営して対応していたことも要因の一つであると言っておこう。


こうして『#氾濫__スタンピード__#』二日目は幕を下ろし、翌日も戦う者は休息を。戦闘は厳しいと実力不足を痛感した者は後方支援を…とそれぞれが動き始める。


動き始めていた者は他にも多くいた。それは前日にエムリスやイゴールが要請して、その中で参戦可能な者たち。

ここで要請したのは数ではなく『質』。

王都周辺だけではなく全土の騎士、冒険者に声を掛けていた。


その強者たちが続々とスモールシダーに集まってきていた。

まだ移動中の者もいれば既に到着し身体を休めている者、景気付けと言わんばかりに酒場に行く者など思い思いに過ごしている。


そして、その中には明日の『#氾濫__スタンピード__#』最終日の中核を担うであろう『勇者』パーティーも名を連ねていた。


『シズク・サスガ(貴家 雫)』

名前から分かる通り日本人で、彼女は召喚された身である。端正…と言うよりは可愛いらしい感じの十六歳。少し茶色の混じった黒目と黒髪ストレートのロングが良く似合っている。

実年齢も若いが、若干背が低いのと可愛いらしい顔が相まって、高確率で幼く見られるのがコンプレックスらしいが、言うほどは気にしていないようだ。


そして勇者シズクを中心に周りを固めるパーティーメンバーたち。いずれも『称号』持ちだったり、上位職の上…最上位職に就いていたりと、勇者と共に歩むに相応しいメンバーが揃っている。


ちなみに魔王と対立中…などということはない。


いや、むしろ…



~~~~~~~~~~~~~~~~



魔王は『#完全回復薬__エリクサー__#』をエムリスとカークの『二人』に使用して帰らせたあと、自分の宿に近い酒場に入った。


酒場の中心はなにやら昨日一昨日よりも盛り上がっているようだ。

無視してカウンター席に行こうかとも思ったようだったが、どのみち近くを通らなければカウンター席に辿り着かないので、通りざまにチラリと中心を見やる。


「ぬっ?シズクではないか」

「っ!?」


魔王の声はボソリと呟いた程度の大きさだったのだが、酒場の喧騒の中でも、その超人的な能力による聴覚は魔王の声を確りと聞き取っていた。


「魔っ」

『シュッ』

「ぬっ?」


「王っ」

『ダダダッ』

「なっ!?」


「さぁぁぁぁぁんっっ!!」

『ドスンッッッ!!』

「ぐはあぁぁぁっ!?」


戦闘用#技能__スキル__#『縮地』からの『スピアー』と呼ばれそうな高速タックルにさすがの魔王様も回避出来ず。

勇者シズク曰く『ダッシュハグ』らしいのだが、意味がわからないうえに、どう考えても攻撃である。


「ん~~~魔王さん魔王さん魔王さん」


すりすりすりすぅはぁすぅはぁ…と完全に勇者の取る行動ではない…が、パーティーメンバーがヤレヤレ、またか…としているので、いつも通りの行動なのだろう。


「シズク…腹は止めんかと言ったであろう…」


魔王の言葉を聞く限り、勇者のこの行動は認めている…いや、諦めている…が正しいか。どちらにしてもまあまあ微笑ましい絵には変わらない。………微笑ましい?


こうしてスモールシダーに勇者と魔王が揃い、翌日の『#氾濫__スタンピード__#』最終日を迎える…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:『ツインナイトストライク』=騎士のオッサン二人による合体技。事前にアーマーパージ(ガントレット残し)して突撃する。もちろん揺れない。


今回のネタ②:『シズク・サスガ(貴家 雫)』=ツインテールでもないし三匹の#ファミリア__使い魔__#もいない。ツオイ。


今回のネタ③:『縮地からのスピアー』=魔王様大ダメージ。定番?


今回も唐突にスパ□ボネタ。分かる人には…。

次回もよろしくお願いします。


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