表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/34

乗務29 『氾濫』幕間①


『#氾濫__スタンピード__#』初日の第四陣も終わり、トードゥロ闘技場は静けさ…ではなく、無事初日を終えたことと、山のような肉のドロップ品に商人たち冒険者たちは盛り上がりを見せていた。


そんな中、冒険者ギルド運輸部旅客課スモールシダー営業所は、『#氾濫__スタンピード__#』のためにいつもよりも稼働台数(運転手)を増やしているため、昼夜入れ替わりの時間は激しく忙しかったりする。


夕方の点呼を終えて夜番を送り出すと昼番の運転手が待ってましたと言わんばかりに納金にやってくるのである。


未収金(売掛のチケットやら)のチェックに、休憩時間のチェック、納金額のチェックをして、運転手には魔導納金カウンターに売り上げ金を納めてもらうのだが、魔導納金カウンターは一台しかないので、『納金待ち』という列が出来てしまうのだ。


もっとバラバラに帰って来てくれれば良いのに…。と思わないでもないが、乗り場に利用者が待っていれば乗せてしまうのは運転手の#性__さが__#だろう、時間が許す限り乗せてしまう。


もちろん稼働時間が過ぎてしまえばペナルティが発生するため、運転手は上手いこと見極めなければいけないのだが…。


まあ雨の日や、今回のように『#氾濫__スタンピード__#』などではない限り、頻繁にあるわけではないので、少し我慢である。


…というワケで夜の運行管理者が来るまで、この作業は営業所長自らが一人でやっていたりする。


「(………くそぅ、本番初日だから朝早く来たから眠いっ、疲れたっ!………明日はもういつも通りの時間に来よう…)」


そう思いながら納金待ちの列を捌く営業所長。口に出さない辺り、大人である。



~~~~~~~~~~~~~~~~



「おはようございまぁす」


夜の運行管理者がのそりと出勤してくる。

納金待ちの列を捌き、その他自分の仕事を終えた所長は仕事を引き継ぎ、帰り支度をする。


「じゃ、あとよろしく………あ、明日は朝は普通に来るから」


そう言い残し、若干重たい身体を引きずり帰路に着いた。


引き継いだ運行管理者は昼番の日報を確認して、未収金(売掛のチケット)などを再確認し、魔導PCに入力していく。

魔導PCにはまるで現代の表計算ソフトが入っているかのような画像が魔導モニターに映し出されていて、表に沿って入力していくのだが…。

うむ、魔法しゅごい…。


夜八時になり、本日最後の点呼を行う。

営業所のカウンターを挟み、運転手が数人。納金待ちはいない。


「ご存知の通り、本日は『#氾濫__スタンピード__#』の初日です。昼もまあまあ忙しかったようなのでおそらく夜もそれなりに忙しいと思います。また『#氾濫__スタンピード__#』の影響で周辺の魔物が活性化しているかもしれませんので、走行中に遭遇した場合は逃げるか戦うか、お客様を優先に考えて対応してください」


『逃げるか戦うか』


逃げる場合、大抵はタクシーのスピードに魔物は追い付けないので、道を塞がれていない限り『逃げる』が正しい対応と言えるだろう。


戦う場合は、『運転手』は『ニホン人』の血を引いているため魔力量が多く、またソレに比例して強かったりする運転手が多い。

上記の『道を塞がれて』いる場合は、乗客に断りを入れて戦闘に移る場合があったりする。


また『逃げる・戦う』の他に『奥の手』もあったりするのだが…。


「あ、あと闘技場周辺だと酔っ払った冒険者とか多いと思うので、あまりモメたりしないように気を付けてください。では気を付けて、いってらっしゃい」


点呼を終え、入力作業の続きに入る。


このあとは、#苦情__クレーム__#や事故などがない限り、営業所内はしばらくは忙しくはならないだろう。

忙しくなるのは日を跨いで二時を過ぎてからになる。


二時を過ぎた辺りから、朝から出ている隔日勤務の運転手と夕方に出ている夜番の運転手が帰ってくるのだ。

これもバラバラに帰って来てくれると納金がスムーズに進むワケなのだが…。


コレが二時~四時が暇だったりすると、四時以降にバタバタと帰って来て、激しく忙しくなったりする、という状況になってしまったりする。


「(………『#氾濫__スタンピード__#』中はそうなるだろうな…)」


…と、予想はしているようだ。


そして時間は過ぎていき…。


二時…暇。


「………」


三時……暇。


「…………」


四時………。


「………………(ぐぅ…マジで纏めて帰ってくんなっ!?捌ききれんっ!!………あっ、そろそろ五時出の人たちも来そうじゃんっ!?やべぇっ!!)」


予想通りではあるものの、やはり平常時より稼働台数が多いため、またしても納金待ちの例が出来てしまうのは仕方のないことだろう。


所長は早く来ないとは言っていたが、五時にはもう一人、別の運行管理者が出勤してくるので、それまで耐え抜くしかないっ!と捌いていく…。


こうしてスモールシダー営業所の『#氾濫__スタンピード__#』初日が終わっていき、同時に二日目が始まる…。


…と言っても夜番の運転手は帰ってくるのが遅い人は七時半頃になる人もいたりするのだが…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:魔導納金カウンター=お金を計算して表示。『確定/完了』ボタンを押すとそのまま納めてくれる魔導具。


今回のネタ②:稼働時間=昼番、夜番、隔勤、それぞれ働く時間は定められています。


今回のネタ③:ペナルティ=次回の乗務禁止とか。


今回のネタ④:魔導PC=魔法しゅごい。


今回はちゃんとタクシーネタで。

次回もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ