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乗務27 『氾濫』④


『#氾濫__スタンピード__#』の第三陣が始まった頃、王都騎士団団長エムリスと冒険者ギルドギルドマスター:イゴール、そして王都騎士団"元"副団長にしてS級冒険者であり現『運転手』カーク・キーンは冒険者ギルド本部の資料室で過去の『#氾濫__スタンピード__#』を調べていた。


「………無いな」

「………こっちもだな」

「………帰りたい」


最後のはもちろん言うまでもなくカークの言葉である 当然、言葉を発したあと二人からジト目をいただくワケだが…。

カークはソレにジト目で返していた。


エムリスとイゴールは「やれやれ…」としつつ…「お前の方の資料はどうだ?」とカークに問う。


「いや、こっちのにも載ってないな…」


嫌々ながら、しっかり仕事はしていたようである。


「ここ四百年ほどの記録には載っていないか…」

「ソレよりも前となると記録自体が現存しているかどうか…」


しかし今のところ成果はなく、どうしたものか…というところ…。


「他国の記録はどうだ?」


「「っ!?」」

「そうか、他国のはまだ見ていなかったな」

「さすがS級だな、やるなカーク・キーン」


カークの一言に希望を見出だす二人。そしてカークが動き出す…。


「よし、二人は探しておいてくれ。俺は飲み物でも用意し」「お疲れぇ、飲み物持ってきたよぉ」「…てくるょょょ………」


国土交通大神の登場である。

瞬間、飲み物を買いに行く振りをしてサボる、というカークの作戦はあっさりと#潰__つい__#えた。



~~~~~~~~~~~~~~~~



「僕が王国に来てからの『#氾濫__スタンピード__#』では無かったと思うなぁ。だから『他国の』っていうのは、良い着眼点だと思うよ」


…とは国土交通大神の言葉である。

その言葉から「あ、他国ではあったのか…」と読み取れないことはないが、直接言わない辺り理由があるのだろう、と勝手に解釈する。


エムリスとイゴールは手の空いていたギルド員にも手伝ってもらい、他国で起きた『#氾濫__スタンピード__#』の資料を端から調べていた。


「はぁ…」


…とため息を漏らすのは、先ほど大神にサボる口実を潰されたカーク・キーン。

カークは資料を広げた机の端の方でゆ~~~っくり資料を#捲__めく__#ったり、大神が差し入れてくれた飲み物に『ちびっ』と口を付けたりと、やる気無いですアピールが酷かった。


「おいカーク、サクッと終わらせれば早く帰れるんだ。さっさとやれ」

「カークさん、諦めて仕事しましょう」


エムリスの言葉に手伝いのギルド員が乗っかってのツッコミ…。

しかしギルド員の目はハイライトさんが仕事をしていなかった。


『#氾濫__スタンピード__#』真っ只中なのだ、手が空いている…なんてワケはない。

ギルドマスター自ら『手伝って…』なんて、ギルド員が断れるワケがないのである。


そんなこんなで資料室の中は『ぺらぺら』と資料を#捲__めく__#る音だけが響く………いや、カークだけは文句を呟いているが…。


「カーク…ちゃんと報酬は出すと言っているだろう。ちゃんと調べろ」

「そもそも了承した覚えは無いんだが?」

「「ぐぬぬぬぬ…」」


そんなやり取りを今更ながらにするエムリスとカーク。

エムリスとしてはカークの上長である国土交通大神に協力の申請をしているのだが、カークとしては先ず自分に相談してからだろう?という言い分である。

まあ二人ともさすがに神に文句を言えるワケもないので、この場に#国土交通大神__本人__#が居るが直接は言わない。

そして、このやり取りを聞いていた#国土交通大神__本人__#は…


「あ、キーン君、もしかして報酬が不満なの?…ん~、じゃあ『加護』いる?付けてあげるよ?」


『加護』…#能力値__ステータス__#にプラス補正や各種状態異常への耐性など、冒険者から見れば垂涎の代物であるのだが…


「いえ、いらないです」


カークはバッサリである。


「そう、それは残念」


コレには大神もガックリ。「みんな欲しがるんだけどなぁ」と呟いていたのは聞かなかったことにする。


「だいたいお前はいつもいつも…」

「いやいや、お前の方が…」


文句を言い合いながらも資料に目を通していく二人。気が付けばカークも普通のペースで資料を読み込んでいた。

騎士団にいた時はこうだったのだろうな…とギルド員は勝手に察していたが、概ね正しいだろう。


そして…


「………あっ」


声を発したのは黙々と資料を見ていたイゴール。


「この『#氾濫__スタンピード__#』が同じ状況だな」


皆が資料を見るのを止め、イゴールの横や後ろに着く。

イゴールがその部分を読み進め、そして『#氾濫__スタンピード__#』終盤の魔物の編成を確認する。


「「…っ!?」」

「「…これはっ!?」」


「「「………………」」」



~~~~~~~~~~~~~~~~



「終盤に間に合いそうな高ランク冒険者をピックアップ。依頼してくれ。…ああ、指名依頼で良い」


イゴールはギルド員に直ぐに指示を出す。


「俺は王城に行ってくる。近衛に出張ってもらえるよう進言してこよう」

「頼んだ」


「カーク、すまないが王城まで頼めるか?」

「分かってる、直ぐに出よう」


エムリス、カーク、共に王城に向かうため、直ぐに資料室を後にした。


「大神は…」

「分かっているよ。僕は防衛大神に話を通してこよう。あと結界も強化しないとね」

「お願いします」


それぞれが動き出した。


最悪の結果を避けるために、最善の結果に帰すために…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:「帰りたい…」=切実。


今回のネタ②:ハイライトさん=仕事して。


今回のネタ③:『加護』=有能。


何やらシリアス展開に?

次回もよろしくお願いします。


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