乗務26 『氾濫』③
『#氾濫__スタンピード__#』第二陣…コボルト。
第一陣のゴブリンと同じく、ソルジャーやメイジなどの上位種を交えたパーティー編成で大量に出現する。
『第二陣はコボルトッ!』との報を王都騎士団の団長エムリスは部下から受ける。
「…やはり、いつもと少し#違う__・__#か…?」
エムリスの険しい顔を見た第一・第二騎士団の団長は…
「王都に一度戻れエムリス…」
「気になるのだろう…?戻って調べてくれば良い」
「お前ら…」
「…どうせ今日は俺たちの出番は無いだろう?行って、明日の昼にでも戻ってこい」
「だな。気になることはさっさと終わらせた方が良い…」
ストランド王国の誇る第一・第二騎士団の団長二人がいるのである、余程のことが#起こって__・__#も大体は対処出来るし、どうにかするだろう。
その二人が言うのだ。ならば…
「すまんな…席を外そう」
エムリスは二人に軽く頭を下げ、椅子から立ち上がろうとする。
その時…
「エムリス…」
二人の団長とは別の方向から声が掛かる。
「カーク…」
何故か騎士団のテントにいる、王都騎士団の"元"副団長にしてS級冒険者…の『運転手』カーク・キーンである。
「俺が行って調べてこよう。お前は残った方が」「何言ってるんだカーク、お前が行くのは当たり前だろう?」「………は?」
「お前の移動手段が必要だし、俺がいなくてどうやって資料とか見るんだよ…」
「え?いや…えっ?」
そりゃそうだ…と二人の団長も苦笑いである。
「お前………王都に行く#フリ__・__#して帰るつもりだったな?」
「そ、そそそそ、しょんなことありましぇんけどぉっ!?」
噛み噛みである。
「…まったく。ほら行くぞ、カーク。あとギルマスも拾ってくからな」
「ちょっ、まっ!?おい、首根っこを掴むなっ!?」
『ズリズリズリ…』とエムリスに引っ張られテントから出ていく元同僚に二人の団長の苦笑は止まらない…。
~~~~~~~~~~~~~~~~
エムリスと時を同じくして、コボルトの報告を受けていた冒険者ギルド:ギルドマスターのイゴールは#副__サブ__#ギルドマスターに指示を出していたところにエムリスが表れ、一緒に王都に行くことにした。
エムリスと同じく『#氾濫__スタンピード__#』がいつもとは違う…がしかし…。と小さくとも不安の種がある以上はと戻り、調べることに決めたようである。
もう一つ気掛かりなことがイゴールにはあった。ソレは…
「………(今度は違う店のメニュー見てるな…)」
魔王の様子がおかしいこと…。
調子は悪そうには見えないが、どこかソワソワしているような…。イゴールにはそんな感じに映っているようだ。
真実は、ただ旧知の者と酒を飲みにいく約束をしただけ、なのだが…。
魔王様…楽しみにし過ぎである。
~~~~~~~~~~~~~~~~
エムリスとイゴールを乗せ、王都までカークが出発して数十分…。
第二陣、コボルト種の殲滅が完了する。
まだまだ騎士団、冒険者の混成軍は余裕を残している。
…が、やはり経験の浅い冒険者には少数ではあるものの怪我人が出ていた。
闘技場場外、その外周部に沿って大神たちの展開した結界が張られており、その外側に簡易的ではあるが救護班のテントが設営されている。
怪我人はこちらに来るのだが今現在は極めて軽傷の者が少数いるのみである。
この救護班のテントの側にもタクシーが詰めており、負傷者の中でもこの場で治療出来ない者はタクシーに乗せてスモールシダーに迅速に搬送出来るような体制になっていた。
あとは軽傷でも心が折れた者たちが利用したりする。
ちなみにこの時点では利用者は誰も居らず、時間的にも利用者が出るのは夕方以降になるのは分かっているので、運転手たちは結界内の屋台に行ったり、もしくは自車の中で寝ていたり、と自由である。
そしてエムリスたちが王都に到着したであろう頃…。
闘技場中央に存在する『闇』が蠢く。
『#氾濫__スタンピード__#』第三陣である。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
今回のネタ①:カーク・キーン=「帰りたい」
今回のネタ②:魔王=「終わらせて飲みにいきたい」
今回のネタ③:タクシー乗り場=臨時で二ヶ所有り。
次回もよろしくお願いします。




