表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/34

乗務16 運転手:安藤 正紀①


僕の名は『安藤 正紀』。

数ヶ月前にこちらの世界に『落ちて』きた日本人だ。


この異世界ウェルツムンドの都市スモールシダーに続く街道のそばの草原に落ちて『ほげぇっ』と途方にくれていたところ、何故か…そう何故か僕の目の前を日本でもよく見かけるタクシーが通りすぎ、拾ってもらっていなければちょっと危なかったのは後で知ったのだけれど…。


「なんだ、#兄__あん__#ちゃん『ニホン人』か?」


拾ってくれた運転手さんは、僕の事情を聞き、快く乗せてくれた。

『マジでここ異世界か?』と確信を持てなかったが僕だが、運転手さんの話を聞き、ここが異世界だと確信。

異世界のお金など当然持っていないのだけれど…


「気にすんな!乗れ乗れ!」


やだこの運転手のおっちゃんマジイケメン。…と、『キュン』としたのは情緒不安定だったからだろう…。

いや、本当に助かりました、ありがとうございます。


「これな、なんでか『異世界タクシー』って呼ばれているんだよ」


「何でタクシーが?」と当然思った僕は運転手のおっちゃんに聞いてみると、そう返ってきた。


「昔から在るみたいだけどな、一番最初は『ニホン人』が召喚した、って話だぜ」


あ、やっぱり…というか、映画とかで見たタクシーより日本の…っぽいもんな、と思ったのが正直なところである。…ていうかタクシー召喚て何?


「…で、『ニホン人』の血や魂を持つ者に『職業:運転手』が現れるみたいでよ。俺の爺さんの爺さんの爺さん辺りが『ニホン人』だったらしいんだわ」


そんな感じで徐々に『職業:運転手』の数が増えていったらしい。

驚いたのはこの世界では異世界召喚やら異世界転生が稀とはいえ、しっかりと知られているということ。

僕のケースは『異世界転移』に当たるんだとか。


「まずは冒険者ギルドに行くと良い。色々と教えてくれるからな」


なにやら異世界モノでよく聞く言葉が出てきたな。

そんな話をしているうちに車は進み、おっちゃんの所属するスモールシダーに到着。


おっちゃんは門番の衛兵さんに事情を話し、ここでおっちゃんと別れることに。


「困ったことがあったら俺んとこ来いよ!遠慮なんていらねえからな!」


『ニカッ』と笑うおっちゃんはマジイケメンだった。

『ブロロロ…』と低い音を鳴らして走り去るタクシーを見つめ、ちょっと寂しくなったのは内緒だ。


僕は衛兵さんの一人に連れられて門から街に入り少し歩く。たどり着いたのは中央に盾、重なるように二本の剣がクロスしている意匠の看板が、大きな建物の大きなドアの上に掲げられている『冒険者ギルド』、そのスモールシダー支部だった。


ドアを開け、一階ホールの奥の受付まで行き、衛兵さんが話しかけるのは、金髪碧眼の美人さん。

そして美人さんは長く尖った耳をしていた。#所轄__いわゆる__#エルフさんである。


「…OH、異世界ファンタズィ…」


僕がネイティブな感じでそう呟いたのは仕方のないことだと思う…。

そこには日本…いや、世界でもトップクラスの美人さんがいるのだから。


僕はラノベやアニメなどは嗜む程度(深いとは言わないスタイル)だが異世界の本物のエルフさんがこんなに美しいとは…。


「…では後は頼みます」

「はい、承りました」

「じゃあな坊主、頑張れよな」

「あ…ありがとうございました」


爽やかな笑みを浮かべて『ポンッ』と僕の肩を叩き、衛兵さんは軽やかに冒険者ギルドを出て行った。

……えっ?僕にこんな美人エルフさんと一人で話しをさせるの?マジで?


「君、お名前は?」


『ニコリ』優しく微笑みながら、美しい声を響かせている…。

声まで美しいとか、一体どうなっているんだ?

少し錯乱中の僕が惚けているのは仕方がないことなのだ。そう…仕方ない。

そうして惚けていると…


「………?君、お名前を聞いても良いかしら?」


おお、首を傾げている姿も美しい…。

そして、受付カウンターに身を乗り出すようにしてその美しい顔が近付いてくる…。

美人エルフさんは左手を伸ばし…『ペタリ』、僕のおでこに手をつける。

少し冷たい手が気持ちいい…。


「………大丈夫?」

「………………ふぁっ!?だだだ大丈夫です失礼しました」


僕が「ふぁっ!?」とか誰得だよ?って感じだし、その後ものすごいどもるし…ちょっと、いや、大分気持ち悪かったな…。


「うふふ、大丈夫よ」


………………天使かよ…。

いやいや違う違う、エルフさんだった。危うく惚れるところだったぜ…ふぅ。


「うふふ、顔真っ赤よ?本当に大丈夫?」

「あっ…ひゃい!大丈夫でしゅ」





………………噛み噛みだった…。全然大丈夫じゃなかったよ…。




その後、天使のような受付エルフさんのご尊顔を拝みつつ、ラノベなんかのテンプレまんまの説明を聞き…いやマジでテンプレかよっ!…と心の中でツッコンだのは内緒である。


『コトン』


説明が概ね済んだのか、エルフさんが受付カウンターの下から何やら四角い箱?を取り出し、僕の前に置いた。


「うふふ…こちらに手を置いていただきますと、こちらからギルドカードが発行されるんですよ」


僕が不思議そうな顔をしていると、エルフさんが言う。

何でも、この世界の生物は大小あれど必ず『魔力』を持っていて、#それ__・__#は個々に違いがあるだとか。双子や三つ子…といった例でも違うらしい…。


そしてその『魔力』を読み取り、利用して本人を識別するギルドカードが、この箱によって作られる…そういう『魔導具』である、と。

さらにその『魔導具』でカードが作成されると、そのままギルドに登録される…。

凄いな…最強の個人認証と偽造防止の技術がいまここに…。


いや、『魔力』とかいってる時点で現代日本…いや、世界でも無理か…。


…で、僕のギルドカードが出来上がったワケだが…


「えっと、お名前は…」


そう言えば名前聞かれていたな…。エルフさんがカードを見ているってことは、作成時に名前も登録されているのだろう。





「『マサキ・アン』」「違います!」「えっ?」


食い気味に僕は間違いを指摘する。


「僕の名前は『安藤 正紀』。えぇっと、こっちだと『マサノリ・アンドウ』です!」


僕の名前は『安藤 正紀』。

そう、確かに『マサキ』とも読めるが、僕はあのマッドサイエンティストを追って、いつも迷子になっているあの人とは違う。

…いや、あのゲームもロボットと声優さんも好きなんだけれども…。


もう一度言おう。

僕の名前は『マサノリ・アンドウ』。数ヶ月前にこちらの世界に落ちてきた日本人だ。…決して『マサキ』ではないことだけははっきり言っておこう。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



今回のネタ①:『運転手』の起源が少し判明。


今回のネタ②:金髪碧眼の美人エルフさん=定番


今回のネタ③:『マサキ』=ゲームのロボットのパイロット…らしい。よく迷子になるがツオイ…らしい。


唐突にスパ□ボネタ。

次回もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ