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第六話 戦帝の餌付け


オスカーの部隊が王都に帰還して一週間。


ナディアとミリアは休みの日以外はオスカーの部隊の詰所と寮の掃除を行っている。


ミリアは相変わらずオスカーの見た目を怖がっているが、ナディアの態度は初日と変わらなかった。


むしろ、目付きが怖い以外は貴族で国の英雄なのに平民のナディアに優しいし、ジョンを初め部隊の騎士達は明るく、ナディアたちの仕事に感謝してくれている。


それ以前に担当していた部隊が偉そうで、かなり上から目線の態度だったため、担当していた部隊の態度の悪さ自体は仕事だから気にしてないが、以前担当していた部隊の態度とは違い、今担当しているオスカーたちの部隊から仕事に対して感謝され、やりがいも感じていたのだった。


オスカーはナディアに会うのを楽しみにしているのか、顔を見ると嬉しそうに近寄ってきては、「貰い物で申し訳ないが……」と言ってお菓子を渡してくれる。

ナディアは知らないが、ナディアと話をしたいオスカーに話すきっかけを与えるため、ジョンによってナディアが仕事の日には「貰い物のお菓子」が用意されているのだった。


その様子を見ていたミリアに言わせれば、オスカーがナディアを話をするついでに餌付けしているのではないかと言うことだった。


「餌付けと言う言葉に私はペットか?」と突っ込みたくなったが、今のナディアには買えないような高級なものをもらえるため、それでもいいかも…と思ったりしなくなかった。

それにナディアがお菓子を喜んで貰うと普段鋭い目をしているオスカーが嬉しそうに目を細める。そんなオスカーを見ているとナディアも嬉しくなるのだった。


オスカーからお菓子を貰うぐらいならまだ良いのだが、ナディアの仕事が遅くなる時、隊長で忙しいはずのオスカー自ら送ってくれようとするのだ。王都の治安はよく深夜でなければ女性一人でも道を歩けるのだが、危ないからと言っては家までの徒歩15分を一緒に送ってくれる。


その時、二人でいろんな話をしながら帰るのが、申し訳ないなぁと思いつつもナディアは楽しみになっていた。いろいろな場所に行っている経験豊富なオスカーの話は聞いていて面白い。話をしているとあっという間に家に着いてしまい、もう少し話をしたいと思うこともたびたびあった。


ナディアが気が付くとオスカーはナディアにいろいろと気を配ってくれている。見た目の鋭く怖い目つきと違い、中身が素敵な人だなぁと思い始めたのだった。


オスカーはと言うと、ナディアみたいな自分と目を合わせて話してくれる可愛らしい女性と出会ったのが奇跡であり、彼女を逃すと一生恋人ができないのではないかと思う。ジョンからナディアのような女性に出会うことは二度とないだろうから、「押しまくれ!! 逃がすな!! 上司のお前が結婚しないと俺も結婚しづらいからなんとか囲い込め!!」と指令を受けている。


少しでも、自分をアピールしてお付き合いに持ち込みたいのだが、人生において家族以外の女性と話した事がほとんどないため、たいしたアピールもできないまま、日々が過ぎていくのだった。


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