ネコがニンゲンになった日
猫はモノリスを見つめ、強大な知性と文明を得た。猫は良い日向ぼっこの為に、一度は色々な高さで寝る為に建築した超高層都市を更地に戻した。猫は沢山の魚を食べたいと考えた。だが狩りで遊びたいから養殖場の魚を全部海に返した、魚は陸に上がってこなかったので、魚を陸で狩りすることはなかった。猫は空を見つめた。爪と牙だけを頼りに生きた時代から、手足を使わずに走れる機械、空を自由に飛ぶ鉄の翼を持った時代まで変わらずにその瞳は見つめ続けていた。遠い世界をうつす瞳は星を浮かべていた。だけど空の果てにあるかも知れない、新しい楽しいことは瞳を閉じた。今は目の前のことが楽しくて仕方がない。そんな楽しいことを捨てるのは贅沢だ。猫は新しい知識で、新しい都市をいつまでも日向ぼっこのできる明るい平地に変えた。土と風が雨の香りを運んでくる。猫たちは日向ぼっこをしていた。のんびりとしているようで、その小さな頭ではたくさんのことを考えている。街は消えて、そこには猫たちが残った。昔と変わらずに、そのままの姿で。