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婚約破棄で結構ですわ

作者: 伊佐間サロ

貴女は私を惜しんでくれるだろうか?


なんて、そんな思い付きで婚約破棄を申し込まれた私は何を言えばいいのか。


惜しむ?


見せびらかすように他の女と歩いていた貴方。ドレスや宝石をねだらない私をつまらない女と嘲笑った貴方。

それを払うお金は貴方ではなく貴方の家であるのに。


不愉快。とても不愉快だわ。


なぜ私が貴方を惜しむことがあるのでしょうか?婚約者を婚約者として扱ってこなかった貴方を?

照れや愛情の裏返しですって?何をバカなことを言っているのかしら。愛という尊き言葉を免罪符のように使うのはやめていただきたいわね。

貴方のような人間がいるから城下では手軽に婚約破棄をするなんて、頭の沸いた行動をする人が出てくる小説が絶えないのよ。

自分の顔のよさと家柄に胡座をかいて"愛されているから"なんて傲慢な考えで人を鑑みない屑。


私。貴方のことが大嫌いよ。


婚約破棄は正式に受け入れられたことですし、私はこれから男子禁制の修道院へと向かいますの。貴方のような屑に捨てられてしまった可哀想なお嬢様を癒すための天国へ。

…あら、お父様?お母様?何を真っ青な顔でいるのかしら。…ああ、修道院のこと。言ってませんもの。


私、知っていますもの。


貴方達が元婚約者の性格を知った上で私に我慢を強いていたことも、「すったもんだはあるものの、きっと二人で真実の愛を手に入れるだろう」だなんて、日和めいた戯言を言っていたことも。

そのせいで娘の多感な時期に大きな傷をつけることも厭わないような残酷な貴方たち。小説の影響を受けすぎじゃないかしら?

恋愛脳って大変ですわね。

ご両親は悪くない?ええ、ええ。外堀から埋めて肝心の私を蔑ろにした貴方が言うと説得力がありますわね。その気遣いを元婚約者の私に少しでも表だって見せてくれれば変わったものを…。

ああ、期待させるつもりはございませんよ?今更、優しくされたところで貴方にされたことを私は許すつもりもございませんし、馴れ合うつもりもないですもの。


それに、事情を知っている叔父様の手配で今から修道院へ向かいますしね。

あら、迎えの馬車が来たようですわ。

それでは、ごきげんよう。

人の一生に多大な傷をつけたこと、後悔してくださいませ。

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