異世界人と初遭遇 DQシリーズは好きですか?
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第84話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
前回のあらすじ
怒り、そして狂った老婆を治療
美少女とゴロニャン
身勝手なギルドと黒髪の青年
リーフさんに連れられてやってきたのはギルドのお2階。何気にここへ来るのはお初だったりします。前に聞いたことあったかどうかよく覚えてないけど、ここは食堂っぽいことやってるとこらしくてそれなりに広いスペースにイスと机がたくさん並んでる。日本でいうところの古いタイプの社員食堂とかの雰囲気が近いかな?フードコートみたいにシャレ乙ではない。
座ってる連中もコスプレ感のない無骨な装備の連中ばっかなのでカジュアルな装いとか言える雰囲気はまったくない。日本でならギリッギリでいるかもしれないくらいのなりきりガチ勢に見えなくもないが、体格や人相も含めたら流石にないね。ガチ以上のガチっていうかマジなホンマモンだから冗談や遊びが一切ないし。本物過ぎてファンタジー感が逆に消えるっていう不思議すな。
てか俺ってばどんだけギルドに寄り付かなかったのかってのがアリアリとわかるよね。普段から避けまくってたのがこんなところにも顕著に表れていたりするんだから。異世界定番の激熱スポットなのにいまさら来てるとかって不思議だなーって感じ。冒険者との繋がりが薄いのはこういうところもポイントだったりするのかね?
そんなオープンなスペース、食堂にて本日おしゃべりをする相手が現在目の前にいるエニクス・スクウェアくん(笑)である。見た目年齢10代中頃くらいで背丈は175くらいかな。確実に初めて会うし噂やらなんやらで聞いたこともない青少年だ。なんで俺のことご指名してくれちゃってるのかはこれから聞くつもりだ。ホントは聞く前にあっちから説明してほしいんだけど、どうなんだろ?説明してくれんのかな?どうでもいいことだけどリーフさんは案内したあと速攻帰りやがった。勝手に依頼を引き受けてたみたいだからしっかりと説教してやらなきゃならない。なぁなぁにすることは許しません!
なんてぼんやりと思考を巡らしているけどもそれとは別に俺の直観がさっきから轟き叫んでいる。こいつは絶対に異世界人だ、と。ついでに危機警報も鳴りっぱだ。だってだって!有り得なくない?ちょっと見て来て聞いてくださいよそこの奥さん!この名前!それにこの見た目!ドラゴンの冒険でよく見る主人公の名前と、最後の幻想という名のゲーム制作してる会社っぽい響きの苗字の組み合わせだよ?狙ってるよね!?異世界人ホイホイしてるよねコレ!しかも黒髪黒目とか確定的すぎますから!
ここまであからさまだと逆になんか裏があるんじゃないかと疑ってしまう小心者の俺氏。このどうにもできない不穏な感覚をどうにか現代社会に置き換えると、海外旅行してる時に七三眼鏡の出っ歯がスーツ姿にカメラを構えて近づいてきて片言ながらに「ワタシ日本人でス。仲良くシマしょ。」って言ってきてる感じかな?こんな怪しさ満点の奴に近付かれたらワンパン入れてダッシュで逃げた方がいいと思う。う~ん、日本人像がちょっと古すぎて伝わらないかな?日本のバブル期はこんなイメージだったって聞いたことあるんだけど、流石にムリがあるか。現在版に修正すると食べ物の写真撮りまくりつつ無防備全開で歩きスマホしながらSNSやようつべにうpしてる人って感じかな?スーツと眼鏡と出っ歯って外見的特徴も消えてなくなってカジュアルだったりフェミニンだったりな感じになってそう。ってそんなことはどうでもいいな。うん。
(でも異世界人との接触に関しては注意事項の類とかってなんも聞いてないんだけどどんな扱いなんだろか?周りの人にバレしてしまってもかまわんのだろうか?)
《周囲にバレたところで理解されることはないと思います。ですので問題となるのはバラされた当人がどう受け止めるかでしかないでしょう。》
んん?そんなもんなの?あーでも考えてみるとそんなもんか?異世界だーなんだーって騒げるのは召喚とか転生がそれなりに起きてること且つ、ある程度その存在が認知されてないと不可能だもんな。そもそも違う世界っていう概念が理解されないのが殆どだろうし。普通に何それ美味しいの?状態だもんね。
それよりなにより大事なことがある。実はこのエニクス(笑)青年、ぼっちじゃないのだ。つまりはDQシリーズの処女作であるDQ1じゃないってことである。ちなエニクス(笑)くんのお供のパーティー編成は僧侶っぽい水色髪の女性と、魔法使いっぽいオレンジ髪の少女と、どことなく位が高そうな黄色い髪の少女がいる。
最後の娘はポジ的にお姫様かもしれないが物語的にはどうなってんのかね?勇者(笑)の冒険にお姫様ってほいほいついてきてたっけ?DQ2とかDQ4にはまぁいたっちゃいたんだけれども、DQ5みたいに単にいいとこのお嬢ちゃんってだけなんだろうか?
(てなるとシリーズ的にはDQ4以降かな。DQ2だとパーティー枠的にキャラ1人余るし。うん、我ながら実にわかりやすい説明だと思うんだけどどうだろう?)
《その説明だと致命的に不足してる部分があります、マスター。》
(不足?装備や容姿ってことならさっきの職業説明で大体補完できてると思うけどなぁ。あ、もしかして後続のシリーズにもお姫様っていた系?俺ってあいにくとDQ6までしかやってないからそれ以降のキャラ知らないんだけど。)
《・・・本気で意識していないのが信じられないのですが、彼らの後ろにいる大柄の男性もエニクス(笑)氏のお連れの方だと思われるのですがいかがでしょうか。》
後ろに人なんていたっけか?と思いながら少し目線をずらしてみると、なんかごっついおっさんがいた。
(・・・マジかよ。全然さっぱ気付かなかったわ。えっ?ホントに彼も同じパーティーなの?どうにも違う気がしてならないんだけど。)
他のメンツは全員座ってるのもあるが、なにより彼だけ絵面が違いすぎて無意識の内に除外してたっていうか脳が拒絶してたっぽい。簡単に言うとジャンルが違ってるんだよね、彼。
同じゴツい系ならせめてハ○サンタイプならよかったんだが・・・どうみても彼は1人で世紀末感を演出してるっていうか、ジ○ギってるというか・・・。どれくらい彼がジャ○ってるかと言うと、まず彼1人だけ体躯もそうだが描写が違う。
なんていうか、線そのものが太いし筋肉の塊が更に筋肉の鎧を身に纏っているかの如くムッキムキなのは当然で、肩にトゲトゲのイカツイなにかがついてる。頭部に眼を向けてもフルフェイスのカブトじゃなくてヘルメットみたいなのに顔面のガードがついたタイプのものを装備なさってるんだもん。もうなんていうか1人だけ作画が違うんだよね。独り勝手に世紀末感醸し出しちゃってるんだよね。
これには鳥山あ○ら先生もびっくりの奇跡の原哲○先生コラボっすわ。ガードの下は絶対古傷でヒドいことになってるに違いない。まず関わり合いたくないタイプっていうか、何もされなくても通報したいタイプって感じ。警官じゃ頼りないから自衛隊に直電しちゃってもいいくらい。だってジ○ギって卑怯だし?
《てっきり女性以外は眼に入らない例の病からジ○ギ氏を意識から除外していたのかと思っていたのですが違ったのですね、マスター。》
(ちょっと待ちなさいカナデさん。そんな盲目になるほどのオンナスキーな病気かかってないんですけど?普段からどういう風に俺のこと見てるかわかってとっても悲しいんですけど?)
《失礼いたしました。少々マスターのことを女性好きで低俗な見境なしの軟派野郎だと勘違いしてしまっていたようですね。》
(それ謝ってるように見せかけてディスってるよね?!現在進行形で口撃されちゃってるんだけど!)
《気のせいでしょう。それより、本日のマスターは意識の散乱が酷すぎると思います。初見の相手ですので警戒は密にしつつも視野を広く持った方が良いと苦言を呈します。》
いくらなんでも言われ過ぎな気がしてならないし話しの持って行き方があまりにも強引すぎるが言われてみると確かにそうだ。どうやらエニクス(笑)くんの登場に思った以上の衝撃を受けて視野狭窄に陥っていたようだ。いや、ジャ○様の存在がこの世界軸に対する位相ズレ起こしてるのも理由の1つではあるんだろうけども。なにより異世界人って俺だけじゃなかったの?急に薄れ始める俺の特別感。このまま異世界人が頻出するようだと安定のモブキャラになりかねない。
「それじゃあまず、自己紹介からさせてもらった方がいいでふっ・・・かな?」
なんで噛むねん。お前のキャラ付け悩むからやめてくれよ勇者(笑)氏。俺の葛藤と悲壮感を返せと言いたい。ちなみにさっきまでの観察と考察はきっちり3秒で終わらせてたりする。そろそろ『高速思考』とかのスキルにならないか不思議なレベルで働き者の俺の思考力なんだが、俺の場合は『並列思考』が仕事しすぎてていまだに取得に至らないとはカナデさんの弁。不遇すぎるぜ俺の脳内アクセル世界。
「・・・うん、そうしてくれるとありがたいかな。」
「んっうん(咳払い)。えーと、僕はさっきも言った通りエニクス・スクウェアだ。よければ気軽にエニクスと呼んでほしい。」
気軽とかムリです。まず名前の時点で草生えるわ。ワロスワロスぷーくすぷーくす。
「よろしく。俺は冒険者のソウ。ただのソウだから呼び方には困らないよね?それと、こっちが愛妹のテトとニコ。」
「よろしくなの。」
「ん。よろ、しく。」
少し緊張した様子のテトにゃんがまた愛らしい。背筋とお耳をピンとして若干の警戒モードを見せている。逆にニコは通常運転だな。なんかどんどん精神的に図太くなっていってるような気もしないでもないけどお兄ちゃん的には好ましいからこのまま大きくなってもらいたい。ありのままの愛妹を愛すのがお兄ちゃんの務めです。
「ありがとう、よろしくね。」
ふむ。やはり彼は奴隷に対して反応がないな。他の面々は露骨に表情に出して・・・ないのもいた。魔法使いちゃんは我れ関せずっぽいしジ○ギ様に至っては顔すら見えん。つーか話し聞いてんのかな彼は。
まぁ、魔法使いっぽい彼女の場合は異世界人特有の価値観で反応ないとかじゃなくて単純に興味がないんだろう。一応聞いてるだけって感じがするもの。ジャ○様は・・・うん、次元がちょっと違うかな。
「あれ?てかそれだけ?他になんかないの?」
「えっ?それだけって?」
「いやいや、こんなに可愛いウチの妹を紹介されてなんでそんなサラッと流すの?有り得なくない?」
「えっっと、えー?え?そ、そうなんでふ・・・そう、なの?」
そうなの?ってむしろなんでお前が聞いてくるの?あんたばかぁ?普通褒めるか惚れるかおっふするだろおい!お前さてはアレだな?変態の類だろっ!むしろ特殊な対象しか愛せない気狂いの変質者なのか?こ、こいつはヤバいな。
「・・・悪い。なんでもない。続けてくれ。」
となればなるべくなら関わり合いにならないのが最良の対応のハズだ。この手の輩はどこに沸点があるのかわからんからマジ気をつけないと。こえぇ、こえぇよコイツマジでこえぇ・・・。ホントは同じ異世界人のよしみで半日くらいかけて愛妹たちの可愛いところを懇切丁寧に一から十まで教えてあげようかと思ったんだけどこりゃムリってもんだわ。マジこえぇもん。
《どう考えてもマスターの思考回路が歪に歪んで壊れていますが・・・。》
「??よ、よくわからないけど、平気そうなら続けるよ?」
訳がわからないといった風に首を傾げられるがこっちだって訳がわからないし意味がわからない。変態の考えることもカナデさんが考えることも意味ぷーで理解不能である。コイツらの頭はおかしいとしか言いようがない。完全にキチってやがる。
ふと服が引っ張られる感覚がしてチラっとそちらを確認すると、テトにゃんが頬を赤らめ俺の服を引っ張ってきていた。ごめんごめん。怖かったよね。あんな頭のネジがダメになってるようなヤツに見られるだけでも恐怖しかないだろうに。俺の浅慮でテトにゃんには怖い思いをさせてしまったな。落ち着かせるためにとりま優しく頭をなでなでしておいた。はふー。サラサラやでぇ~きもちえーわー。
「ええっと、続けていいかな?彼女はパチェ。剣技が得意で主に遊撃を担当していただっ担当してもらってるよ。」
「パチェよ。よろしくね。」
軽く頭を下げてきた黄色髪のお姫様ルックの少女、パチェちゃん。意思が強そうな釣り目がちな目元を隠すように笑顔を張り付けておいでだ。クセっ毛でふわふわした髪は随分と量が多く見える。肩より長いくらいだしお手入れが大変だと思われるがそれなりに小奇麗にしてるっぽい。たぶんエニクス(笑)くんとタメくらいかな。身長は150中頃。全体的にほっそりっていうか痩せててほっそいなぁーって感じ。中学生みたいな印象。
あと、本人は気付かれてないと思ってるみたいだけど机の陰でエニクス(笑)くんに肘鉄入れてるのが丸わかり。噛むと肘鉄とかないわー怖いわー。しかも満面の笑みでやってる様子から小慣れてるように見える。そんなスキンシップ俺はしたくない。あんまり近付かないように気を付けようそうしよう。
「よろしく、パチェさん。」
「つつつ。えぇ、次は彼女で、名前はレティ。」
「どうぞよろしく。」
簡潔に挨拶をしてくるのは水色髪の僧侶っぽい女性。レティさんはたぶん20歳よりちょい上くらいかな?身長も165くらいありそうなおっとり系。気持ち垂れ目で清楚系な印象で、ぱっと見敬語キャラっぽい。メガネ有り派と無し派で論争が起きそう。個人的には普段メガネでたまに外すのが良い思う。いいとこどりのハイブリットな新派閥を提案したい。全体的に太くはないんだけど肉付きが良いタイプ。具体的に言っちゃえば女性的な発育は彼女が群を抜いて1番い・・・うん、長い髪の手入れが大変そうだなーもし機会があったら洗髪セットでもあげようかなー(棒読み)。
《パチェさんと魔法使い(仮)さんはあまり発育の方がよろしくないみたいですから、彼女たちがマスターを睨みつけるのもわからなくはないですね。ただ、どうやってマスターの考えを読んだのか気になります。》
やめてよカナデさん・・・眼がヤバい怖いから思考中断したのにカナデさんが余計なこと考えてたら俺が疑われかねないっす。あれは眼で殺せるヤツっす。
「えっと、彼女は『水の神殿』に仕える神官だから回復魔法が使えるよ。」
マジで?回復魔法使えるのなら俺の火傷と右腕治してくれないかな。ポーション作り損だけどあれは売ってもいいし予備に持っててもいいしどうとでもなる。今度お願いしてみようかな。
《彼女がどの程度の使い手かわかりませんがあの若さでは難しいでしょう。メタリカ家に仕えていたベルゲイ氏と同程度の力量でも大したもの、と言えるのがこの世界の水準です。》
そうなのか。ってなると俺の治療は難しいかな?ちょっと残念。けどもしかしたら彼女が聖女とかでハチャメチャ有能かもしれないから希望は最後まで捨てずに持っておこう。聖女さんにしてもらう場合はおいくらくらいかかるんだろうか?安心の低価格だと助かるなぁ。
「よろしく、レティさん。」
「それと、彼女はアマーリエ。王都の魔術師ギルドで活躍してる才媛で得意魔法は炎系統だよ。」
「系統までいうのはない。公にしないの常識。」
「あ、そうでしたおぶっ?!」
鋭い肘がめり込む様子が感じ取れる。パチェちゃんの肘ほっそいからな~文字通り突き刺さってそうだわー。
「エニクス、気を付けなさい?」
「ごふっ、ごめん・・・。けどこれはちょっ」
「エニクス、気を付けなさい?」
「は、はい。」
有無を言わせぬあの感じ、相当尻に敷かれてるか権力に差があるのかな。異世界人が権力の下どんな形でいるのか知らんが俺にも強要されたらやだな。痛そうだしキツそうだし。
「アマーリエ。それが名前。あなたとは色々話しがしたい。」
「こっちこそ色々と話したいよ。この街に魔法使いはほとんどいないらしいから、魔法使う人の話しって聞いてみたかったんだよね。」
できれば『王都』とか『才媛』とかって面倒な肩書がないともっと嬉しかったんだけど。だってそのフレーズってかなりの確率で厄介事じゃん。王都ってまず隣国だろうし、才媛って言われるくらいに知名度と実績がある娘がいるパーティーって何それ?重要度ムダに高そう。ギルドが二つ返事したのはその辺が絡んでそうなんだよなー。
それだけ言葉を交わすとアマーリエちゃんはご満悦な表情で椅子に深く座り直した。パッツンな前髪のお陰でそのどや顔がとてもよく見える。身長は1番低くて150あるかどうかってところかな?パチェちゃんより細くて体力なさそうだけど髪は1番長くて腰くらいまである。そして最も手入れをしてないのも彼女で結構ぼさぼさしててまとまりがない。折角キレイなオレンジなのに勿体ないな。
「最後に彼の紹介なんだけど、彼はジャーギル。言葉が話せないんだけど護衛のような立場で同行してくれてるんだ。とっても強くて頼りになる人だよ。」
「・・・・・・。」
無言で頭を下げてくるジャーギル氏。名前を聞いた瞬間噴き出さなかった自分をどうか褒めてほしい。何その名前?!エニクス(笑)ともどもフザケすぎだろ!異世界人アピールが露骨すぎて引くわっ!!
「ど、どうぞよろしく。」
笑いをこらえながら笑顔で挨拶するのが非常に難しいっていうか苦しい!ふ、腹筋が崩壊しちゃう!顏が半分ずつ違う表情になりそうなのをなんとか我慢したが、ちゃんと笑顔に慣れてた自信はない。プルプルしちゃう。
「それで、ギルドの方から説明があったと思うんだけど、一応依頼内容を改めて説明させてもらいたいんだけどいいかな?」
爽やかなイケメンスマイルを投げかけられて普通にイラっとした。どこの世もイケメンの顏ほどムカつくもんはないな。顔がいいだけでリア充に見えるから不思議なり。
「あ、それは一切聞いてないから説明してもらえると嬉しいな。」
「そうなんですか?!」
ドスッドスッドスッ
「うぎぃ?!あぐっ!ちょやめてくださひっ?!」
先程までの肘鉄がホンのお戯れに見える威力で強烈なのを連打されている。あーなるなる。肘鉄ってば敬語で話しそうになった時に注意するためにやってたのね。人様を前にしてイチャついてんのかと思ってイライラしてたけどどうやら違うようだ。この街が敬語あんまりよろしくないってどっかで聞いてたのかな。
それから一通り折檻という名のイチャイチャを見せつけられたあとにパチェちゃんから説明をしてもらったが、内容の方はそんなに複雑じゃなかったようだ。エニクス(笑)くんが膝をついてハァハァしてるけど何かの発作かな?気持ち悪いから普通に座っててほしいんすけど。もしくは爆ぜろ。
あと、どうでもいいけど聞いた内容は以下ドン。
・詳細は明かせないがお告げがあって東の果てを目指している
・人の支配する領域で最東端はメタリカーナの街なのでこの地を目指してきたが、厳密に言えば東の砦までが含まれるかもしれないと道中気付いた
・だから東の砦まで行くことは確定しているが、その中間にある東の森も何があるかわからないので調査をしたい
・故に東の森に詳しそうな俺の元へ来た
まとめるとざっとこんなもん。ふむふむ。それって俺である必要なくない?と思うものの、東の森のゴブ狩りなどで丁度盛り上がってたので俺の噂話を良く聞いていたらしい。噂とか聞いたことないし内容も知らないからそっとしておいてほしいし、なんて間の悪い連中だ。
「話しはわかったけど俺別に東の森に詳しくないけど。あ、あと敬語でもなんでも好きに話してよ。気にしない派だから。」
「えっ?そうなんですか?!あ、ご、ごめんなさい・・・。」
「・・・エニクス、先方が良いと言ってくださっているんですからもう結構です。それより、詳しくないとはどういう意味ですか?」
「どうもこうもないよ。だって俺、最近ここに来たばっかりだし。数回行ったことがある程度だよ。」
「そ、そうなんですか?ギルドや他の冒険者さんたちに聞いた話しではソウさんの名前が1番に上がってたんですけど?」
「どういう聞き方してたかにもよるけど。なんて聞いてたの?」
「どういうって、普通にここ最近東の森で活躍してる人は誰って感じで聞いてましたけど。」
「あーそういうことね。まず言っておきたいのは、東の森はあんまり金にならない場所らしいから注目度が低いってこと。だから目立つヤツがいなかったんだけど、俺はほら、この地方の人間じゃないから変に目立ったんだろうね。」
見た目も相まってと付け加えておくと、なるほどーみたいな反応がそれぞれから帰ってきた。もう少しこの異世界人的な見た目に反応してほしかったけど案外リアクション薄いな。
「ただでさえ女性冒険者だけのパーティーは珍しいですし、年齢的にも注目されやすそうですもんね。」
「・・・指名依頼出したのなら俺の情報聞いてないの?」
俺の性別と年齢についていつものくだりをやっておいたが全然信じてない模様。ギルドの登録情報を偽証なんかできねーからって言って黙らせた。いいよなお前は。変な誤解受けるような容姿で転生しなくて!って言ってやりたい。
「す、すみません。どうやら僕の勘違いだったようで。」
「もういいよ。次から気を付けてくれれば。」
「ふ~ん?それで、依頼の方は引き受けてくれるのかしら?」
俺の話しを全然信じてないご様子のパチェちゃんが聞いてくる。もうこの子理解力が乏しいタイプって決めつけちゃおうかな?
「そんな東の森に関して詳しくないって伝えた上で、どうして俺に頼みたいのか聞いてもいいかな?」
「別に深い意味はありません。ソウさんはあまり人気のない場所で活躍してる数少ない冒険者、なのでしょう?」
「まぁそういう見方もあるっちゃあるか。」
「それならばいまから他に新しい人を探すのも難しいでしょうし何より手間だわ。話してみたところ、人となりも問題なさそうですし。」
「そんなに友好的に接してた覚えはないんだけど、好意的に取ってもらえて嬉しいよ。」
「ふふ。砕けた態度で接していただけるとこちらも気苦労が少なくて済みますから。それと、さきほどギルドからの説明は受けていないとのことでしたが、そうなると当然報酬の件も?」
「聞いてないな。依頼受けちゃったからとにかく会ってほしいとしか言われてないし。あとで受付とギルドには抗議を出しておく所存です。」
「えぇそうね。それができればそうするといいわ。ちなみに私たちが支払う報酬は銀貨で30枚。内容は東の森の案内。条件としては破格だと思うのだけど、どうかしら?」
んむ~、別にいまのところお金に困ってないから報酬はどうでもいいな。むしろがっかりな内容だよ。レアなアイテムとか他じゃ得られないような情報とかの方がずっとよかったかも。
考えなきゃなのは報酬よりむしろパチェちゃんの話し方やギルドへの圧力っぽいのをかけられるところから、それなり以上の権力を持ったお貴族様なんだろうと思われるところかな。パチェちゃんとトラブルになっても困らないかどうかが問題だけど・・・うーん、特に困らんな。つかぶっちゃけどうでもいいかも。
2週間くらい前の俺ならもう少し慌ててたかかもしれないけどいまはそれなりに戦えるし、何かあったら全滅させればいいだけでしょ?1個大隊でここまで来たとかって話しじゃないだろうし、この街に連れてこられる程度の兵力ならまだどうにかできるだろう。多分だけど。ダメならダメで逃げればいいもん。そんな俺の考察を知る由もないから断られるわけがないわねって感じにドヤってるパチェちゃんが滑稽で笑える。
重要なことはむしろエニクス(笑)くんから情報をしっかり引き出したいってことくらいかな。この先、他の異世界人と出会えることがあるかもわからんしいまの内に情報は仕入れられるだけ仕入れておきたいってのが本音。
「どうかしらって言われてもな。拘束期間が不明瞭だし東の森の案内だって全てはムリだ。もう少し詳細を詰めてくれないと。こっちとしてはそっちの目的がわからないんだからこれくらいは明確にしておいてもらわないと困るよ?」
「・・・それもそうね。それじゃあ東の森の中を最大で5日間調査って名目に変えるわ。開始は4日後の朝。私たちも昨日この街に着いたばかりで準備が済んでないのよね。」
「集合場所は?」
「東の門を出た先でどうかしら?食事に関してはこちらで持つわ。夜間の見張りは・・・人数も少ないことですし当番制で交代といたしましょう。戦闘は基本こちらが行うわ。これならどうかしら?」
考えなしのお嬢様なのかと思ったら意外と頭も悪くなさそう。もしかしたら頭弱いのかもって思っちゃってごめんなさい。だってさっきまでのドヤ顔モードだと残念な娘にしか見えなかってん。
「5日間くらいならまぁ妥当かな。結局何をするのかわかんないけど、メンツはこれで全員?」
「そうね。あまり大人数で行っても仕方ないから貴方が協力してくれたら他に募集をかけるのはやめましょう。」
「貴方たちな。俺は常に愛妹たちと一緒じゃないと死んじゃう体質だから。ムリだから。」
「・・・え、えぇ。それで問題ないわ。」
「ならおk。その条件で契約をしよう。って言ってもギルドがもう受けちゃってるから始めから問題なければ受ける気だったんだけどね。」
「でしょうね。それが賢明だわ。あと、これは準備金として取っておいて。支度にも色々かかるでしょうから。」
パチェちゃんがエニクス(笑)くんに目配せすると彼は小さな袋を渡してきた。硬貨が数枚入ってるくらいの重さだ。
「勿論その分は報酬とは別だから安心してくださいね。それではまた、4日後に。」
最終的にはパチェちゃんが全部仕切って終わらせてしまった。勇者(笑)を推してこうってやってた茶番はもういいんすかね?ただ人前でイチャつきたかっただけなんだろうか?
「テト、ニコ、なんか流れ?でさっきの人たちと東の森に行くことになっちゃったけど大丈夫?」
勝手に決めちゃったから聞いてみた。
「ウチは平気なの!」
「んー?ん、ソウ、といる。」
問題ないとのこと。ニコに至っては話しを聞いてなかったっぽい。超絶可愛い美幼女だし仕方ないか。とりまリーフさんにクレーム入れてから今後の予定を組み直す・・・も何もほとんど予定なかったか。
「やほーリーフさーん。クレーム言いに来たよー。」
「あっ、ソウさん!もうお話しはおわ・・・ってクレーム?!や、やっぱり怒ってます??!」
しかし4日後か。正直微妙だな。確か防具屋の仕立てが終わるのが明後日だからそれのまた2日後になるのか。泊りがけでどっかに行くには微妙な日数だ。できればアンナ・ベルのとこに行きたかったんだけど。
《防具に関しては出来た日に受け取る必要はないでしょうから店主と相談なさってはいかがでしょう?》
あ、それでいっか。なら3日後に帰ってきて防具受取りーの、野営する準備整えーのって予定でいいかな。それまで野営の練習とか色々やっておこう。必要な道具類やこれからの予定を心のメモ帳に書き込みながらふと目の前に意識を向けると何故か泣きそうになってるリーフさんがいた。
「だ・・だって、えぐっ・・ひっく・・。だってし、しかたな、仕方ないじゃないですかぁ!わ、私はただの、ふぐっ・・う、うぅ、受付な、なんですからぁ!」
ていうか泣いてた。えっ?ちょっと待ってこれどういうことなん?ふけふけってなに?
《流石はマスター。無意識の内に婦女子を泣かせるまでクレームをグチグチ言うとは、恐れ入ります。》
はい?うっそマジかよやっちまったな。全然意識が違うとこイってたから何言ったかすら覚えてないわ。
「あー・・・その、なんだ。ごめんね?なんか言い過ぎちゃったみたいで。こ、今度美味しいもんでも奢るからそれで」「ホントですか?!いいんですかっ?!」
立ち直りはやっ!嘘泣きじゃないよな??
「わ、わたし!<ミヌラビー>の!ステーキ!がいいです!」
「わかった!わかったからくっつかないでよ!離して!離してって!」
受付カウンターを飛び越えてくっついてくるリーフさん(涙目デヘデヘモード)をなんとか振りほどきギルドを後にする。それにしても、クレーム入れに行ったのにどうして俺が飯を奢ることになってるんだろうか?色々と解せぬ。あ、肩によだれと鼻水ついてら。リーフさんのだからばっちくはないけども。
「マスターが人と話している際に別のことを考えるのが悪い、としか言いようがないですね。」
「うぐぅ。返す言葉もない。」
「ソ、ソウ、もう怒ってないの?」
「え?全然怒ってないけど、どうしたの?」
「えっと、さっきね?リーフさんを怒ってたから・・・まだ怒ってるのかなって思ったの。」
「さっきも怒ってないよ!だから大丈夫!ちょっと他のこと考えてたから言い過ぎちゃっただけで、別に元から怒ってないよ!うん!」
俺キレてないですよアピールを懸命にするものの何故かテトにゃんの顔色が一向に優れない。なんで?そんなに怖かった??
「相当怖かったのだと思いますよ。無表情で抑揚なく淡々と相手を追い詰める様は冷酷そのものでした。」
「確かにそれは怖い。」
想像したら普通に怖かった。なんぞそれ?それなんて冷徹?もしかしたら意識が相手に向いてなかったから視点すら合ってなかったかもしれない可能性も微レ存。引くほど怖いわ。
上の空になってた原因である今後の予定を愛妹たちに伝えながら頑張って誤解を解く。怒らせたら怖いとかってあんまり思われるのはちょっとお兄ちゃん的に悲しい。だって怖いからって避けられたり遠慮されたりしたら俺の心が死んじゃうじゃん。
「あと、お肉も食べたいのー!」
「おk。じゃ、それも買ってこう。」
小一時間くらいかけて全力で宥めてたらなんとか機嫌というかなんというかを修正完了。危ないところであった。落ち着いてから聞いてみると、どうにも怒って他人を攻撃する時よりも知り合いに冷たくあたる方が心象的に悪いご様子。敵と身内の線引きはしっかりってことなのかな?よくわからん。
「ニコ、あれ。」
「おkおk。おっちゃんコレ12個とコッチも12個ちょーだい!」
「お!ありがとよ!」
テトにゃんのリクエストで買ったのは干し肉で、ニコのリクエストは固いパンにクルミみたいなものが練り込まれてるやつだ。どっちも保存食。なんでこんなの買うかというと、3人で話し合った結果午後からアンナ・ベルの所へ行くことになったからだ。
食料は現地調達も可能だけどサバイバルは何が起こるかわからない。なので予備としての準備は怠らない方向性なのだ。あとはマーグル婆さんの所と防具屋の所、それとゴルドルの大将のところに寄って今後の予定を軽く伝えておこうかな。
「えぇ、やっと見つけました。ソウさん。」
「あれ?ショニタンさん?急にどしたの?」
聞き覚えのある声に振り向いてみるといつものメイド服姿のショニタンさんがそこにはいた。なんとなく焦ってるような?
「火急の用件です。すぐに私共と来てください。」
朝もはよからリーフさんに捕まったかと思ったら、今度はショニタンさんに拉致られるそうです。
お読みいただきありがとうございます。
補足を簡潔に載せておきます。
王都->『城砦鉄壁国』の西に位置するとある王国の首都
光都->『聖なる光の降る国』の首都
砦都->『城砦鉄壁国』の首都
東京->日本の首都
こんな感じです。
あと、大事なことなので言っておきますと、ジ〇ギ様と違ってジャギール君は服着てます。




