精神不安は少女で癒す 信愛少女ただただ愛でたい
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第82話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
前回のあらすじ
冷たい住民、おかしな住人
ヒゲモジャ汚いおっさん参戦
未来想像涙の妄想
「えっと、ソウ?何かあったの?」
「え?なんにもないけど?」
ニコを寝かしつけてきたソウが見るからにおかしかったから聞いてみたけど理由は教えてくれないみたい。
「なんにもないなんてことはないなって思うの。だってソウ、泣いてるの。」
「ふえ?あぁ、これ?これは・・・ん~そうだなぁ。ちょっとだけ悲しいことがあってね。見たくないというか、直視できないというか・・。でもね、でも、うん、もう大丈夫。いまは、テトとニコがいてくれるから。」
「ウチとニコが?」
「うん。俺にとって2人は大切な妹だからね。2人がいてくれたら大体いつでも大丈夫なんだよ。」
そういって微笑みながら頭を撫でられる。頭を撫でられるのは好き。ソウはいつも優しく毛並みを整えてくれる。
「テトの髪の毛もサラサラだなぁ。触ってて気持ちいいよ。」
気持ちいいのはウチの方。撫でられて、耳を揉まれて、アゴの下をコリコリしてもらう。全部好き。
「んに~。ウチも気持ちいいのー。」
ソウに色んなところを気持ちよくしてもらえて嬉しい。気持ちいい。ソウの優しい手が大好き。
「ゴロゴロゴロゴロゴロ・・・。」
思わず喉が鳴る。少しだけ恥ずかしいけど気持ちいいから止められない。でも、ソウが悲しいことなにか聞かなきゃ。
「えっと、ソウは―――」
「今日は一緒に寝ような。テトと、俺と、ニコ。家族みんなで横になろう。」
「えっ?いいのっ?うん、うん!ウチ、一緒がいいの!」
嬉しい!いっつも男の子と女の子が一緒に寝るのはダメって不思議なこと言ってくるのに!今日はいいの??
「当然!家族なんだから、一緒に寝るのは当たり前だよ!」
ニコニコ笑うソウ。さっきまでの悲しそうな顔もどこかにいっちゃったの。ホントにもう悲しいのは平気なの?大丈夫なの?
「・・・原因がわかりました。マスター、学習や反省というものをせずにまた魔力酔いを起こしていますね?」
「「えっ?」」
「魔力酔いなんて今更起こさないよ?何言っちゃってんのカナデさん?」
「魔力酔いって、なぁになの?」
「あぁ、テトにはまだ説明してなかったっけ?魔力酔いってのはね――――。」
ソウが説明してくれる内容は少し難しかったけどなんとか理解できた、と思う。多分、ソウは元々魔力のない世界?にいたから魔力に凄く敏感な体質で、そのせいで魔力の影響を強く受けちゃうってこと、であってるかな?元々この世界にいた人でもなることはあるみたいだけど、急に魔法が上達した人や魔力の濃いところにいた場合だけみたい。
意識がメイテイ?状態になるっていうのはよくわからないけどいつもと違う感じになっちゃうってカナデさんが教えてくれた。だから泣いてたの?だから寂しそうだったの?ソウのためにできることはないの?
「カナデさん、どうやったら治るの?」
「マスターが一時的にでも魔力の放出を抑え、且つ過剰なスキルの行使を控えてくれるのが1番なのですが、いまの状態で言ったとして聞いてくれるかどうか。」
カナデさんが言うには昨日から魔法の練習をいっぱいしてたことと、さっきの変なおじさんを相手にする時にタジュウジュチュシキ?を使い過ぎたのが原因らしいの。
難しいことはわかんないけど、実は気づかれないようにたくさんの魔法を使って戦ってたんだって。ウチもわからなかったの。ソウの戦い方はちょっと変わってるんだって。
「いつ何があるかわかんないんだから止めたりしないんだからね!備えあれば嬉しいな!だよ!」ドヤァ
やっぱり様子が変なの。すごく元気?で、勢いがある感じだけど言ってることがちょっとよくわからないの。
「えっと、どれくらいの魔法を使ってたの?」
「はい。戦闘時に限っていえば展開していた魔法は『集音探知』、『簡易結界』を数個準備しつつ研究中の『身体強化』、それから『生活魔法』を即時発動できるように周囲の空間へ自身の魔力を散布していました。」
「・・・多すぎてよくわからないの。」
「その認識でよろしいかと。多数の魔法を同時に行使しすぎていてマスターへの影響がよくわからない状態になっていたのも事実ですので。」
「同時展開の練習にもなって一石二鳥じゃん?MP的にもまだまだ余裕ですしおすし?」
「さらに言いますと、魔法の展開以外にも常時発動型の技能である『視覚強化』、『気配知覚』の効果を強めるために常に魔力を流していますし、本来なら任意発動型の技能である『並列作業』を常駐化させています。もちろん『精密作業』、『システム読解・構築』、『魔力操作』も同様です。」
「あのー?なんだかとっても華麗にスルーされてますけどー?俺のことなのに空気な気分なんですけどー?ですけどー?」
「ちなみに先ほどの戦闘時には咄嗟に放った蹴り技に擬似的な『魔硬』を再現したせいで負傷を負い、『HP回復強化(小)』も急遽発動していましたので様々な部分で過負荷がかかっているのは確定的に明らかです。」
「あー!あー!あー!ちょっとちょっとカナデさん!なんでバラすのさ?見た目あっさり倒した風になってたんだからあんまりそういうの言わないでよー!そういうのは言わぬが花でしょ?そうでしょ?」
「えっ?!ソウ怪我してるのっ??」
「うえっ?あーーーっと、いまはもう治ってるよ?それはもう迅速にあっという間に治したよ!」
「ホントなの?なんだかソウってすっごく強いのにいっぱい怪我してる気がするの。」
「いやいやいやいや!そんなことないよ!俺ってばそんなに強くなんかないよ?ちょっとこの辺りの連中と相性的に戦いやすいってだけで、無双できるほどのスペック持ってるわけでもないし!謙虚だからほめられても自慢はしないよ!うん!」
「話しを逸らそうとしないでください、マスター。テト、マスターは確実に負傷していましたよ。具体的に言えば踵骨と中足骨の軽度のひび割れ、それから小趾外転筋、短母趾屈筋、足底方形筋、第三腓骨筋を軽く傷めていました。常人なら全治数週間~数か月といったところでしょうか。」
ぜ、全然わからないの。足のケガ?たんぼしくっきんってなぁになの??でもケガをたくさんしてるのはわかるの!
「・・・な、なるほどなの。」
「全然伝わってないじゃん?俺も聞いててさっぱるんるんだったけども。」
「失礼いたしました。分かり易く伝え直しますと、普通の人なら立って歩くだけでも痛くなるような怪我をしていました。」
「そうだったの!?じゃあ、ソウは治るまで大人しくしてなきゃダメなの!」
「ふっふっふー、それなら問題ないな!なんせもう治ってるから!これくらいなら疑似回復魔法(ポーションの魔力を真似たヤツと『HP回復強化(小)』のスキルを組み合わせた回復方法)ですぐに治るもん!回復力には自信があるんだよね!」
「うぅ~。でもでも、治ればいいってことじゃないと思うの!カナデさん!ソウは治るまでムリしてたの??」
「はい、間違いないです。」
「なら、ソウはいまムリしちゃダメなの!さっきまでムリしてたんだからいまはしっかり休むの!」
「えぇー?でも周囲の警戒とか諸々の備えって大切だし?」
「警戒ならウチだってできるし、マーグルお婆ちゃんもいるから平気なの!とにかくソウは魔法を止めてゆっくり休んで欲しいの!」
ソウはいつもムリをするから、それはよくないと思う。ずっとウチやニコのことを気遣ってくれるしウチのために怒ってくれるのも嬉しい。嬉しいけどそれじゃダメなの。ソウに負担をかけちゃうのはダメなの!
「村の大人の人たちも言ってたの。誰か1人に負担を集めるのはよくないって、それじゃあ村全体にとって良くないって。だからソウにもムリはしてほしくないの。もしムリをするならウチが頑張ってからにしてほしいの。ううん。ウチも一緒にムリさせてほしいの!」
「・・・ムリをしてるつもりはないんだけどなぁ。」
「お願いなの・・・ソウ。」
「くっ!それはいけない!ダメだテト!その上眼遣いは俺に良く効く!!破壊力はばつ牛ンで、こうかは ばつぐんだ!!」
「相変わらずマスターはこの手のベタに弱いですね。流石の童貞っぷりです。特にテトとニコにはめっぽう弱いと見えます。」
「仕方ないじゃん!こんなのどうやってもムリだよムリムリ!太刀打ちできない躱せない!必中のハートブレイクショットだよ!だってキュンキュンしちゃうもん!」
「キュンキュン?なの?魔法、やめてくれるの?」
「うむむむむむむぅぅ~!いやだがしかし!これに屈しちゃ男が廃る!でも据え膳食わぬは男の恥じ?!どうしたらいいのだ!何が正解なんだ!どうする?アイフ〇ゥゥーー??」
ソウがまたよくわからない感じになっちゃった。いまはカナデさんとお話ししてるわけじゃなさそうだから、きっと魔法の使い過ぎで変になっちゃってるんだと思うの!なんとかしなきゃなの!
「カナデさん、いまもソウはたくさんの魔法を使ってるの?」
「はい。現在発動している魔法は『集音探知』は変わらず使用中ですし、『簡易結界』も3個ほど準備しています。それから『生活魔法』同様ですね。あ、この家の結界にも干渉しようとしています。」
「カナデさん!マジでバラすの勘弁してk」
「ソウっ!!」
「はいっ!?」
「いまは魔法使っちゃダメなの!!」
「いやでもこれh」
「ダメなのっ!ソウの身体によくないからダメなのっ!!」
「・・・うえー・・?」
「・・・うぅ~、ウチがお願いしても、聞いてくれないの?」
何回言ってもソウは魔法を止めてくれない。このままじゃソウがおかしくなっちゃうのに。ウチじゃ止められないの?
「はい!止めます!すぐさま止めますであります!!」
「?止めてくれるの?」
「もう止めたよ!いまは『集音探知』だけだよ!」
「ホントに?ホントなの?カナデさん??」
「はい、どうやら本当のようですね。」
「よかったの!止めてくれてありがとうなの!じゃあ、これでソウはもう大丈夫なの?」
「現状維持を続ければ多少時間はかかりますが回復していくと思われます。ですが、自発的に魔力を調節した方が状態の回復は早いと思われます。」
「そうなの?ソウ、できるの?」
「もっちのろんだよ!任せて安心ソウお兄ちゃんだよ!頼られれば天にも昇るし不可能だって可能にしよう!ちなカナデさん!具体案はよはよ!プリーズティーチミー!」
「呆れかえるほどに清々しい転身ですね、マスター。その頭の軽さは驚嘆に値します。」
「あははっ!何を仰るカナデさん!この世で大切なことはたったの3つだけなんだよ?1に家族!これチョー大事!前世ではまったくそんなこと思いもしなかったけど、色々とアレなこの世界では何よりも大切!俺の心の拠り所!
次に自分!その大切な家族を守るのも愛でるのもクンカクンカするのも自分がいないと始まらない!1を優先するということに反しない限り自身をしっかりちゃっかり守り抜く!
そして最後に大切なもの、それは好奇心!人の心を突き動かす最大最強の原動力!未知は魅力で未踏はロマン!魔力制御はファンタジー!Oh YES!俺様興味津々なのだ!よっていままさにこの3つすべてが満たされた故に魂の衝動によって突き動かされている俺を遮るものなど何もないのだよ!!」
「テンションが上がり過ぎてウザいですね、マスター。そして、言っていることの大部分が不明瞭なので理解と共感はできかねますが言わんとしている事は何となく察しました。それでは簡潔にご説明します。」
カナデさんがソウに説明してる内容がとてもよくわからない。テン?ってなぁに?ゼツってなぁに?インヨー?ゴギョウソーセー?たまに聞こえてくる言葉の意味がわからなくなるけど、ソウとカナデさんは何を話してるの?魔力をめぐらせてじゅんかんさせてねりこんで・・・――――うぅ~、むつかしいのー。
「ふむふむ、つまりはそういうイメージを持ってやれってことね?それならなんとかできそうだな。伊達に週〇少年ジャンプを愛読してなかった!」
「マスター、伏せれていません。ハミてます。」
「えっ?マジで?HAHAHAHAHA そりゃ失敬!でもイメージはすでに固まった!気分的に丹田よりも胸辺りの方が個人的にはしっくりくるんだけど?モンスターの魔石が心臓辺にあるからイメージが固定されちゃったんかね~?」
「問題ないでしょう。それでは1つずつやってみましょう。」
カナデさんがソウに助言をして、ソウがそれを形にしてい・・・ってるらしいんだけど、ウチにはちょっとわからない。魔力が見えないから何をどうしてるのかも、何がどうなってるのかも全然。
「血流とは真逆ですので右心室近くで押し出すようにしてください。ただし、本物の心臓と同じ動作では強弱ができてしまうのでその部分は再現しないようにご注意を。魔力はフラットです。一定の量を流し続ける事を意識してください。」
「それって最早心臓じゃなくね?ジェットバス的なアレソレか流れるプール的なサムシングでよくね?」
「それでイメージが補完できれば問題ないです。そのまま滞らせないように一定の速度を保ってください。早すぎても遅すぎてもいけません。あっ、いま少し魔力の流れが早くなりましたね?量も若干ですが増えました。」
「若干ってのがどれくらいなのかもわからんけん。こっちの認識じゃ誤差ないよってからに。」
「では感覚の同期と増幅を試行してみます。マスターのアストラル体との同期を開始・・・・4%・・・・7%・・・・11%・・・・19%。表層面の浸食を完了。次いで中層への浸食を」
「ちょい待ち!ちょ、ちょっとストップ!待って待って!なになになんで浸食してんの?!こわいよヤバいよ!こわいんですけど!!めっさ怖くてどうにかなっちゃいそうなんですけど?!」
「何か不都合なことでもございましたか、マスター?」
「不都合かどうかはわかんないけどいままさに俺が浸食されてるところだったんでしょ?!そもそも浸食ってなにさ!カナデさんってば使徒だったの?俺食われるの?飲みこまれるの?いままでで一番今日のカナデさんが怖いんですけど?」
「ご安心ください、マスター。カナデはマスターを乗っ取ったりはいたしません。ただ、少々魔力を扱う上でより都合がいい身体の造りに変えていこうかと思っただけです。」
「ノーン!そいつはごめんだぜカナデさん!俺をこれ以上改造人間にしないでおくんなまし!そういうのは少しばかり時間をかけて馴染ませていくもんじゃないんですかぁー?!」
「そうしたいのも山々なのですが、ちょっぱやでやらないとけつかっちんなんだよ。なので。」
「カナデさんてばいつから勇者様に?!つかもうそんなに時間がないのか。んむ~、なら今回は正規の方法じゃなくて簡略式で済まそうか。おいでませ!背嚢式ダンジョン!周囲の魔力と俺の余分な魔力を吸っておーくれっ!」
キュウゥゥゥゥゥィィィィイイイイイインンンン
「おー?おー。おー!おぉー!!頭がどんどん冴えてくる!半信半疑だったけど、マジで魔力酔いだったのか。」
さっきまでふわふわぽわぽわしてたのがよくわかる。情緒不安定から一気に落ち着くと変な感じだなコレ。
「ソウ、もうへーきなの?」
「うん!もう余分な魔法も切ったし、周囲の余剰な魔力はマイダンジョンにばきゅらせたから問題ないよ。心配かけてごめんね?」
「元通りになってよかったの!あ、あと、もしケガした時は言ってほしいの!ちゃんと言ってくれたら手当もするし、ウチも戦うの!」
「え?う、うん、わかった。約束するよ。心配してくれてありがとう、テト。」
・・・なんでテトにゃんが戦うことになるんだろう?えっ?なにこれどゆこと?俺もうケガとかできない系じゃん。急にすげぇプレッシャー来たんだけど?
《マスターが普段と違う様を見たり、知らない内に怪我をしていたりといったことが余程こたえたのでしょう。以前から戦闘に関する意欲は見せていましたのであくまで切っ掛けだと思いますが、どうやら今後積極的に参戦していくことに決めたみたいですね。》
マジかよ初耳だよ。いや、弓や斥候技能に興味を持ってたのは知ってたけどさ。やっぱ獣人の血がそういう衝動呼び覚ますのかね?できれば安全な所でのんびり育ってほしいんだけどなぁ・・・なんて考え事をしながら誤魔化すためにテトにゃんの頭をグリグリと撫でまわす。はぁ~、癒されますわー。さっきもやってた気もするけど、意識がはっきりしてる時にやるのはまた格別っすわー。
「ところでマスター、そろそろ本気で準備の方を始めないと間に合わなくなりますが?」
「あ、やべっ。もうそんな時間?ってさっきから散々言われてたねごめんなさい。」
テトを連れ立って作業場へと急ぐとちょっぴりプンプンしてるマーグル婆さんがお小言を言ってくる。が、そんなもんは右から左に受け流す。時間ないんだから流石に空気を読んでほしいし自分のキャラというものをちゃんとわかってやってほしい。そういうのは短気な幼馴染とか面倒見のいい委員長タイプの同級生の役柄であって断じて老婆のポジではない。絶対にだ。
「さぁて、ぼちぼち火傷特効ポーションを完成させましょうかねー。」
まずは中級薬草の幻想水漬けを細かく刻んで鉄鍋に入れる。そこにスライム核をぶち込んでから下拵えした中級魔草とアロアの葉のすり団子を入れる。これを火にかければ作業開始で同時にジクコトクノールタイムの開始でもある。
「弱火でコトコト。焦がさず焦らずゆっくりとーっと。」
「これでソウの火傷も治るの?」
「これはまだ普通の中級ポーションだから、完成品を加工したら治るよー。でも急に火傷が治ると周りの反応とかが面倒そうだからアンナベルのとこで使おうかと思ってるんだよね。あっちでちょっとゆっくりしたいし。」
ついでにあのダンジョンを真っ当にするために手を入れたいのでちょっと時間がほしい。成り行きでダンジョンにしておざなりにしてるからなー。女バーサーカーとかミニマム猫獣人君、それに犬のようなカンガルーのような彼とかが出てきそう。面白そうだから出てきたら仲間に誘おうそうしよう。
「ずっと気になってたから治って嬉しいの!あとは右腕も治るといいと思うのー。」
「あー、コレね。コレはもう少し時間をかけてアプローチしないと治らないかなぁ~。クレイジー・ダイヤモ〇ドでも使えればすぐなんだろうけど、残念ながらあんな素敵能力持ってないし。」
「スタ〇ドに思いを馳せるよりもミロワールドらしく魔法でどうにかした方がずっと早いと思われます。」
「わかってないなぁ。ロマンだよロマン!使えたらかっこいいじゃん!ゴールデン・エク〇ペリエンスでも可!魔法とは違ったカッコよさがあるもんアレは!」
「わけのわからない戯言を言ってないで鍋の様子をしっかり見ときなよ。そら、そろそろ色が変わってきてるんじゃないかい?」
「あ、ホントだ。じゃあここからは魔力を流していくか。カナデさん、俺が魔力酔いにならないようにできるだけ見張っておいてね?」
「かしこまりました、マスター。」
「なんだいあんた、そんだけ魔力の扱いに長けてるのに魔力酔いなんか起こすのかい?相も変わらずおかしな性質だね、まったく。」
「体質なんだから仕方ないだろ?それにその内解消される予定だし。問題ないし。」
「それよりね、やっぱりさっきから1人分多く声が聞こえるんだg」
「ソウ!お鍋の中がドロドロと固そうなのに分かれてきたの!混ぜるのこれで終わりなの?」
「お、ありがとうテト。そうだね、ここからは魔力だけを馴染ませていこうか。」
「ちょっと!聞いてないのかい?!いないハズのから声g」
「かなり順調のようですね。魔力の練りこみがうまくいってるようです。」
「ほら!やっぱり聞こえるよ!どこの女だいっ?姿を見せな!!」
「うわっ!こわ!急に怒鳴らないでよ怖いな!」
「マーグルお婆ちゃんはカナデさんのこと知らないの?」
「カナデだって?どこの誰だか知らないけどね、姿も見せないようなのと知り合った覚えはないよ!ここにいるなら出ておいで!」
「ん~っと、色味が黄緑色になってきたかな?そしたらヒカリ苔を入れておいたポーション瓶に移し替えようか。」
「これに入れるの?」
「そうそうありがとうテト~。あ、マーグル婆さん、漏斗ある?」
「あるよっ!!それよりなんなんだいさっきから!どうしてあたしのことをムシするんだい!女の声が気になって仕方ないってのにさっ!」
「あとで構ってあげるからちょっと待ってよー。いまポーション作ってるの見えないの?ちっちゃい女の娘のかまってちゃんならまだしもマーグル婆さんレベルのかまってちゃんはちょっと需要がなさすぎて引くんですけど・・・。」
その後、わーぎゃー騒ぐだけの老害になってしまったマーグル婆さん。せめて漏斗用意してから正気を失って欲しかった。何よりも、女だ女ー!などと叫びまわる老婆を見たくなかった。視覚的にも精神的にもホントキツい。ちょっとメンドイからいまはご退場願おう。
「カナデさん、やっておしまい!」
「はい、マスター。『集音探知』応用編、『雑音逆位相壊』実行します。」
カナデさんの協力の元、婆さんの声を消し去ってもらった。物理的に邪魔をされるのもイヤだったので鼓膜に振動派を叩き付ける案もあったが下手をすると事件になりかねないので保留。部屋の外に追い出して事なきを得た。
要り用の物については仕方ないのでテトにゃんに探してもらってなんとか漏斗をげっちゅした。やはし持つべきは心優しい愛妹である。見てよし嗅いでよし撫でてよしの三拍子だけでなく、その存在の何もかもが俺のやさぐれた心を癒してくれる。マイナスイオンやフィトンチットは確実に放出していることだろう。
「テト、もうちょいこっちに瓶持ってこれる?んー、そうそうそこそこ。」
「わかったのー。じっとしてるのー。」
テトにゃんとの仲良し共同作業にて鍋の中身(液体分だけ)をポーション瓶へと移していく。すると、液体が中に入っているヒカリ苔と反応して赤っぽい感じに発光しだした。ドギツい感じじゃなくてふわ~って感じの光でちょっとキレイだ。
「赤い光が帯みたいでキレイなの~。」
キラキラしたおめめで見つめるテトにゃんの瞳の方が万倍キレイだよ。そんな言葉が浮かんできたがなんか口説き文句っぽかったので控えた。
「マスターのセンスは少々アレですね。」
なぜだかカナデさんにぷーくすされる始末。え?そんなダメだった?自然と出てきた言葉だったんだけど?
「うー?光が弱くなってきたのー?」
「えっ?マジで?」
まだ鍋の中身(液体分)の半分も入れていないのに生成反応光が収まってきてしまった。これはいったいなんぞや?
「・・・マスター、鍋の中身を半分入れた時点で止めてみてください。」
「はいよー。」
言われた通りに半分くらいで注ぐのをやめてみた。現状ポーション瓶の中身は柔らかな赤色でうっすーら発光している。正直飲むのを躊躇う見た目だ。なんで魔法の薬品って無色透明でいろ〇すみかん味みたいな爽やかさじゃないんだろうか?他の味でもいいからとにかく飲みやすさきぼんぬ。
「やはり完成していますね。」
「ほえっ?」
「魔力の波動を分析してみましたが、しっかりと中級ポーションが完成しています。」
「またまたーカナデさんたら冗談ばっかり~。まだ原料半分しか入れてないじゃん?こんなんで納品したら不良品扱いでクーリングオフどころか消費者金融に訴えられちゃうよ?」
「たしかに容量としては規定量には満たないですが、十分な魔力を込めて作成したことと素材の鮮度と質がよかったことで濃度が高まったようです。特にスライムの核が怪しいですね。」
「スライムの核?あれはDP変換品でしょ?そんな上質じゃないと思うんだけど?」
「いえ、むしろこの世界で採取されているスライムの核が劣悪なのかもしれません。通常はスライムを討伐してから解体して採取し、それをできる限り品質を保持したままギルドへ納品します。つまりはポーションを作成する者の元へ届く際にはかなりの劣化が予想される、ということです。」
「てことは、カナデさんが持ってるレシピはその劣化した核で分量計算してたからってことか。」
「はい。最も計算がズレるだろう点はそこですね。召喚で得られる素材は、品質としては平均値で間違いありませんが、それは品としての平均値であって採取依頼で納品される物の平均値ではありません。DP変換品には傷も劣化もない状態ですので十分考えられる事象です。」
「えーっと、でもさ、そうなると他の素材は?そっちは確実に1回分しかないから足りてないんじゃないの?」
「もともとスライムの核は材料の成分を薄めることなくかさ増しをする為に添加されていますので、つまりはそういうことでしょう。」
「はいぃ?それならスライムの核が沢山あればじゃんじゃん量増やせるじゃん?詐欺じゃね?」
「いえ、それは不可能です。スライムの核同士は反発し合いますので、あくまで投入できるのは1回分の材料に対して1つの核のみです。」
「なら他の材料を2個分作ってそこにDP産スライムの核を入れたら?」
「そちらに関してはやってみなければわかりませんが、やはりうまくできないのではと予想します。」
カナデさんの予想ではまとめて材料2回分入れたりすると今度はスライムの核の働きが足りなくなるのでは?とのこと。あっちを立てればこっちが立たず状態ってことか。
「んじゃま、その辺りはおいおい検証するとして今回は1個分の材料で中級ポーションが2個できる方法が見つけられたってことで素直に喜んでおくか。俺が使っても1個余分に用意できたと思えば上々だもんな。」
結論が出たので手早くヒカリ苔入りのポーション瓶を追加してもう1個を完成させる。続いて火傷治療用のポーションにするべくここにトカゲから抽出しておいた材料を入れていく。
「神経とかゼラチンとかそんな感じの物を混ぜ合わせて作った謎の白くてドロドロした液体を混入~っと。気持ち悪さが6、飲んじゃダメ感が8 上がった。」
「患部に振り掛ける形でも効果はあるのですから問題ないでしょう。」
「な、なんだかシュワシュワいってるの・・・。」
テトにゃんが怖いもの見たさに謎の液体Xを覗き込んでいる。いや中身がなんなのかは知ってるけどさ、見た目が色々アウトなんだよね・・・なんだよ薄く光る赤い液体って。着色料全開の米国産のお菓子よりヤバそうだよ。幸いにも異臭はしないからまだマシだけど、もしも異臭が出るようなら失敗認定してしまいたいくらいにキモい出来映えに戦慄を覚える。
「・・・火傷特化は1個でいっか。残りは普通の中級ポーションとして保管しておこう。」
「ウチもそれがいいと思うの・・・。」
やっぱりテトにゃんも飲めて発光までらしい。それでもきっと凄いと思う。だって飲み物自体が光ってんだよ?ライト当てられてるならまだしも光る液体って悪い冗談だろ。HP回復するエナジードリンク的な物なのに身体に悪い気しかしない。
出来上がったポーションに不平不満を募らせながら黙々と後片付けを進めていたら音もなく扉が壊され開かれた。なんだなんだと見てみたら、眼を真っ赤に血走らせながら口周りにきちゃない泡をつけた不審な老婆が突っ立っていた。ていうか当たり前なことにマーグル婆さんだった。
お読みいただきありがとうございます。
やっとこさ火傷用の特化ポーションを作りました!わーきゃーぱちぱちぱちぱー!おめでとうございます!
私は飲みたくないですが、そもそも材料が気持ち悪いので気にせず使うといいですよ!
いい加減全快状態でお話しをすすめたいのでよろです!
ちなみに前回使用した魔法は熱を移動させる魔法です。詳しくはいつかまとめを作ろうと思います。
要らない気もしますが、その内設定資料的な感じでサラッと出します。
次回、本編更新時にまたもや新キャラが出ます。




