青髪の悪魔
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前回のあらずじ。
自爆のあと
療養経緯
暴れるバルーン
ステータスと残念仕様
絶望orz
ダンジョンの仕様に絶望してから早3日。俺の子爵領での療養時間が、既に11日を経過している。
「異世界来てからずっとベッドの上ってどうよ?」
あれから希釈ポーションを飲み続け、声はどうにか回復してきた。未だに自分の声に慣れないけど。
だって、俺の声って新しい身体になってからというもの、やたらめったら高いんだもの。天使音声なんだもの。天使の歌声披露するべきなの?コレ?
《はい、マスター。マスターの自爆が原因ですので、致し方ありません。良家の被保護化で回復に努められる幸運に感謝すべきだと思います。》
「そっすね・・・。マジっすね・・・。」
なんか段々とカナデさんが辛辣になってきてる気がしないでもないけど、自分のミスでこんな状況になってるんだから甘んじて受け入れる他ないだろう。とは俺の言だ。渋渋受諾。
ちなみに、現状はあれからほとんど変わっていない。声が出せるようになったことと、細かい傷や軽度の火傷が回復して多少自分で動けるようになった程度だ。いや、これでも十分凄いんだけど。
何せ、全身がヤバいことになってたからな。思い出しても寒気がするし若干気分も悪くなる。
現代日本なら多分ご臨終してますね。そうですね。
どうにも自分がした自爆が信じられないが、やってしまったことは仕方がない。状態回復を頑張って、完全回復できる方法を手に入れられるように精進するだけだ。
差し当たって、俺がするべき有力候補はDPの確保になるわけだ。しかしながら、こんな状態の俺より弱いモンスターは中々いないのではないだろうか?いやいない!(反語)
うん、我ながら迷推理!って当たり前だよ・・・。元々村人Aより貧弱な俺がいまや弱体化がついてる上に歩けもしない・・・コレなんて無理ゲ?
初っ端から縛りが多すぎるんだよなー。始まりは草原。戦闘スキルとか一切なしのレベル1。ダンジョンとかマニュアル読まなきゃ創められないし、従者のモンスターすら自分で倒さないと0。
0って!!0ってなんだよ!?俺はダンジョンも造れなくてモンスターも使役できなくて一体全体何マスターなの?なんなのコレ??只の一般人じゃん!(笑うっ)
一体これでどうやって生きていけっていうんだよ!死にゲーで無理ゲーじゃん?ってそれは言い過ぎか。実際は運ゲーか?最初はモンスターのいない場所にいたんだし、そこで情報をしっかり集約して対策を講じていれば真っ当なルートも有り得たか?いまとなっては後の祭りだけども。
いくらでも言えるけどさー?あんまりだよって言いたいんだよ。マジで。
「ちなみにさ、モンスターの最下級ランクって何?」
《はい、マスター。魔物の最下級に位置するのはFランクです。》
「Fってことは、この間の<マーダージャック・ウルフ>の2ランク下か。アレが強かったのかどうかはわからんけど、ヌグリイとかって犬がそのランクか。」
《はい、マスター。仰る通り、ヌグリイなどの魔物が該当します。総じて一般人が討伐可能な強さで、数も最も多い魔物です。》
「アレが、多いのか。あのキモいのが沢山いるのは気分的には良くないけど、まぁ、弱そうなのがいるのはいいな。俺のDP的にだが。精神的には微妙だが。」
思えばあの犬に追いかけられたせいで狼にも遭遇したんだ。俺の不運はアイツが運んできたに違いない。今度あったら成敗する他あるまい。
「でもFランクじゃ対してDPになりそうにないな。ぶっちゃけ討伐報酬DP5とかそれくらい?」
《いいえ、マスター。ヌグリイは、階位にもよりますが基本討伐報酬DP1の雑魚です。
素材を吸収できれば更にDP5を得られます。》
「まさかのDP1?!雑魚中の雑魚じゃん!俺の身体治すのに何匹倒せばいいんだっつーの!!いくらなんでもキツすぎっすよ。」
俺の身体を取り敢えず治すのに必要なDPは5,500。部位欠損用特殊上級ポーションのお値段だ。スキルで治すならDPで3万。魔法を取得して治すならDPで5万。
しかし、スキルや魔法は使いこなせるかどうかもわからない。これだけコツコツ貯めても、すぐに治せるかどうかは別問題っぽい。んむー。これは悩ましい。どうしたものか?
確実に治すなら多分ポーションだが、その先々のことを考えるとスキルか魔法でどうにかしておきたい。SPで取るのは論外だ。あと15レベル以上アップとかキツすぎる。
いや、もしかしたらこれだけのDPを貯めようとしたら先にSP貯まっちゃうかも?その辺がよくわかんないな。あ、ていうか、そもそも、
「なぁ、カナデ。部位欠損用特殊上級ポーションって売ってたりする?もしくは自分で作れたりとか。」
《はい、マスター。一部の商店、限られた里のみになりますが、金銭で入手することが可能です。また、マスターが自力で作成することも可能です。
ただし、材料の入手、必要なスキルの入手など、クリア条件が厳しくなりますので、ハードルは高くなるかと思われます。》
「そっかぁ。限定販売だとお高そうだし、ハードルこれ以上上げるのは勘弁だな。」
《はい、マスター。販売価格についての情報だけはありますが、少々割高なようですね。すぐに貯まる金額ではなさそうです。》
「サンキューカナデ。わかっていたけどちょっぴりショック。俺の身体の完全復活はまだ遠そうだな。」
他に何か手立てはないか?俺の手札はDPだけ、なのか?使えるのは現状それだけか。てなると、そもそも俺の今後をどうするか考えなきゃだなぁ。DPを稼ぐなら敵を倒す、素材を吸収する。
つまり、戦える力は絶対に必須だ。それも、身体がこんなだから、魔法に頼ることになる。暴発した魔法は正直使いたくはないが、いまの俺にはこれしかない。
一応、前回と違って『魔力感知』のスキルはあるから、多少はマシに扱えると信じたい。解放された情報も頭の中で整理したから、仕様は確認済み。問題なく使用できるハズ、だ。
つまり、完全魔法職方面に特化させて、奇襲や遠距離攻撃による一方的襲撃者が俺の目指すべき戦闘方法か?前衛もいないし索敵系スキルもない。その辺りが不安だがそれ以外の選択肢もない。
「カナデ。使役可能モンスターって、勿論召喚コストかかるよな?」
《はい、マスター。召喚時に必要なDPを対価にすることによって、対象の魔物の召喚を行えます。また、DPを追加することによって、任意のレベルでの召喚も可能です。》
「ちなみに<マーダージャック・ウルフ>をレベル1で召喚すると?」
《はい、マスター。必要DPは420です。》
「微妙に高いな。俺80しかDPないんだけど。」
《はい、マスター。現状召喚可能な魔物は0です。》
「きっついな。」
前衛役になってもらおうと思ったがそれも無理か。そうなると索敵用か防御用のスキルが欲しいな。SPで何かいいのないかな?
コンコン
優しいノックの音。当たり前の音に心安らぐ・・・ことのできない俺がいる。このノックの主は知っている。いつものメイドさんだ。
「どうぞー。起きてますよー、一応?」
声を返すといつもの調子で返ってくる。
「失礼したします。」
返ってきた声から一拍置いて、扉が開けられる。ここ数日繰り返し見た変わらない光景。しかしながら、俺は未だに慣れることができない。何故ならば・・・
「尿瓶をお取替えしますので、お身体を起こしていただいてもよろしいでしょうか?」
これだよ。俺の目下最大の懸念事項で逃避したい現実はこの行為だ。一応部屋の中に簡易便所が設置されているが、何故か未だに俺の下半身は解放されていない。
いや、おっきい方はもう解禁されてるんだけど、なんでか前だけ囚われの身なのである。
「いえ、もう自分で動くこともできますし、なんなら尿瓶だろうと簡易便所だろうと、自分でできますから!もう大丈夫ですからっ!」
「いえいえ、お客様。これは異なことを仰いますね。私共メイドは、お客人のもてなしことがお役目でございますれば、遠慮など毛頭不要でございます。」
「いやいやいやいやいや、遠慮とかじゃなくてですね、もう必要ないんですよ?もう自分で大丈夫ですから、そのお手元の物騒な物は置きましょう?ね?置きましょう。まずは置きましょうよ?」
「いえいえいえいえいえ、またまたまたまたまた。そのようにご遠慮されることはないと申し上げているではありませんか。それともこれはアレですか?私共メイドの不徳の致す処なのでしょうか?
私共のご奉仕にご不満があり仰っていることなのでしょうか?」
「私共って、貴女しかここに来てないじゃないですか!他のメイドさんをお見かけしたことないんですけど?どうして複数系にして責任の所在をボカそうとするんですか?
ていうか、もうホントにいいんですっ!自分で始末できるんで大丈夫なんですっ!勘弁してくださいっ!」
必死に頭を下げ、懇願する。上目づかいでメイドさんを見つめる。きっとこのメイドさんには利くハズだ!なんせこのメイドさんは、このメイドさんは・・・
「・・・仕方ありませんね。そこまで言われるのでしたら今回で最後にしてあげましょう。早速ですが、替え替えしましょうね~。」
言いながらにじり寄ってくる悪魔。全然分かってくれていない、だとっっ!!?
「なんでそうなるんですか!今朝もそう言って無理やり俺のズボンを勝手に・・・って、あぁっ!」
悪魔の早業によっていつのまにか下半身が剥き出しになる俺。既に形勢は劣勢だ?!
片手片足片目の状態では物理的な抵抗がほとんどできず、一方的に蹂躙される。
「あっ」と言う暇もなく、素早く手早く下半身装備が換装される。なんでこんなに速いんだよ!もうやだこの悪魔!!
「どうせロクに抵抗もお出来になられないのですから、初めから諦めればよろしいのにご馳走様です。」
「そのセリフダメだから?!絶対言っちゃダメなヤツ!アウト!ギルティー!ダウトだよ!!」
どれだけ口撃しても虚しいだけ。既に俺の下半身は被攻略済だ・・・。ズボンも上まで戻ってる。
「もうやだ。こんな生活。」
「嫌だと仰るのなら、せめて抵抗がお出来になられるくらいには快復したら如何ですか?」
言われる内容は最もだが、言ってる人が納得できない。この悪魔はいつもこんな感じだ。何が楽しいのかわからないが、俺の下の世話ばかりを焼きたがる変態さんだ。ぶっちゃけ変質者レベル。
もしかしたら冗談抜きにそっち系の可能性も微レ存だが、一応は気遣いの一端だと信じたい。思い込みたい今日この頃だ。
この悪魔の名前はショニタンさん。名前が微妙にヤバそうだ。ショタ○ンさんにニアピン中。
水色髪で見た目は清楚系王道メイドさんだ。丁寧に、キレイに編み込んだ髪を肩口辺りで折り返し、頭の後ろで器用に留めている。少し鋭い目つきで泣きボクロが特徴的。瞳はスカイブルー。丸味を帯びた長方形の黒淵メガネを装着。色白で、何処となく図書委員とかやってそうな大人しそうな顔。地味だが、確かに可愛い。ちょっとキツそうだけど。凛とした佇まい。くるぶし丈のメイド服。慎ましやかな胸元。見てるだけなら完璧だ。
しかし、その実態は先ほどのやり取りからわかるように真正変態一択だ。領主の娘といい、この人といい、この家には残念な人しかいないのだろうか?ていうか、前世で死んで以降関わってる人全員なんかヤバくない?
神(笑)、金髪残念美女、治療師さん、清楚系王道メイド詐欺師さん。この異世界は、実はヤバげな世界なのかも?こんな世界で俺はやっていけるんだろうか?最早頼りになるのはカナデだけかもしれない。そのカナデさんも最近なんだかあたりがキツくなってきてる疑惑。最早俺の味方はいない?そんなバカな!まだ何もしてないのに既に孤軍だと?ちょっとキツいぞ異世界生活っ!
落ち込みついでにショニタンさんを上目づかいで睨む。
「そんなお顔をしても、私共が喜ぶだけでございますが?」
「なんで喜ぶの?おかしくないですか?メイドさんなんですからもう少しちょっとこう、なんかないんですかねぇ?」
頬を染め、唇に手を当てつつ眼を細める仕草は、なんかこう、絶対駄目なヤツだ。故にあまり付き合っていると危険な気もする。
「まぁ?これでもちょっと、色々と思うところが色々あるもので。」
「左様でございますか。その表情も悪くないものでございますね。庇護欲をそそるというか、私共向けのイイ塩梅と言いますか。しかしながら私共にもお仕事がありますので、いつまでものんびりと眺めているわけにも参りませんね。
ではでは、またのちほど御夕飯をお持ちいたしますので、それまでは失礼いたします。何かありましたら、ベッドサイドにありますそちらのベルをお使いになってくださいまし。」
「下の世話以外で呼ばせていただきますよーっ!」
「くすっ。それでは。」
鼻で笑われた!悪魔は音もなく扉を閉め、立ち去っていったが、俺の心はボロボロだ。
少しでも早く、この屋敷を出ようと心に決めた。
お読みいただきありがとうございます。
頑張って更新速度あげていきますので、お付き合いいただけると幸いですm(_ _)m
今回のお話ですが、こんな感じのお話を書く予定は全くありませんでした!
色々とちょっとアレな方向になってしまいましたが、反省はしています。
後悔はしていないかもしれません。
どうしてこうなったのか、自分でもちょっと謎です。
取り敢えず、少しずつお話を進めていきます、頑張ります!
次回予告。
這い出る想君
忍び寄るOSSAN
すれ違う見解