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野営で自炊、漢料理の見せ所!括目して見よ!!

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第78話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

集音探知(アセンブルサーチ)』をゲット

ご飯を次々ゲット

野生のタヌキに遭遇

テトにゃんが可愛いにゃん

ハリンさんが微妙な空気感を醸し出してくるがそんなのは気にしてられないのでスルー。みんなで協力して鹿(仮)の内臓を取り出してからばきゅるばきゅる。手頃な枝に逆さ吊りにしてわっしょいわっしょい神輿のように担ぎ上げるが思った以上に重くないなと不思議に思いつつも猪肉が眠る木樽の所まで移動する。

気分はさながら山の民。仮面と腰ミノが似合うナイスなイケメソ・・・イケメソか?未だに顔知らないけどあの腹筋は凄まじく憧れるからイケメソってことでいいか。いつか俺の腹筋もバッキンバッキンに仕上げたいものだ。カニ腹最高。


「鹿肉も冷水というか氷水につけておこう。こうすればメチャクチャ冷えるからあとでおいしくいただけるようになるし。」


「いつのまにこんな物を用意したのか気になるところなんだけど・・・。」


ハリンさんが呆れ顔から驚き顔に変化なさったが適当に魔法とか言って流しておいた。どうやらハリンさんは色んなことが気になるお年頃のようだがDP(ダンジョンポイント)のことを話しても理解されないだろうし特にバラす必要も無い。多分その内魔法でも似たようなことできるようになるだろうから万事おk。俺的に魔法は万能説なのです。


「つきましては今日の晩御飯は鳥肉と兎肉を使おうと思います。小さいのの方がこの場所では調理楽そうだしって理由が大半なんだけど、きっとみなさんにはご理解いただけるものと思います。」


いまから猪や鹿を解体してお肉にするよりはずっと簡単なハズだろうと思い提案してみた。それにここから野営地まで運ぶの暗いと大変そうなんだもん。


「よく太ってるから美味しそうなの!」


「絶対おいしいわよ!このゼビット(兎の名前らしい)もガーモ(鳥の名前らしい)も頭を一撃で仕留めてるから体を丸ごと食べられそうよ!」


丸ごとはムリ。お前骨とかどうするつもりなの?丸かじりは勘弁してください俺にはムリです。羽とか毛皮もイヤ。


「以前見たことのある不思議な魔法で仕留めたのかしら?魔法で狩りをするなんて聞いたことなかったんだけど凄いものねぇ・・・。」


魔法で狩るの常識じゃないの?この地方に魔法職が少ないのが原因のカルチャーギャップ的なものなのだろうか?そんな疑問を抱きつつもひとまず了承が得られたのでみんな揃って野営地へGOするとしよう。

微妙にニコが不満顔してるが猪肉に未練があるのだろうか?ぎりぎりのところで満場一致とはならなかったようだ。それならせめて猪肉だけでも持って帰ろうかと思い直してミリーを使役する。イケ!タヌキ娘!君に決めた!


「ちょ、ちょっとー!あたしだけじゃムリよ!いくらなんでも重すぎるわよー!!」


タヌキ型ポケ〇ンがワガママをいうので俺も手伝って猪肉も持っていく。樽ごとは無理だったので猪だけなんだが毛皮が水を大量に吸っててやけに重い。それはもうとんでもなく重かったのでまとわりついてた水はばきゅっておいた。ちゃんと水だけ指定できてよかったと安堵の息を吐いたのは内緒だ。あまりの吸引力に肉ごといっちゃうかと思って焦ったわ。


「じゃあ、俺はご飯の用意するから猪肉の処理は任せちゃっていい?」


「えぇ、こっちは任せて。ストイ・ボアの処理は慣れてるから。」


「あたしも手伝うわ!まずは何からしたらいいかしら!」


「ウチはお料理手伝うのー。」


「ありがとーテト。じゃあ鳥の羽をむしってもらおうかな。ニコは野草を洗ってくれる?」


「ん!」


「羽をむしるのは得意なのー!」ブチブチブチブチィーーーー!!!


物凄い笑顔のままに鳥の羽をむしりまくるテトにゃん。飛び交う羽毛。流石の野生児です。そんなテトにゃんをチラ見しながらそれぞれ担当となった作業へと移っていく。こっちの世界ではスタンダードな光景なんだろうか?ちなみに俺は兎肉の解体と、全体の総括調理が担当だ。隻腕の総料理長とでも読んでほしいがぶっちゃけ片手でやりにくい。

やってやれないこともないとスパスパと取り掛かってみるものの皮が全然うまく剥げない。剥ぎ取りナイフを当てるとにょるっと逃げちゃうのでとても困る。仕留めるのが一瞬のクセに皮剥ぐ時に逃げられるとかどうなってんの?食材になると回避率が上昇する仕様でもあるのだろうかと言いたくなるが実際は俺が不器用なだけっすね。そっすね。

仕方がないのでまな板に魔力を込めて変形させてみようと即席魔法『生活魔法(マギアズ・リベアン)』『形状変化(メタモライゼ)』を発動。大まかに分類すれば『送風(ドライヤー)』と原理は一緒だ。魔力と共に物質を動かすみたいな感じ?流石は生活の魔法というだけあって使い勝手がよくて万能感がパない。魔力の消費は空気より格段に上だけどまるで全能の神になったかのような気分になりかけるが俺は(じじー)(笑)のことが嫌いだった。やっぱさっきの無しな方向でおなしゃす。アレと同類になるとか勘弁なので人のままでいるのが何よりだ。

気を取り直して早速まな板に突起を作って兎をぶっ刺す。これで固定できたぜ~とウハウハしつつ解体を進めていく。ちょっとテンションあがって乱雑になっちゃったし穴もいくつか開いちゃったけどそこはご愛嬌だろう。固いお肉にフォークを刺しまくる手間が省けたと思えば上々だ。このお肉やわらかいけど気分だよ気分。

鳥肉はステーキみたいに焼いて拾ってきたキノコと香草を合わせてみるか。塩を利かせれば十分美味しくいただけるし、ちょっと余った分は叩いてつみれにしてスープに入れようと思う。兎肉は・・・うん、ステーキにしようと思う。レパートリーが少ないってクレームが入りそうな予感がヒシヒシとしてくるがちょっと待っていただきたい。

別に俺は料理人でもなければ自炊に全力を出してる家事系男子でもなんでもない文字通りの一般人だ。かまどと共に多彩な料理を学んだヘンゼ〇くんでもあるまいしそんなに調理方法を知っているわけがない。精々うまそうだなーとか思いながら料理番組を見てたくらいで知識なんかロクにないのは当然であろう。早速料理長の座が肩に重くのしかかってくるぜ・・・。


「こんなことならもっとちゃんとピーター・ラビッ○観ておけばよかった。」


《あの作品は児童向けの創作物語であってジビエ的な場面は一切ありませんが?》


えっ?違うの?なんか母ウサギっぽいのが子ウサギっぽいのを締め上げてる絵面が印象的だったから結構な勢いの猟奇でバイオレンスなカニバリズム的な作品なのかと思ってたんだけど?

カナデさんも俺の知識や記憶の中でしか知らないハズなのにピーター・ラビ○トについてしっかりと物語を教えてくれた。俺的にはテレビとかで見た覚えはないんだけれども、どこかしらで目にしたり耳にしたことがあったのかもしれない。どうやら基本的に窃盗とかのお話しらしい。誘拐もあるとのこと。わぁーぉ。どの辺りが児童向けの文学作品なのだろうか?俺にはちょっとわからない。


「そういえば山賊焼きって鳥を揚げるから山賊焼きってネーミングなんだってのを思い出した!」


《いまの会話の流れでどうしてそこに至ったのかがいまいちわかりかねます。》


窃盗ってフレーズからに決まってるじゃないか!鳥揚げる、からの取り上げる。だから山賊!諸説あるらしいがそんなもんらしいよ?まぁそれはいいとして、大切なのはここに猪の素材があるってことだ。こっから脂を取れば多少は揚げたりできるんじゃなかろうか?幸いその手のラノベは沢山見てたもの!

それこそズバリ異世界もののド定番、この世界には浸透していないであろうと思われる調理方法のおフライ様である。油が足りなければ揚げ焼きでも油通しでもなんでもいいからとりまやってみようそうしよう!


「ってことで調理方法変更で、鳥は揚げ!ウサギは焼きで!」


思い立ったが吉日生活とばかりにそこからは実にスムーズにささっと迅速に調理が進んだ。実際にはチマチマとした作業が沢山あったけど割愛です。脂もそこそこ確保できたので下処理も指揮棒(タクト)を振るかような優雅さで済ませて推定温度180°くらいの油へお肉を投入!じゅわーぱちぱちとオーケストラばりの演奏会を楽しんでみた。

他の面々はそれなりに驚いてたけど全体的に微妙な反応だった。えっ?普通はもっと驚いたりするシーンなんじゃないの?と思うかもしれない。俺も思った。だがしかしちょっと事情が違うらしい。理由は簡単。そもそも調理の知識が乏しいから大概の調理方法は未知のもの扱いらしい。少しばかり残念です。もっと女子力あげて出直して来いといいたい。君たちの女子力は息してないね。


「普段野営で簡単な調理をする以外は料理ってほとんどしないから、こういう調理方法もあるんだな~ってくらいにしか思わなくって・・・。」


とはハリンさんの談。テトにゃんは揚げ物特有の匂いに瞳と口元を輝かせ、ニコはそもそも作業が見えないのでぼーっと見上げてた。可愛い。ミリーはただただうっさかった。いやマジでうっさかった。


「お肉が!お肉がすっごい!何それ美味しくなるの?!お肉ってそうやって水に入れるものなのかしら?!」


と終始テンションあげぽよMAXだった。てか水じゃねーよ油だよ。お前さっき脂取ってたじゃん。俺それ受け取って使ってたじゃん。反応のよさで言えばコイツが1番っちゃ1番なんだけどやっぱなんか違うな。コレじゃないんだよコレじゃ・・・あとテトさんや、ヨダレは拭きなされ。


「んー、こんなもんでいっかな?今日のご飯の完成でーす!」


調味料が全然ないのが不満で不満で仕方がないがそれは追々どうにかするとして、いまはこれが精いっぱいとばかりに晩御飯タイムに突入。ちなみに山賊焼きは作ってないです。調味料も材料もないしね。仕方ないよね。うん。


「ふむふむ。有り合わせの材料で作ったにしては上出来かな?ローズマリーっぽいのとタイムっぽい香草が見つかったのは幸いだったな。」


ゆったりとした雰囲気の中、自身で作ったステーキの香草焼きを楽しむ優雅なじかn「なにこれなにこれ??!ありえないふふぁいおふぃふぃー・・・んぐ!!ばけぼーーー!!!」・・・。


「あのなミリー。口に物突っ込んだまましゃb「サクッサクなのにじゅわーって!じゅわーって!!ねぇねぇ凄いわ!ソウさんこのガーモのお肉ってどうなってるの?!いままでこんなの食べたことないわぁ!!」・・・。」


「ソウ!ウチこの鳥のが凄い好きなの!カリカリのふわふわでじゅわーってしてておいっしーの!!ふらい?ってすごいの!ソウすごいの!!少しだけすっぱいのと香りが強いのが入ってるの?それがまた美味しいのー!!」


「・・・あ、ありがとね。熱いからゆっくりお食べ。うん。」


どうやらテトにゃんはバジルっぽいのとゆずっぽいのを隠し味に使ったのがわかったようだ。流石は猫獣人。醤油も何もない分そういうところは頑張ってるんですよ?えっへん!ドヤァ

ニンニクのような風味があるものやコショウっぽいのが見つけられなかったのでそこら辺は要改善事項だ。


「んー!んー!んー!」


「あぁ、ちょっと頬張りすぎだよ。そんなにいっぺんに口に入れたら噛めないだろ?ほら、ちょっとだけぺってしちゃいなさい。ぺって。」


ニコがニコ専用に焼いた猪肉ステーキを限界以上に詰め込んだせいで咀嚼(そしゃく)できない状態になってしまっている。いとこが昔同じようなことやってたなーなんて微笑ましい気持ちになりながら見守っていると先ほどまで鳥の素揚げにがっついてた面々がウサギ肉のステーキにかぶりついた。


「な、なによこれ?!どうしてこんなに美味しいの??!ガツガツガツ!お肉を食べてるのに、お、お肉じゃないみたいじゃない!あぐあぐあぐ!爽やかな、もぐ。この風味が、もぐ、鼻を抜けていく感じがたまらないわ!いくらでも食べられそうよ!!」


「上に乗ってるこの葉っぱの香りなのかしら?なんとも言えないシャープな風味と独特な苦みがお肉の甘味と相まって複雑なもぎゅもぎゅもぎゅしてとっても美味しくていつまでも・・・んっく。噛んでいたいくらいに――――。」


「ふわぁ~・・・。ウサギのお肉が違うナニカになっちゃったの。肉汁とお塩と葉っぱが混ざり合って香りがすごく心地いいの~。むぐむぐ・・・。おぉいひぃの~。」


一生懸命作ったから美味しく食べてくれるのは嬉しいんだけど、なんでそんなにレポりながら勢いよく食べてるの?結構量があった鳥の素揚げがいつの間にか消えてるし。てかどうして街から持ってきたかったいパン食べないのだろうか。スープも用意したんだよ?イモっぽいのとしいたけっぽいのを入れたホントに簡単な~バジル風味柚子っぽい何かの汁をアクセントに~のスープだけどもつみれも入ってるんすよ?


「ずずず・・・ん~やっぱコンソメもない塩とハーブとゆずもどきだけじゃこんなもんか。せめてソーセージでもあればもう少しマシだったんだろうけど、香辛料が無い。だけどもお試しで作ってみようかなー。」


「これもなの?!これも美味しい!美味しいわ!ちょっとソウ!なんでいままでこういうの用意しなかったのよ!ていうか足りないわ!おかわりちょーだい!!」


「なんでって、東の森には動物もいなかったし香草もなかったじゃん?果実もキノコも採れなかったし。結構色々使ってんだけど、これ?」


「そうなの?ただお肉を焼いたりしてるだけじゃないのね?気付かなかったわ!」


「いやそこは気付こうよ。ガツガツ食べるだけじゃなくてどうやって調理されてるかとか、味付けはどうやってるのかとか少しは興味持った方がいいよマジで。」


「そうね。私もミリーちゃんと同じでそういったあむあむところまで気が回ってなかったわ。しっかりと学んで自分でもあつつっ活かせるようにしてかないとよね。フーフー、ずずずずー。あ、おいしっ。」


食べながら真面目な顔して話すハリンさん。見た目と違ってフリーダムなお方だったんですね。


「ウチも料理覚えるの!たくさん覚えて美味しいのをソウに食べてもらいたいの!」


「うわマジ天使!ウチの娘の天使具合がヤバい可愛い!!抱きしめてクンカクンカしたくなるのも致し方ないだろう!さぁ、天よ!地よ!我が愛妹の愛らしさにひれ伏すがいい!ふーはははははははっ!!」


ありがとうね。テトにゃんにそういってもらえて嬉しいよ!


《マスター、セリフが逆になっていませんか?》


「おっと、つい本音が。失敬×2。」


「「「クンカ・・・?」」」


ちょっとばかし心の声がだだ漏れてしまったが世界中の誰もが思うことだから問題はないに違いない。気にしない方向で軽やかに(かわ)そう!言われた当人も意味がよくわかってないみたいだしスルーするー。


「てか君ら食べるの早くない?まだいただきますしてから数分(ちょっと)しか経ってないのにもうなくなっちゃうの?」


「こんなちょっとしかないんじゃ仕方ないじゃない!美味しいのが悪いのよ!おかわりはないの??」


「ウサギも鳥も全部使ったっつの。そんなに食いたきゃ猪肉でも焼いてやるからちょっと待ってろ。」


「わ、私のもお願いしてもいいかしら?」


「ウチも食べたいの!」


その後、タンパク質ばかりを所望する肉食系女子たちのためにお肉焼きマシーンと化した俺は、バラとロースとももをせっせと焼いて焼いて焼き続けた。なんで片腕しかない俺にやらせるの?自分らでやってよ。え?自分でやると固くなる?知らんがな。俺と同じように魔法を使え魔法を。料理に魔法使うとか常識だろ常識。


《『生活魔法(マギアズ・リベアン)』は文字通り生活に用いられる程度の魔法で、火をつけたり水を操ったりする程度の使用例が殆どです。マスターの様に微に入り細を穿つ扱いをしている者は魔法に長けた極々一部に限られています。》


?魔法だなんて便利なものがあるんだから使うのが当たり前だと思うんだけど違うのだろうか?異世界魔法がよくわからない。


「ふはぁ~、もうお腹いっぱいよー。これ以上食べらんないし動けないわ。」


「わ、私も・・・うぅ・・・ん。」


「ふむ~、やっとか。いくらなんでもフードファイトしすぎだろお前ら。しかも動けないとか?片付けする気すらないとは恐れ入る。」


「ウチまだ動けるのー。食器お片付けするのー。」


年長者2人がダウンする中、小一時間前よりお腹をぽっこりさせたテトにゃんが申し出てくれた。同じくらい食べてたけどまだ動けるテトにゃんが凄いのか、2人がただただだらしないのか。


「ありがとーテト。キレイになったらこっちの布の上に並べてくれる?」


「んー?」


「ニコも手伝ってくれるのか、ありがとー。じゃあ、お鍋おさえててくれる?そうそうそんな感じで。」


結局片付けは月城家でやることになりその他はうんうん唸ってるだけだった。なんの役にも立ちゃしない。かの空族、ド○ラお母ちゃんだったら蹴り飛ばしてるレベルの怠惰さである。ここにきてハリンの株価が急暴落。タヌキ?タヌキの株なんか初見で破り捨てるに決まってますがなにか?あんなもんレシートよりも価値がない。

片付けを終え寝床も整えた頃になってようやく動ける程度に回復した2人に「見張りは頑張るから!」とか言われたが既に結界を張っているので丁重にお断りをしておいた。必要ありませんので結構です。


「うぅ・・・あのゴミでも見るかのような眼が・・・眼が・・・。」


「全然役に立ててないわ・・・食べて寝てるだけなんて・・・。」


「はいはい、ブツクサ言ってないでさっさと寝る準備寝る準備!夜更かしは身体によくないので許しませんよー!」


我が家のペットの馬たちに餌をやりつつ就寝時間準備を促す。テトにゃんとニコはブラッシング中だ。


「お湯はあっちに用意してあるから身体さっさと拭いてくれ。あとがつかえる。」


いま馬たちを世話してる(がわ)から見て荷台を挟んだ反対側にお湯を用意してある。これなら裸を見たりしないから安心だと思ったのもつかの間。なんとたき火のすぐ近くで服を脱ぎ始める2人。をいをい待ってくれよセニョリータ。そっちの趣味があるのかい?見せたいと言うのなら気兼ねなく見ますが恥じらいがないとそれはそれでつまらないよ?


「おいそこの痴女2人。なんでそこで脱ぐんだよ。あっちの荷車の向こう側にお湯用意してるんだからそっちで脱げよ。男の前で簡単に服を脱ぐな。」


「まーた言ってるのね?あんたみたいなのが男だって言っても誰も信じたりしないわよ。いい加減やめたらそれ?」


「あ~そういうことなのね?確かにソウさんみたいに一見強そうに見えない人が旅をする際は色々と危険が付きまとうからそういう設定があった方がやりやすいと思うけど、ちょっとムリがありすぎるわね。男の人にはちょっと・・・う~ん、見えないわねぇ。」


上半身真っ裸の半裸族がなんか失礼なことを言ってやがる。何度男だと言えば理解できるのだろうか?俺はTS系主人公じゃないんだっつーの。てかハリンさんてばミリーよりも・・・ない、だと?ミリーがA寄りのBくらいだとするならばハリンさんはAA寄りのAと見た。絶壁とは言えないがかなりささやかであることだけは間違いない。流石は斥候職。身軽が身上なんですね、わかります。


「ぱっと見俺が女に見えるかもしれないが俺は普通に男だからな。ちょっと諸事情があってこんな(なり)と声してるが19歳男性冒険者だ。住所は不定。お前らちょっと警戒感足りさすぎるぞ?もっと女性としての恥じらいとか色々持てよ。」


「アンタ相手に恥ずかしがっても仕方ないわよ!この間も一緒に水浴びしたでしょ?何を今さらって感じね!」


両手を腰にあてて胸を張りだすタヌキ娘。ぷるるんって感じ。ぷっくらツンツンまで丸見えなんだけど焚き火に照らされちゃってるからどうやっても隠せそうにない。アニメだったらどうやって誤魔化すのか考えてしまう明け透け感。タヌキの絵でも貼ってお茶を濁すかアングルを頑張ってギリギリ先っちょが見えないようにするのか妥当か?ポンポコお腹は隠しきれないだろうけど。


「体型的なことだけを言えば私とそう・・・変わらないし。す、スレンダーなのも可愛いわよね!」


・・・ダメだ、イケないハリンさん!それは最悪の刃だ!君を深く傷つけかねない魔剣のような切れ味を持つセリフだ!だ、だって・・・男と同等のスタイルって自爆ってますですのことよ?大丈夫?

自身のお手てでぷよって持ち上げているのにも関わらず、寄せて上げる効果が全然見受けられない。やめるんだ!自分を傷つける行為をこれ以上しちゃあいけない!!およしになって!


「・・・服脱いだんだったら早く行きなヨー。年頃の女の娘が身体を冷やしちゃイケないヨー。」


「それもそっか。ミリーちゃん、冷えちゃう前にいきましょ?」


「そうね!行きましょ!」


仲良く下まで脱いでから駆け出す両名。おいこら人の話し聞いてなかったのか?お尻を人にさらけ出して走り回るんじゃありません!


「テト、悪いけどあいつらの着替え持って行ってやってくれない?裸でうろちょろされちゃ困るし。ついでに石鹸も渡してやって。」


「はいなの!」


元気よく駆け出していくテトにゃんを見送ってから餌とブラシをお片付け。これで今日の残作業は全部終わったかな?紙がないからTodoリストも作れなければ簡単なメモ書きもできやしない。


「でも多分やり残しはないハズだ。沐浴というか身体拭く順番が来るまでちょっとゆっくりしてよっか。」


「ん。」


ニコと一緒に焚き火近くに腰を下ろす。今日も色々あって疲れたなーと思いながらおもむろにフレッシュハーブティーを作る。まぁ余った草で作る茶だ。細かいことはわからないから適当に。


「加減がわからないけど多分出来てるハズ。ニコも飲む?」


「んっ。」といつもの返事を返してくれたニコにもハーブティーをお裾分け。爽やかな香りが良い感じの仕上がりになったような気がする。まずくはない、かな?ゆずっぽいのの皮を削ってホンのちょぴっとだけ足してみるか。柑橘最強。


「ふぁー・・・。」


「ほっこりするねぇ~。こうも静かだとオートキャンプ場にでも来てるみたいな気がするよ。こっちの星はすげぇ見えるなー。」


『視覚強化』の恩恵とか関係ないほどに広がる満点の星空。やっぱり星の配置は違うんだろうけど元々そんなに知ってるわけでもないのでキレイだなぁなんて月並みな感想しか浮かんでこない。そういえば月ってこっちはどうなってるんだろう?と首を振ってみると裸の少女が駆けてきた。森の中の非日常感ってやつはすげぇパねぇな?仕事しすぎだろ。


「ソウー!アレ貸してアレ!あの髪がツルツルになるヤツ!」


星降る夜にのどかなティータイムを楽しんでいたところ、闖入してきたのは泡まみれになったタヌキ娘だった。雰囲気ぶち壊しだよお前。元気に揺れる小山も見慣れちゃったらどうするんだよ。俺はまだ純心(ウブ)でいたいんだが?


「シャンプーとリンスなら荷車に積んであるからそれ使え。あと、この森は俺らの貸切ってわけじゃないんだから裸でうろつくな。文明を意識しろ野生児。」


「いちいち細かいわね!・・・でも言われてみればそうね。あたしたちしかいないと思ってたけど他にも人がいるかもっていうのは考えてなかったわ!ハリンにも伝えてあげなきゃ!」


ドタドタと再び洗い場へと駆けていく。わかったと言いながら少しも隠そうとしないその生き様はむしろ(おとこ)らしささえ感じるほどに恥じらいを感じない。既にミリーの女子力は息絶えたか。


そんなこんなで緊張感の欠片もない野営(キャンプ)を楽しみこの日は就寝。冒険臭がしないのはきっと多分良い事なんだろう。あ、ちなみに沐浴は俺だけ単品でしたよ。ちゃんと最後に入ったし。

何故一緒に入らないかと疑問に思う方々もいらっしゃるだろうが、どうかわかっていただきたい。俺は見られるのが恥ずかしいのだ。見るのは恥ずかしくないんだがこればっかりはまだ踏ん切りがつきそうにない。なのでショニタン以外は俺の裸を見た人物はいないハズだ!

そして迎えた翌日。屋根がないし壁が一部ないせいで冷え込んだ荷車内にて目が覚めた。どうやら結界は反応しなかったみたいだ。平和で何より。


「てかこんだけ寒いのになんでミリーはパンイチなんだ?あいつはこの恰好じゃないと寝れないんだろうか?」


朝陽に照らされた白い肌がキラキラと映える。黙って寝ていればそれなりに可愛くある顔もテカテカと・・・ってヨダレ垂れ過ぎ。うわっ、カピカピになってる。まだ乾いていない部分と乾き切った部分とで要らないコントラストを見せている。はぁ、身体が冷えてないか確認だけしてやるか。

ゆっくりと近づき呼吸に合わせて上下する心臓の近くをまさぐりまさぐり「んっ・・・ふっ・・・。」何か言ってる気がするが寝言に違いない。んー、マンダム。いや違うそれが目的じゃなかったわ。思ったよりも冷えちゃってるから毛布(マーグル婆さんの)だけでも掛け直してやろう。俺や()しい。

ハリンさんはとみてみると、メチャクチャ端っこで寝てた。角にハマって一体化でもするのかと思うくらいにぐいぐいと端を攻めている。とりま部屋のスミスの称号を差し上げよう。テトにゃんとニコは抱き合って寝てるから暖かそうだ。羨ましい。俺も混ぜて欲しいが、余計な感触を楽しんだせいで眼が冴えてしまったからなぁ。朝食の準備でもして待ってるのがいいのかな。

荷車を降りて結界の様子を確認する。問題無く継続稼働中のようだ。火が途中で消えたりしないか心配だったけど、結界の維持に火力を奪われてるのが原因かは定かではないがまだ木材が燃え尽きていない。そんな特典があったとは知らんかったわ。それとも異世界は木材の根性が凄まじくて中々燃え尽きないのだろうか?木なのに気合で【耐性:火】。・・・そんな訳ないか。

適当に枯れ木を追加してから鍋を火にかける。昨日のスープの残りに同じく昨日余った猪肉に塩塗りたくって置いといたヤツを直火で炙って投入。燻製じゃないけどアクセントにはなりそうな予感。てかなってくれ。


「あとはお茶でも用意すればいいかな?水も魔法で作ればいいか。『生活魔法(マギアズ・リベアン)』『集水(ウー・ザンメール)』。」


他の『生活魔法(マギアズ・リベアン)』と同じ様な感じでいけるだろうと魔法を発動してみる。周囲の空気に魔力を浸透させて強制的に水分のみを集めるイメージだ。水蒸気を集めまくって水を作る!


「・・・あ、あれ?めっさ魔力持ってかれる?なのに全然水出来ないぞ??」


お茶を作る為に水を集めたかっただけなのに何この疲労感?!そして徒労感!万能無敵の魔法を駆使して周囲一帯の水分を集めたのにコップ一杯程度しか集めらんなかったんですけど?!


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・。ど、どうなってんのコレ?ラノベじゃ周囲の空気から水を生み出せば魔力消費を抑えられるって言ってたのに!全然ツラいし集まんないんだけど?」


《『生活魔法(マギアズ・リベアン)』では当然かと。普通は少量の水を操る程度しかできないハズの魔法で水を生み出せばそうなります。》


「・・・は?操るだけ?それってどういう・・・?」


《空気中から水を創り出すのには通常、水精霊の助けが不可欠です。だというのに、マスターが『生活魔法(マギアズ・リベアン)』にて水を創り出している事実に驚きを禁じ得ません。》


「・・・つまり?」


《異常なことをしているので通常よりも魔力を消費するのは当然です。むしろその程度の消耗で実現しているということがおかしいと思います。》


拝啓、異世界にいつか転移転生したいと思っている全ての皆々様へ

どうやら渡る世界によって、僕たちの常識が常識として通じないこともあるようですのでお気を付け下さい。

あと、非常識なことをするととーーーっても疲れますのでご注意ください。まる。  かしこ


《そこは敬具で締めくくるべきかと、マスター。》


うぐぅっ。ナチュラルに思考を読まれ、心の便箋にまで添削を受ける・・・これが一心同体ということなのか。誰か・・・プライバシーをプリーズミー・・・。

お読みいただきありがとうございます。

切る!焼く!喰らう!!の漢真っ盛りの展開になるハズが、肉食女子会へと変貌を遂げてしまいました・・・な、なぜなにどうして?!

獲物はしっかりと冷やしたことにより血の鮮度が落ちることなく上質な味わいに。

各種ハーブでより香り豊かに。

どこが漢料理なのでしょうか?

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