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狩猟本能が目覚める時、知能指数が下がるといいます

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第77話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

主人公はボッチ君

馬車のある旅~お尻を割られる少年編~

初めての野営地造り

前略、色々と段階を飛ばしてまずは自分にツッコミを入れたいと思います。俺氏バカ野郎この野郎少しは考えてから頭を使えと言いたいんだけど!?マジでなんなのお前?なんで真っ先に周囲にいる可愛い女の娘探す魔法とか考えたの?お前バカホントバカな!死ぬのお前?死にたいの??

つい先ほどまで真剣になって要らない魔法を考えていた俺は流石に頭ワロスと言わざるを得ない。だってそもそも()()()という概念というか定義というか、対象そのものの判定方法すら決めることができなかったんだもん。可愛いの範囲が複雑で煩雑で不可思議怪奇なのが難しすぎたんだい。くすん。


《あろうことか目的定義ではなく用件定義の難しさにつまずくとは恐れ入ります、マスター。》


「いやでもだって!実際問題難しいんだって!単純に可愛いって言っても色々あってケースバイケースじゃん?見た目にしても中身にしても!普段は全然可愛くないのにちょっとした時に「えっ?やだちょっと可愛いかも(ポッ)。」とか思う時とかあるじゃん!それこそ森羅万象を見通す鑑定とか解析とかを使わないと判定材料を探すのにも難儀するんだよ?ヤバくない?」


《ヤバいのはマスターの頭です。普通ならばそもそも可愛い女の娘を探す魔法ではなく、周囲にいる人間、ないしは生物の居場所を探る魔法を考えるものだろ少しは頭を使えよ。その頭はなんのためについてんだ?飾りなら捨てちまえよソレ・・・です。》


ちょっ!カナデさん怖い怖い!!急に強い言葉を使われたら俺君ブヒッちゃう!心ときめいちゃうんですけど?!


(ていうかカナデさん!ニコがいるんだから急に言葉で攻めてこないでよ!そういうのって情操教育上よくないと思うんですけど!思わず顔がゆるんじゃうとこだったじゃん!)


《気持ちが悪いです、マスター。誹謗中傷されて喜ぶような豚にだけはならないでください。それとも既に手遅れですか?死にますか?》


いつになくグイグイグサグサと俺のガラスのハートを攻め立ててくるカナデさん。氷点下の眼差しで(さげす)んでくる様が幻視される。このままではカナデさんのデフォがキツい系お姉さんで固定されかねないし俺が変態の(そし)りを受けるのを()められない()まらない。


「冗談だよ冗談。いや、魔法の方はちょっと本気だったけれども・・・ちょっとだけだよ。うん。でも仮に夢の探知魔法が完成しても真っ先にニコに反応して終わっちゃう可能性が高いから使えないっちゃ使えないか。」


というのも今現在考えている魔法はどうしても条件式が複雑になってくる分、広範囲・無差別・長時間の運用は現実的ではなくむしろ超限定的な運用にならざる得ないだろうからである。

具体的に言えば術者(おれ)を始点にして近い範囲の人物から順に精査をかけていって、可愛い女の娘を見つけることができたらその結果を返してくる。ここくらいまでで多分ギリギリ冒険級に納まるかどうか。下手したら魔道級いっちゃうかもしれんレベルの高等魔術になると考えられるからだ。


「少なくとも『生活魔法(マギアズ・リベアン)』では再現不可だろ。自動(オート)判別じゃなくて手動(マニュアル)判別にして、更に術の発動中そっちの情報処理にかかりっきりになればホントにギリッギリでできなくもないかもしれないくらいだけれども、そんなに諸々の情報処理にかかりきりになるならわざわざ魔法的に判定しないで直で見るか映像だけ飛ばして見て確認するかで判断つける方が普通に早いし。」


《そこまで真剣に考えられていたのでしたらカナデはもう何も言いません。いえ、言える言葉が見つけられません。》


カナデさんに呆れられてしまった。なんでだろう?テトにゃんを探す魔法を考えたら真っ先に思い浮かぶ魔法だろうに。解せぬ。

その後、20分くらい歩き回っても全然見つけることが出来ずに途方に暮れ始めたのでオーソドックスな探知魔法を開発した。なんの面白味もないただの『集音探知(アセンブルサーチ)』だ。


《初めからこちらの開発をすればもっと早くに合流ができたと思うのですが。》


「え?だって別に急いでないし?それに、たまにはニコと兄妹水入らずでいたいって願望もあったし仕方ないじゃないか。な、ニコ?」


「ん。こえ、あみゃい。」


道すがら見つけたブドウっぽい見た目をした果物をモゴモゴと口にするニコ。お口の周りが紫色の汁でベタベタになってしまっているが、そこがまた可愛い。手近な布で拭いてあげようゴシゴシゴシ「・・・んぷ・・・あぅっふ。」。


《・・・マスター、四時の方向180m付近にそれなりの大きさの足音を検知。詳細は不明です。》


「あっちか。ありがとうカナデさん。」


はたから見たら俺は森の中で幼女の世話をしてるだけのただただ善良なお兄さんに見えるだろうが、これでもちゃんと探索をしていたりする。もちろん先ほど完成させた『集音探知(アセンブルサーチ)』の魔法でだ。

この魔法は費用対効果がとても優れていてめっさ省エネでしかも有効範囲も広い。いや、広いというか長い?字面から見てわかると思うが音を使って探知(サーチ)をかけてる異世界ものの定番みたいな魔法だやっほい。簡易レーダー的な?すいません見栄貼りましたレーダーと違うです。あんな格好いい画面とか出せませんごめんなさい。

簡単に説明すれば俺を始点に扇状15°程度の範囲に絞って音を拾っているだけの魔法だ。それをぐるぐるっと回して全方位をカバーする仕様。回転速度はそんなに早くないので超速で接近された場合は役に立つか微妙な魔法だ。しかもカナデさんがいないと全くと言っていいほどに役に立たない魔法でもある。


「だって単純に効果範囲の音を増幅するだけだから細かい判断俺にはムリぽ。」


《少しは情報を得る努力をしてください、マスター?》


カナデさんは簡単にそういうがそんなに簡単なことじゃないんだってば。言ってみれば集音マイクみたいなものなので別に拾いたい音だけを狙って拾っているわけではない。なので音の判別が非常に難しい。困難を極めると言っても過言ではない。

集音範囲を絞ったのでざっと200mくらい先までの音が拾えるがその分雑音がマジでパない。渋谷のスクランブル交差点付近で電話するくらい無謀なノイズ加減である。行った事ないけどきっとそれくらい五月蠅いっていうイメージねイメージ。うん。


「とりま音拾えた方に行ってみようか。ニコ、俺の後ろから出てきちゃダメだよ?」


「・・・んく。あい。」


未だにブドウ(仮)に夢中なニコさんを伴って足音?がした方向へと足を進めていく。これがテトにゃんたちかはわからないが近付かなければ判別も不可能ときたら近付く他ないだろう。『集音探知(アセンブルサーチ)』、マジ中途半端すな。


《誤差修正、正面左に11°。目標まで100m切りました。》


「おk。『気配知覚』と『魔力操作』の複合も精度あげよう。」


《・・・対象の魔力波長を特定完了。どうやら魔物ではなくただの猪のようですね。ストイ・ボアと呼ばれている種類です。》


マジか。モンスター以外の生物(虫や木以外)に森の中で出会うのは初めてかもしれない。思えば東の森は全部モンスターだったもんなー。こっちの森はこんな感じで普通の動物も生息しているってことか。合ってるよね?多分。


「そんじゃ狩ろうか。食べれるもんね?そいつ。」


《はい、マスター。食用肉として一定の需要が見込めます。ただ、魔物ではないとはいえ猪は生命力と力が強いのでご注意ください。》


「はーい。んじゃ、ちょっと行ってサクッと狩ってくるからニコはここで少しだけ待っててね。」


「・・・ん。」


少し寂しそうな感じのニコに後ろ髪を引かれる思いのままに駆け出す。足場がいささか悪いが『姿勢制御』がある俺にはなんくるないさーとすぐにストイ・ボアへと接敵。もちろん潜伏系(スニーキング)のスキルなんかないが、俺には現代日本(むこう)で培ったモブ男(ヂカラ)がある!きっといい感じに気配やらなんやかんやを消しつついい感じに近づくことができたハズだ!

その証拠に標的(にく)は俺に気付いていない!なんか食ってるのか探してるのかしらんが鼻を地面に突っ込んでいらっしゃって忙しそうだからそのせいかもしれないがここは俺のモブ(りょく)が発揮されたことにしておこう。

近くで見ると<ピアド・ボア>よりずっと毛並みが悪くみすぼらしく見えるが実際はこんなもんかと思いながらそのまま背後からソロソロ近付いてロングダガーちゃんを一振り。スパッと開血(かいけつ)ゾロリっと血液が出てくる出てくる。魔力強化もなしに首の1/3ほどに切れ込みを入れることに成功したので足元がすんごいことになってる。思った以上に切れ味よかったんだなダガーちゃん。

念のため少しだけ離れて様子をうかがっていたが激しく暴れまくっていた以外はそれほど時間もかからずに倒れるストイ・ボア。致命傷受けててもこれだけ動くのは完全に予想外。離れててよかった。しっかり仕留めたことを確認してからニコを回収。2人で協力して後処理開始。後ろ足を蔦で縛って枝を使った逆さ吊り。ニコさんに大層お助けいただきました。縛るのとか片手だとツラいねん。

血抜きに時間がかかりそうなので内臓だけ取り出しちゃうか。臓物ばらまいとこう。周囲の害獣たちへこっちは好きなだけ食っていいぞっていう無計画的な計画だ!サクッ開くとドバっと出てくる。内臓の通勤ラッシュやー!!みたいなー?


「うげっ。思った以上に臭い。これはもしかしなくても早まったか?」


軽い気持ちで一狩りしてみたが、俺のレベルとスキル構成だと簡単に殺れちゃうことにまずびっくり。ついでテトにゃん探し中なのに余計なことしちゃう自身の無計画さにびっくり。知らない内に俺も随分とバイオレンスになったものだ。ついこの間までレベル1でビクビクおどおどしてたっていうのに知らない内に捕食者になってた。人間の適応力ってすごい。お前人間じゃないだろってツッコミは受け付けません。


「んー。ソウ、これ、食べないの?」


外套(マント)をクイクイしながらニコが問いかけてくるが処理が終わってないからまだ早い。いやそうじゃない。先に合流、次に処理な?ニコや、その涎はしばしの間しまっておくれ。いまはまだ食べれないんだ・・・。


「ん・・・わか、た・・・。」


見るからに落ち込むニコ。心なしか眼の光がなくなっていくような気さえする。


「これはまだ下処理の段階でまだおいしくないんだよ。ちゃんとご飯の時に食べれるようにするからもう少し待てるかな?」


「・・・ん!おいしいの、待つ!!」


おぉ、ニコのハイライトが帰ってきた!しかしそうなるとこの肉がそこらの動物やモンスターに盗られないようにしないとイケないって問題が浮上してきたな。横取りされたらニコの眼が死んだ魚になってしまうかもしれないしどうしよう?てかチラチラ内臓見てるのはなんで?ニコさんそっちは食べれませんよ?


《マスター、匂いに釣られたのか<ウィード・ウルフ>が数匹こちらへ向かってきています。》


「おっふマジでか。てなると風下の俺らが歩いてきた方面か。」


どうやら強烈な内臓の匂いに誘われてワンちゃんたちが駆け寄ってきたみたいだ。いくらなんでも早すぎる気がしないでもないが、たまたま近くにいたんだろう。仕方ないので『炎弾』を用意して迎撃していくとしよう。先着は<ウィード・ウルフ>が4匹?4頭?相変わらず数え方がわからんがこれくらいなら無問題。


術式(コード) 冒険級火属性(アーベント・フレイム) 実行(ラン) 火の精霊(子ら)よ 我が魔力(マナ)を糧に、30の炎弾を成し、回り、(めぐ)れ 全弾装填(オーラデュー・ロード) 我が敵を(ヤー・イニミークス)射ち貫けグラナーテペネトラート 炎弾(フレイム・バレッタ)


貫通力特化の『炎弾』なら森の中で飛び火する可能性はほぼないから扱いが気楽でいい。


2つの弾よ在れ(ツヴァウ・バレティア)! 基準点を構築(サテラルピット) α(アルファ) β(ベータ) 発射(ファイエル)


遮蔽物が多かろうが基準点を併用すれば射線を通すのにもそんなに苦労はないもん。見通しが悪いから奇襲を気にしないといけないのは面倒だがそこはカナデさんとニコがカバーしてくれるから大丈夫!

早速出くわした<ウィード・ウルフ>を筆頭に次々現れる害獣をバッタバッタと倒していこうかと思ったのも束の間。急にティンと来た!これピンチじゃね?!!


「てか血抜きにばっか気を取られてたけど1番気をつけなきゃなのって温度管理じゃん?!お肉の近くでこんなに火を使ったらアウトじゃね??!」


俺は詳しく知らないが、肉が臭くなる理由の大半は体温高いまま放置することだってどこかで聞いた気がする。この世界もそうなのかよくわからんがもしそうならこの猪肉クソまずくなってゴミと化してしまうという可能性に満ち溢れているということになる。それはマズい。不味いのは拙い。ニコに美味しくするって言ってしまったではないか!


「どうしよう?!水系の魔法持ってないし!送風なんかじゃ全然じゃん!!」


無い頭を絞って真剣に考えねば!えっと!えっと!温度下げるなら何が使える?何ができる?!高速回転する俺の脳内には様々なラノベ作品が浮かんでは消えていく。お前らはいいよな!時間停止系のアイテムバックとかマジチートだし!卑怯だ!ずるい!俺にも寄越せ!!


「・・・チート?はっ!そうだ!その手があったか!」


今まで読んできた作品の登場人物たちを一通り羨んでついでに罵倒して(さげす)んでからようやく気付いた!俺もチートを持ってたことに!てことで早速氷を召喚だ!メニューを見るととても安い!それもそうか。大体世界の寒いところには普通にあるもんだし。

よし、そうと決まれば効率を考えよう!氷が使えるなら話しは早いとばかりにロングダガーちゃんをライトセー○ーにして手近な木を伐採伐採。これを使って木樽を召喚。そこに氷を召喚&投入してから猪肉を解体してぶっこんだ。


「この上ないほどに冷えることだろう。」


こうすることにより肉が冷え、腐敗が止まる。熟成はできなくなるが臭くなるより万倍マシなことだろう。いやぁ~俺ってばやればできる子だねホント。倹約しつつもしっかりと結果を出せるこの有能さが憎いね!

その後、内臓や血肉の匂いに釣られて襲いかかってきた<ピアド・ボア>と<ウィード・ウルフ>、<ピクシー・ゴブリン>を返り討ちにしてやって角猪をホクホクと冷水にドボンした頃になってようやく冷静になれてきた。


「・・・要らない内臓とか肉とかばきゅろう。」


これにて余計な匂いが周囲に舞うことがなくなり襲撃者はパタリと止んだ。初めからこうしておけよと天からのツッコミが入ったがどうか許してほしい。狩りとか初めてやってん。気付かなかってん。テンパっててん。


「さて、それじゃ樽に蓋したらテトたち探しにいこっか。」


「ん!テト、さがす!!」


ニコ様が俄然(がぜん)やる気になられた。これはさっさと探し出して肉を食らおうということに違いないだろう。なんだかんだでもう夕方になろうとしてるしな。夕飯の準備も進めていかないとだ。

なんとなくニコの先導にくっついていきつつも『集音探知(アセンブルサーチ)』を駆使していたらカナデさんより《人っぽい何かを補足》との情報が入る。人っぽいって微妙なニュアンスだがいまはそれに賭ける他ない。


「んむ~?この魔力の感じは・・・ミリーか?」


向かって1時の方角60mくらいの所にミリーっぽい魔力反応を発見。なんかあいつ戦ってね?と思わせるくらいに激しい動きをしてたので気持ち駆け足で近付いてみるとミリーがいた。でも他に何も見当たらないが?


「おいミリー、何してんだ?」


「あっ!ソウ!いいところに来たわ!手伝いなさい!今日の晩御飯を捕まえようとしてるんだけど、コイツすばしっこくて!!・・・このっ!やっ!!」


晩御飯?ミリーは何を捕まえようとしてるんだ?ここからじゃちょっと見えないな?ガサガサ鳴ってるから何かがいるのは確かなんだろうけども。


「捕まえるって言っても何を捕まえるんだ?蛇とか蛙か?」


「違うわよ!丸丸太ったネズミがいたの!食べごたえもありそうだし絶対捕まえるわよ!!」


「嘘だろやめろよ!ネズミなんか病気とか色々怖いじゃんか!正気かお前!?」


「しっかり火を通せば平気よ!いままでお腹壊したことなんかない・・・わっ!!やった!捕れたわ!!」


鋭い眼光を放ちながら(やぶ)へと突っ込んだミリーが歓喜と共にげっちゅーしたのは、紛れもなくネズミだった。それもこぶし2つ分くらいのデカいやつ。キモいェ・・・。


「すげーヂューヂュー言ってるし。てかそいつ目が4つないか?大丈夫なの?それホントに食用なの??」


不安で不安でたまらない!なんでコイツはよりにもよって食料豊富な森の中でネズミなんか捕まえるんだ?!


「何言ってるのよ!食べられないネズミなんているわけないでしょ?目が何個あろうがネズミはネズミよ!」


《マスター、あれは<シデマース>という名前の魔物です。残念ながら食用ではない上に微弱ですが毒を有しています。》


「・・・はいアウトー。」


カナデさん情報が決め手となってあの気持ちの悪いネズミの処分が決まった。素直にミリーに話したらごねるだろうからここはスピード勝負だ。


「あーなんだそのぉ~ミリー、そいつ持っといてやるよ。こっちに投げな?」


「袋に入れといてくれるの?ちゃんと美味しく調理してよね!ハイ!」


体中に緑色の斑点が浮かぶ汚らしいネズミが放物線を描く。くるくる回る様は無重力遊泳が如し。コイツをロングダガーちゃんにぶっ刺して受け止め、瞬時にマイダンジョンにばきゅる。この間およそ2秒。コツはリュックの口を開いておくことです。まる。


「・・・えっ?な、なにやってるのよ!それって全部なくなっちゃう不思議なリュックじゃない!やだやだ!返してあたしの晩御飯!!」


(うるさ)(わめ)くな(さえず)るな!!あんなもん食料なんかじゃない!絶対だ!カナデさんにも聞いたが毒持ちだって言ってたぞ!あんなもん天地がひっくり返っても絶対に食卓になんかあげん!いいか?!絶対にだ!!」


大事なことなので2回言ってやったのに()りることなくワーキャー騒ぐ野生のタヌキに普通の猪肉と角豚肉は確保してあると教えてやるとすぐに態度を急変させた。「ちゃんとしたご飯があるなら先に言いなさいよね!」とかちょっとふざけた態度をとってきたので頭を引っ叩いておいたのは言うまでもないことだろう。てか野生なら毒とか気付けや。

こうして当初の目的とはまったく違う順番になってしまったがタヌキを隊列に加えてテトにゃん探索が再開された。途中でウサギを見つけたので仕留めたらミリーが大興奮してヨダレを撒き散らしていた以外は概ね平常運転だ。『炎弾』がまだ余ってるから多少離れてても見つけ次第仕留められるのは楽でいい。ついでにミリーが拾ってくるから移動も楽だ。


「この麻袋に入れておいてくれ。中に氷入ってるから。」


簡単に捌いたウサギをミリーに押し付けておくのも忘れない。だって荷物重いと色々大変なんだもん。


「まっかせなさいよー!あんたといると食べるものに困らなくてホントにいいわね!次は何が獲れるのかしらっ?」


「何が獲れるのかしら?じゃなくって自分でどうにかしようとは思わないのか?普段どうしてるんだよ『城砦の矛』は。」


「どうって言われても、うちは大体保存食とか野営地の近くで集められる物ばっかりよ?森の中に入るのも依頼(クエスト)がある時がほとんどだもん。護衛の任務が多いからそのせいだってバルムさんは言ってたけど。」


そういえばバルムさんたちが普段どんな依頼受けてるか全然聞いてなかった。でも言われてみれば適任か。全員が『魔硬』持ちなら武器を用意してなくても即応できるから対処できる幅がかなりあるってことだしな。


「でもお前らそれなりのランクのチームなんだろ?それだとかなり割高になるんじゃないのか?」


「その辺りの細かいことは良く知らないけど、いっつも複数の依頼をまとめて受けたりチームを分けて色んな依頼を処理したりしてるみたいよ?」


「ふ~ん?そうなのか。てことはギルド内ではそこそこ優遇されてるチームってことなのかな。」


あんまりギルドのことはよく知らないけど護衛の依頼は信用度が高くないと受けられないと思う。だって野盗が出たって嘘の申告して商人襲ったりとかできちゃうもん。それを複数受けできるってことは商人側と調整してるのかなんか知らんけどそこら辺バルムさん個人でどうこうじゃないだろ。依頼で街にいない時間も多いしギルド側が調整してるとみた。


「だから、ちょっとの間だけどあんたたちといられたのはラッキーだったわね!普段と違う経験もできたし、何より美味しい「『発射(ファイエル)』ものが沢山ってなになに?!また何かみつけたの??」


「キジみたいなの2羽獲れた。これも持っといてくれ。」


話しの腰をぽっきり折ったのに全然気にしないどころか嬉々としているミリーは欠食児童か何かなのだろうか?ちょっとバルムさんがちゃんとご飯を与えているか本気で心配になってきた。


≪マスター、かなり小さいですが人と思われる足音を補足いたしました。2時の方角、距離110mです。≫


「近いな。ここまで近くに来るまで気付けないくらい足音小さくしてるってことは狩人系の人かな?」


足音を消す気配りができる系の人が近くにいるらしいのでちょっと注意しながらゆっくりと進む。魔力判定してみたらハリンさんとテトにゃんであることが判明。知らない内にテトにゃんが一般人から狩人にクラスチェンジしてた件。

何やら狩りをやってるっぽかったのでミリーを黙らせニコと一緒になって「シー・・・。」とかやって待ってみる。


「・・・弦の音に敏感な動物は多いから、枯れ枝や木の実が落ちる音、鳥の鳴き声なんかに紛れるのがコツよ。」


キリキリキリ・・・・・・


「・・・・・・いま。」


カッヒュン――――――トッ


ハリンさんがテトにゃんに解説しつつもしっかりと矢を目標へと当てた。対象は大きな角を持つ鹿みたいな生き物だ。鹿(仮)は突然のことに驚いて跳ねるように駆け出すが前足の付け根付近刺さった矢のせいでバランスを崩してこけた。筋肉が刺激に反射反応したのが原因だろうと後になってカナデさんに教えてもらった。

そこへダッシュで近付いていき近距離から第二、第三射を浴びせるハリンさん。重点的に首の付け根と前足の付け根付近を狙ってるみたいだけどそんな執拗に矢で射らなくてもよくないか?と思うがこれがこの世界のスタンダードなのかもしれないのでただただ黙って見守っていた。


「これだけ射れば大丈夫ね。ディリ―はとにかく逃げ足が速いからしっかりと仕留めないと回収が難しいの。それにお腹の半分より下は内臓が詰まっててここを射るといっきにお肉がダメになるからそれも気を付けないといけないのよ。」


「首のここを狙ったのはどうしてなの?」


「四足の動物やモンスターは首の付け根が弱点なのよ。ここ周辺を大きく傷つけると動けなくなるからできれば狙っておきたい場所だから覚えておくといいわ。」


「心臓と首の付け根付近が弱点・・・覚えたの。」


どうやらテトにゃんはマジで狩りを学習するつもりのようだ。将来アマゾネス系肉食女子にならないといいなぁ・・・筋肉ムキムキの猫獣人とか妹要素なさすぎて萎えるもの。もはや猫である必要すらないだろう。

頭の中でちょっとだけ想像しちゃったテトにゃん筋肉ダルマver.は俺のメンタルに対して非情だった。何故か身長180オーバーのムッキムキで浅黒く、腹筋バッキバキのツヤテカ仕様のボディ建築家だった。顔だけいまのままのアイコラだったのもいけない。違和感が津波のように押し寄せてくる。


「・・・俺の大切な妹のために脳筋は避けねば・・・。脳筋だけはダメだ・・・。」


肉体派である獣人という種族がら万に一つでもそうなってしまう可能性が排除しきれないという不安に恐れおののいていると、今更になって虎獣人のオルル君との約束を思い出したがいまじゃないだろいまじゃ。

同じ獣人ということで連鎖的に記憶が掘り起こされてしまったがそういえば妹ちゃんを探すって約束してたの思い出した。あの時フラグは折りまくるって決意してたせいか記憶から排除することでフラグを折りにかかるとは俺の頭は随分とご都合主義のようだ。


「彼はテトにゃんと同い年だったハズだ。12歳って言ってたもん。つまりは種族的に早熟だとすればテトにゃんはこれ以上身長は伸びない可能性が高いってことだ。それなら仮に脳筋系になったとしてもさっきの想像のようにはならないってことか?せいぜい某国のクズネツォ○さんみたいな筋肉爆発系女子になるくらいか?あれはあれで完成されていると思うがそれとこれは別だろだって顔の造形(つくり)的にテトにゃんには合わないもん・・・・」(ブツブツブツブツ)


「ソウはどうしたの?」


「んー、考えてる。」


「さっき遠くから2人の様子を見てたら急にブツブツ言い始めたのよ。」


どうやらとても大切なことなので深く考え込んでる間にテトにゃんたちと合流していたらしい。この可愛くも愛らしいテトにゃんがいつか筋肉という名の鎧を身にまとうことになると考えると・・・うん、絶対ヤダ!それだけは阻止しよう!


「テト、いつまでも愛らしいテトのままでいてほしい!ありのままのテトが好きだ!!」


「えっ?えっ?ど、どうしたの?」


「俺はテトの容姿はいまのままが何よりも可愛いと思ってる!いや、もちろん成長しても変わらず可愛いというのは間違いないんだがそういう話しじゃなくてだな!あぁ!うまく言葉にできない!とにかく俺は可愛いテトが大好きなんだ!わかってくれ!」


「ふぇっ?!にゃ、にゃんでそんにゃこと??!う、うれしいけど急にどうしたの?ソ、ソウ?」


うまく伝えることができないのがもどかしいが、焦るテトにゃんが更に可愛いから俺G・J!やはしテトにゃんは可愛いにゃん!!もしもテトにゃんがでっかくなってムッキムキになったら時間を巻き戻す魔法でもなんでもいいからいまのテトにゃんを取り戻す方法を探し出そうと心に誓った。神にだってケンカ売ってでも勝ち取ってやろうそうしよう。

そんなどうしても伝えなきゃならない思いの丈を全力でテトにゃんにぶつけてみたら何故かハリンさんに微妙な顔をされた。なんでなのさ?


お読みいただきありがとうございます。

可愛い娘を探し出せる魔法を割りと本気で考えましたがちょっと実現にはほど遠くて挫折しました。

どなたか正しい条件定義をご存知でしたらその判定方法含めてご享受いただければ嬉しく思います。

雑魚狩りが得意な主人公がハッスルしてますが、適正レベル以下の狩場でドヤってるだけのただのザコですのでご安心ください。彼はチート無双キャラにはなれていません。地道で地味な努力型主人公です。

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