優しい時間、まったり?ご飯
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第73話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
っていつもの通りにやってる場合と違いますよ!ごめんなさい!半月近く更新できませんでしたー!ごめんなさーい!
連載再開いたしますので、改めてよろろですぅ!!
前回のあらすじ
ショニタンと世間話
借金0への転身
汚いタヌキの丸洗い
肉パ!
「あうぇ??あらしほーひぇら?」
「やっと起きたか。もう夜なんだけど?」
「・・・んー・・?ソウ?」
「そうだよ。ソウだよ。ってコレわかりにくいことこの上ないな。ほれ、いい加減起きろよ。あとヨダレ拭けヨダレ。ばっちぃぞお前。」
「えっ?えっ?な、なんであたしこんな?ソウの・・・や、やだもうっ!」
急激に覚醒したミリーが素早く起き上がって飛びのいた。ヤダとかいうなよ俺の方がもっとヤダよ。
「寝惚けるのもそれくらいにして、1回顔洗ってきたらどうだ?ヨダレかっぴかぴだぞ。」
「ミリー、おはようなの。お顔洗うなら一緒に行くのー。」
「えっ。あ、うん。ありがと。おはよう?」
頭に大量のはてなマークを浮かせながらミリーはテトにゃんに連れて行かれた。足取りがふらついてるけどテトにゃんがついてるからへーきだろ。
「さて、アホの子が起きたけどもういい時間だし解散しよう。あんまり遅くなると危ないし。」
「そうね。リーフは私が連れて行くわ。どうせ同じギルド寮ですし。」
それなら俺も一緒に!と名乗り出たのは同じギルド職員だという男性2人組だった。騒いでるうちにいつの間にか入ってきていた常連さんらしい。女性冒険者御用達の宿の食堂に入り浸ってる時点で色々と勘繰りたくて仕方ないけど大将との顔見知りならまぁまだ大丈夫そうだ。
「男性陣が送り狼にならないことを祈ってるけど、それとは別に夜道には気をつけてね。何かあったら大きな声出すんだよ。」
「ふふっ。ソウさんは心配性なのね。」
「身の回りの人にだけ、だよ。」
「心配してくれてありがとう。それじゃまた。」
「うん、またね。おやすみー。」
ミレーさんも相当飲んでたハズなんだけど見た感じ酔った様子がない。少し明るく振る舞うようになったくらい?リーフさんは一口でおかしくなってたからこの世界の人だからってイコールアルコールに強いとかってことじゃなさそうだ。個人的に強いのかな。
(・・・結婚相手探すの大変そうだな。)
ホンの少しそう考えると、背中がゾワッとした。
「か、考えるのはやめておこう。」
ミレーさんが去っていった方面から不思議な威圧感を感じたので思考を切り替えハリンさんの様子を見ると、女将さんにお水を貰いつつうーうー唸っていた。ミレーさん知り合いだろうに置いて行かれたか・・・逃げたな?
「女将さん、ハリンさん大丈夫そう?」
「いんにゃ、ダメそうだね。もう少し落ち着いたら部屋まで案内しておくよ。他のも一緒にね。」
女将さんの周囲を見ると、宴会に飛び入り参加した女性冒険者風味の方々が机に突っ伏たり倒れ込んでいたりした。年頃の乙女が多いだろうに散々な光景だ。無事なのはとっくに帰ってるらしい。みんな結構薄情なのな。
「そだね。女性陣の介抱はお任せするよ。数少ない男性陣は大将が早々に運ぶか帰らせてたし、あとはミリーの晩ご飯か。」
「それなら余ったもんを盛っておくさ。ソウさんはニコちゃんを部屋においてきたらどうだい?」
「マジで?ありがとう大将。丸1日食べてないだろうからあまりもんとかで大盛りよろしくー。んじゃニコ、上に行こうか。」
「んー・・・。」
まだ体内時計的には20時~21時くらいの感覚だがニコ的にはもう限界ぽいので一緒に席を立つ。この世界は夜が早い。明かり用の道具は色々あるけどコスト高いし。
「あ、ソウ!あたしまだご飯食べてないんだけど!」
野性を忘れたタヌキが現れた。食堂を出た所でバッタリ遭遇とはタイミングさんてば働き者だな。
「開口一番それかよ。晩御飯なら大将がいくらか用意してくれるって言ってたぞ。ちゃんとお礼言えよ?」
「ホントにっ?やった!流石はゴルドルさんね!ゴルドルさーん!」
ドタドタと地面を揺らすというか駆けて行くタヌキ。眠りタヌキしてた割に元気じゃんね?
「井戸のお水を飲んだら急に元気になったの。フツツカヨイ?って言ってたの。」
「二日酔いよ!あなたたち、やっぱりミリーちゃんにお酒を飲ませたのね!いったい何を企んでいたのぉ?」
今度はキリッとフェイスの不審者さんが現れた。趣味だと思うが床を這いながら。
「床汚いからやめた方がよくない?」
「あなたのせいでしょうが!」
ビタンビタン
芋虫のように暴れる不審者。
「さっきは暗かったからよく見えなかったけど、あんたそこそこケバいな。」
「ちょっと!そういうことは言わないお約束でしょう?!同じ女としてどうなのよ!」
「は?俺男だけどってこのやり取りもう何回目だよ。」
「???」
疑問符を振り撒く不審者。改めて見てみると30前後って感じで細身。タレ目がちなんだけどあんまり大人しそうな印象がない顔立ち。髪は結い上げてるのか?違うな。バレッタで止めてるのか。斥候タイプに見える軽装だけどそっち系の担当なのかな。
「ま、そこはどうでもいいとして、なんでミリーが酒飲飲んだってわかるんだ?」
「当たり前じゃない!ていうか知らないで飲ませてたのぉ?ミリーちゃんはお酒を口にするとどんなに少量でも丸1日眼を覚ますことがなくなるのよ!いつもは快活でハツラツなのに酔うと呂律が回らなくなってへにゃへにゃしちゃうのよぉ!そんなミリーちゃんも可愛いわよね?そうよねぇ?」
ハァハァと息を荒げる変態さんに、「いや別に」と割と本気で返したら凄い顔してた。青褪めるってどういうこと?だってタヌキだよ?
「・・・ん?あなたって、こうして明るいところで見るととっても美人さんね。はぁ、火傷の跡がもったいないわねぇ~。でも、身長が私より高い子は好みじゃないのよぉ。残念だけどごめんなさいねぇ?」
どうでもいいけど勝手にフラれた。はぁ?なんだコイツ。ムカイラするヤツだな!
「お前のような変態に好かれたくはないが、そう言われるのも腹立たしいな!口も塞いでおくべきだったか?」
「あ、そうよ!それよりこの拘束はなんなのよ!縄抜けしようとしたら首が絞まっちゃって大変だったんだけど、どうして後ろ手を縛る紐を首にまで回したのよ!危うく死んじゃうとこだったのよぉ?」
「下手に抵抗したら死ぬように願ってやったに決まってんだろ?何バカなこと言ってんだよ。てかよく階段下りてこられたな?」
「足も縛られてるから這ってきたのよ!お陰で服が汚れちゃったわぁ・・・しくしく。」
「涙の出ない泣き真似やめれ。俺はお前と面識ないからあとでミリーに確認させようと思ってたの忘れてたわ。ちょっとそこで転がったまま待っててくれ。」
「・・・え?」
呆ける不審者を放置して階段を上がる。だってニコを寝かしつけなきゃだし。ニコを抱えながら部屋へと入る。あー少しくらいはお湯用意しなきゃだな。
どうしようかと考えていたがいいアイディアが浮かばない。室内で火を使うのは避けたいんだけどーっと荷物を漁っていたら、焚き火用に拾っていた平らに近い木片が目に付いた。
「・・・こいつに直接魔法陣彫るか。」
剥ぎ取り用のナイフを使ってチミチミ魔法陣を描く。次いで木片を桶の水に沈めてから『生活魔法』の『魔力式コンロ』を発動する。
触手モンスターの灰も、燃料の魔石も使わない状態で魔法陣を発動させるのは大変だけどお水を温めるくらいならもつだろ多分。ブクブクボコボコと気泡が湧くが、魔力の効率悪すぎて笑えるな。水の中で火を出すとかムリしまくってるから仕方ないか。酸素とかどうなってんだろ?
「いちおうお湯用意できたからこれ使ってね。テト、悪いけどニコのこと任せてもいい?身体拭くの手伝ってあげて。」
「はいなの!ウチに任せてなの!」
良いお返事をくれると同時にニコの服を脱がせにかかるテトにゃん。急に脱がすのやめてよ・・・首グキったじゃん。
このままでは首が危ないのですぐに部屋を出て食堂へ向かうと、さっきよりミリーに近いところに転がる不審者がいた。
「なんだ、まだミリーに気付かれてないのか?」
「この地面からの角度で眺めるミリーちゃんのふくらはぎがいいんじゃなーい。そんなこともわからないのかしらぁ?」
残念すぎるドヤ顔を前にして蹴り飛ばしたくなる衝動にかられるがなんとか耐えた俺、偉い。代わりに太ももをホンのちょぴっとだけ踏んでやったら悲鳴を押し殺しながら観察を続けていた。筋金入りだよこの人。しかも太めのやつ。
「はぁ・・・おいミリー。」
「ひゃあ?ひゃにゅにょにょう?」
「口に物入れたまま話すな行儀悪い。お前のお仲間さんがここにいるぞ。」
「ひぇ?ひゃれひゃれ?んぐぐぐ・・・んっくん。ふぅ~。だれだれ?バルムさん?」
「名前は知らん。変態だ。」
「変態?」
首を傾げてからこちらへ近づいてくるミリー。俺の指差す先に転がる不審者を見てすぐに笑顔を見せた。えっ?これ見て笑顔とかどうなってんの?
「誰かと思えばタルモさんじゃない!てことは一緒にセゾさんデデさんも来てるの?」
「キョロキョロする前にこの状況に違和感がないのかお前は。」
「違和感って、タルモさんの状況ってこと?タルモさんはいつも大体縄や紐で縛られてるけど、修行だって言ってたわよ?バルムさんが。」
常習犯が確定した瞬間だった。
「バルムさん的にはタヌキに隠したままにしたかったのか。」
「そういうことだからさっきのことは内密にお願いできないかしらぁ?」
小声でふざけた返事を返してきたので、追加として3回ほど太ももを踏んでおいた。
「ちゃんとお前の仲間だってことはわかった。あとで解放してやろう。それよりもう晩御飯はいいのか?」
「あ!まだ半分も食べてなかったわ!すぐに食べちゃうからちょっと待ってて!」
「あっ!ちょ、ちょっとミリーちゃーん?!」
アグアグハムハム!ムグムグゴックン!プハァー!ガツガツガツガツ―――
かなりの量があったハズの盛られた料理があっと言う間に消えてしまった。タヌキのお口はブラックホールか?
「もうーお腹いっぱいよー。」ポンポコポン
「あぁ、いっぱい膨らんだな。どうなってんのそれ?」
見ればミリーのお腹はクッションでも仕込んだのかの如く膨らんでいた。妊娠線ができないのがおかしなレベルに膨らんでいるが、肌が柔らかかったことを思い出し1人納得する。きっと皮にいくらかの余裕があるんだろう。実に不可思議な生態である。
「ゴルドルさん!美味しいご飯ありがとう!特にウサギ肉のスープとあぶり焼きは最高だったわ!」
大興奮でサムズアップを送っているが、こっちのジェスチャーって同じ意味のあったの?
《あれはグッジョブやOKの意思表示ではなく、相手を褒め称える際に用いるサインです。微妙に用法が異なっているようですね。》
つまりは大将はサムズアップでは応えないのか。あ、手をクルクル回して返してる。ふむふむ。解説ないとわからんな。
「それで、タルモさんはいつまで練習してるのかしら?」
「ねぇミリーちゃん、お願いなんだけどこの紐解いてくれないかしら?実はうまく抜け出せなくて困ってるのよぅ。」
「え?そうなの?じゃあすぐ解くわね!」
「いや、その必要はない。」
「タルモはそのまま連れて行く。」
ミリーに待ったをかけたのは入口から入ってきた男2人組だ。この2人も変質者と同様軽装なご様子からひとまとめに斥候組なんだろう結論付ける。もし間違っていても別にいいと思う。変質者を引き取ってくれるならどうでもいいし。
「セゾさん!デデさん!久しぶりね!もう偵察の依頼は終わったのかしら?」
「あぁ、無事に終了している。途中タルモに逃げられたがな、捕獲してくれて感謝する。」
礼儀正しく頭を下げてくる男性。さて、どっちがセゾでどっちがデデだ?割と本気でわからんな。
「こっちも必要があってしたことだから礼は不要だよ。ちなみに引き渡しは全然いいんだけど、軟禁は他所のお宿にする予定ってことでいいのかな?」
「当然だ。ここのように女性が多い場所では危険すぎるからな。俺たちの利用している安宿へと連れて行くつもりだ。」
「じょーだんじゃないわよ!イ・ヤ・よ!だってあそこむっさい男の人ばっかじゃなーい!ちょっとかび臭いし埃っぽいのも減点だわ!私みたいにか弱い女の子なんて連れて行ったらすぐに襲われちゃうこと間違いないわよ!助けてちょうだいミリーちゃーん!」
「相変わらずタルモさんは男の人が苦手なのは変わってないのね。でもごめんなさい。バルムさんからはタルモさんと同じ屋根の下で寝泊まりしないようにって言われちゃってるから・・・。」
「そ、そんなぁ・・・いくらなんでも同じ屋根の下すらダメってぇ・・・。」
イヤイヤをしながら眼にいっぱいの涙を浮かべる変質者。イヤイヤじゃねぇよ。もしウチの愛妹たちがロック・オンされたらと思うと気が気ではない。早くゴミ処理業者に回収をお願いした方がいいに違いない。
「そういうことだ。大人しく諦めて俺たちと来るんだ。」
「・・・この拘束は素晴らしいな。誰が?」
少し色黒で背の低い方が問いかけてきたので俺だと教えてやったら感謝された。タルモの得意な縄抜けを封じるのにとてもいいらしい。よかったらこれから使ってくれとやり方を教えたのは言うまでもないだろう。
「では、協力感謝する。」
「夜分にすまなかった。ミリー、明日の朝また来る。情報の摺合せを頼む。」
「わかったわ!このあたしに任せなさい!」
ドンと小ぶりな胸を叩き誇らしげに言い放つミリーだが、どのお前になら任せられるのだろうか。不安で不安で仕方がない。
「・・・頼む。」
不承不承という言葉がぴったりくる表情で言うのは色黒の方。四角い顔をしたおっさんだ。一方あたかも苦虫を噛み潰したのが歯にはさまっちゃったみたいな顔をしたサル顔の人はまだ若そうだな。タルモという変質者が苦手なんだろう。
落ち込んで反応が薄くなったタルモを男2人が運んで行く様は少しばかり異様な光景だった。人攫いに見えなくもないし。せめて警備の人に見つからないことを祈っておこう。悪いのは捕まってるヤツですお巡りさん。
「お前の所のメンバーって変わった人が多いのな。」
「タルモさんはちょっとだけ変わってるけど、他はそうでもないわよ?」
「あれでちょっとかよ。」
ミリーが本性を知らないだけだとしても、いつも縄で縛られてる人とか普通にヤバいと思うんだがそこんとこどうなんだろう?野生のタヌキには人間の常識は通じないと思った方がいいんだろうかと悩みながらミリーをシングルルームへとハウスさせようと肩を押す。
「なんであたしこっちの部屋なのよ?!あたしもテトやニコたちと一緒に寝たいんだけど!」
ムダにごねるタヌキ。けどそんなワガママが認められるわけもない。
「バカ言うなよ。ベッド2つで4人寝るとかないっつの。」
「あたしとアンタが同じベッドに入ればいいだけでしょ?テトちゃんたちはもう寝ちゃってるでしょうし。」
「それないマジない有り得ない。何が悲しゅうてお前と寝なきゃならのだ。それに、いくらお前といえどもそれなりにお年頃なんだから男女で軽々しく一緒に寝るもんじゃないだろ。お前はとりあえず1人で寝てろって!」
「なんで男女の話しが出てくるのよ?女の子同士なんだから別にい」バタンッ!
ふぅー。もういい加減このくだりにも飽きたんだよ。100%メンズの空気を漂わせる頼れる兄貴的な俺をどうしてこうも女扱いできるのか甚だ疑問である。もしかしたらこれって神(笑)の呪いかなんかか?この身体を作ったのはあのアンポンタンなサボり魔だし、もしかしたら呪われてるのかもしれない。
《マスターの身体にそのような呪いは一切かかっていません。考えられる原因はマスターの容姿と声でしょう。そういえばマスターは自身のお姿を確認されていないのではないでしょうか?》
「・・・?俺の顔?俺の顔なんて鏡で見飽きるほどに見てるじゃん?何を言って・・・あれ?あれあれ?あれれのれ?」
んんん~~?もしかして俺ってばこの身体になってから1度も自分の顔確認してないとかってことがあったりするのだろうか?すぐに自分の顔で思い浮かぶのはあっちにいた時の顔しか思い浮かばないんだけど??
いやいや待て待て本気でそうか?ここ最近忙しかったから忘れてるだけなんじゃなかろうか?流石に生まれ変わったら自分の顔くらい確認するだろなぁおいマジでさ。ここのお宿には鏡はないけれども多分きっとおそらくメイビーメタリカさん家にあったと思うよ鏡よ鏡よ鏡さん?
「いますぐには思い出せそうにないけど、恐らく見たんじゃないかなぁ!?メタリカさん家辺りとかで!もしくはガラス製品や水なんかに映ってたハズだよ!うんうん!」
《どれだけ自身に興味がないのでしょうか。せめて身嗜みを整える際に毎朝1度は鏡を見る習慣をつけてはいかがですか、マスター?》
「うぐぅ。だ、だって・・・この髪の長さになってから寝癖とか全然つかなくなったし、ヒゲもないしで鏡とかいらなかってん。必要性が皆無だったんだもん。」
力なく否定の言葉を述べるが、ズボラな自分を隠せそうにないことに落胆した。うぅ。ちょっと文明人として恥ずかしくなってくるなぁなんて思いながらテトにゃんたちのいるお部屋へとインする。
(ちゃんと寝てるな。よかった。)
テトにゃんもニコも仲良く一緒になっておねんねしていた。いや、鍵開けっぱなのはよくないか。ちょっと失敗したな。しかしながら鍵は1つしかないので扱いをどうしようかと悩みながら寝る支度を手早く済ませる。
次からは必ず俺がカギを閉めるようにすればいいかという考えにいたり今回それを怠った自分をしっかりと責めておく。油断するなと釘を刺す。
《申し訳ございません。細かい配慮が苦手なコミュ障マスターには少し難しい案件でしたね。次回からはカナデが一声かけるように改善いたします。》
・・・盛大にディスりながらもカナデさんが協力してくれるって言ってくれた。言ってくれたと認識していいのかどうかが疑問ではあるが心のゆとりと安心感を得ることができたことは間違いない。ありがとうございます。ありがとうございます?
それから眠りにつくまでの間はひたすら最近のできごとの反省会を続けた。何故か集団で襲い掛かってくるモンスターと闘ってみたりわけわかんないモンスターと闘ってみたり死にかけてみたり、リベンジでゴブ殲滅して謎の大冒険してここらじゃピカイチの強さと思われる赤牛とバトってみたり謎の襲撃者に襲われたり。
思い返してみるとどれだけの失敗を繰り返していたのかと我ながらびっくりしてしまったが、今後に活かせばいいかと開き直って寝ることにした。争いを避けたり危険を回避したりってのは今後の課題だな。
(おやすみカナデさん。)
《おやすみなさい、マスター。》
―――――――――
しっかり寝たので元気いっぱい!テトにゃんとニコを伴いミリーの部屋を押しかけ訪問。あいつの予定はほぼほぼ知らんが今日は朝に同じチームの人たちが来るはずだ。その話しが終わったら一緒に装備の補修にでも連れて行くか。あと薬草収集?
「テト、ニコ、ちょっとミリー起こしてきてくれるか?先に大将に頼んで朝食用意してもらってるからさ。」
「わかったのー!」「んー!」
いつも寝相というか寝姿がおかしい野生種の相手は女の娘同士に任せて早々に退散というか撤退を決め込む俺紳士。これくらいの気遣いはできるんですよ。やる気さえあればですけども。
《本日のミリーの下着確認はよろしいので?》
「もともとそんなことを日課にした覚えはない!断じてないぞ!」
大事なことなので2回言ってみた。どうせ昨日穿かせた白パンのまんまだろ?上半身裸ならラッキーと言えばラッキーだが、わかりきってる状態で入るのは俺の紳士道に反するから避けられる時は避けるべきだ。
「不可抗力とか偶然とか、そういうエッセンスがないと罪悪感ばかりが増すからな。それに、毎回見れちゃう状態になったら新鮮さが薄れるだろ?特別感とかそういうの大事だと思うんだよ。」
《マスターの性癖がいまいち理解できません。》
すごく単純でありきたりなことを言っているのに伝わらないもどかしさ。いつかカナデさんにもわかってもらえる日が来ると、いまは信じて待つしかない・・・かな。
少しだけアンニュイな気持ちを抱えたままで大将へとご飯を注文。まだ故ウサギのお肉が残ってるらしく、今朝の献立はちょっと期待できそうだ。
少しあとになってドタタっと複数の足音が食堂に駆け込めば、楽しい食事の時間が始まる。そうそうこれだよこれ。この日常感が大事なんだよ。幸せそうな笑顔と共によく噛んで食べるテトにゃんに、いつもより食べ進めるのが早くなっているニコ。時折ほっぺを押さえて微笑んでいる様は実に可愛らしい。
おいしー!おいしー!とかきこむタヌキは口の周りをべたべたにして1番汚い。この3人の中では最年長のハズなのにな。わいわいガヤガヤと朝食を終え、ちょっとだけ遅れて昨夜の男性2人と変態さんがやってきた。
「少々待たせたか?すまない。」
「いまちょうど食べ終えたところよ!セゾさんたちはもう朝食済ませたのかしら?」
「いや、まだだ。」
「それならここで食べるといいわ!今朝はソウが捕ってきた<ミヌラビー>のお肉が入っててとっても美味しいんだから!絶対食べた方がいいわよ!」
「・・・<ミヌラビー>?俺はいい。」
「いいのか、セゾ?話しは読めないがミリーが勧めているんだぞ?」
「そうよぉ。ミリーちゃんがこれだけ勧めてくるってことはきっと美味しいに違いないわよ!私はいただくわ!」
「もうそんなに残ってないぞ?切れ端しか入れてやれねぇがそれでも構わないか?」
「あら残念。でも全然いいわぁ!ゴルドルさん、お願いしていいかしら?」
「もしまだあるようなら俺も頼む。」
「俺は、いい。」
「ふふーんっ。セゾさんホントにいいのね?絶対後悔するんだから!ソウの<ミヌラビー>は普通のと全然違うんだからねっ!」ドヤァ
「なんでお前がドヤるんだっつの。」
何故か自分のことのように自慢げに話すミリーの顏がとってもウザい。美味しいのは確かだけどお前の手柄なかっただろ?
切れ端ばかりで通常のご提供価格より大分お手頃価格になったが、それでもちょっとお高めの値段設定を訝しがりながらも料理を口へと運ぶデデとタルモ。
「っっっ!」
くわっと眼を見開くデデ氏。猿のような顔が人のような猿の顏になってしまった!猿顏成分が半端ない!
「おいっしいぃ!?」
信じられないと大きくお口を開ける変質者タルモ。ちょっとツバ飛ばさないで?期待値以上の美味しさに衝撃を受けたのがよくわかる反応を見せてくれたご両人。なかなかのリアクション上手である。途中堅いパンをおかわりしてすごい勢いのまま食べ尽くすまでにかかった時間はわずか2分程度だった。早食い身体によくないよ?
「まさか<ミヌラビー>の肉がこんなにうまいなんて・・・。」
信じられない感満載の表情のまま呟くデデ氏。いままで美味しくないウサギ肉しか食べたことなかったっぽいな。なんか仕留め方で味変わるっぽいからそれも致し方なしかもしれんが、そんなに難しくないんだけどなぁ。
「まれに高値で売買されてる理由がやっとわかったわぁ。」
デデ氏とは違い嬉しそうな表情のままベロンベロンと自分の唇を舐め回す変質者さんは安定の変質者さんだった。もう関わりたくないんだけどあの変態。だってもう仕草がいちいち頭おかしいよ。
「そんなにうまかったのなら俺にも一口分けてほしかった。」
「お前が要らないって言ったんだろ?」
「それでも分けてくれてもいいだろう。」
真顔で詰め寄る色黒セゾ氏。言ってること子供みたいなのに顔面真剣おっさんフェイスとか怖いんですけど。
「俺も食べたかった。」
しかも淡々と言うからこの人よくわからんな。
「ふふーんっ!やっぱりあたしの言う通りに食べたらよかったのよ!」
「その辺にしとけって。<ミヌラビー>ならまた時間がある時に捕ってくるからその時食べたらいいと思うよ?」
「だが、<ミヌラビー>は探すのが困難な上に逃げ足が速い。そうそう捕まえられないだろう。」
「遭遇確率そのものは運次第だけど、近くに居れば大体わかるし問題ないよ。もしも今日手に入れることができたら優先的に食べられるようにしておくことってできるかな?大将。」
「まぁ、本来はある分だけの早い者勝ちなんだがな。捕ってきてくれるソウさんの頼みじゃ聞かねぇわけにもいくまいよ。」
「だってさ。セゾさんだっけ?それでいいかな?」
「ありがたい。是非ともそれでお願いしたい。」
終始無表情というか真面目面というかよくわからんかったセゾ氏に予約を受けたところで本題へ。と思ったらまだセゾ氏何も食べてなかったね。ご飯食べながら報告会でもしよっか。
「――――というわけなのよ!」
慎ましやかな胸を張ってドヤるミリー。だが残念ながらアピれてるのはお前のバカさ加減だけだ。可哀想に。
「流石はミリーちゃん!今日も可愛いわねぇ!」
「残念ながら理解し難い内容だった。もう1度頼む。」
「おいおいセゾ。ミリーに頼んでもこれ以上はわかりっこなさそうだぞ?むしろそっちのお嬢ちゃんに説明してもらった方がいいんじゃないのか?」
的確なコメントを吐き出す猿・・・もといデデ氏。そして説明会とか面倒で逃げ出したくてたまらないのに巻き込まれそうになってしまっている俺氏可哀想。
「んむ?俺が説明してもいいけど、部外者が報告ってどうなのよ?」
「ミリーに聞いてもダメそうだからな。どうせダメならどっちも一緒だよ。」
ささやかな抵抗を試みるが、ダメって言われたら保護者としては断りづらい。人付き合いが増えるとしがらみが増えるってホントだな。人間強度も落ちそうだ。
「ま、それでいいなら話すけど――――――。」
それから簡単にミリーを預かった経緯やらここ最近の冒険やらを話してみせた。正直当事者だった俺でもさっきのミリーの説明は半分程度しか理解できなかったからしかたなし。擬音とミリーの感想が大半でした。解読なんかムリっす。
「・・・それほどの数をこの短期間で。俄かには信じ難い冒険譚だがミリーが肯定いている以上そうなのだろう。」
「ちょっと待ちなさいよソウ!それだとあのおっきな牛の話しが抜けてるじゃない!」
牛どころかアンナベルとか、謎の木や砂の人形とかも色々と抜いてるけどな。全部話す必要ないし。
「こういうのって大まかな経緯がわかれば十分なんでしょ?出てきたモンスター全部言ってたらキリないじゃん。」
「むううぅ~~~っ!」
「不満顔が可愛くない件について。」
上目づかいでほっぺをぷっくり膨らませる。百歩譲ってここまでは許容してもいいかもしれないが口だよ口。なんで突きだしてんだよ?そういうところが残念じゃんね?
「何よ!ミリーちゃんはこういうところが可愛いんじゃない!」
「おいミリー。お前バカにされてるぞ。殴れ殴れ。眼とか腐ってるから狙い目だぞ。」
そのバカという単語に反応したミリーはマジでタルモさんへと殴りかかった。チームメンバーでもダメってどんだけすか。だがしかし不幸中の幸いというかなんというか、変態タルモ嬢はミリーの攻撃を器用に避けたり弾いたりしていた。そういえば全員『魔硬』持ちだったっけ。
「えーっと、セゾさんとデデさんは納得してくれたかな?説明できることはこんなもんくらいなんだけども。」
「あぁ、説明ありが「問題ない。早く<ミヌラビー>を狩りに行くといい。」・・・。」
どんだけ待ちきれないんだよ。バルムさんってばよくもまぁこんだけ濃いキャラ集めたもんだと関心してしまう。変人の見本市みたいな集団だ。もう疲れたしミリーほっといていっちゃおうかなぁ?
「ミリーはこないの?」
テトにゃんの鶴の一声をいただいてしまったので未だキャットファイトを続けるミリーに一言。「さっさと来ないと置いてくぞ。」と釘を刺す。これ以上ここにとどまってても何もなさそうだしな。
「ちょっと待って!すぐ行くわ!セゾさんデデさんタルモさん!あたしはここに部屋を借りてるから、何かあったらすぐに呼んで!じゃ、そういうことだからもう行くわ!」
シュタッと片手をあげてダッシュでこちらへ駆けてくるタヌキ。はて、いつの間にこんなに懐いたのだろうか?お前のハウスはあっちだろうに。
「まぁいっか。そんじゃ<ミヌラビー>期待しといてねー。」
朝も早よからドタバタドタバタ。愛妹たちが楽しそうだから別にいいかと思いながらお宿を発った。
「今日は何するの?」
「とりまマーグル婆さんとこいくかな?ポーションのこと相談するついでに牛の皮回収にいこう。」
「ギルドに持っていくんならあたしに任せなさい!沢山食べたからなんか元気なのよね!」
「いや、持ち込みで防具の足しにしようと思ってるけど?」
「えっ?いいの?多分ランク上げられるわよ?」
「ギルドランクとか興味ないし。それよか良質な装備が優先だろ。」
「ふ~ん?あたしはよくわかんないけど、どっちにしても運ぶのよね!任せなさい!」
「ウチも運ぶのー!」
「んー!」
「結構重いからみんなで頑張ろうねー。」
和やかな雰囲気を醸しながらマーグル婆さんの店に着くと、どことなく怒ってそうなマーグル婆さんが立っていた。
「おはよーマーグル婆さん。こんなに天気がいいのに何イライラしてんの?」
「あんたのせいに決まってるさね!」
どうやらまったくもって身に覚えがないことで怒られているようだ。少し遅めの更年期障害・・・なのだろうか?
お読みいただきありがとうございます。
『城砦の矛』メンバーの微個性担当軽装組でした!
これからどこまでアピれるかが彼らの再登場頻度に深く関わってくることでしょう。
軽装組のみなさん、がんばってください。




