テトとニコ、友達増量中
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第72話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
横浜→成田間をレンタカーで走ってきましたー。
ペーパードライバーにはキツい距離で、肩がバッキンバッキンです。
明日も仕事なのに投稿楽しいですw
前回のあらすじ
メタパパと会談
噂を告げ口
ソウのボッチ化、プチ女子会
「それでね、ソウはとっても強いんだけど危なっかしいの!この間なんてね―――。」
「そうなのか。ソウ殿は見かけによらず向こう見ずなのだな!これは眼が離せないな!」
などなど、ショニタンさんが持ってきてくれた紅茶っぽい何かをすすりながら女子トークが止まらない。
「ショニタンさんはあっちのトークわかる?」
「そうですね。私共にも共感できる部分は多々あるかと。ソウ様はご自覚がないようですので少々難しいかもしれませんね。」
少し冷たく言われてしまった。なんでかな?
「まぁ、ソウ様に女心を理解するのは酷というものなのでしょう。」
「それを言われるのは嬉しくもあり悲しくもありだな。男扱いしてくれるのはショニタンさんだけだよ。」
「妹さんたちには告げていないので?」
「いや、言ってはいるけど信じてくれないんだよね。かと言って裸をさらす訳にもいかないしってのが悩みどころなんだ。」
「たしかにテトラリア様は微妙なお年頃と見受けますが、ニコ様でしたら問題ないのでは?」
「それしちゃうとテトになんて説明したらいいのかわかんなくなるからダメだよ。できれば言葉で納得して欲しいってのはワガママかな?」
「ワガママではあるのでしょうが、年頃の女性は扱いが難しいのが常でございます。えぇ、当分は現状維持のままで甘んじる他なさそうですね。」
彼の変態、ショニタンさんと普通トークをしているという謎いシチュだが違和感がないのが逆に違和感だったりする。普通に話せるんだったら普通に話してくれよ。いままでの変態度はいったいなんだったのか。
「そういえば、メタリカ親子はすぐにはぐらかそうとしてたけどモーキンスのアホ坊ちゃんの件どうするの?」
「どう、とは?」
「あの話し放置していいのかなって。俺が知ってるダンジョンの情報的にすぐ攻略されることはないと思うけど、マジで攻略されたらヤバいよ?」
「・・・私共にはなんとも。意見できる立場ではございませんので。」
「ふーん?そんなもんかねぇ?」
キャッキャと楽しそうに笑い合うテトにゃんとエリザ。それを微笑ましそうに眺めるニコ。構図が若干おかしい気もするけど仲良くなることは良いことだ。
あの銀髪の実力はさっぱわからんけど、『死霊の穴』は長時間かけて攻略するタイプのダンジョンらしいのですぐにこの光景が壊されることはないけどそれでも納得いかない気持ちが強くある。
「あの人間至上主義のとこじゃあねぇー。」
テトにゃんと話すどころか会うこともできなくなるだろう。いくら民を守るためとはいっても・・・ん?てかなんでそのダンジョンそんな重要視されてんだ?
「完全に失念してたけど、なんで『死霊の穴』を攻略しようとしてんの?」
「・・・ご説明しておりませんでしたね。」
ハッ!とした顔で返された。すみませんね、そこんとこ聞くの忘れてて!
「実は当該ダンジョンはいままで危険視を一切されておりませんでした。しかしながら数年前から徐々にではありますが中のモンスターが地上へと出始める現象が起こり始めたのです。」
「それって珍しいの?」
「はい。私共もそれほどダンジョンに詳しい訳ではございませんが、メタリカ領内にいままであった22のダンジョン中、同じような現象が起こったのは2つだけ。そのどちらも領内に大きな被害を出しました、と申し上げれば十分でしょうか。」
「思った以上に大量にあったんだね・・・。でもまぁ、なんとなく想像はつくけど今回もそうなると?」
「有識者はそのように申しております。その為我が領内の騎士団にある武力の大半を『死霊の穴』へと向かわせている関係で、街道の警備が薄くなっているという側面もあります。」
「んむ~、それに加えて南からのモンスター移動があるってことかな?」
「その報告は受けております。えぇ、原因は不明ですが南の方角からモンスターや獣が北上しているらしいですね。満足に巡回もできない状態ですのでお嬢様も警戒に当たられております。」
あー、それでエリザがあの老夫婦守ってたのか。いまさらな情報だったな。そういえばあの老夫婦は元気してるだろうか?俺の異世界初遭遇人類なだけにちょっとだけ気になるな。
それにしても何がどこまで繋がってるのか全然わからんな。ポーションの件、税金の件、モンスターの北上とダンジョンの活性化?門兵もどこまでが関わってるのかわからんし、それに教会の動向もってなると俺の風呂敷では収め切れるハズもない。頭脳が子供で体が大人な彼を連れてきてほしいところである。あれ?違ったか?じっちゃんになりかけて!だっけ?むむむ。パロ系見すぎて記憶が曖昧かもしれない。
「その警戒があったから俺も生きていられるってことだな。感謝しかない。」
「民を守るのがメタリカ子爵家の本分でございますので。」
真面目な顔して真っ直ぐ見つめられる。頭を下げて返しておこう。ぺこり。
「でも、いまはここで待機なんでしょ?てことはエリザもショニタンさんも当分はここにいるってことだよね?」
「仰る通りです。非常に歯がゆく思いますが、当面はこちらの別宅へ詰めていると思われます。」
「じゃあ、ちょいちょい遊びに来ていい?なんか愛妹たちがエリザに懐いちゃったみたいだし。」
「もちろん歓迎だとも!是非とも私の話し相手になってほしい!できれば魔法師殿、ソウ殿とも語り合いたいことは多いぞ!」
「ウチもまた来たいの!」
「いいですか?ショニタンさん。」
「お嬢様が仰っているのですから問題はないかと。えぇ、私共も嬉しく思いますので是非ともまたいらしてくださいませ。」
「ん。エリ。」
なんと、あの人見知りのニコがエリザに手を差し出しているだと?!
「あぁ、ニコ殿!改めてよろしく頼む!」
ガシッと固い握手を交わす。そこにテトにゃんも加わり謎の団結感が生まれていた。どんだけ仲良いの?お兄ちゃん焼いちゃうよ?
「少し長居しすぎちゃったかな。お茶ごちそうさまでした。また近い内に。」
「あぁ!毎日でもかまわん!なんなら泊まっていってくれてもいいくらいだ!」
それをすると俺が男だとバレた時に面倒そうだからイヤだ。主にメタパパが怖いからイヤだ。
「本日は旦那様がいらっしゃいましたので先触れをお願いしましたが、明日以降はもっとお気軽にお越しくださいませ。えぇ、旦那様は恐らくこちらへは戻られないと思いますので。」
挨拶を交わしてバイバイと手を振る。女の娘は急に仲良くなるから凄いな。俺にはできない芸当だ。
「エリザお姉さんと何を話してたの?」
「ソウのこととか、剣のこととかなの!」
「俺?俺のことなんてそんな話すことあったかなぁ?ニコも?」
「ん。エリ、は、良い人。」
どんだけ好感度上げてんだよ。エリザはうちの娘たちを攻略しようとしてるんだろうか?ちょっと困る。
「けどまぁ、街の中に知り合いや友達が増えることはいいことだしな。また遊びに行こうね。」
「うんなの!」「ん!」
清々しい気持ちでいっぱいになれたのでその足で軽く屋台を見回ってから外へ出る。夕方前の変な時間になっちゃったからお店巡りは明日に回して軽くひと狩りだ。
狙うは懐かしの<ミヌラビー>。美味しいしお金になるのでちょっと獲っていこうと速攻2匹をゲットだぜ!頭を『炎弾』で吹っ飛ばしてテトにゃんダッシュで出来る限り早く逆さ吊りに。それでも血で汚れちゃった部分は軽くキレイキレイしておいた。
「大将ただいまー。<ミヌラビー>獲ってきたからなんか作ってー。」
ドカドカと遠慮なく食堂へと入っていくと、そこには何故かリーフさんとミレーさんが座っていた。
「あれ?2人共どしたの?」
「ソウさんこそその<ミヌラビー>どうしたんですか?!す、すごくおっきくて立派でツヤツヤしてるじゃないですか!!」
ガタンと椅子を蹴倒す勢いで詰め寄るリーフさんのお胸が上下にスイングしちゃって大変なことになってますけど?!
「って、ちょっと待って!血がつくから!リーフさん落ち着いて!」
「ソ、ソウさんが獲ってきたんですか?!すすすすごいです!はぁ~!あ、もしかしてゴルドル店長に降ろしてるのってソウさん?ソウさんなんですか?!」
勢いがパないリーフさんが全然落ち着いてくれない。ぴょんぴょん跳ね回らないで!メロンが暴れてる!腕でギュッとして強調もしないでください!ヤバい!ヤバいです!!俺の理性は限界ですよ!!
「いい加減落ち着きなさい!ソウさんに迷惑よ、リーフ!」
「はっ!ご、ごめんなさいソウさん!つい・・・。」
「落ち着いてくれたらそれでいいんだけど、どうしているのって聞いていいの?」
「実は―――。」
なんでも2人はいままで俺に迷惑をかけたことを謝りにきたらしい。もしかしたら俺は街にとって危ない存在かもしれないとか、謎の兵団と繋がりを持っているのかもとか色々勘繰っていたことを白状してくれた。なんだそれ?
「別にいちいち相談室でネチネチ質問攻めされなくなるならもうそれでいいけど、なんでまた急に?」
「さっきハリンちゃんにソウさんの話しを聞いて・・・。」
申し訳なさそうな顔のままリーフさんが後方を向くと、なんか見覚えのある女の人がいた。ヤバい。これあれだ。俺だけ覚えてないパターンのヤツだ。
(カナデさん!お、覚えてる??)
《東の森にて助けた冒険者の1人ですね。ゴブの偵察任務で森に入り、複数の魔物に襲われていたパーティーと言えばわかりますか、マスター?》
「あー、東の森にいた娘か!無事に帰れてたんだね。よかったよかった。」
「そうです!あの時は助けていただきありがとうございました!」
「・・・もう少し早く助けに入れたらよかったんだけどね。」
「いえ。それは私たちの力が足りなかったからです。もっと早くに引いていればよかったっていまは思います。」
「そっか。」
それ以上かける言葉が見つからない。確か同郷のメンバーが2人やられちゃってたんだよなぁ。その後遺体もわけのわからんモンスターみたいになっちゃったから回収もできなかったし。美味しくばきゅっちゃったもん。
「それで私たちはハリンちゃんにソウさんのことを聞いて、勘違いしてたことがわかって来たんです。あの、いままでごめんなさい。」
「ソウさん、私もソウさんのこと疑っていたの。本当にごめんなさい。」
受付嬢2人が謝り、ハリンちゃんが感謝で頭を下げてくる。なにをどうしろというのだろう?頭下げられるのとかマジ勘弁なんだけど。
「いいから全員頭あげてよ。別にギルドの件も気にしてないし、ハリンさんたちの件も困った時はお互い様ってくらいに思ってるしで頭下げられても困るんだけど!」
グダグダになりそうなので強引に頭をあげさせて席に着かせる。折角なのでみんなでご飯でも食べようと思うのだ。
「大将!<ミヌラビー>2匹仕留めて来たからコレでなんか作ってよ!あと、今回毛皮もキレイなままでイケたから毛皮も剥いでくれたら嬉しいです!」
「任せてくれ!なんなら剥ぎ取り方をテトのお嬢ちゃんに仕込んでやろうか?覚えておくと便利だが。」
「マジで?それはありがたいけど、テトはどうする?」
「やりたいの!」
ということで大将にテトにゃんをお任せしてみる。なんせいつもはカナデさんの指示でざっくりやってるから、コツとかそういうの知らないんだよ。必要な部分とそうじゃないところは完璧に把握してても口頭の指示じゃ限界ってあるよね。
「それと、できればミリーさんにもお礼をいいたいんですけどいまは一緒に行動されていないんですか?」
「あれ?そういえばミリーいないな。すっかり忘れてた。テティちゃんも見かけてない?」
「ミリーおねえちゃんは見てないよ!見てないよー!」
「もしかしたらまだ寝てんのかな?何時間寝たら気が済むんだあいつ。」
昨日酒飲んで潰れてたからシングルルームに放り込んだあとに見ていないが、もう夜だよ?普通起きるだろ。
「ちょっと様子見てくるよ。ニコはどうする?」
「ん。行く。」
ニコちゃんは同伴をご希望らしいので2人で一緒にルンタッター。どの部屋に放り込んだか記憶が曖昧だがそこはカナデさんのサポートを受けて一発でミリーを発見!床に転がってパンイチ状態というか寝ゲロ真っ裸だった。非常に汚い。色気も皆無。
「予想以上にヤバい状態だった。ニコ、悪いけど部屋から布何枚か持ってきてくれるか?鍵これな。」
「ん!」
テテテテテーと軽やかにニコが走り去ったのでミリーの状態を確認する。一応寝息は立ててるか。窒息してなくてよかった。汚いから触りたくないけど仕方ないので抱き起してゲロゾーンから引き離す。
「んー!」
ニコが早くも戻ってきてくれたのでできる限りミリーをキレイにしていく。はぁ、何やってんだろ?って気持ちが強くのしかかってくるが保護者としての責任感だけで作業を続けていく。
「一通りキレイにしたが普通に臭いな。全然匂い取れない。井戸まで運ぶか。」
部屋に置いてあった水差しだけじゃ足りなかったのでミリーを布に包んで井戸へと運ぶ。それにつけてもコイツ全然起きねぇ。どんな神経してんだ?
「ニコ、俺が支えてるからミリーの顔と身体を石鹸でキレイにしてくれる?」
「ん!ニコ任せる!」
フンスと気合いを入れてニコが力いっぱいミリーを削る。違った。ミリーを削るような勢いで擦って洗う。
「ん"?・・・んなぁー・・・。ぐぐうぅ。」
変に唸るがまだ起きない。ニコがハァハァいいながら頑張ってくれてるのにのん気なもんだ。柔らかそうな小さな双丘が物凄く変形してるけど痛くないんだろうか。てか寒くないのか?普通起きるだろ。
「もういいかな?じゃ、流すか。水・・・のまんまじゃ心臓に悪いかもしれないからちょっと温めてみるか。」
『冒険級火属性魔法』なんか使ったら桶ごと吹っ飛ぶし水も残らないだろうからやっぱ『生活魔法』か。でも素材燃やしたみたいに灰は使えないし微妙に困るな。
桶を火であぶることもできないし水を直接温める術も俺にはない。今度指か手のひらから火を出す練習しないとだな。風と違ってミスったら怪我しそうだからいまはダメだ。
「・・・思ったより面倒だからコレでいくか。」
地面に直接魔法陣を描き少量の灰を撒いて火を起こす。そこに適当に洗った石を投げいれて加熱。アツアツの石を水を張った桶にぶち込むとじゅううううぅぅぅぅぅ・・・温かくなるって寸法だ。うん、これくらいでいいかな。
十分に温まったお湯を使ってミリーの身体を流す。パンイチなのでパンツびしょ濡れだけど気にしたら負けだ。脱がすわけにもいかないのでこれは必要な犠牲と割り切ろう。
泡を流してふよんふよんと身体も拭いたので部屋に持ち帰ろう。寝ている人間って重いから階段大変っす。背負ってるから色んな感触は楽しめるけど割に合ってるかは微妙なラインだ。
《先程から意識しすぎで気持ち悪いです、マスター。》
(えっ。だって仕方ないじゃん?俺だって男の子だもん。そりゃー意識するよ!でもちゃんとセーブもしてる!やましいことはしてないもん!全部不可抗力だ!)
《そもそも意識のない婦女子の身体を洗うという行為は不可抗力ではありません。軽く濡れタオルで拭いてベッドに戻すくらいがせいぜいでしょう。》
(なん・・・だと?そんなバカな!そこまでしか許されないというのか?!そんなんじゃ全然楽しくないし臭いじゃないか!)
ちなみに濡れタオルで云々辺りも女性同士の場合という注意書きがあるそうな。どうやら異性だとなんにもできることがないらしい。憤りを禁じ得ないが社会の常識では仕方がない。諦めはしないけど。
「ふぅ~。なんとか運べたな。普通に重かった。」
「ん。あせ、拭く。」
「ありがとうニコ。」
ニコに顔の汗を拭ってもらってからミリーに服を着せ始める。もちろん下着はニコ担当だ!カナデさんにご注意いただかなくてもそれくらいはわかる!ちゃんと裸族から文明人になったミリーを起こそうとしてみるが、中々起きない。例のご飯コールでもダメだった。これ大丈夫なの?
あーでもないこーでもないと試行錯誤をしつつミリーのほっぺたをフニフニしながら遊んでいたらテトにゃんが呼びに来てくれた。どうやらご飯ができたらしい。そういえば忘れてた。
「というわけで、ミリーはまったく起きなかった。申し訳ない。」
「そ、それだけやって起きないって凄いわね・・・。けど、わかった。また明日にでも来てみることにするわ。」
「あれ?この後なんか予定あるの?できれば一緒にご飯食べてってほしいんだけど。」
「??」
「みんなで食べた方が美味しいじゃん。量は十分にあるハズだし、用事がなければ食べてってよ。リーフさんたちも食べてくでしょ?」
「はい!もちろんです!」
「ホントにお肉に眼がないわね。謝ったらすぐに帰ろうと思ってたけど、折角だから私もいただこうかしら。実は前々から興味あったのよね。いつもリーフが話してくれてたから。」
「ってことだからハリンさんもできればご一緒に。」
「はい!」
昨日に引き続き今日も宴会となってしまったが、故ウサギの肉はマジパなかった。前回食べたのもうまかったが、今日のもうまうまだった。
「雑味がないだけじゃなくて風味が上がってる?甘い脂の香りと一緒に焼き目から香ばしさが・・・。」
「凄く柔らかくて噛むより前に溶けちゃうの~。あ、ニコちゃん口から垂れちゃってるの。」
「んー。ラビ、うま、うま。」
ゆっくりとお肉を堪能する我が家と違い、リーフさんは興奮のあまり泣いていた。泣きながら故ウサギのステーキを食べているがちょっとしょっぱそうだ。
ミレーさんはワインのような赤いお酒と一緒に故ウサギの薄切り肉を食べている。ほぼほぼ生な気もするが、軽く火であぶっているらしい。どうみても生肉だが本人曰くこれくらいがいいらしい。
ハリンさんは1番普通だ。パンとお肉とお酒をバランスよく口に含んで「おいしいー!幸せ―!」と叫んでいるだけだ。あとから集まってきた常連客と談笑したりもしてる。もしかしたら顔が広いのかもしれない。
「やっぱりダメだったの。ダメだったのー。」
「ミリー起きなかったか。」
「うん。ミリーお姉ちゃんはお肉が大好きだから、大好きだからー。食べさせてあげたかったんだけど、あげたかったんだけどー。」
優しいテティちゃんはミリーを起こしに行ってくれていたが、結果は芳しくなかったみたいだ。
「起きないアイツが悪いんだけど、折角のお肉だしね。今度はお兄ちゃんが行ってくるよ。テティちゃんはお肉冷める前にちゃんと食べないとだ。」
「ソウお姉ちゃん・・・わかったの。わかったのー。」
テティちゃんが起こせなくって落ち込んでしまった。可哀想だからもし起きなくても引き摺ってくるかと再びミリーの部屋へと入ってみると、知らない女の人が立っていた。
「誰?」
先制口撃されてしまった。
「むしろこっちが聞きたいんだけど。あ、俺はソウ。そこで寝てるタヌキの仮の保護者だ。」
「タヌキってこの子のこと?それに保護者?あなたみたいな幼い子がぁ?」
ふっ(笑)。鼻で笑われた。イラってくる女だな。
「人を見る目がないんだな。それとも判断できるだけの脳が足りないのか知らんが俺は19歳だ。そこのタヌキより年上だから問題ない。」
「あなたが?あははっ。いくらなんでもそれはないわねぇ。せいぜいミリーちゃんと同じかそれより下くらいなものでしょう?本当のことを言いなさい。そしたらお仕置きも軽くにしてあげる。いえ、なんかすっごく頭に来るからそれもなしかしら。」
「話しにならんな。てか、ミリーのこと知ってるみたいだけどお前こそ誰だ?そいつさっさと起こして晩飯にしたいんだが。」
「・・・あなた、物盗りじゃないの?」
「だから保護者だって言ってんだろ?バルムさんにそこのタヌキ押し付けられてんだって。そんなこと聞くってことは『城砦の矛』のメンバーかなにかか?」
「バルムさんに?・・・どうやら聞かなきゃいけないことが増えたみたいね。」
「まだ納得しないのか。何が知りたい?『城砦の矛』がいまなんの依頼やってるかか?それとも今回出掛けた際のメンツか?ミリーのパンツの色ならいまは白だぞ。」
「えっ?!そうなの??!」
途端に眼を輝かせて破顔する女。何か地雷ったらしい。
「ミリーちゃんがピンク以外のパンツはくだなんて珍しいじゃなぁい!どれどれちょっとお姉さんに見せてもらうわよ~?」
・・・ミリーの着替えがどこにあるかわからんかったからテトにゃんの未使用のやつ貸したんだけど、あいつ全部ピンクなの?
「ってダメだってばよ!!?」
ドンッ
俺は反射的に女を突き飛ばした。
―――ゴチッ
「いったあぁ~い!!ちょっとあなた!何するのよ!これ頭から血が出てるんじゃないのぉ??」
「それはこっちのセリフだボケ!いま何しようとしてた?!ミリーの毛布をめくろうとすんなバカ!」
「バ、バカって何よバカって!?ちょぉっとミリーちゃんの寝姿を見ようとしただけじゃない!何が悪いって言うのよぉ!」
「悪いに決まってんだろ!寝てる相手のあられもない姿見ようとすんなこの変態!何が悪いってお前の頭が悪いわ!」
罵ってみたり、物理的に邪魔してみたりするが全然諦めようとしない女がそこにはいた。多分ダメなヤツだ。
「ミリーちゃんがこんなに熟睡してるなんてなかなかないのよ!?どうして邪魔するのかしらぁ?!」
「はぁ?こいつずっとこんな感じだろ?今日は特に起きないけど、寝相悪いしすぐに脱ぐしで大変なんですけど?」
「脱っぐっ?!脱ぐですってぇ??!なんてうらやまけしからん状況なのかしら!!私の前でそんなことしてくれたことないのにぃ!!」
拝啓バルムさん。今日はあなたのパーティーメンバーだと思われる真正の変態だろう痴女を見つけました。どうしてくれましょうかこの女。吊るし上げて警備隊に突き出してもいいですか? かしこ。
「はぁ、はぁ、はぁ、や、やるわねぇ。」
「やるわねじゃねーよバカ!どんだけ必死なんだよ!怖いっつーの!」
「だってしょうがないじゃなーい!いつもはバルムさんが邪魔してくるから楽しめないのよ!いまがチャンスなのよぅ!」
ダメだ、腐ってやがる。こんなタヌキ娘の何がいいのか全然わからんがヤツは本気のようだ。確かにちょっと肌はキレイだし最近色が濃くなってきた赤毛も悪くはないが所詮はタヌキ。さっきも相当にヤバい惨状だったしなー。
チラッとタヌキ娘を見る。こうして黙って寝てる分には・・・可愛い、か?んー、多分可愛いんだろう。さっきの寝ゲロの印象が強く尾を引いてしまっているが顔は可愛い部類に入るんだろうと思われる。幼いけども。ほっぺもすっごくふにふにしてて気持ちいいし。そういえば小さいながらもしっかりと主張してくる2つの丘も柔らかかったし脚も程よくハリがあって将来ムチスベになる十分な素質が・・・ん?
「ハァハァハァハァ・・・そ、それで?ど、どんな感じだったのぉ?」
「はっ?!寄るな変態!触るな痴女め!!」
いつの間にか思っていたことが声に出ていたらしい。しかも意識をそらしていた隙に肩を掴まれ詰め寄られていた。マジ怖いわこの人。
「あ、あれ?よく見るとあなたもキレイなお肌してるのねぇ?髪もサラサラしててキレイ・・・。」
「ぞわっとくる!触るな変態!往生せいやっ!」
相手の詰め寄る勢いを利用して片手背負い投げを放つ!
ドシーン!!
「げぴゅうぅぅ!」
カエルを踏みつけたみたいな音を発して悪は滅びた。
「変態に迫られるのってこんなに怖いんだな。知らなかった・・・。」
《やってることや言ってることはマスターと大差ないように感じましたが?》
「全然違う。コイツは変態行為を楽しんでやっているが、俺は行動のついでに楽しめればそれでいい。うん、全然違うな。」
《カナデにはわかりかねます。》
まだまだカナデさんには人の細かい部分がわからないらしい。信念とかそういうのが違うんだよね。
「結果が同じでも動機が違うと人にとっては違うものなんだよ。」
カナデさんにはまだ難しいかもしれないが、それだけ伝えて変態を拘束した。縛り紐持ち歩いててよかった。
《日頃から紐を持ち歩くというのはどうなんでしょうか。》
「これだって備えの1つだよ。この間痛感したからな。道具がないとできないことが多すぎるって!」
馬が荷車牽けない事件以降、様々な小道具を身につけることにしている。まだ何が必要で何が足りないのか把握しきれていないが、そのうち「実はこんなこともあろうかと!」とか言いながらアイテムを用意できるキャラになれればと密かに思っていたりする。アイツらのポジション美味しいんだもん。
「さて、痴女も捕まえたしそろそろミリーを起こすか。」
これだけ暴れていたのに未だに起きないが、ホントにただ寝てるだけなんだろうかと不安がよぎる。口元に手を当てると呼吸をしている。鼻を摘まむと苦しそうにして口で息をする。ここで口まで塞ぐのは危ないな。
「ミリー、<ミヌラビー>の上物が手に入ったぞー。夕飯早く食わないとなくなるぞー。」
・・・。返事がない。夕飯コールで起きなかったのは初めてだな。
「ミリー!肉だぞ肉ー!ステーキ食べないのかー!!」
これでも起きない。あーれー?なんで起きないんだコイツ?
「まぶた開けてやったら起きるかな?」
ぐぐぐっとまぶたをこじ開けてやったが、目玉がぎゅるぎゅる動くだけでとってもキモ怖かった。人間って寝てる時こんなに目玉動くものなの?
何をやっても起きる気配がないので流石にこれはおかしいと思い魔力やらなんやらだったり、カナデさんにお願いしたりだので調べてみたがさっぱわからなかった。
《物語の定番なら王子様のキスで眼が覚めるのですが。》
「覚めるのですがってそれ俺の記憶だろ?この世界関係ないじゃん!」
ここまでやっても解決しなかったのでミリーを背負って食堂へ行くことにした。もしかしたらお肉の匂いで眼が覚めるかもしれないし。
そう思いミリーを運んで椅子に座らせたが、グラグラと安定しない。背もたれもないから仕方がない。肩だけ貸してやるかと肩に頭を乗せたらそのまま急降下。俺の太ももに石頭が直撃してびっくりするほど痛かった。
「ミリー起きないの。」
「ん。ミリ、ミリ。」
テトにゃんとニコが顔をつついたり脇をくすぐったりしてもダメだった。もう考えてもどうしようもないので膝枕状態のままご飯を食べて、騒いで、楽しくおしゃべりをして解散。
「ふえぁっ?」
と思ったらミリーが起きた。抜けた顔して呆けた声。涎もダラダラだった。当たり前だが俺のズボンも・・・うん。きちゃないな。
お読みいただきありがとうございます。
あまりにも街の現状を把握していなかったメタパパさん。それでいいのかメタパパさん!と思ったのも束の間。どうやら領主家関連の人達はみんな世情に疎そうだ!うん、ダメそうだ!
雑談風にアレコレ話したせいで幾つか歯抜けになってるみたいですけど、いいんでしょうか?こちらもダメそうです・・・。
肉パーティーうらやましす。




