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メタリカ家別邸 ムキムキとかムチムチ

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第71話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)

久々本編更新です!

桜が満開で、ライトアップもキレイでしたー。

水曜日なのに屋台に人だかりがががが。


前回のあらすじ

めんどくさいけど頑張った

お金をもらう

素材を燃やしてDPもらう

久々登場ヨハンさん(マザコン君)

「待ってたぞ。中へ入るといい。」


何故か当たり前のように言い放つメタパパさん。今日も変わらずムッキムキでいらっしゃる。威圧感とか迫力とかがマジでパない。


「・・・はぁ。失礼します。」


なんで子爵様が直々にお出迎えしてくれるのかわからないが、こちとらか弱く善良な一般人。入れと言われたら入るしかないので連れ立って屋敷の中へと入っていく。


―――ガチャリ


全員が中へ入ったところで鍵を閉めるメタパパさん。怪しさが満点であからさますぎる行為に不安を覚える。なになに?逃がさないゾ☆って意思表示ですか?


「えーっと、なんで鍵閉めるんですか?」


「・・・念のためだ。着いて来なさい。」


問答もロクにすることなく先導していく逞しい上に広々とした背中を追うしかなく、首を傾げながらも一緒になって応接間っぽいところへと入るとそこにはエリザとショニタンさんが座っていた。

エリザの普段着なんか初回に見た以来な気がするが、相変わらずサイズが合ってないな。胸元ムチムチすぎてはち切れそうだぉ?それ下とか見えないやつだろ。うん。


《会って早々に女性の胸をガン見するのが紳士のすることですか?》


(世の紳士同盟なら常識だがなにか?)


カナデさんのお小言も軽くかわすことに成功した。今日の俺はちょっと冴えてるらしい。


「あー・・・どうも、こんにちわー?」


「よく来てくれたな、魔法師殿。取り敢えず席にかけてくれ。」


気まずそうな雰囲気のエリザ。こっちはなんとなく昨日の失態が尾を引いてると予想がつくがショニタンの方は全然わからん。旦那様を迎えに行かせて自分が座ってるってどう考えても変だろう。


「んむ~、よくわからんけどとりま座るか。テト、ニコ、おいで。」


「はいなのー。」「んー。」


考えてもわからないことはスルーして座っておくのが良さそうだ。なんていっても俺は空気が読める男だからな!

俺らが席に着くと、すぐにショニタンが席を立とうとしたがそれを制止するメタパパさん。どうやらお茶は出ないようです。


「さて、すぐに本題に入りたいんだがその前に確認させてほしい。」


「確認ですか?まぁ、なんなりと。」


「昨日東の門近くで戦闘を行ったのは君ということで間違いないか?」


「そうですね。盗賊と戦いました。」


ピクっと眉尻が跳ねるのを見逃さなかった自分の動体視力が憎い。知らなくていいことって世の中には沢山あると思うの。


「盗賊ときたか。」


「えぇ、あの時の口上はたしか、「そこの娘らよ!止まるが良い!我らは栄光ある光神教が騎兵である!汝らの(かたわ)らにあるその亜人を引き渡せ!」だったかな?」


あと他にも色々言ってた気もするけど、本来なら聞こえるハズのない距離の声もカナデさんが拾ってたからどれを言っていいのかわからんから黙っておくか。


「亜人・・・というと?」


「あぁ、俺の愛妹です。テトラリアといいます。ちなみに亜人ではなく半獣人の天使ですね。間違って襲ってきたみたいです。」


緊張のためか、少々表情が硬いがそれでも1ミリたりとて可愛さを損なわないテトにゃんが、そこにはいた。


「よろしくなの。」


ぺこりと頭を下げるテトにゃん。サラッサラの髪がシャララーって音でも出しそうなくらいにツヤツヤしてる。可愛い。


「ちなみにこっちも愛妹のニコです。」


今日は陽の光を受けてキラキラと光り輝いて見える。天使の輪の力かな?流石は我が家の天使ちゃんだ。


「ん。ニコ、です。」


しっかり挨拶できて偉い!そして可愛い!ほっぺが蕩けてしまいそうだと思いながらメタパパを見ると予想に反して険しい顔をしていた。え?なんで?普通癒されてニヤニヤするっしょ?どうなってんの??


「私はメタリカ領で領主をやっているクリフレットだ。天使・・・というのはよくわからんが。そうか、つまりはその子を狙っていたというわけか。」


「初めのうちはそうだったと記憶しています。ですがそれが本意かどうかはわかりかねますね。黒髪の女を殺せ―とか叫んでましたから、俺のことなのかテトのことなのかは途中からわからなくなってました。どちらにしても、人攫いか人殺しかの違いですから些末なことです。」


俺がサラッと女の人で通ってることに違和感を覚えるが今更なので気にしないでおこう。話しがややこしくなりかねんし。


「ふむ。そうだな。ソウ殿のことはこちらで簡単に調べさせてもらったが冒険者ギルドに登録されていた。つまりは税金を払う領民の1人ということだ。その領民を殺そうとしたのなら賊なのだろう。それに、もしかしたらこういう言い方は好きではないかもしれないが」

「わかってます。この首輪は2人を守るために仕方なくつけてるだけですが、法的には2人は俺の所有物って言いたいんですよね?それを横からかすめ取ろうなんてやっぱり盗賊の所業です。盗賊を殺してもなんの問題もありません。」


「そうだな。光神教の影響はこの国にも色濃くあるが、だからといって他人の所有物を無条件で差し出す必要はないことになっている。彼らの国では獣人は見付け次第捕らえることになっているようだが、もし獣人が奴隷だった場合は建前として所有者の信仰心を露わにするために譲り渡すという形になっていたハズだ。」


「じゃあ関係ないですね。俺はそんな頭のおかしな宗教に入ってませんから信仰心は欠片もありません。あと、獣人だろうがなんだろうが同じ人間種です。見付け次第捕らえるとか考える生き物のすることじゃありませんね。彼らこそ人間じゃないんじゃないですか?そんな人たちが強い影響力を持つだなんて、余程金儲けが得意な人がトップにいるんですね。」


「・・・私の口からはなんとも言えんな。」


メタパパが口を閉ざすってことは正解らしい。もしかしたら思った以上に根深い話しなのかもしれないが、関わりたくないのでやぶ蛇はスルーしよう。そうしよう。


「それで、話しが逸れてしまったな。本題を話しても?」


「本題と言われてもいまいちピンときませんが、何かあったんですか?」


「・・・タニア。」


「はい。本日ソウ様がこちらへいらしたのは昨日お借りした収納バッグを受け取りに来られただけです。他にご用は伺っておりません。」


「そうなのか?」


「まぁ、そうですね。昨日もそれだけお伝えされていた思います。」


本当はショニタンにお金を返したいんだけど、なんかメタパパさんとエリザに聞かれると怒られそうだからそこは伏せておこう。騎士の使命とか役割とかでキレられても困るし。


「そうか。ではタニア、そのバッグとやらを。」


「・・・はい、かしこまりました。」


声をかけられたショニタンさんが部屋を出ていく。てかショニタンさんってタニアって名前なの?もしかしてショニタンって偽名なんだろうか?ここに来てから疑問の連続で頭が追いつきそうにないでござる。


「他に用がないとのことだが、少々時間を貰ってもいいかな?若き魔法師殿。」


「・・・かまいませんが、どんなご用向きでしょう?」


「なに、簡単な話しだ。昨日娘らに渡したというポーションの出所(でどころ)について聞きたいだけだ。」


うげっ。そっちの話しかよー。まさか昨日の今日でメタパパにも話しが回ってるとは思わなかったな。それでメタパパさんこっちに来てたのか。完全に誤算だよ。騎士団の人たち何人か殺した件で終わりかと思ってたー。


「出所、ですか?あれは以前治療していただいた際のお礼というか消費したであろう分の補填としてお渡ししたもので他意はありませんが・・・。」


「・・・言えない事情でも?」


元々険しい顔をしていたメタパパの眉間に深いしわが刻まれていく。鋭い眼に影が入って余計怖い顔の出来上がりだ。でも俺が作ったって知られたら面倒そうだから言いたくないんですけど。


「こ、この街の中で手に入れた物です。別に違法とかじゃないですよね?なんでそんなに気にされるんですか?」


「確かに違法ではないな。ただ、この街中ではもう流通していないハズの品だ。それに、騎士団の方でも街の警備隊の方でも在庫を確保したいアイテムだ。確認をするのは当然だろう。」


「えっ?全然ないんですか?余裕はなくとも多少は備蓄があるかと思ってたんですけど?」


「・・・(ごく)わずかしかなかったが、いまはもうそれすらないのが現状だ。」


やや目線を落として気まずそうに顔を歪ませるメタパパさん。言いにくい理由が何かあるのか?


「まさか、俺の治療で使い切ったとか・・・ないですよね?」


確認の意を込めてメタパパさんではなくエリザへと問いかける。


「いや!いやいや!そんなことはないのだぞ?!元々備蓄なんかなかったからな!色々あってもうこの街にはポーションはなかったんだ!魔法師殿の治療もほとんどベルゲイさんのお力だ!そうなのだ!」


眼を合わせることしないエリザがオタオタしながら弁明しようとしているが、ここまで嘘ついてますって全身で表現されてはノるにノれない。眼の遊泳速度が上がる一方である。


「えー?嘘が下手すぎるでしょう。でもお陰で状況がわかりました。要はポーションの備蓄を揃えたいから俺に話しを聞きたかったってことなんですね?」


「そう言ってるつもりだが?」


「メタリカさん・・・いや、メタリカ様っていつもこういう感じなんですか?」


顔がそうは言ってないように思えたのでエリザに確認をしてみる。なんか捕まって尋問とかされそうな勢いの顔っていうかなんていうかでマジで怖いからやめていただきたい顔をなさっているんですもの。


「んん?あ、あぁ、そうだな。父上は普段から怖いし寡黙だが、今日はいつにも増して怖い顔をなさっておられる!怒られる原因に心当たりがいくつもあるから私にはわからないがな!」


ドヤ顔で言い切ったエリザさんパネェっす。メタパパさんのヘイト値ガン上がりじゃないですかーやだこわーい。


「エリザさんこれ以上火に油を注がないでください。ウチの愛妹たちも怯えちゃってるし、メタリカ様ももう少しだけ穏便な表情でお願いします。」


「・・・そのように思われていたのか。知らなかったこととはいえ幼い子供たちを怯えさせるのは本意ではない。」


そういいながらお顔のマッサージ?いや引っ張ってね?真顔のおっさんが自分の顔引っ張るとか軽くホラーに近い映像なんですけど??


「もしかして、柔らかい表情っていうのがわからなかったりします?」


「どうやらそうらしい。いままで意識したことがなかったからか。これも武人としての振る舞い以外に気を向けてこなかった弊害か。」


表情は変わらないが目に見えて肩を落とすメタパパ。逆に器用です。


「じゃあちょっとだけやってみます?」


武人アピールされたので昔読んだ漫画の知識を転用した提案をしてみた。剣を早く振るために脱力をするハズなので、その感覚を顔でも試してみては?と言ったのだ。


「ふむ。これでどうだろうか。」


「「「「ひっ??!」」」」


メタパパの顔が溶けた?!いやいや!溶けてない?セーフか?セーフなのかコレ?!あまりのできごとにエリザまで悲鳴をあげていた。どんだけ表情作んの下手やねん。

どうやら俺の提示した方法は使えなかったらしいのでエリザが小さかった頃を思い出して話しを進めてほしいとお願いした。心持ち若干微力ながら表情が和らいだ気もしないでもなかった。微レ存レベル?


「で、どうだろうか。街のため、人々のためにポーションを都合してもらえないだろうか。勿論対価もできる限り用意するし、ソウ殿に協力できることはさせてもらうつもりだ。」


頭を下げるメタパパ。ここまで強引に話しを戻せる胆力も凄いが、俺みたいな謎い人物にこういう態度を取れる人は貴重だろう。てかここまで裏表なくよく貴族やってられるな?


「んむ~、その話しはわかりました。少し考えてみます。」


いますぐにおk出してもいいっちゃいいけど、きっと他の貴族連中とかと揉めかねないから1回マーグル婆さんとでも相談してみるか。なんとなく裏の事情とか詳しそうだし、暇してるみたいだから仕事を振ってやろう。


「・・・ありがたい。」


「ですが、それよりも娘さんのことはいいんですか?」


「娘のこと?あぁ、モーキンス家との取引のことを言っているのか。」


「そうです。なんなんですかアレ?あんなのに頼まなくても他にやりようあったんじゃないですか?」


「いや、残念ながら他の手段は難しいと言わざるを得ない。何故なら我がメタリカ領内の戦力ではあのダンジョンは制覇できなかったからだ。」


「『死霊の穴』ってそんなにヤバいんですか?」


「ダンジョンの名前まで知っているのか。そうだ。あのダンジョンはアンデットが主軸になったダンジョンでな。武器と言えば聖銀を含んだ武器か聖水をまとわせた物しか効かんモンスターが多いときた。」


「あれ?魔法は?」


「魔法部隊もいたにはいたが、元々数が少ない上に連戦によりいまではもう3名しか残っておらん。その者も高齢でな。後継の育成を任せている。」


「すっくな!?あ、失礼しました。そんなに少ないんですか。それで対アンデット対策で教会に?」


「うむ。隣の領も、王都にも救援を依頼したんだがどこも手が離せないし、仮に手が空いても虎の子の魔法部隊は出せないと言われてしまっている。」


孤立無援状態じゃん。それで教会の連中呼ぶってなんか変な感じだなー。


「聖銀混ぜ込んだ武器だけじゃ足りなかったんですか?」


「・・・予算の関係上最低限しか揃えられていないのが現状だ。」


「聞くんじゃなかった。」


どうやらこの領地の経営は思った以上に切迫っていうか逼迫(ひっぱく)してた。子爵って結構爵位高いんじゃないのかよ。貧乏貴族は男爵とかその辺の担当だろ。

なんでそんなにお金ないの?とは流石に聞きづらかったので、代わりに回せる予算ないの?って聞いてみたら「そもそも予算自体ほとんどない」とのこと。おっふ。こいつはやべぇ臭いがプンプンするぜ。


「実は数年前から教会の司祭が減りだしてな。理由としては神の啓示や修行のためにということらしいが、その為この地にいるのは神聖魔法をまだ使うことができない見習いばかりになってしまった。

教会で神聖魔法を使える人間が減れば当然回復薬の需要が高まる。だが、この地は近年ポーションの材料があまり育っていないらしく十分な量どころか市場からポーションがなくなってしまう事態になっている。」


「んん?」


「ん?何かあったか?」


「いえ、なんでもないです。続けてください。」


「うむ。そのポーション不足と治療師の不足を受けて高ランク冒険者もリスクを避けるために他の街へと移り始めているらしい。中堅と言われる者達も徐々にその数を減らしていると報告を受けている。それによってモンスター関連で得られる我が領内の税収も低下し、更にはこんな経済的に困窮し始めている状態の街を商人たちも見限りろうとしているという話しも聞く。

いまはまだなんとか持ちこたえているが、このままでは物価も急激に上がり民の生活もままならなくなっていくだろう。なのでその場しのぎとはわかっていながらも民からの税金を抑えて耐えているという訳だ。」


「えーっと、ツッコミどころと疑問が満載で頭が追いつかないんですけど、そのポーションの材料が少なくなってきてーっていう情報はどちら様から?」


「あぁ、冒険者ギルドと薬師ギルドからだが?」


「それはおかしいですね。普通に沢山生えてましたよ。材料。」


「・・・なに?」


「そもそも俺が聞いた話しでは、貴族の連中がポーションやその材料を買い漁ってるせいで肝心のポーションが冒険者の手元に回らないとかって聞きましたね。それで買い取り価格は高いが自分たちの命の安全は保障されないとかで冒険者の一部が反発してるとかなんとか。」


「それは・・・まさか・・・。」


「あと、門兵が薬草の類の持ち込みを厳しくチェックしてるんだとか。それのせいで持ち込んだ薬草類はギルドに買い上げられて手元には残らないとか。」


俺の話しを聞いてるんだがいないんだかな状態になったメタパパは頭を押さえて深く考え込んでしまった。あれー?この情報ダメなヤツだったかな?でも市井(しせい)で出回ってる話しなんだけど?


「・・・ソウ殿。貴重な情報感謝する。ネッズ!至急馬車を回せ!」


「はっ。」


いつの間にか部屋の中にいた執事さんっぽい人が短く返事を返してササッと足早にどこかへ行ってしまった。マジいつの間にいたの彼?


「ソウ殿、済まないが私はすぐに事実確認に移らねばならん。」


「それは構いませんが、冒険者ギルドの税率は2割のまま変わってませんでしたと付け加えておきますね。」


くわっ!!と見開かれるメタパパの眼力ヤバす!強風が当たる錯覚すら覚えるから!マジ怖いから!


「どうやらやらねばならんことは多いようだな。」


それだけ言うと勢いよく部屋から出て行ってしまった。逐一迫力があるからもう疲れたよ。テトにゃんなんて髪と尻尾の毛が逆立っちゃってるし。よく撫でておくとしよう。


「・・・魔法師殿。先ほどの話しなのだが・・・。」


「ん?さっきのって、エリザさんの嫁行きの話し?」


「いや、それではなくポーションの件なのだ。私には少々難しく理解しきれなかったんだが、どういうことなんだろうか?」


理解できない?えっと、どこら辺が?そんなに小難しい話ししてなかったハズなんだけど、何がわからなかったのかがわかりかねますが。はて?


「――――ということなんだけどわかったかな?わかってもらえたかな?」


同じ説明を繰り返すこと4度目。ようやくエリザが首を縦に振ってくれました。


「つまり、私腹を肥やす不届き物がギルドにいるのだな!!」


Oh・・・わかってくれたのはそこだけかよ。


「いや、それも可能性の話しね?もしかしたら税金を集めて管理してる人が犯人かもしれないし、まだわかってないのが現状なの。おk?」


「むうぅ。そうなのか?それではポーションの件はどうなのだ!?」


「ポーションの件も犯人は不明だよ。まぁ、ギルドは冒険者ギルドも薬師ギルドも両方100%絡んでるだろうけど。」


「それ見たことか!やはりギルドが諸悪の根源!ならば私のこの剣で」

「ちょちょちょちょちょーーーっっと待って!マジ待って!」


急に剣を振りかざして駆け出そうとしたエリザを抱き止める。普通ならここで「あ、柔らかい」とかなるだろうがそうは問屋が卸さない!いつの間にか騎士鎧をまとっていたエリザに死角はなかった。固いし冷たいし鉄臭い。


「そんな鎧着けながら話し聞いてるからちゃんと話し理解できなかったんじゃないの?何かしながら人の話し聞くもんじゃないって教わらなかった?」


「うっ・・・お、教わったな。失礼した、ソウ殿。」


「あ、うん。ちゃんと反省したならいいけども。でも、殴り込みはダメだからね?ギルドに駆け込むのは禁止!」


「んなっ?!何故だ!何故いけないのだ!ソウ殿!!」


「そんな、びっくりした!って顔してもダメなもんはダメ!エリザのお父さんがいま犯人を調べようとしてるからちょっと待ちな?いまエリザが行ったら犯人わかんないままになるかもよ?」


「そ、そうなのか?」


「そうなのだ。」


ホントはお貴族のエリザにこんな言い方はよくないんだろうけど、この残念頭のお嬢様にはこれくらい言わないと理解してもらえないことが判明したので致し方ない。心を鬼にして攻め立ててやろうと意気込んでいたらエリザがorz状態になってしまった。


「くっ・・・私はなんて無力なんだ・・・。」


ダシンダシンと床を叩き付けているが、床が悲鳴あげてるからやめたげて?


「はぁ~・・・。エリザ、いや、エリザベート様。」


「いや、エリザと呼んで欲しいんだが。」


「それはいいからちゃんと聞けってこと。」


「あ、はい。」


ガシャガシャと音を鳴らしながら器用に正座をする。えー鎧って正座ムリなんじゃないの?どうなってるの?と思って足元を見てみたら上半身だけ鎧着けてた。どっかの英雄王みたいなヤツだな。


「犯罪だろうと戦争だろうと、それを解決するには人それぞれしっかりと役割分担をしなければなりません。」


「戦争に関してはよくわかるが、なぜ犯罪もなのだ?」


「はい、いい質問です。犯罪は悪いこと。だからそれに気付いたらすぐに止めなければならない。そうですね?」


「そうだ!その通りではないか!だから私は!」


「その考え方はご立派ですし、間違っていません。ですが、それは現行犯だった場合です。」


「現行犯、とは?」


「現場で犯行を行っている人を指します。具体的にいえば、傷害事件や窃盗事件などですね。」


「人を傷つける者も、人の財産を奪う者も許せはしない!当然すぐに捕縛だな!」


「はい、その場で取り押さえれば逃げられることもないですし、確実にその人が犯人だとわかります。」


「うむ!」


「ですが今回の件はどうでしょうか?」


「今回の?ギルドの職員が悪いことをしているのであれば、そいつに聞いてみればすぐにわかるではないか!」


「いいえ、わかりません。」


「何故・・・?」


「そもそも誰に聞けばいいかわかってますか?ギルド職員全員が悪事に加担してるなんてことは恐らくないですよ?それに1番難しいことですが、犯人は平気で嘘をつくからです。」


「例え嘘をついても証拠があれば!」


「ないかもしれません。」


「んなっ?!ど、どうしてだ!?」


「本当にその人がやっているかどうかを判断するのは非常に難しいんです。怪しい人がいても、実際にその人が悪いことをしていても、誰もそれに気付かなかったら証言してくれる人もいません。証拠になるような物を残していないという可能性も考えられますね。」


「そんな・・・それでは犯人を見つけることはできないではないか!」


「実はそうでもありません。方法はいくつかあるでしょうが、それはいまこの場で言うことじゃないですね。そうですよね、ショニタンさん。タニアさんと言った方がいいですか?」


応接室の出入り口でこちらを伺っていたショニタンさんに話しを振ってみた。犯罪の立証とかめんどい話題はこれ以上ムリぽ。言ってて自分がわからなくなるもん。しかも相手はエリザちゃん。全部説明してたらのど涸れそうっす。


「ショニタンでお願いいたします、ソウ様。それにお嬢様、領地の(まつりごと)はお嬢様は立ち入らない様にと旦那様にも申し渡しを受けているハズです。」


「むぐっ。そ、う、だな。」


「さて、ソウ様。ながらくお待たせしてしまいまして申し訳ございません。こちらが先日お預かりいたしました薬瓶バックでございます。えぇ、中にありましたポーションは全て保管庫の方へ移させて頂きましたのでご安心ください。」


「ありがとうショニタンさん。あ、あとコレ受け取って。」


ジャラ


「これは・・・まさか・・・?」


「うん、そのまさか。借りてたお金をお返ししようかと思って。ちなみに利子はさっきのポーションでいい?きっとあれそのまま簡単に受け取ってくれない気だったんでしょ?」


「まさか本当にご用意されるとは思っておりませんでしたので大変驚きました。それに、お考えもお変わりないようで非常に残念でございます。」


久々のジト成分をいただいたはいいがちょっと怖すぎる。ジトっていうか()わってますねわかります。


「そちらもそちらとしての矜持があるとは思いますが、こっちもただ助けられたままではいそれまでとはいかないもんで。意地みたいなもんだと思ってくれると嬉しいかな。」


「参りました。ソウ様は大した御方ですね。私共が様々な手を尽くして集めたポーションも短期間でご用意され、更に活動資金にと思ってお渡しした硬貨まで返されるとは思っておりませんでした。」


半分呆れ、半分関心したような複雑な感じで微笑むショニタンは、なんとなく素の面が見えてきたような気がして嬉しくなった。普段の変態的な部分くらいしか素を知らないから貴重な笑顔を心のフォルダにしまっておくとしよう。


思いでフォルダ/レア画像集/ショニタン/良い感じの笑顔/ショニタンの微笑み若干のハニカミを添えて.png  この辺にしまってと。


《リアルな感じで脳内フォルダを作成するのは如何なものかと思います、マスター。》


(えっ?みんなコレくらいやってるでしょ?)


《・・・カナデはやっていますが他の人間種のことはわかりかねます。少なくとも情報(データ)の中にはそのようなことをやっている方の記述はありません。》


そうなのか?俺的には普通のことだったんだけど他の人は違うのだろうか?あとで愛妹たちに確認をしてみよう。

しかしながらそれからが大変だった。受け取れ受け取れませんの押し問答に、ポーションの対価を払うだの要らないだのの千日手。同じことを小一時間くらい続けたような気になって非常にゲンナリしたがなんとか押し付けることに成功したった。


「コレを受け取ってくれなかったらポーションの横流しは断るぞ!」


といった俺のキメ台詞が良い感じに決まったからだ。流石は俺!卓越した交渉術が光るぜ!俺はドヤ顔でそう言いたい!


《婦女子を脅して言うことを聞かせるとは流石はマスターです。》


(えっ?だっていい加減疲れたし仕方なくない?しかも借りてたお金ってメタリカ家のお金じゃなくてショニタンの個人的な貯蓄だったらしいし、どんな手を使っても返さなきゃでしょ。)


「時にソウ様。いくら利子という形だとてあのポーションの量ではいただきすぎです。しっかりと対価を受け取っていただくことはできませんか?」


終わってなかった・・・。お金渡してポーションあげてすぐに逃げようと思ってたのになかなか逃げられなくてめっさ困るわー。どうしたもんかなー?


「まぁ、それに関しては今度メタリカ様と相談しよう。それがいいようんうん。」


伝家の宝刀「SAKIOKURI」を発動!これなら逃げられるハズだ!


「・・・はぁ。ソウ様は思った以上に強情な御方ですね。えぇ、かしこまりました。それではお茶をご用意いたしますので少々お待ちくださいませ。このままお持て成しの1つもしないなどとはメタリカ家のいちメイドとして見過ごすことなどできませんので。」


ここに来て何故かようやっとお茶がでるらしい。順番がメチャクチャだけど疲れたしちょっとゆっくりしてから帰るのがいいかな。


「テトとニコは大丈夫?お話し長くなっちゃって疲れたでしょ?」


「ウチはへーきなの。ちょっと緊張しちゃったけど、もう慣れたの。」


「んー。」


テトはともかくニコは話しの内容もわからなかったからか眠そうに眼をゴシゴシしている。あぁ、そんなにこすっちゃダメだよ。赤くなっちゃうから。


「ソウ殿は、そちらの2人を大切にされているのだな。」


いままで空気だったエリザが言う。


「当たり前だよ。俺の可愛い可愛い愛妹たちなんだから。メッチャ癒されてるしメッチャ助けられてるよ。」


「ふむ。確かに愛らしい。それに昨日よりもソウ殿が落ち着いてるように見えるのは2人のお陰なのだな。ありがとう。これからもソウ殿を支えてやってほしい。」


キョトンとした顔で見返すツキシロ家一同。んん?どういうこと?


「ん?私は何か変なことを言っただろうか?」


「いや、確かに俺はこの娘たちに支えられてるけど、俺は昨日も今日も別に変わりないよ?」


「?? そうなのか?昨日は随分と心が乱れていたように思えたが、私の気のせいだろうか?」


頭に大量のはてなを浮かべてお悩みポーズで首を傾げるエリザ。こっちがはてなしたいんだけど?


「だいじょーぶなの!ソウのことはウチとニコが守るの!」


「ん!ソウ、といる。」


「おぉ!そうか!それは頼もしいな!是非ともよろしく頼む!もちろん私もソウ殿の味方だ!」


わいのわいのと盛り上がる3人の流れに俺だけ入れなくてボッチ状態満喫中。なんだろうこの疎外感。


《・・・カナデにもわかりかねます。》


どうやらカナデさんがこっち側だったみたいだ。お陰でボッチではなくなったが仲間外れ感は消えそうにない。

お読みいただきありがとうございます。

ソウ君は光神教の話しになると不機嫌になってしまうようですね。話題振られるだけで常に半ギレっぽい。

ちょっと過敏で怖いです。


以下駄文


ソウ「メタパパが世情に疎すぎてヤバい。」


エリザ「父上は戦闘関連以外は苦手な方だからな!」


ソウ「為政者としてどうなん?」


エリザ「?ここは魔族からの侵略を防ぐ盾となる街だから、それで十分ではないのか?」


ソウ「聞いた相手が悪かった。」


エリザ「難しい話しは兄様が得意だな!」


ソウ「・・・完全にしてやられてる感がパないわ。」



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