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宴会してたり朝チュンしてたり

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第69話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)

・・・ついにブクマ登録者様が200人を突破ですって?

そ、そんなバカな?!だ、誰かー!私をぶっ叩いてください!幻覚を見てるに違いないので!

嬉しすぎるぞコノヤロガー(*≧∇≦)ノシ


前回のあらすじ

『闘牛の鉄庭』にて、お肉まいうー

魔女の館で天使で雑魚寝

ショニタンは変態だ

ミリーの頭はトコロテン

みんなが美味しい美味しいって言うからちょっとだけ興味が沸いたので食べてみたらマジでうまかった。さっき『闘牛の鉄庭』で食べた肉もマジでうまいと思ったが、正直ミノ肉の足元にも及ばない。比べるのもおこがましいほどにうまい。


「軽く塩を振ってるだけなのに桃のようなねっとりとした甘さが広がり直後にガツンと肉の旨味が舌全体に広がっていくことで甘さが消えていくとともに鼻腔を刺激する香りにはスパイスを思わせるような芳醇で奥深く複雑怪奇としかいいようのない押し寄せる怒涛の荒波もかくやといえる衝撃をもって突き抜けていくかと思いきや噛めば噛むほどに濃縮され凝縮された瑞々しくもどこか儚い夢心地とでもいうような嘘のような冗談のような絡みつくかのような旨味成分が最早暴力と表現しても差し支えのない―――」


「ソ、ソウ?どうしたの??」


テトにゃんが何か言ってる気がするが俺はどうもしていない。ただただうまいと思っているだけだし。どうかしたように見えてしまったか?それとも深い思考の底へと降りてしまったことでテトにゃんへ常に向けている意識がちょっぴり薄くなってしまって不安にさせてしまったのかもしれない。


「安心してほしい!テトのことはちゃんと大好きだから!それにテトの匂いの方がうまいから!」


「ぶふぅっ!!」


何故か噴き出すショニタンさん。何か面白いことでもあったんだろうか?テトやニコの方が断然良い匂いがすることなんてわざわざ言うまでもなくわかってることだからか?悪いことをしたかもしれない。


「なんかごめんね、ショニタンさん。大丈夫?」


「ぶふっ!え、えぇ、えぇ。わ、私ぷふふふっ!私共(わたくしども)は全然、大丈夫でございますのでお気になさらずにひっ!ひひっ!」


訳は分からんが大爆笑らしい。まぁ、笑ってるならいいことだな?


「それにしても驚いたな。あのマッチョメンがこんなにうまいとは。テトもニコも食べてごらん?柔らかくて食べやすいよ。」


血抜きもしてないどころか多大なストレスと過負荷をかけて殺してしまったのに臭みもないしえぐ味もない。それなのに美味しいなんて流石は異世界である。テトにゃんも一口食べると驚きの表情を浮かべ、頬に手を当ててうっとりしている。ほっぺが落ちちゃいそうなくらいに緩んでしまってホントに大丈夫か心配になるくらいに(とろ)けた顔をしてしまっている。それがまた破壊的に可愛いけども。

ニコもちゅるんとお召しあがったが、いつも眠そうなお目めがカッ!と見開かれた直後に俺の腰へとタックル&抱きついてきた。余程衝撃的な味だったのか、俺の横腹に顔をうずめてプルプルしている。珍しいリアクションだな??ニコの緩んだ顔も見てみたかったがこれでは堪能するのはムリというもの。仕方がないから頭を撫でよう。

しかしながらこれで証明されてしまったな。この肉は確かにうまいがテトにゃんとニコが発する美幼女スメルに敵うものではなかった、と。スーハ―スーハ―してみればあら不思議。高揚感と充足感がお肉の何倍も満たされ天井知らずの龍の滝登り状態だ。ウナギや鯉なんかでは到達できるハズもない別次元の幸福感に暫し酔いしれる。

そんな俺と愛妹たちの心温まる素敵空間を軽くイっちゃった眼で食い入るように見つめてくるショニタン。ガチでヤバいし超怖い。はぁはぁいうのも勘弁願いたい。そして何故かは知らないが、テティちゃんも俺に近づいてきてから肉を食べ始めた。なんでここ?


「ふおおぉぉぉぉ!すごい!すごいの!おいしいの!おいしいのぉぉ~!!」


両手を頬にあててはしゃぐテティちゃんも可愛いです。ニコと反対側の横っ腹に突っ込んで来るのは予定調和なのだろうか?ショニタンさんが鼻血を垂らして喜んでいる姿から意識的に眼をそらす。アレは見てはいけないナニカだ。きっと妖怪に頭をやられてしまったのだろう。全ては妖怪のせいらしいし。

一通りみんなでお肉を堪能したが、量的にはさっき渡した分の1/10もなかったと思われる。味見にも足りないくらいの量しかなかったけどメインは何になるんだろう?


「ソウさん。今日はムリ言って料理をさせてもらってすまなかった。恩に着る。」


「いいっていいって。どうせ俺が持っててもまともに調理なんかできないし。大将が調理してくれたお陰で美味しく食べれてるんだしね。」


「そういってもらえるとありがたい。あとな、さっき貰った肉はいまので全部使い切っちまった。特別なことは何もしてないんだが、アレでほとんど全部使って」

「「「「ええええぇぇぇぇーーー????!!」」」」


叫び声をあげたのはミリー、テティ、自称看板娘(おばちゃん)(なんで?)、そして意外?なことにエリザだ。余程お肉が気に入ったのはわかるけど、なんでおばちゃん?エリザも貴族らしくないとかよりもお前らしくない気がするぞ?幼児退行してない?


「・・・残念なの。」「ん・・・。」


うちの愛妹までも落ち込んでしまった、だと?!


「そんなに落ち込まないでくれ・・・テト、ニコ。次は全身そのまま持ってくるからきっと沢山食べられるよ!いや、食べられるようにするよ!」


「ホントなの?すごいの!ソウありがとうなの!」


「んー!ん!ん!」


愛妹たちのタメなら牛を召喚しまくって殺りまくることも(やぶさ)かではない!いや待てむしろDP(ダンジョンポイント)で直接肉を召喚した方が安上がりか?ちょっとカナデさんと相談してみるか?


「ソウ!ねぇ!あたしは!?あたしも食べていいのよね?!」


「ソウ殿!私にもその・・・少しだけでいいのだ!分けてくれはしないだろうか!?むろん手伝いでもなんでもする所存だ!」


「ソウお姉ちゃん!テティも!テティもダメ?!ダメかな?!」


「はぁはぁはぁはぁ!スンスンスンスン!」


「おいこら最後!ショニタン(お前)のだけ明らかにおかしいだろ!?どさくさに紛れてくっついてこようとするな!あっちいけ!!」


全員が寄って(たか)って俺に飛びついてくる中でショニタンだけが理性とバイバイしてあっちの世界にイってしまっていた。完全に駄メイドだろコレ?屋敷にいた時のシリアスだったり蠱惑的な雰囲気のショニタンはどこで息絶えた??!

全員に飛びつかれてはいくら『姿勢制御』を持っていても支えきれるハズもなく簡単に押し倒されてしまった。背中と頭を強打して苦しみ悶えたのは言うまでもないことだろうがあえてはっきりと言っておく。マジで痛い、と。


「最高にハイ!なのはわかったからみんな席に戻りなさい!年頃の女の娘たちが不用意に男へと飛びつくんじゃありません!!」


「「「「ソウ(さん&殿&お姉ちゃん)は女の娘だから問題ない(の&わ&な)」」」の!問題ないのー!」


見事にステレオった。なんでやねん。俺の味方はニコだけだ。唯一合唱にも入ってなかったし。ちなみにショニタンは鼻血と涎を撒き散らしながらくねくねと悶えているだけの奇怪なオブジェになっている。もはや人とは言えないナニカだろう。


「ん。ソウ、は。きれーだ、よ?」


・・・それは女性と見做(みな)しているのかいないのかで大きく意味がわかれてしまう発言なのだが・・・。男として、男としてでいいんだよな?いいんだよな?ニコ?お兄ちゃん信じてるからな??


《この場で脱げば証明されますがいかがなさいますか、マスター?》


公共の場で全裸を(さら)すくらいなら、当面はこのままでいいやと思えたのは我ながら不思議な体験でした。まる。


―――閑話休題


「それにしても、こんなにお肉小っちゃくなっちゃうなんて不思議なレシピだね?」


「いや、表面を切り落としてから中の肉をスライスして炙っただけだ。熱が通ると縮む性質があるらしくてな。更に塩を振るとまた小さくなる。」


「・・・何それちょっとキショくない?」


「俺もそう思ったが、どうやらそれで間違いないらしい。あそこで鼻血垂らしながら寝ちまってるお嬢ちゃんもこういうもんだって言ってたしな。」


「ショニタンさんが?」


ショニタンさんは興奮のあまり気絶してしまったので椅子に座らせて部屋のスミスへ押しやってやった。いまや珍妙なオブジェのようになってるソレを軽く一瞥してみたが、とてもじゃないがミノタウロスを倒せるようにも見えない。

どこかで聞いたことでもあったのか、もしくは上流階級的には常識だったのか?ここにきてまさかの知的眼鏡キャラアピール・・・はできてないか。頭ワロすな場面(シーン)を大量に見せつけられたし。うん。


「真相は理性の彼方に吹き飛んだみたいだから詳しい話しはまた今度かな。とりま普通に夕食頼んでもいいかな?さっきのが呼び水になったっぽくて逆に腹減ったくさい。」


「いつものでよければ任せてくれ。ただ、あのエリザベート嬢までここで食ってくってことか?お世辞にも上等なモンを扱ってるとはいえねぇんだが。」


「あー、普段は必要なもんしか仕入てないもんね。んむ~、なんか持ってたかな?塩の壺・・・残量少し。ダメだ役に立つ気がしない。モンスターの触手(枝)と灰・・・食えねぇよ。」


あとは何かないかなーって袋の中を漁ってたら猪のお肉が見つかった。そういえばあったなこれ。昨日の昼間にげっちゅした肉で、葉っぱに巻いただけで常温放置してたやつだ。湖の水にも濡れてて色々アウトな品だが・・・。


「なぁ大将。コレって使える?」


「こいつぁ<ピアド・ボア>の肉か?妙にしっとりしてるが・・・傷んではいねぇな。」


「マジで?!じゃあそれ使おうよ!昨日食った時も塩だけでもそこそこうまかったし!あ、これ塩!好きなだけ使っていいから!」


このまま忘れていたら腐敗に向かってまっしぐらだったお肉様の行き場が決定した。そういえば街に帰ってきてから肉しか食べてない気がしてきて少し焦る。愛妹たちに野菜を用意するのを完全に忘れていた自分にショック。

でもこの時間から野菜を必要量確保するのは困難だ。ならば明日改めて野菜を摂取すればいいかな?なんて一瞬でも考えた自分が許せない!本気と書いてマジパンチを自身の顔面にお見舞いする!


ゴッ!!


「な、なにやってんだソウさん?!」


「あいててて・・・。ちょっとね、自分の情けない考えを(いさ)めてただけだから平気だよへーき。」


愛すべき愛妹たちの身体を形作る栄養素を(ないがし)ろにしようとするその考え方が自分で許せなかった。イラでオコだった。自分が嫌いになりそうだよマジで!


「大将、いま野菜ってどれくらいある?」


「あ、あぁ。いちおういつもの通りに揃えちゃいるが?」


「ちょっと見せて。」


大将にムリを言って厨房と倉庫の野菜を見せてもらった。今日はドライフルーツを食べたから多少はビタミンはマシか?となると・・・これは炭水化物の塊っぽいしこっちはほぼほぼ水分のヤツか・・・ブツブツブツブツ。


「んむ~、わかった!ありがと大将!ちょっと買い物行ってくる!!」


足りないのは新鮮な葉物野菜と緑黄色野菜だ。もう店は閉まってるとこばっかだが1箇所だけどうにかできそうなところに心当たりがあったので全力でそこまでダッシュだ!


ドンドン!ドンドンドンドン!!


「おいバーさん!俺だ俺!開けろ!開けるんだ!」


ガチャ!バンッ!!「ぐへあっ!?」


「うるっさいね!こんな時間になんで扉を叩くのさね!!」


「いってーな!また顔に扉あてやがってからに!いやでもいいや!なぁバーさん!店の前で家庭菜園やってたろ?いくらか食べられる野菜とか売ってくれ!愛妹たちのピンチなんだ!」


「そんなことで扉をボコボコ叩くでないよ!!」


「そんなことだと?!おいこらババァ!お前マジババァ!怒るぞゴラァ!!」


陽も落ち切った暗い路地裏で本気になって老婆と戦う青年の姿が・・・そこにあった。ていうかそれは俺だった。


「ぜぇ・・ぜぇ・・な、なかなかしぶといな。」


「いつも・・いつも・・少しは、れでーを優しく・・扱ったらどうなん・・だい?」


「俺は・・・俺の守るべき・・家族を守る!!あとこの場にレディーはいないし俺は男女平等主義だボケー!!」


息も絶え絶えの老婆から全力で野菜を強奪している青年の姿が・・・そこにはあった。ていうかそれも俺だった。俺だとは思いたくなかったがどこからどうみても俺だった。

気付いた時には目の前、というか足元に転がる老婆の姿があったが俺は無実を主張したい。だって殴ったり蹴ったりしてないし。俺が撒いた土を踏んで転んだ婆さんが悪い。俺悪くない。

でもなんとなく罪悪感が去来するのを感じたのでそれを払拭(ふっしょく)するタメに偽善行動として老婆を優しく介抱することを気軽に諦め店の中に仕舞っていくらかの硬貨を叩き付けてやった。代金としては十分すぎることだろう。


「ホントは収穫手伝わせる予定だったのに。」


グチグチいいつつ必要なブツをゲットしたので意気揚々とゴルドルハウスへ駆けて行く。そこそこ良質な野菜類を入手することができてウッハウハである。


「大将!野菜手に入れてきた!」


「・・・随分とボロボロだな。」


「失敬な!野菜は傷1つないぞ!」


「いや、ソウさんのことなんだが・・・。」


その後、猪肉も野菜類もみんなで美味しくいただいた。ミリーは肉ばっか食おうとしてたから野菜を直接口に詰め込んでおいたが、まだ火を通してないヤツだったとあとになってから気付く。でも新鮮なヤツだからきっと美味しいことだろう。マーグル印の特製野菜だ。加齢臭がするかもしれないがそこはご愛嬌だよ。野菜に罪はないさ。

それから飲め食え騒げの宴会に突入し、一般客も入り混じっての大騒ぎになってしまったがたまにはこういうのも悪くないと思う。こっちに来てからこんなに騒いだのは初めてではなかろうか?カナデさんも上機嫌にBGMを流してくれた。俺の脳内にだけだけど。でもなんでムーンラ○ト伝説なの?意味がわかんないんですけど?

途中ミリーが酒を飲もうとしたのでシバキ倒し、気絶から復活したショニタンがニコの匂いを嗅ごうと近付いてきたので塩でも投げつけようとしたら逆に背後をとられてケツを撫でられたり、テティちゃんがウトウトしてるのをみんなで眺めて可愛がったり、間違って飲んだのかテトにゃんが酔って甘えてきたりと大忙しだったがやがて半数ほどが寝てしまったのでお開きとなった。

ちなみに寝ちゃったのはニコ、テトにゃん、ミリー、テティちゃん、エリザの5人である。おいエリザ、お前なんか色々と間違ってないか?嫁入り前の貴族っ娘がそれでいいのかと問いただしたい。机に乗せた自身の立派なお山が枕になるってどういうことなの?理解が追いつかな過ぎてもう怖いよ。どうなってるのか触って確かめていい?目撃者が多すぎるからダメか。


「それでは私共はこれで失礼いたします。えぇ、お嬢様のことは私共が責任を持ってお連れいたしますのでご心配なく。」


なんだかんだいってここは異世界だし、ショニタンがエリザをお姫様抱っこで連れ帰ることもあり得るのでは?とか思ったが普通に馬車が迎えに来てた。タイミング完璧だな。流石はできる女、ショニタンだ。


「あ、忘れるところだった。ちょっとコレ持って帰ってよ。前にお世話になったお礼なんだけど、カバンだけ後日取りに行くからさ。ちなみに断らないでね?あとで色々話すから。」


ショニタンに当初の目的であるポーションを手渡したが、この場では人目につく可能性もあるのでポーションバックごとの引き渡しだ。ちなみに20本MAX収納済である。


「中身は帰ってから見てほしいんだ。で、カバン回収なんだけどいつがいいとかある?明日でも明後日でもいいんだけど。」


「・・・っ!?こ、これは・・・いえ、そうですね。中身は帰宅後確認させていただくのが最良でしょう。ご予定に関しても、エリザお嬢様がこの街に軟禁中なためさして予定はございません。先触れをいただければいつでもよろしいかと。」


カバンの中身にすぐに気付くとかやっぱこえぇなこの人。いちおう中身の音が漏れたりしないちゃんとしたカバンなのに。


「そか、わかった。じゃあ明日ギルド寄ってから向かうって感じでもいいかな?昼過ぎくらいになると思うんだけど。」


「かしこまりました。詳しいお話しもその時にお聞かせいただければと存じます。」


丁寧なお辞儀と共に鋭い視線をガンガン送ってくるショニタンを笑顔で見送り食道へと引っ込む。


「ごめんね大将。こんなにバカ騒ぎする気はなかったんだけど・・・。」


「これくらいはよくあることだ。気にしなくていい。それより小さいのはどうするんだ?他の部屋もすぐに用意できるが。」


「ベッド2つ以上ある部屋って空いてる?」


「いや、ないな。」


「だよねー。シングルにミリーぶち込んで前の部屋そのまま使うのが1番いいかな?」


「・・・まぁ、それでもいいが。」


どことなく何かいいたげな大将の態度が不思議でたまらないが、思い立ったら即行動。空いてる部屋にミリーを放りこんで鍵を閉め、テトにゃんとニコを1つのベッドへ寝かせてから寝支度をすすめる。


「昼間に1回身体拭いたけど、やっぱ寝る前にもキレイにしたいもんね。」


《半日ほどでは言うほど汚れてはいないと思うのですが?》


「身体をキレイに保つのは衛生的な意味合い以上に心の洗濯なんだよ?カナデさんもいつか身体を持ったらわかるんだけどなー。」


《カナデは思考演算のみの存在です。身体を得ることはないでしょう。》


「あ、それフラグだな?任せて!いつかちゃんとした身体用意してあげるから、期待して待ってるといいよ!」


《そもそもカナデはこの世界の物質的な存在ではありませんので不可能です。あの方でしたら可能かもしれませんが。》


「あの(じじー)(笑)か。殴り飛ばしてハメ技喰らわせたあとに頼めばやってくれるかな?そもそも会うか話すかの方法を探るところから必要なんだけどさ。」


《・・・。》


カナデさんの声にならない溜め息が聞こえてきた気がするが、呆れられているのだろうか?きっと本気でムリだと思っているに違いない雰囲気が感じられる。


「信じてもらえなくてもいいよ。まだ先のことだろうしねー。」


《それよりもやらなくてはならないことが他に沢山あるかと。創ってしまったダンジョン含め、今後の身の振り方を今一度考えられるべきです、マスター。》


「んむ~、アレはやっぱり失敗だったかな?勢いで創っちゃったから活用方法が見当たらない・・・やっちまった感がハンパない。」


《そういったことも改めて考えてしっかりと計画を立てていきましょう、マスター。》


それから俺が寝付くまでの間、カナデさんのお説教混じりの人生設計トークが続いたが気付いた時には寝てしまっていた。



―――ピチュチュチュチュチュ


―――ピチュチュチュチュチュ


鳥のさえずりが優しく耳に入ってくる。窓の木枠(雨戸のような物)の隙間からは暖かな陽の光が漏れ出している。

眼を開けるのが億劫(おっくう)だ。柔らかくて弾力のある毛布に包まれたままもう少しだけまどろんでいたい。


「スー・・・スー・・・。」


規則的な寝息が聞こえてくる。どうやらまだ愛妹たちは眠っているようだ。


「くー・・・・・・くー・・・・・・」


テトにゃんの寝息は今日も特徴的だな。くーって寝息はなかなかないだろ。寝てても可愛さ提供を忘れないとは流石は我が妹である。


「・・・・・・・・・・・・っ。」


逆にニコの寝息はほとんど聞こえてくることがないが、耳を澄ませると何かが聞こえてくるような気がする程度のささやかな寝息だ。言葉で表現するのは難しいが、とにかくそんな感じの寝息だ。やはり可愛い。


「スー・・・スー・・・。」


「・・・んむ?」


しかしながら何かがおかしい。愛妹たちの寝息はいつも通りの可愛さを発揮している。それは間違いない。


「スー・・・スー・・・。」


・・・じゃあさっきから聞こえるこの第3の寝息はなんだ?ヤケに近くから聞こえるような気がする。


「スー・・・スー・・・。」


あれ?気がするんじゃなくてマジで近くない?具体的にいえば俺の耳から1mも離れてない気がするんだけど??


「てか柔らかくて弾力のある毛布ってなんだよ!?」


まずツッコんだ。次に唖然とした。俺の毛布が・・・嫁になっただと?


「いや違う。これは嫁じゃない。」


毛布のように俺の身体に重なる肢体。強い癖を持った毛先は自由に跳ね回りぴよんぴよんと揺れている。茶色のセミロングの髪が彼女の親を強く連想させているよう、な気がするが果たしてそうだっただろうか?あまり覚えていないからわからない。普段は活発で快活なこの娘も寝ている間は本当に大人しい。

そう、俯せで俺の左半身を抱くように寝息を立てていたのはなんとこのお宿の真の看板娘であるテティちゃんである。何故に?このことが大将にバレたら俺の頭はトマトのピューレみたいになってしまうかもしれない。危険が危ないぜ。


「テティちゃーん?どうしたのかなー?朝だよー起きようよー。」(ボショボショ)


テトにゃんとニコを起こさないように小さな声で呼びかけるが反応がない。肩を軽く揺すってみるがこれまた反応がない。あるぇ~?確か聞いた話しだとテティちゃんは寝起きよかったハズなんだけど。


《昨日の夜はいつもより夜更かしをしていたみたいなのでそのせいでしょう。》


的確な推察をご披露するカナデさん。


「いやいや、カナデさんには有事の際にアラーム鳴らしてくれるように頼んであったよね?なんでドヤ顔で探偵ごっこしてんの?」


《マスターや妹たちに対する敵意はありませんので問題ないかと。》


・・・いままでアラートを頼んで起こされたことがないんだけど。カナデさんてば身内の犯行には一切対応できない疑惑が浮上してきたな。むしろ敵意を持った侵入者がいた時にもちゃんと反応できるのか心配になってくるんですけど。


《そこまでいうのでしたらマスター、試しに痛覚を刺激してみましょうか?》


「あ、それはいいですごめんなさい。」


ここでいう痛覚の刺激はシャレになんないレベルの可能性が高いので速攻で謝る方向で俺の脳内会議によって可決された。意味もなくあの苦痛に立ち向かえるほど俺は豪胆じゃないってことですね、わかりますか?わかってくださいお願いします。

このままでは二度寝してしまいそうだったので心を鬼にしてテティちゃん毛布からの脱出を試みる。にょろにょろにょろと蛇の如く身体をくねらせテティちゃんの下から這い出てみたが、テティちゃんは起きなかった。メチャクチャ身体が触れ合ってたんだけど起きないとかって熟睡しすぎじゃない?と思ったが都合がいいのでよしとしよう。

結局3人が起きる前に身支度が全部済んでしまったので大将へ報告だけでもしておくかと階下へ移動。数人が朝食を取っていたが、大将の手は空いてたみたいなので手短に説明モードへ移行する。


「―――てなわけなんだけど。」


「そうか。迷惑をかけちまったみたいですまんな。」


「迷惑だなんて全然。ウチの愛妹たちのいい話し相手になってくれてるからいつも助かってるよ。」


「それはこっちも同じだ。こんな商売やってるからな。アイツには同年代のツレがほとんどいない。これからもよろしくやってくれるとありがたい。」


どうやら同じような悩みを抱えていたらしい。幼い子供も働くような世界だから中々馴染みを作るのは難しいんだろうなぁと思うものの、大将と悩みが被るって俺の保護者レベルがいつの間にか父親級(パパクラス)になってしまっていたことに焦りを覚える。まだ結婚もしてないのに俺の精神子育て世代かよ・・・orz。

ついでに昨日の夜のバカ騒ぎにかかった費用を精算してもらい、朝食の用意をお願いしておいた。貴重な食材を調理させてもらったお礼とかなんとか言って代金を受け取らないぷーってごねた大将には困ったもんだったが、いま受け取らなかったらマーグルさんに持ってこさせると言ったら不思議と素直に受け取ってくれた。どうやら会いたくないらしい。


「臭いから?」


「・・・やめてくれ。冗談でも笑えん。」


悪ノリにはノってくれないらしい。マーグルさんと昔何かあった疑惑は解消どころか確定事項として俺の中で固まりつつあるが、苦手なだけという可能性もあるからもう少々いじるだけにとどめておこう。


「ほら、朝だぞー!おっきろー!」


窓の木枠(雨戸のような物)を開け放ち暴力的なまでに激しい光を室内に招き入れる。


「うにぃー?」「んーあー。」


「・・・あえっ!?ね、寝てないよ!寝てないよ?!テティはちゃんと起きてるから!起きてるからー!」


寝起きの温度差が著しいが、テティちゃん・・・完全に寝坊助さんだよ。諦めた方がいいよと生暖かい眼差しと微笑を送っておいた。でもなんでテティちゃんここにいるんだ?鍵は閉めてたハズなんだが・・・?

話しを聞いてみようかと思ったがテティちゃんは聞ける雰囲気じゃなかった。んむ~、テトにゃんとニコはと見てみるとニコがじぃってテティちゃんを見つめてる?むむむ、この密室毛布が俺の嫁事件にはニコが関わってる可能性が高そうだぞ?理由はさっぱわからんが。

いまはなんとなく聞けそうにない空気っぽいのでバタバタとそれぞれに支度を整え、気付きたくはないが少しだけ涙目のテティちゃんを(なだ)めながら一緒に食堂へと向かい朝食を一緒に食べる。もちろんテティちゃんだけ寝巻きのままだがそれは仕方ない。だって部屋に戻る手間も勿体無いし。


「寝坊しちゃったー。寝坊しちゃったー。」


椅子に座ったまま足をプラプラさせてるテティちゃんは少しだけふて腐れ気味&自嘲気味だ。朝のお手伝いができなかったことが残念で落ち込んでるらしい。


「しっかり飯食ってから手伝ってくれたらそれで十分だ。今朝は客も少なかったしな。」


「お父さん・・・。ごめんなさい。ごめんなさいなの。」


すっかり落ち込んじゃったテティちゃん。テトにゃんもニコもなんて声をかけていいかわからないみたいな顔でこっちを見てくる。え?これ俺がどうにかしなきゃいけない案件だった?


「えっと、テティちゃん。」


「ソウお姉ちゃん・・・。」


「今朝起きれなかったことを気にしてるのかな?」


「うん・・・。」


「そっかぁ。それはいつものお仕事できなかったからかな?」


「そうなの。テティは毎朝食堂の台を拭くのがお仕事なの。お仕事なの。」


「そうなんだね。テティちゃんはいつもお父さんたちのお手伝いができて偉いね。」


「・・・でもでも、今日はできなかった。できなかったの。」


「んむ~、でもさ、それは仕方ないんじゃないかな?」


「え?え?どうして?どうしてなの?」


「だってさ、昨日は遅くまで俺たちに付き合ってくれてたでしょ?遅くまで沢山働いてたんだから、その分しっかり休まないとダメじゃない?」


「昨日のはテティも楽しかった!楽しかったの!お仕事じゃないから違うの。違うの・・・。」


「んん?でもお料理運んでくれたり、飲み物持ってきてくれたりしてたじゃん?青い髪の眼鏡のお姉さんに毛布もかけてあげてたし。アレは立派なお仕事だよ。」


「そう・・・なのかな?そうなのかな?」


「そうだよ!しっかり働くテティちゃんは偉いなぁって思ったもん!ね、テト?ニコ?」


「そうなの!テティは偉いの!小さいのに頑張って働いてるの!」


「ん!えら、い!」


「大将もそう思うよね?」


「あぁ、そうだな。いつもテティには助けてもらってる。それに、沢山働いたあとはしっかり休むのも仕事の内だ。」


「そう・・・なんだ?そうなんだ!テティちゃんと働けてたんだ!働けてたんだ!」


「そうだよテティちゃん!テティちゃんはいつも頑張って働いてるし、挨拶だって笑顔でしてくれるしね。テティちゃんは挨拶の達人だよ!」


実際テティちゃんの笑顔に癒されてる連中は多いと思う。かくいう俺もその1人だもん。いつもの感謝の気持ちを込めて丁寧に頭を撫でておこう。クセが強くて跳ねてるところがイイ感じのアクセントになって気持ちよく撫でれるな!流石はテティちゃんだ!

俺がひとしきり撫で回したあとは大将や愛妹たちも順番にテティちゃんの頭を撫でて回り、1周したころにはテティちゃんの機嫌もすっかり直っていつものスマイルを見せてくれた。この年頃の女の娘のご機嫌取りは難しいっすね。うまくできた気がしないけど俺にはこれが精いっぱいだぉ。

テティちゃんの笑顔と朝食を堪能したら今度はギルドへゴー。昨日預けた魔石のお金を回収せねば!ショニタンにお金返せないし、お金っていつの間にか減っちゃうから少しでも補充しておかないと気付いた時には困ってそうな未来が容易に想像できる。お金がないのは首がないのと一緒らしいし。


「やっほーリーフさん!昨日ブリ!」


「あー!ソウさん!昨日いつの間にいなくなっちゃったんですかーっ?私、ミレーさんに怒られちゃったんですよー??」


「え?いつの間にもなにも、リーフさんがふらーってカウンターからいなくなっちゃったんじゃん!リーフさんの代わりに腕毛(おっちゃん)がちゃんと割符くれたんだよ?ほら。」


腕毛っちに貰った割符をリーフさんへ進呈する。


「腕毛って・・・もしかしてジッダさんのことですか?いえ、それよりこっちに来てください!今日はミレーさん非番ですけど、今朝からソウさんのこと待ってくれてるんですから!」


あ、ちょっとここお願いします!すぐに戻れるかわかりませんけど!と後方にいた男性職員を捕まえているが、その頼み方はどうなの?日に日に強引になってくリーフさん。あと腕毛で会話が成立したってことはリーフさんも・・・そういうことだよね?ね?


「ミレーさん!ソウさんをお連れしました!」


ノックもなしに商談室に突入するリーフさん。


「・・・はえ?」


「え?」


ミレーさんとリーフさんが同時に固まってしまった。どうしたことかと中を(のぞ)いてみると、ミレーさんが朝ごはんだろうと思われるパンみたいなものを頬張ろうとお口を開けてるところだった。いつもキリッとしているミレーさんが気を抜いた瞬間を見るのは珍しい。ナイスだリーフさん!


「ちょ、ちょっと!いきなり開けないでよ!び、びっくりするでしょ!?」


「ひぃっ!ごごごめんなさいっ?!」


瞬時にキレたミレーさんの顔がマジでヤバいくらいに怖い以外は微笑ましい日常の一コマだ。朝ごはん邪魔しちゃってごめんね?あと、その顔はやめた方がいいと思いますです、はい。


「んんっ!・・・連れてきてくれてありがとう、リーフ。」


「い、いえ・・・。」


「それでソウさん。貴女にはいくつか確認をさせていただきたいんですがよろしいですか?」


「えーそれ聞くの?ここまで強引に連れてきておいて?」


ギルドに来ると毎回この流れになるのにいい加減辟易している俺は、素直に嫌味を吐くことにした。

お読みいただきありがとうございます。

お話しのペースが遅すぎてびっくりする当作品ですが、支持してくださる方がいるという奇跡が私に活力を与えてくださっています。

本当にありがとうございますm(_ _)m

でも、もう少しくらい話しがサクサク進めばいいなと作者も思ってますので頑張ります!


以下雑談


月姫「なんで鎧が女体型だったん?」


エリザ「街中で完全武装(フル)はせんだろう?」


月姫「・・・あれが人前に出る用の鎧、だと?」(ゴクリ)

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