わめき散らす銀髪君はイケメン枠ですか?
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第67話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
ようやくいつもの感じに戻ってきました!
前回のあらすじ
キレまくる近頃の若者
必殺の突撃
塩
阿鼻叫喚
護衛に最低限の兵力を残し、神の敵を討ち倒すべく必殺の突撃をかけたリュウケルたちを見送るクレオリオ。
距離もさほどではないしすぐに愚者を討ち取って帰ってくるものと思っていた。しかし、愚者と衝突する直前に騎馬らが不自然に倒れ、歩兵も巻き込まれていく様が彼の眼に映った。
「な、なにが起こった?!」
自身が遠目に見ている惨事が理解できずに叫び声をあげるクレオリオ。
「リュ、リュウケル小隊長殿が討たれました・・・。」
力なく茫然と呟くユギ副小隊長。クレオリオにはそこまで詳細に見えていないがユギが言うにはリュウケルが殺されたらしい。
「有り得ん!リュウケルは小隊長だぞ?!しっかり報告しろ!」
そう、有り得ない。リュウケルは自身の抱える兵の中でも上位の実力を持つ上級兵だ。まだ30中頃と若いが指揮力、武力共に十分小隊長を任せられる男だった。
それにそもそもサウスヴィエートでは、小隊長になる上で最低限戦闘系スキルを3つは持っていることが条件になっている。
リュウケルが持っていたのは『腕力強化』、『剣術』、『体力強化』だ。どれも近接戦闘で役立つスキルである。
事実リュウケルはゴブリンの群れと単体で戦ったこともあるし、オークに襲われた隊員たちを逃がすために殿を務めたこともあるほどだ。
「本当に・・・あのリュウケルが敗けたと?」
「・・・はい。また他の兵も次々にやられています。いましがた敗走した4名以外生きては・・・。」
「・・・に、約20で駆けて敗走が4名・・・だと?あそこにいるのは化け物か何かか?」
告げられる報告に愕然とするクレオリオ。同様に報告をしているユギの方も気が気ではない。まさかものの数分で自分達の兵が潰走するとは思いもしていなかった。
「まさか・・・ディグダ!反応は?!」
「クレオリオ様・・・特に反応はございませんでした。」
「魔法攻撃でもないというのか?なぜそんな強者が穢らわしい亜人なんぞを守るのだ!ユギ!部隊を立て直してヤツを迎え討て!」
「・・・はっ。」
「クレオリオ様。リュウケルを軽々と討つ相手となると交戦は・・・。」
「黙れ!栄えある『聖なる光の降る国』の司祭であるこの私が、蛮族や亜人ごときに背を向けていい訳があるか!全知神様の名にかけて亜人は討ち倒さなければならん!」
「・・・差し出がましい真似をいたしました。」
彼らは激昂するクレオリオを中心に、再び戦いの準備を始めていく。
――――――――――――――
そもそも軍用馬に荷車を牽かせるって発想自体どうなんだろうと今更になって思う。普通に馬車を牽く馬もいれば農耕馬だっているだろう。だが、当然ながらそれらの馬はそれぞれに違う役割についているだけの理由というやつを持っている。
能力が違うのだ。早く走る馬は馬力がない。馬力がある馬は早く走れない。つまりは住み分けである。そこまで考えて目の前のオバナを見てみよう。
俺の記憶にある競馬用の馬よりどこかがっしりしてるような気がするし、ムキムキしてるような気がする。あと、なんとなくデカい気がする。
あれ?荷車牽けそうじゃね?とか思ってしまうが牽かせるための準備がないしそもそもの俺の記憶にあるのは週末にダラダラしながらチラ見してた競馬番組の情報だ。生のお馬さんなんか牧場でしかみたことがない。故に正しい判断はムリぷー。考えることをポイしよう。
「はぁ~。牽いてもらうのはまた今度かなー・・・。」
盛大なため息をついてからテトにゃんとミリーに状況を説明した。でも2人的には荷車を牽いてくれないことはどうでもよかったらしく、へーそうなんだー程度のリアクションだ。温度差がヤバい。俺ボッチ。
「だってもう街見えてるじゃない?自分達で牽いてもそんなに大変じゃないわよ?」
「ウチもお手伝いできるの!あと少しならウチにもやらせてほしいの!」
何故だかやる気満々になってしまった2人さん。今日はあんまり寝れてないからナチュラルハイ的なあれかな?とどこか第三者的な空気感で見てしまうが、先程のはっちゃけ具合を思い出してみたら俺もそうなのかもと認識を改めながらもやもやしてみる。
「替え歌を歌いながら虐殺とかってどんな世紀末だよ。」
《マスターには精神的な動揺が見られませんでした。余程怒り心頭していたのでしょう。》
「んむ~、まぁ、それは仕方ないよね。イラでオコでプッツンしちゃっても笑って許せるくらいのことをしでかしたもん。どうして人は穏やかに過ごすことができないんだろうか。」
チラリとミリーを見てみる。思えばコイツも出会い頭に殺人パンチ放ってきたんだっけ?いや、コイツの場合は頭が残念だったがタメにそれを意識してなかったのか。さっきの野盗共よりはマシってことか?いや、危険なのは変わりないか。
「とりままだ生きてるかわからん馬も確認しておこう。」
先程フランクとかいうのを振り落として自滅したお馬さんの様子を確認する。どうやら前足が1本折れてるだけのようだったからポーションを使って回復させて支配化しておいた。
「名前は・・・いくつも考えるのが面倒だからフランクでいいか。」
「死んじゃった人の名前つけるのはどうなのよ?」
「名前に罪はないからな。ぶっちぇけめんどいし。」
「そういうもん?あ、なんならあたしがつけてあげてもいいわよ?・・・えーっと、うん!そうね!アーリー号とかどうかしら?」
「・・・それってお前の名前からとったのか?」
「そうよ!」
ミリアリアからもじっちゃうのか。なんか頭が悪くなりそうだからやめさせたいな。コイツの名前由来にすると脳細胞が破壊されかねない。英語的には早く動きそうだから悪くない印象なんだが。いや、動きじゃなくって時間だっけ?既に前世の記憶に自信が持てない。
「お前とは毛色も違うから今回は見送らせてくれ。今度お前の髪の色に近いのが手に入ったらその名前使うからさ。」
「色に合わせるのね?わかったわ!なんかそっちの方が恰好いいからそうするわね!」
単純でよかった。今後馬を仲間に加えなければ問題もないだろう。むしろ数日経てば忘れるかもしれないから気にするまでもないかもしれないが。
新たに仲間に加えた馬を2頭を従え、大八車を牽いて東門を目指す。さっきの変態たちの本隊っぽいのが慌ただしくガヤってるようだが関係ないのでスルーしよう。
徐々に近づく変態集団。何故か歩兵を並べてこっちを警戒している様子だ。半分近く殺されたのにまだやるの?全体の3割も死んだら普通は全滅的な扱いじゃないのだろうか?
「止まれー!止まらんかー!!」
歳若い男の声がする。
「別に聞く必要もないから進もう。」
誰に対して言ってるのかもわからんし、関係しなくていいならできるだけシカトする方向でいきたい。かったるいしお腹も空いた。早く帰って寝たいんだもん。
「と、止まれー!さっさと止まらんかー!!」
夏場にミンミン騒がしいセミたちよりもずっとやかましい声が聞こえるが、やはり誰に向かっていっているか不明だ。普通に黙ってほしい。
主語がないとかふざけているんだろうか?ひたすらスルーして更に進む。いま俺たちがいるのは街の東門を基点としてみたら南東300ちょいってところだ。変態集団は東街道上にいるから東に200ってところかな?河岸の距離は300√3・・・であってる?あってるかな?
カナデさんからの肯定もツッコみもない寂しい。このまま俺たちが北上すればぶつかるだろうけど別にアイツラに用はないし進路を若干修正して真西に進もう。そうすれば外壁に着くからそこから北上、つまりは右折してしまえば真っ直ぐ東門へと到達するし。
「それにしても街道に陣取るとか随分と邪魔な連中だな?人の迷惑考えられないなんて哀れな上に頭が残念な連中だ。」
「なんだかこっちを気にしてるように見えるんだけど、さっきのヤツらと同じ集団なんじゃない?」
「んー?多分そうだろうけどほっとけばいいと思うよ。もしアイツらがくだらないことを言ったら全滅させるしかないけど、まだなにも言ってないみたいだし。」
「ふ~ん?よくわかんないけどそういうもんなの?てっきりソウは全部殺すのかと思ったわ。」
「物騒なこと言うなよー。別に俺そういうのと違うしー。」(棒読み)
適当にミリーをあしらいつつ進む。俺らが外壁まで来たのを連中もじっと見てくる。さっきまで南に向かって横並びになってたのに今度は西、つまり俺らを向いて構え直している。律儀にムダなことしてるなぁ。
どうせ100メートル以上距離もあるし、弓も魔法も範囲外だもん。そんなことを考えていたら豪華な造りの馬車の物見台に突っ立っていた銀髪ボーイが叫び出した。
――――――――――――――
「報告します!ヤツら、一定の距離を保って我が隊前方を横断していきます!メンバーは・・・3名!黒髪が2名、赤髪が1名、黒髪の片方が獣人です!ここから確認できる限りでは全員女のようです!」
女だと?女の分際で20名からなるリュウケルたちを返り討ちにしたと?クレオリオは自身の耳を疑った。
何故あの程度の戦力と相対してリュウケルたちが敗れたのか?それは普通では有り得ない。ならば連中は何か卑怯で姑息な手を使ったのではないのか?そうとしか思えなかった。
「どうやら攻めてこないようだな。ヤツら・・・何を考えている?我らの目の前を悠々と素通りするつもりか?!」
「ど、どうやらそのようです!突撃をかけますか?!」
自分達には関係がないとでも言いたげな様子の黒髪共を睨みつける。もし罠を張ってリュウケルたちを退けたのなら2の手はないだろう。
いまも急いで街へと入ろうとしているのは人目に紛れれば逃げられるとでも思っているのかもしれないが、それはあまりに滑稽にすぎる。
「・・・ふざけおってからに!よし!」
「お、お待ちくださいませ!クレオリオ様!」
「・・・なんだ?」
突撃の号令をかけようとしたところでディグダが待ったをかける。普段軍事に関わることでは口を挟まないコイツが珍しい。余程のことか?
「ク、クレオリオ様。あやつらの荷台をご覧ください。」
「荷台だと?そんなものを見てどうなる!すぐにでも突撃をかけて討ち取ればいくらでも見られるだろう!」
「いえ!そうではございません!遠見をご利用ください!アレに積まれてるものが・・・私の思う通りだとしたら・・・いえ、いくらなんでも有り得ないと思うのですが・・・。」
弱弱しく首を振るわりに俺を止める言葉には力が入っている。いつも冷静なディグダにしては珍しい。珍しすぎるほどだ。本当に何かあるのかと思い改めて賊を遠見を用いて確認していく。
クレオリオは遠見を覗き込み言われた通りに賊とその積荷を確認していく。長い黒髪の女は火傷を負っているようで、それ以外は特に目立った傷もなさそうだ。獣人の、亜人の汚らわしい耳や尻尾が見え吐き気すら覚える。
赤い髪の女はへらへらと締まりのない顔を晒している以外に特徴はなさそうだな。荷台は・・・何かの皮か?赤く染色でもしているのか?見慣れない色をしているが形状や模様は牛にそっくりだ。何故染色をしているのかは知らないがこれが一体どうしたというのか。
「おいディグダ。少しばかり染色された牛の皮がどうかしたのか?」
「いえ!アレは牛ではございません!私も以前中央で1度だけ見たことがあるだけですので断定は出来かねますが、恐らくあれは・・・ミノタウロスの亜種ではないかと。」
「・・・ふっ。何を言うかと思えば。」
リュウケルたちがあっさりやられてディグダも冷静ではいられないのだろう。ディグダはよく気が回る男ではあるが戦闘職ではないし、それも仕方がないのかもしれないとクレオリオは思った。
「いくらなんでもそれは有り得ん。どうせ血で汚れているか植物か何かで染色しただけの牛の皮で間違いない。」
「・・・。」
「見ろ。あのみすぼらしい連中を!アイツらが1匹で街を落とすと言われたミノタウロスを倒せるように見えるか?冗談がすぎるぞ!!」
クレオリオはディグダの忠言を聞くことなく声を荒げていく。その言葉をただただ聞くしかできないディグダはどんどんと顔色を悪くしていき小さく、本当に小さく呟いた。「間違いであってくれ・・・」と。
――――――――――――――
「なんか盛大に悪口言われて気分悪いな。」
みすぼらしいとか非常に傷つくことを言われてしまった。てかミノの皮に気付くヤツがいたことに驚きなんですけど?コイツって亜種だから色も違うしそもそも皮を遠目に見ただけで判断つくもんなのか?
「・・・なんか、バカにされてない?」
「気のせいだろ。バカにする相手に向かって隊列組むとかないしな。」
相変わらずバカにされることに対する沸点が低いタヌキ娘だ。
「そう・・・なのかしら?なんかすっごくイヤな気分になるのよね!」
いくらバカでもここまで適当にあしらったら誤魔かせないらしい。下手に勘の働くヤツだな。言葉の意味なんかわかってないだろうに。
「止まれ!止まらんか女ども!」
「あー、それより帰ったら何食べたい?寝る前になんか食うだろ?今回頑張ってたみたいだから奢ってやるぞ?」
「えっ?!いいの??!あ、あたしあんまりお金持ってないからどうしようか困ってたのよ!やだっ!すっごい嬉しい!」
思った以上に食いついてきたが、なんでお前金ないの?バルムさんのことだからそれなりに持たせてると思ったんだけど?
チラっとテトにゃんを見てみると「装備や服の補修にお金使っちゃってたみたいなの」とのフォローが入る。空気読めすぎるテトにゃんが天使すぎる。
そういえばミリーってば、すっかり忘れてたけどデッカいのとかゴブやらに襲われてボロボロになってたんだっけ?それは予定外の出費過ぎるな。惜しげもなく見せつけてきていた薄いピンクの布も視聴者サービスが過ぎて・・・《マスター?》いやなんでもないっす。
「まぁ、今日くらいは好きなだけ食っていいよ。テトも何か食べたい物ある?ニコにも起きたら聞いてみないとだけど。」
「た、食べたい物・・・?うぅ~、急に言われても迷っちゃうの~。」
悩んでるテトにゃんもまた可愛いな。てかそんなに悩むほどこの街の食事ってレパートリーあったっけ?俺は大将の飯と屋台飯くらいしか知らないんだけど。
「聞いているのか?!黒髪の女ー!貴様がどんな卑劣な罠を使って我が小隊長リュウケルを退けたか知らんが、これ以上の狼藉は看過できん!私が全知神様に成り代わり滅ぼしてくれる!さぁ!かかってくるが良い!!」
「帰ったらマーグル婆さんにも聞いてみようか。美味しいお店とか知ってるかもしれないし。」
「あたしはステーキが食べれたら何処でもかまわないわ!バルムさんおススメのお店なら『闘牛の鉄庭』ってお店よ!美味しいし量も多くてあたしも好きよ!」
ミリーが眼をキラキラさせて見つめてくる。心なしか口元もキラキラしてるがまさかもう涎を垂れてるってことはないよな?いくらなんでもやめとけよお前。
「う~、ウチもお肉がいいけど、あんまり固いとニコが食べられないの・・・。前にソウと食べた柔らかいお肉ならニコも食べられるのー。」
故ウサギの肉のことか。あれは一般には手に入らないから店を回ってもないかもなー。となるとニコ用に食べやすく切れ込みいれたりとかってすればイケるか?ちょっとその辺は店主と相談してみるか。
「ちなみに『闘牛の鉄庭』ってお店は朝からやっ」
「おい女ども!いい加減にせんかー!貴様らには既に生きる道はない!全知神様の御慈悲だ!せめて苦しまずに殺」
「うるせーのはお前だ!バカみたいに喚くなクズ!寝言は死んで言え!!」
ピーチクパーチク囀る銀髪についつい返事をしてしまった。だってうるさいんだもん。
「きき貴様ぁ!誰に向かって言っている!?」
「誰も何もしらねーよバカ!自意識過剰すぎるんだっつの!お前がどこの誰兵衛か知らんが兵隊ごっこなら人様の迷惑にならないとこでやれ!どアホー!」
―――ザワザワ
なんか知らんが変態集団の兵士達がザワつき始めた。しかも東門の近くにいた集団・・・多分冒険者集団?までザワついてこっちに注目している。てかなんであんなに冒険者が集まってんだ?集会かなんかか?
「・・・ゆゆゆ・・・許せん!下賤な身で!女の分際でこの私を愚弄し侮辱した貴様は絶対に許すことはできない!!全・・」
「お前に許されたいなんか思うかボケ!頭悪すぎて引くっつーの!」
―――ザワザワザワザワ!
更にザワつくモブキャラたち。そんなにザワ×2言いたいの?アカ○なの?カ○ジなの?
「~~~~~っっ!!!!全体進めー!!!!」
なまっちろい顔を真っ赤に染め上げて指揮棒みたいな物をへし折った銀髪ボーイは地団駄でも踏みそうな勢いで号令を下した。
「「「「おおおおぉぉぉーーー!!」」」」
隊列を組んだ連中が号令を受けて弾かれたように駆け出そうと声をあげる。
「やめんかーーー!!!!」
――――ビリビリビリビリビリビリビリビリ
大気が震えた。壁が振動を受けてパラパラと塵屑を落とす。耳を殴られたかのような衝撃と共に腹にもズシッと響いてくる。
「み、耳がいてぇ・・・。」
自分で発した声がほとんど聞こえなかった。あまりにも大きな音に耳がやられてしまったようだ。それにしてもこの声には覚えがあるな。
ぐわんぐわんと痛む耳を押さえながら東門へと眼を向ける。そこには騎士鎧をまとった金髪の美女が立っていた。久々に見たが相も変わらず独特なヘアスタイルしてるな。
「エリザベート・モルドレ・ド・メタリカ。」
俺と変わらないくらいの背丈を持ち髪と同じ金色に輝く瞳を真っ直ぐに銀髪へと向けている。ポニーテールも左サイドの編み込みもなんかもうすごく懐かしいな。
おめめはぱっちり鼻筋スッと、血色の良さそうな唇がぷくっとしてる文句なしの美人さんで、ちなみにやっぱり胸囲は驚異的。アンナベルといい勝負か?いや、圧勝かもしれんな。てか今日はバストが強調されてる鎧着てる?体型わかる鎧持ってたの?
しかしながらその実態は・・・ただの残念系美女だったりするんだが、今日はキリっとしてんな。悪いもんでも食ったか?
「これは一体どういうことか!!モーキンス殿!!」
声がデカい。お元気そうで何よりですね。最早凶器としか思えない声を張り上げるお姿に殺されかけた過去の記憶が呼び起される。アレって物理的にダメージ入るんだよな・・・。
「貴殿は・・・メタリカ家の長女、エリザベート嬢か?!」
あ、普通にやり取り続けるんだ?歩兵たちも突然の爆音で止まっちゃってるしちょうどいいのか。それにつけても急にニヤニヤしだしてキモいな銀髪。
それよりテトにゃんは大丈夫かなって思いチラ見をしてみる・・・ってノック・アウトされてる?!テトにゃん眼がバッテンになってるよっ!
「ふにぁー・・・。」
フラフラと足元が覚束ないテトにゃんへダッシュで近付き肩を支える。どうやらあまりの衝撃にダウンしてしまったようだ。この距離でこれだけのダメージ・・・お、恐ろしい子!!
「テト・・・やはりケモミミにはキツかったか。ミリーは?平気か?」
「ぐっ・・・な、なんとかね。」
「活動できるなら上々だ。悪いけどちょっとテトを荷車に載せるの手伝ってくれ。」
「・・・わかったわ。」
ミリーと一緒にテトにゃんを荷車へと収納。その間も銀髪とエリザベートは会話を続けていたらしい。内容をカナデさんにまとめてもらうと以下の通り。
・銀髪が軍事行動を取りメタリカーナに攻め入ろうとしているように見えるとエリザベートが主張。
・不心得者が出たので討伐しようとしていたところだった。メタリカーナに敵対する意思はないと銀髪が主張。
そこから派生して俺を渡す渡さないの話しになっているらしい。超どうでもいいな。
「おい銀髪!」
「・・・まさか、私のことを言っているのか?」
「当たり前だろ銀髪。お前の飾り程度にしか意味を成さないムダに派手な頭で少しは考えろ銀髪!」
「こここ、殺す!貴様だけは絶対に」
「黙れ銀髪!そもそもお前はなんの目的があってここに来てるんだよ?」
「うるさい!貴様のような下民に!蛮族に応える必要など」
「あちらの御仁を呼んだのは我が父上だ。魔法師殿。」
「あのガチムチ系のおっさんか。あー、そういえば治療とか色々ありがとね。お陰で助かったよ。いや、助かりました。ありがとうございました。」
「いや、よしてくれ。前にも言ったが私がやりたくてやったことだし、そもそも私は魔法師殿にこそ救われたのだ!」
「うん、まぁその辺の認識合わせはまたの機会に。それよりあの銀髪を呼んだのがメタリカさんだってのはどういうことですか?」
「あぁ、言葉も普段の調子でお願いしたい。私に対して畏まる必要は全くないからな!」
言い切るエリザベート。ホントにいい笑顔でいやがる。なんだそのムダな爽やかオーラ?
「そう?それならいつも通りでよろしくー。そんでどうしてなの?」
「うむ。実はだな」
「私を無視するというのか!?愚弄するのもいい加減にしないか!」
「いま暫く待たれよ!モーキンス殿!」
ウルサイ銀蝿に向かって短く切る金髪美女。ふむ?ここまでで残念なところは出てきてないな。もしかしてあの時だけだったのか?普段は実は有能キャラだったりするのかな。
「すまないな、魔法師殿。それで、モーキンス殿のことなのだが、実は我が領内のダンジョン攻略のために隣国からお呼びしたのだ。」
あっさり語られてしまったが、それって結構な機密事項なんじゃないの?
「そして、ダンジョン攻略の見返りに私との婚約を持ちかけられている。勿論領民を守るために受ける心算だ。」
「えーっと、なんか重要な話しがサラサラ出てきて困惑しちゃうんだけど、エリザベートさんはアイツと結婚することに抵抗はないの?」
「もちろんだ!とさっきまでなら答えられたのだろうが現状では難しいな。まさかメタリカーナに向けて刃を向ける御仁だとは思わなくてな。いくらなんでもそれは見過ごせはしない。」
キリリと表情を引き締めたお嬢様だが、どうにも滅私奉公の精神が強すぎないか?ドMなんだろうか?
もっと自分を大切にした方がいいってメタリカのおっさんは教えなかったのかな?・・・教えなかったんだろうなぁ。青い髪の悪魔もなんかそんなこと言ってたし。義務とかなんとか。
「でもまぁ、状況はわかったよ。それなら俺に任せてほしい。口八丁は苦手だがこの場はうまくまとめてみよう。」
「いや、いくらなんでも魔法師殿に頼るわけには!!」
凄い声量で待ったをかけられるが、余裕のあるような微笑を浮かべてエリザベートを手で制す。心臓にまで振動の影響がきて苦しいからやめてほしいねん。もうムリやねん。
「さて、さっきからギャーギャー喚いてばかりの銀髪君!お前に1つ質問をしよう!」
「貴様ごときがこの私に質問だと?!ふざけるな!」
さっきからふざけるなばっかり聞いてる気がする。コイツの語彙は既に枯れ果ててしまったのだろうか?見るからに頭悪そうだし仕方ないか。ムダに顔だけ整いやがって。オラ、イライラすっぞ。
「口ゲンカがお前の目的か?それなら付き合ってやるが違うだろ?」
「はっ!貴様如きが我らの崇高な使命を理解できているかのような言い草だな!」
「それはもちろん。お前よりはちゃんと理解してるよ。お前の目的はここから東にあるダンジョンの攻略だろう?」
「・・・それがどうした!」
さっきから微妙に隣の執事?がごにょごにょ銀髪に助言してる臭いなー。少し煽れば反射で答えてくれないかなー。
「YESかNOで答えろよなー。めんどくさいやつー。」
「くっ!確かにダンジョンの攻略だがそれがどうした!」
「それは依頼があったからか?それともその全知神様に言われてやってるのか?」
「当然全知神様からいただいた我らの使命だ!それがなんだ!!」
「ふ~ん?お前らのいう使命っていうのは随分安いんだな!」(ドヤ顔っとく)
「なんだと?!」
「いま足を止めてるのはその使命とやらより大切なことがあってわざわざ足止めてるんだろ?随分と緩い使命だな!急ぎじゃないなら国に帰れよ!」(へらへらしとく)
「言わせておけば随分と好き勝手にぃ!我らの使命は何にもまさる最優先事項である!それを貴様は」
「まだわかんないのか?そうやって口ゲンカすることの方が大切だってお前自身が証明してるんだぞ?」
「・・・・!!!」
折角整った顔が恥辱と憤怒でヤバいことになってるな。ザマァ(笑)
「それに、ダンジョンの攻略が終わったら報酬代わりに領主の娘さんを貰うんだって?」
「・・・報酬ではない!それがその女の天命だったのだ!貴様のような下民にはわかるまい!」
「いやー?それはおかしいなー。俺が聞いた話しでは、東の『死霊の穴』とかってダンジョンを攻略したヤツに娘を渡すって言ってたと思うけどー?」
「それがどうした?!我々が攻略するのだ!同じ意味だろうが!」
「ははっ。全然違うよバッカだなー(笑)。確かにメタリカ領主は「『死霊の穴』を攻略した者に娘を差し出す」って言ってたと思うんだけどなー?」
「確かにそうだ!だがな、あのダンジョンは我々・・・いや、私にしか攻略は不可能だ!よって領主は私に娘を」
「差し出すことはないしそういう話しじゃないんだって。でもわかったわかった。メタリカさんは『死霊の穴』を攻略した人にエリザベートさんを嫁にあげてもいいって言ってたってことね。んで、お前は全知神様のご命令をムシしてここでのほほんとしていいの?ダンジョン行かないの?」
これだけわかればもう十分だしもう帰ろうかなっと思ったところでなんか執事みたいなおっさんが銀蝿に耳打ちをしていた。もう少し大きな声でやってくれたらカナデさんが声拾ってくれるんだけどなー。
「・・・ちっ。仕方ない。隊列を組み直せ!ダンジョンへ向かうぞ!」
「「「はっ!」」」
「命拾いしたな、小娘!次はないと思えよ!」
「そういえばなんでエリザベートさんはなんでここに?なんか用事でもあったの?」
俺は銀蝿の捨て台詞を全力でスルーすることに決めた。そのことがあとになってちょっとだけ後悔することになった・・・かもしれない。
お読みいただきありがとうございます。
久々合流金髪ちゃん!忘れている人はキャラ紹介辺りを見ていただければ大丈夫かと!
あと、場面があっちにこっちにってなっちゃって申し訳ないですm(_ _)m
なるべくこういう表現は控えます。
次回予告
金髪ちゃんに青髪ちゃん!
お肉
休憩
お肉とお肉!




