やさがししてる感覚はない
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
ブクマいただきありがとうございます!
評価もいただいて嬉しい限りです☆
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第62話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
前回のあらすじ
初めての迷宮へ
ダンジョンの中なのに集団戦
ミリーさん本領発揮
「で、でも!あたし悪くないわよね?これが脆すぎるのがいけないのよ!」
「そうやって責任転嫁するクセ、直した方がいいぞ?バルムさんにも言われてないのか?」
「うぐっ!・・・い、言われてるわね・・・。」
「だろ?とにかくやらかしちゃった時はまず謝ること。ほれ、ごめんなさいは?」
「ぐぐぐぐぐぅー・・・。な、なんかあんたに謝るのってすごくこう・・・ヤな感じがするわね!」
「なんだそれ?誰に対してもやらかしちゃったら謝るの。じゃないとこれから先、色々と損するぞ?お前の性格って。」
「バ、バルムさんとおんなじことを・・・。」
「同じこと言われるってことはそれだけ繰り返し同じようなヘマしてんだろ。謝る時はチャチャッと謝った方がお前にとってプラスだから言われるんだってことわかってほしいわー。」
「くうぅー!ご、ごめんなさい!これでいいんでしょ?!」
「ま、言えるだけ上等だな。よしよしよくできましたっと。」
「ちょ、ちょっと!頭触んないでよ!バカにされてるみたいで不愉快だわ!」
「バカにしてるんじゃなくて褒めてるんだよ。褒められた時は素直に喜んだ方がいいぞ?これもお前が損しないためのアドバイスな。」
わいのわいのと騒ぐミリーを宥め、地下への通路をどうしようかと暫し悩む。先ほど取れてしまった取っ手以外に掴めそうな所は皆無。
「となると、周りを掘ってみるか。ミリー手伝ってくれ。」
「むー、わかったわよ!やればいいんでしょやれば!」
「さっきの木片使ってやろう。あまりにも固かったら魔法でどうにかするけど。」
「ウチもやるのー。」
ザクザクと鉄のフタ?の周りを掘ってみると数分ほどで持ち上げることに成功。どうやら薄い鉄板だったみたいだな。
「下へは階段で降るのか。思ったよりしっかりした造りっぽいな。」
「こんなに簡単に進めるなら謝る必要なかったじゃない!」
「おーし反省の色はないな!落ち着いたらそろそろご飯にしようと思ってたがお前の分はなしでいいってことだ!よくわかった!」
「ちょちょちょっとー!?それはムリ!ダメ!アリエナイわ!ご、ご飯だけは!ごごごご飯だけは勘弁してー!!?」
「どんだけだよ!まださっき食べてからそんなに経ってないだろ?必死すぎて怖いんだけど!?」
「だって!ご飯抜きなんてあんまりじゃない!ご飯よご飯?!あたしご飯抜いたら死んじゃうんだから!!」
「わかった!わかったから落ち着けって!ちゃんとお前の分も用意するから安心しろって!」
「ホントに?!絶対よ!絶対!!嘘だったら承知しないわよ!!!」
ミリーの食いしん坊キャラは思った以上に深刻だったらしい。とにかく眼が必死すぎてマジで引く。軽い気持ちでご飯系をネタにするのはちょっと控えようと思うくらいに眼がヤバかった。
とりまミリーの口に干し肉だったデロデロしたものを詰め込んでみたらそれだけで満足してくれたみたいだ。口に入ればなんでもいいってお前ゴブかよ・・・。
諦観しながらもミリーをジトり、開けっぱのままになってしまっていた地下道へ続く階段を下りていく。意外なことに中は石造りの階段になっていてかなりしっかりした構造らしい。ちょっと狭いけど。
「『炎弾』の残数が減ってて丁度よかったな。人1人通るのがやっとの道じゃ制御がたるいし。」
「少し寒くない?さっきまでよりひんやりするわ!」
「・・・そういえばそうだな。外套で気付かなかった。テトとニコは大丈夫?寒かったら貸すから言ってね?」
「なんであたしには聞かないのよ!あたしが寒いって言ったのよ?!」
「お前はでっかい布持ってるだろ?それ使えよ。乾かしてあるし。」
「そ、それもそうね!そうするわ!」
「ウチは平気だけど、ニコは寒そうなの。」
「わかった。ミリー、外套後ろに回して。」
「わかったわ!はい、テト!」
「ありがとーなの。ニコ、一緒にくるまるの。」
「ん。」
ニコの背丈が足りないからのさり気ないフォロー流石です。すっかりテトにゃんはおねいちゃんが板についてきたな。善きかな善きかな。
《顔が弛みきっていて非常にいやらしい表情になっています、マスター。変態ですか?》
「いいえ、私は変態ではありません。って何言わせるんすかカナデさん?変態なわけないじゃん?俺は至って真面目で善良な一般市民ですよ!」
《・・・自覚がないとは、立派に紳士ですね。ちなみにですが、この地下道内は魔法的に仕切られた空間になっているようです。効果としては物質の劣化を防ぐものでしょう。》
「ハンパにスルーするなら言わないでよ・・・。まぁいいや。その魔法がまだ有効ってことは余程大切にしてたってことか、まだ誰かが使ってるってことかな?」
《後者はなさそうです。現状マスターたち以外の生命反応がありませんので。》
カナデさんが言い終わるのとほぼほぼ同時に階下に着いた。そこは先ほどまでよりも少し広くて12畳程度の広さで床は石畳。左側には棚が並び正面奥は木の扉。右側の壁には2つの扉があった。パッと見3LDK的な印象だ。キッチンはないけど。
「この空間の魔法を維持してるのは床の魔法陣か。ボンヤリ光ってるから蛍光灯代わりに十分使えそうだな。でもそんなに複雑じゃなさそうだけど所々わからんところが散見するってことは我流か?」
《照合が完了しました。どうやら複数の流派を取り入れた術式のようですね。少し古い上に他国の物ですが、ある程度認知された構成ですので我流ではなさそうです。》
「カナデさんのチートっぷりに脱帽ですよ。普通そういうのは主人公の鑑定スキルだったり博識なエルフの仲間とかがやるんだろうと思うんだけど・・・。」
《ダンジョンマスターとして必要な知識の範疇ですから、カナデが十分ご案内可能です。それにしても先程から思案されているのはパーティー編成のことですか?》
(あー、うんまぁそんなとこ。やっぱ俺1人じゃダンジョンの中に愛妹たち連れて行くのはキツイなって思ってさー。)
《・・・現状はミリーが肉壁役を担っていますからなんとかなっている部分もありますね。それが抜けるとどうしても2人の危険度が増しますね。》
(だよねー。さっきからそれで結構しっちゃかめっちゃかになっちゃってる部分あるもんね。)
複数の敵に近距離で群がられるとどうしても対処が後手後手になるし、入り組んだ場所や索敵に制限が入ると途端に弱くなることが判明してしまった俺氏。
こうなるとマーグルさんに保育士してもらう必要もあるのかもしれないが、果たしてそうやって甘やかすだけでいいのか?ある程度鍛えたり、もしくは自立の道を一緒に探すべきなのか?これはカナデさんとの夜が長くなりそうな案件の気配がする。
そんなことを考えながら部屋の中を確認したところ、棚には色々な調合道具や素材・・・だったモノが幾つか並んでいた。素材はほとんどダメだった。右側の扉の向こうは片方が推定トイレで片方が水場。トイレはふっかい穴で水場はハダカのちゃんねーがツボ持ってるタイプだった。あれだよ、ツボから水出てくるタイプだよ。
「この水は飲めるんだろうか?」
「・・・えっ?!」
「まさかとは思うが、お前もう飲んだのか?」
「ま、まっさかー!あああ安全を確かめもせずそんなことするわけないじゃない!」
「それもそうか。お前の服が濡れてるのはただの汗だよな?こんな涼しいのにそんなに汗かくなんて、ミリーは汗っかきなんだな。」
「ち、違うわよ!これはヨダレ・・・そう!ヨダレなのよ!」
「もうホント色々アレだな。お前。」
ミリーへのジトを済ませて最後の扉へ手をかける。1番奥にあった正面の扉だ。
「ここも鍵はなし、か。中には何が・・・?」
「どうしたのよ!中見えないんだから早く行きなさいよー!」
「・・・そうか。先に入りたいなら先に行け。」
「いいの!?ならすぐ行くわ!」
ミリーが飛び込んだので扉を閉めて背中で押さえる。これアカンやつや。
「みぃぃぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!??」
ガチャガチャガチャガチャ
「あ、開かない?!開かないわよ!!どうして?!どうなってるの??!ヤダ!ヤダヤダヤダヤダ!!開けて!開けてよ!ソウ!いるんでしょ?!ねぇ!開けなさい!開けなさいよ!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
「嘘でしょ?!冗談よね?!冗談だって言ってよ!ねぇ?!開けて!開けてくださいお願いします!イヤなの!ここはイヤなの!ねぇ!開けて!開けてよおおぉぉぉぉぉえええええええぇぇぇぇぇん・・・・」
「ソウ?どうして開けてあげないの?」
「んむ~、開けてやりたい気持ちはあるんだが、危険があるかもしれないし。そもそもアイツが好き好んで入って行ったんだから別にいいかなって?」
「う~、ミリーが勝手に飛び込んじゃったのはそうだけど、泣いてるのは可哀想なの!」
「やれやれ、テトが言うなら仕方ないか。」
扉を閉めるのをやめ、ガチャっと開けてやる。すぐに飛び出してくるかと思ったら扉の前でしゃがみ込んで泣いているミリーがいたので回収&閉扉。ここはキモいからイヤなんです。
「ひ・・・ひっぐ。・・・ん・・・ひぐっ。えうぅぅ。」
「そんなに泣くなよ。悪かったって。まさかミリーがそんなに苦手だなんて知らなかったんだって。」
必死に慰めるが全然効果がみられない。頭を撫でたり背中を撫でたりしているが焼け石に水というかぐずる子供を相手にしているような心持になってしまう。
暫くみんなでミリーのお守りに徹し、無為な時間が過ぎていく。なんでダンジョンの中で子供をあやさないといけないんだか。
《マスターが閉じ込めたからですね。》
(えー?だってさー、普通にイヤでしょあんな部屋。大量の人形がこれでもかって置いてあったよ?何アレ?)
《状態保存の効果も可能な限りこの部屋へと注ぎ込んでいました。これが『出会い乞い願う館』の名前の由来と見て間違いないですね。》
(名前の由来って?・・・人形と出会う?)
《はい、マスター。イーザウが目指したのは理想の女性に出会うこと。ですが情報によると彼は生涯彼女いない歴=年齢だったとあります。つまりはここで理想の女性を創り出そうとしていたのでしょう。》
(ご、業が深いダンマスだったんだな。ある意味崇高?)
モテないを通り越して精神が昇華してしまったイーザウ氏にかける言葉が見当たらない。なんて残念な人生送ってんだろう?モテないならモテる努力をすればいいのに。
《同じく彼女いない歴=年齢のマスターが言っても説得力がありません。》
とカナデさんに言われてしまったが、俺はまだこじらせてないし全然大丈夫だ。2次元嫁とかいたし問題ないから全然大丈夫だ。うん。
必死になって自己擁護を繰り返していたらミリーがようやく復活しポツリポツリと語り出したのを聞いてみると、
「入った瞬間人形と眼があった」
「閉じ込められて真っ暗になって怖かった」
「扉が開かないのは呪いだと思った」
「返事がなくて独りになったかと思った」
などなど。普通に小さい子をいじめたみたいになって気分が悪い。少し優しく頭を撫でておくとしよう。思えば洞窟の中で松明が消えた時に焦ってたもんな。ちょっと反省。
ミリーが落ち着いたのを見計らって人形部屋も調べてみた。人形以外は特に変わったモノはなかったな。あと、イーザウには造形のセンスはなかったと付け加えておこう。あれじゃ全然ダメだよ。
「さて、ここの安全は確保できたけど結局空気の流れのおおもとがわからなかったな。」
「それなら多分アレなの。」
「アレって・・・通風孔みたいな穴?か?アレは。」
「あそこから空気が流れてるのを感じるの。」
「ふむ。アレが上の部屋のどこかに繋がってたってことなのかな?そうなると外との繋がりは期待できそうにないなー。」
地下のこの部屋を含めて考えると、人形部屋と上の寝室?といま居るリビングで2L、DKなしってとこか。メゾネットと捉えるか一軒家と捉えるかで印象は変わるがどうでもいいか。
「通風孔があるならここで一休みしよう。ご飯食べて仮眠して、それからあの石トビラの開け方を考えるのがいいかなって感じ。」
「賛成ー!あたしお腹空いた!ご飯にしましょう!」
「ふむ。そうだな。ちなみにミリー、体調はどうだ?」
「へっ?普通に元気だけど?」
「そうか。どうやらあの水は使っても問題なさそうだな。」
急にプンプンし始めたミリーをよそに休憩の準備を整える。床の魔法陣は人形部屋の近くに行くほど反応が強くなっていくので焚火は階段手前でいいか。
身体を拭いてキレイにしてから『炎弾』を使って温めた白湯を片手に『炎弾』と焚火を使って肉を焼いて食べる。もう『炎弾』を解除するから残った弾の大盤振る舞いだ。使い方については異論があろうが、ただただ解除するのは勿体無いから許してほしい。
お肉様もそこそこの量があったのにもう1/4は食べてしまった。我慢できなくて塩をDP召喚したのは仕方ないことだと思う。コスト的にメッチャ安かったし。
塩があるだけで劇的に美味しくなったお肉にミリーとテトにゃんが興奮してがっついたのも仕方のないことだろう。
「生臭くなくてしっかりとした塩味があるなんて最高よ!火も通ってるしいくらでもいけるわ!」
「村で食べてたご飯よりずっと美味しいの!ソウはスゴいの!」
・・・育ち盛りの食べ盛りだろうし、それにきっと空腹的なスパイスもあるんだよ。うん。俺もついつい目算で300gは食べてしまった《450gほどです》とのカナデさん指摘。どうやら見積りが甘かったらしい。
ついでに調合に使えそうな道具があったのでポーションとマジックポーションを空き瓶分作っておいた。これでストックはポーションが10本、マジックポーションが5本だ。薬草はまだあるから帰ったらもっと作ってマーグルさんに売りつけようそうしよう。
全員で軽く仮眠をとって焚火を始末。なんだかんだとこの洞窟というかダンジョンに入ってからかなりの時間が経ってしまった。ちゃんとお野菜も採らないと愛妹たちによくないから少し急ぐとしよう。
石トビラの前まで戻ってきてスイッチとかないか見てみるがドコにもなかった。こんな巨大なトビラをマジで人力で開けなきゃダメなのか?イーザウはバカだったんだろうか?
押してみても引いてみてもビクともしない。これではイーザウも通れなかったんじゃないのかという至極真っ当な疑問が頭をよぎる。
ガコン
「あ。」
「あ?」
ガゴン ゴゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴ
ゆっくりと開いていく石トビラ。呆けたまま壁に手をついた状態のミリー。どうやら壁に手をついた時にスイッチを押したらしい。不用意に押すなと怒りたいところだが、面倒だから褒めておくか。
「流石だな!ミリー!お前のお陰でトビラが開いたぞ!」
「と、とーぜんよ!このあたしにかかればこれくらいご飯食べながらだってできるわ!なんせD級冒険者だもの!」
バカにされていることに気付けないミリー。おいたわしい限りである。
タヌキを小馬鹿にしつつ中へと入ると巨大な石の塊が鎮座していた。あまり考えたくないのだが、どうにも人の形を模しているようだ。片膝たてて跪いてるみたいな格好だ。
「もしかしなくてもこれってさ、ゴーレムとかそんなだよね?」
「お、おっきいの・・・。」
「ゴツゴツしてるわね・・・。」
「ん。すごい。」
返答は得られなかったがなんとなくやる気が出てきた気がする。
《どうやらストーンゴーレムのようですね。これだけ大きい物となると稼働には大幅な制限があると思うのですが。》
「制限?そういえば全然動く気配がないな。」
立ち上がれば3mは超えそうなゴーレム。この部屋の天井ギリギリの大きさだろう。足元には魔法陣。詳しくみないとわかんないけど、多分この魔法陣の上じゃないと動かないのか?動力を兼ねてるような記述がある。
部屋は円形で半径15mはありそうだからアレが暴れるには十分なスペースだと思われる。でも・・・
「魔法陣の一部が自重に耐えきれなくて割れてるな。これなら動力不足で動きそうにないな。」
「えっ?!これ動かないの??」
「みたいだな。もしゴーレムに魔石でもはめ込んであれば動いただろうけどそんな魔力感じないし。ミリーは動いた方がよかったか?」
「いやよ!こんなのと戦っても勝てるわけないじゃない!バルムさんたちと一緒でも厳しいわ!」
「だよな。デカいは強いだからな。これが動かないのは非常にありがたい。」
そんな軽口を叩きながらも物言わぬゴーレムをじっと見てしまう。見たまま壁の端を歩きながら奥にある扉へと向かっていくが、ホントにピクリとも動かなかったので一安心だ。
「動かないとわかっててもこの部屋から出たい。すぐに次へいこう。」
全員が頷くのを確認してから次部屋への扉を開ける。開けた先は登り階段になっていて、ここも石造りでしっかりした構造っぽい。あのゴーレムが暴れても簡単には壊れないようにしていたのかもしれない。
「1段の間隔がちょっと高いな。ニコ、登りにくい?」
「んー。」
「段差あると歩きにくいのは仕方ないからこっちおいで。」
ニコを背負ってひたすら階段を登って行く。ちょっと保護者っぽさを演出してみようという軽い気持ちでおぶったが、思ったよりも楽々進めたのはニコが軽すぎるせいだろう。もっと食べさせようと心に誓う。
数十段の階段を登り切った先は案の定またもや扉だった。今度の扉は鉄製だ。他に選択肢もないので普通に開けるが錆びついててかなり重かった。酸化防止を徹底してから鉄製の扉は使いなさいとイーザウに苦言を呈す。
重い扉を開き中へと入ってみると、ここも円形の広い空間だった。ただ2つだけ違うのは、石造りではなく土造りであることと赤く光る魔法陣の上に座っているモンスターがいることだろう。
「話してわかる友好的な人物であることを祈るがムリそうだな。」
「・・・そんな悠長なこと言ってる場合じゃないわよ。どう、するの?」
「どうもこうも、戦うほかないだろ。」
先程2つだけと言ったが早速訂正だ。もう1つ他の部屋と違う特徴がこの部屋にはあった。鉄の扉が勝手にしまったのだ。しかも開かない。これってもしかしてボス戦開始の合図なの?
半径20m程の大部屋の対面にモンスターがいるのでかなりの距離があるが、先程のゴーレムより身長が小さいのがわかる。多分2m70cmくらいかな。大分さっきよりは小柄だ。筋肉もムッキムキで余分な脂肪が見当たらない。シックスパックがバッキンバッキンである。
「装備は斧・・・か。まともに戦いたくないな。」
「こうなったら初めから『魔硬』で!」
「あ、ミリーそれで接近戦は禁止な。」
「なんでよ?!」
「だって『魔硬』やると魔力を纏ったところ以外極端に脆くなるだろ?今回は投擲に集中しろ。もし接近されたら受けるなよ?避けるんだ。」
「そんなこと言われてもあたし防御とか回避とか苦手なのよ!投げるのも得意じゃないし・・・。」
「前衛は俺がやる。テトとニコの面倒見ながら適当に石とか投げつけてくれればいい。」
「あんた・・・死ぬ気なの?」
「ヤダよ。もう死にたくないもん。俺はまだまだこの世界でやりたいことあるから、死なないための作戦だよ。」
「・・・わかったわ。でも、あんたが倒れたらあたしは『魔硬』使うからね!」
「その時は任せるよ。テト、ニコ、そういうことだからモンスターとの距離感に気をつけるんだよ?常に離れた所にいること。いいね?」
「うぅ~、わかったの。」
「・・・ん。」
納得なんて微塵もしてなさそうな愛妹たちの頭をそっと撫で、俺はモンスターへとゆっくりと近づいていく。
ガチムチボディのモンスターはまだ魔法陣の中にいる。開始早々に仕留めるべくまずは『炎弾』を用意だな。
「術式 冒険級火属性 実行 火の精霊よ 我が魔力を糧に、30の炎弾を成し、回り、廻れ」
さっき休憩したから魔力的にはかなり充実している。具体的にいえばいつもの『炎弾』3発はいけそうな感じだ。
「全弾装填 我が敵を 射ち貫け 炎弾」
まずは感触を確かめるために1発打ち込んでみよう。
「1つの弾よ在れ!基準点を構築 α 発射!!」
25mくらい離れた場所からモンスターを狙い撃つ。
キュン ギィィィィィン!
俺の『炎弾』がモンスターを囲む魔法陣から放たれる赤い光りの膜?みたいなヤツに弾き飛ばされ、硬質な音が響く。
何気に『炎弾』が完全に弾かれたのは初かな?<オーク>もどきの時は貫通できなかっただけで焦げは残せた気がするし。
《あの魔法陣は魔物への魔力供給と内外を隔てる壁の役割を持っているようですね。力づくで破壊を試みるよりも、魔物が出てきた際に最大火力を込められるように準備した方がいいでしょう。》
「んむ~、ちょっとショック。あの魔法陣もイーザウが用意したわけでしょ?なんか負けた気がしてヤな感じだな!」
《至近距離で確認してみないとわかりませんが、もしかしたらDP召喚品かもしれません。そうだとすれば実力とは無関係の可能性が高いです。》
カナデさんがいうには、イーザウの実力では制御不能な程に強力な魔法陣らしい。しかもダンジョンが攻略されてもなお有効ということは、ダンジョン作成とは別枠で準備されたものなのでどの程度のレベルの敵か予想がつきづらいとのこと。
《ただ、単純にこの魔物が見た目通りの魔物の場合勝ち目は薄いかと思われます。何せボスキャラ・・・と言われる類の魔物ですので。》
「そうだよねぇ。ザコ狩りが得意な俺には嬉しくないモンスターなんだよなー。<ミノタウロス>って。」
残り20mほどの距離まで詰め寄ったことにより、彼?の顔が良く見える。口と鼻がグイッと前へ突き出す草食動物独特のフォルム。顔の両サイドにある目ん玉。面倒な説明を全部省けば牛の顔を持ったマッスルメンこと<ミノタウロス>。
草食動物の顔を持つクセに非常に獰猛で力持ち。人を殺すことが大好きで堪らないだろう血走ったお目々。地球のお話しによれば主食は人らしいからそれもやむなしである。草食動物詐欺だよマジで。
「俺のイメージよりも引き締まった体躯をしてるのがまた一層腹正しい限りだ。」
《マスターの紙装甲貧弱ボディとは比べ物にならない程に完成された筋肉の塊ですからね。羨むのもムリはありません。》
「いやいやいやいや。あんなバリバリな腹筋とか切れてる胸板とか、肩メロンは羨ましくないし全然さっぱなりたいとも思えないからね?」
雑談&リラックスしながら牛面へと更に1歩を踏み出すと、牛の足元の魔法陣が強く輝き赤い光の円が急激に拡がって行く。どうやらボス戦が開始されたようだ。
「なんであんなナイスバルクな状態に仕上がってるんだ?ずっと寝てたみたいなもんだろ?」
《供給される魔力を筋肉へと変換し続けていたのでしょう。それに、先程まではわかりませんでしたがどうやらあの雄牛は表皮が赤かったらしいですね。》
真っ赤なお肌の<ミノタウロス>さんとの戦闘が、いま始まろうとしていた。
お読みいただきありがとうございます。
元ダンジョンを満喫している一行ですが、なんだか怪しい雰囲気ですね。
これは・・・シリアスさんが来るかも?!
次回予告
牛と戦闘
絶望的展開?
圧倒的




