初めてのダンジョン?いいえ廃墟です
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第61話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
・・・ブクマ登録数が減っているのが悲しかったりなんかしませんよ。えぇ、しませんとも・・・。
ガンバります!
前回のあらすじ
落ちたら湖
白い世界
小休止
いざダンジョンへ
「壁、だな。」「壁ね。」「壁なの。」「ん、かべ。」
右を見ても左を見ても、下を向いても上を向いても石の壁。それだけならまだいいが、いままさに目の前というか進みたい方向も壁が見えている。つまりは行き止まりだ。
まぁ全面見渡して石壁しかないかっていうとちょっと違くて、若干だけど清流光の苔草が見えるってか生えてるくらいでほぼ壁しかないと言い切っていいだろう。
「でも鉄の扉の向こうが行き止まりとかいくらなんでもないだろ。」
「物置とかには見えないものね。」
「少しだけだけど、さっきまでのところとは違う匂いがするの。」
「やっぱりか。そこから考えてみると・・・いや、チ○ス盤をひっくり返すってヤツかな?」
「チェ○ばん?って?」
「ボードゲームの一種って言って通じるかどうかわからないけど、要は相手の立場に立って考えればそれまで見えなかったものが見えるようになるってヤツだよ。この場合はここを造ったっていうイーザウ氏の考えだな。」
「イーザウって誰なの?」
「この地下ダンジョンを造った人らしいよ?」
「やっぱり!ここってダンジョンだったのね?!」
「どうやらそうらしい。っていっても「元」だけどね。」
「攻略されたってわけ?」
「どうなんだろ?カナデさん、ここってそうなの?」
《はい、マスター。この『出会い乞い願う館』迷宮はウィリスという人物に攻略されているようですね。ダンジョンコアと最大限のリンクを繋げていたため被攻略の際にイーザウも絶命した模様です。》
「えっ?こわっ?!ダンジョンコア壊されるとダンジョンマスター死ぬの?!」
《通常ここまで強いリンクを構築しないので一概には言えませんが、それだけイーザウにとってこの迷宮が重要だったということなのでしょう。》
「んむ~。これは色々と気をつけなきゃいけないことがありそうだなぁ。」
「さっきからごちゃごちゃ言ってるけど結局どうなのよ?」
「ん?あぁ、どうやらここは既に攻略されてたみたいだな。ダンジョンマスターもダンジョンコアももうないってさ。」
「そうなのね・・・ちょっとがっかりかも。」
「いや、これがまだ生きてるダンジョンだったら俺ら全滅する可能性が跳ね上がるからな?こんなロクに装備もないまま普通にムリだろ。」
「あーっと、それもそうね?」
ミリーがテトにゃんとニコの顔を見ながら言ってるが、お前も大して役に立ってないからな?と言ってやりたい。むしろテトにゃんは索敵に優れてるしニコは癒し要員だ。ミリーは肉壁以外の役に立ってない疑惑なんだが・・・。
「ま、もう死んでるダンジョンなんだから勝手に住み着いてたり元々のモンスターが残ってるぐらいだろ。ちゃちゃっと出口探してメタリカーナに帰ろう。」
「そうは言ってもここが行き止まりじゃどうしようもないじゃない。他に帰り道なんてなさそうだったわよ?」
「いや、普通に考えてこれは行き止まりじゃないだろ?」
「だって壁よこれ?」
「ついさっき相手の立場になって考えてみろって言ったばっかだろ。多分仕掛けがあるとかそんなとこだな。ちょっと調べてみよう。」
壁を全員で押してみたり叩いてみたり蹴ってみたりと色々と試したが、壁はうんともすんとも言わなかった。言ったら言ったで怖いけども。テトにゃん曰く風の流れはないのに匂いの流れ?はあるらしく、違和感がパないらしい。
「ってことは風が通れるほどの隙間はないけど、多少は空気の通りがあるってことか。んー・・・トビラではそんなことはほとんどない、よな。もしかして・・・。」
似たような状況に思い当たるモノがあったのでちょっとトライしてみる。すると、スーッと壁を動かすことに成功。どうやらここは引き戸のようだ。実家のふすま越しに料理の匂いが漏れてたのを思い出してやってみたらビンゴだったらしい。
「ソウすごいの!」
「いや、これはテトのお陰だよ。引き戸のこと思い出せたのはテトのお陰だからね。ありがと。」
「うぅ~、嬉しいの!」
お礼と褒める気持ちを込めて頭を撫でると「えへへー」とでも聞こえてきそうなくらいに眼を細めて喜ぶテトにゃん。テトにゃんの五感はマジ頼りになるな。
それに引き替え「壊せばいいのよ!」と全力脳筋アピールをしてきていたミリーは眼を見開いて驚いている。それでいいのか先輩冒険者?
無事に壁を突破したのはいいが、どうやらこの奥は光がないらしいので『冒険級火属性魔法』を使っていつもの『炎弾』を発動。便利な提灯扱いにも慣れてきてしまったが、まだ蛍光灯とかランタン的な魔法を開発してないから仕方ないと思うほかないだろう。
それにしても引き戸からこっちは魔力が極端に薄いな?あの湖周辺が特殊だったのか?普段の範囲の半分くらいしか索敵が利いてないし何かしらの理由がありそうだとかそんな疑問がわいてくるものの、分からないことはあとになって考えればいいとそのまま前進。
変わらず石壁に囲まれた道を進んでいくとT字路が見えてきた。マジでラビリンス型のダンジョンっぽくてうんざりする。
「人が行き来したような形跡がまったく見えないな。簡単攻略の道は残されていないっぽくて残念だ。」
「こういう時は目印つけてひたすら右に行くのがいいってバルムさんは言ってたわよ!」
「それも1つの攻略法だな。他には・・・テトは何か感じたりする?」
「うー・・・こっちの方から少しだけ空気が流れてきてる気がするの。」
「それを辿って行くのも1つの手だなー。両方実践してみるか。」
ちょうどテトにゃんが指差した方向が右だったので両方の意見を採用して目印だけ残して再度道を進んでいく。
ダンジョンに付随してる機能的な罠の類はもう発動しないらしいが、物理的・魔法的に残してある罠は有効な可能性があるとのことでいちおう気を付ける方向だが生憎レンジャー的な職種がいないのでそこも俺の役目だな。
・・・なんだろう、俺働き過ぎじゃね?前衛と後衛の火力担当しながら回復したり雑用したり索敵したりトラップ探したりなんだりかんだり。これは近い内に処理が間に合わない展開が目に見えてるな。そろそろ仕事の割り振りを本気で考えた方が良さそうだ。
能力的にテトにゃんが索敵とか罠探し担当とするならレンジャー系か前衛兼任にするのがいいか?ニコはまだ体力的にも体格的にも前衛とか難しそうだからもし適性があれば魔法職か回復担当、もしくは道具によるサポート要員とかって立ち位置がいいんだろうか?
帰ったら色々と相談してみよう。どうも俺は自分でやりたがるというかやっちゃうというかそんなタイプだったらしい。いままで冒険したことなかったから自分でも知らなかった事実にびっくりだ。ミリーはバルムさんとこに帰るだろうから相談とかは特に要らないし。うん。
そんなこんなを脳内で考えたりしながら他の面々と雑談を交わしていると、前方に見覚えのある人影が現れた。
「ここに関係があるのは知ってたけどこうやって出てくるのか。ちょっとだけ以外だったな。」
「えっ!な、なんなのコイツら?!」
「匂いが変なの・・・木の匂い?」
「あぁ、2人は寝てたから知らないか。ニコは見たことあるもんな?このデクッポイド。」
「ん。土から出てきた。」
「今回は3体だけか。これなら普通に戦えそうだな。ミリー、コイツらは植物で出来たモンスターだから痛みとかは感じないし腕や脚を切り落としても怯んだりしない。それ以外は特に特徴がないから1匹任せても平気か?」
「つまり動く死体みたいなヤツらってことね!わかったわ!任せて!」
「弱点は・・・。」
《左足の甲ですね。》
「左足の甲を切り離せばいいっぽい。もしくは左足の甲を破壊できればおkかな?あそこに魔石があるんだよ。」
「左足を壊せばいいのね!まっかせなさい!」
「ミリーは1番右側にいるの担当でよろしくー。」
「いくわよ!」っと活き活きとミリーが駆けだすがアイツ結構固いんだけど大丈夫かな?ま、殴られても痛いだけだからへーきか。俺もライトセ○バーを作ってすぐに参戦しますかー。
「術式 無属性魔法剣創造 実行! 長両刃短剣 へ 性質付与 切断 強化」
このダンジョン内は何故か魔力が薄い感じがするので今回は自前の魔力で発動する。多分周囲の魔力を頼ると数秒で術式が動作不良を起こすっぽいんだもん。ちなにみ名前は即興だ。プログラムコードと同じで好きな名前をつけられるので実はツラい作業だったりする。
「最小 17秒限定展開 武器強化開始」
ブウウウゥゥゥンと独特な発生音を伴いライトセーバ○が完成。自動制御と違ってより手に馴染む感じがするのはきっと気のせいではないだろう。感覚的なモノだが、力を込めれば出力も上がりそうだから力加減を気をつけないといけない気がする。
数拍俺より先行してたミリーがデクッポイドC(仮名)へと大上段からの切り落としを仕掛けたのを横目に見つつ俺の分担分へとドロップキックを敢行する!
「どっっせい!!」
走ってきた勢い全てをデクッポイドB(仮名)の胸元へとお見舞いしてそのまま蹴り飛ばす!流石にダッシュの運動エネルギーが加わっただけあってデクッポイドが数m吹き飛んだ!決して俺が重いわけではないことを付け加えておく!
着地後デクッポイドA(仮名)が右の大振りを放とうとしてきたので前に突き出す形になっている左足をいただきマンモス!しゃがんだままに水平にロングダガーを薙ぐとスパッと(弁慶さんの)泣き所切断することに成功。いつもより切れ味がいいのは自前の魔力だからか?
考察もそこそこに倒れているデクッポイドB(仮名)へと躍り掛かる俺氏。ヒャッハー状態と見せかけてその実メチャクチャ冷静です。仰向けになって倒れているデクッポイドB(仮名)の足をちょんぱする。ここまでで数秒しか経ってない素晴らしい強襲っぷりを自画自賛したい。辻斬りか通り魔の才能が開花しそうな勢いだ。
振り向きミリーを見ると初撃に体重をかけていたのかデクッポイドC(仮名)の右腕を切り落とし、更に右肩から胸の辺りへとショートソードが達した状態で固まっていた。あれショートソードが食い込んで取れなくなってんじゃないの?と思っているところへデクッポイドC(仮名)のカウンター攻撃!
ガンッ!
デクッポイドC(仮名)の左カウンターブローをミリーの右腕が払い飛ばした。どうやら『魔硬』を発動してるっぽいな。そのままガードに使った右手をデクッポイドC(仮名)の左足へと突き落とし、デクッポイドC(仮名)の甲を破壊してしまった。
かなり強引でムリヤリな戦いだがいちおうはちゃんと弱点を覚えていたらしい。いまのミリーの姿勢は空手とかでたまに見掛ける瓦割りとかの姿勢に似てる気がするが、ミリーは格闘戦が得意なのかも?
「お疲れー。ちゃんと弱点破壊してるみたいだな。」
「当たり前よ!弱点があるなら狙わないともったいないじゃない!」
デクッポイドは動きが鈍いから、同じくそんなに俊敏じゃないミリーとは案外相性がいいのかもしれない。これからもっと任せようかな。
魔石を回収&バラバラな部分とミリーが切り落とした右腕を布袋に詰め込んで、それ以外を全てばきゅって戦闘終了っと。焚火の燃料が心許ないから丁度いいっす。
もちろん軽くミリーを褒めるのも忘れない。褒めながら頭を撫でてやると「このあたしにかかればこんなヤツくらいらっくしょーよ!」とささやかな胸部を張り出して主張してきたので次はそっちを撫でてやればいいのかとちょっと戸惑うが愛妹たちの教育に悪そうだから次も頭にしておこうと思う。
次に進んだ先は十字路だったので左へ。これもテトにゃんが空気の流れを感じる方向だ。早速ミリー提案の右へ行けるだけ行くを無視しての行動だが特に気にしてない様子。もうさっきのこと忘れたのかな?進んだ先にはデクッポイドが4体いたのでミリーと折半してみたらなんでかミリーが苦戦してしまった。どうやらさっきと同じように戦おうとしたら今度は初撃で腕を切り落とせなかったらしく、左右の連撃の対処に追われているようだ。
そこにもう1体が参戦しようとしていたので後ろから左足を奪う俺。姑息にもほどがあるが相手は人外なんだからセーフだろう。続けてミリーの相手の足も狙おうとしたがミリーの渾身の右ストレートがデクッポイドの胸元へ炸裂して吹っ飛んでいった。そこに躍り掛かるミリーが両拳を叩き付けて左膝から下を破壊し勝利確定。ワイルドな戦い方だな。キングなコングのようだ。
「だってーショートソードがアイツの腰に弾かれちゃったんだもん!仕方ないじゃない!」
「なんで腰に当ててるんだ?アイツの弱点足って話したよな?」
「?腰から切れたら一発じゃない?」
「む、無謀すぎる・・・。」
誰かコイツの頭をまともなモノに変えてほしいと切に願うがそれも詮無きこと。これ以上話しを続けても何も解決しそうにないので諦めて進んでいくと、急にテトにゃんが顔をしかめてイヤそうな表情になってしまった。何か気に障ることでもしてしまったのだろうか?主にミリーとかが。
「うぅ~・・・先の方から変な音が聞こえるの。」
「音?・・・特になにも聞こえないな。」
「あたしもわからないわ。」
「んー?」
「ニコには若干何かが聞こえてるっぽいな。カナデさんは?」
《マスターの聴力では特に音を拾えていませんが、空気の振動を検知しました。前世でモスキート音と呼ばれていた音域よりも更に高音波帯の高周波のようですね。》
「高周波ってことは蝙蝠かなんか?」
《現時点では不明ですがその可能性が高いでしょう。》
「おk。てことは天井とか注意して進んだ方がよさそうだな。」
みんなにそのことを伝えてみるとテトにゃんが納得顔になった。どうやらどことなく聞き覚えがあったらしい。昔よく食べてたとか聞こえた気がするがよく聞こえなかったことにしたい。テトにゃん蝙蝠食べる派だったのか・・・異世界的には普通なのかなぁ?日本人の感覚的には可愛さからほど遠いから想像したくない気持ちがこんにちわしてくる。
たぶん蝙蝠だと思われるゾーンへと近づいてみると俺にもモスキート音が聞こえてきた。まだまだお耳は若いらしい。ミリーは聞こえないとか言ってるが若いんだから頑張れよって思ってたらどうやら人間には聞き取りヅラい程に高周波らしい。俺が人間辞めてただけっぽい事実に若干凹む。
「うげっ。なんかあの辺黒くなってるの全部蝙蝠なの?ちょっと予想の何倍も多い気がするんだけど。」
「んんー、やっぱり知ってるモンスターなの。<ブラインド・バット>って種類のコウモリだと思うの。でも、ウチの知ってるモンスターより大きい気がするの。」
「大きさ的には1匹がラグビーボールくらいの大きさかな?羽広げたらどんだけ大きいんだあれ。」
うごうごというより波のように黒い天井が動いている。カナデさん曰く数は30匹程度とのこと。見た目の印象より少ない印象を受けるがそれぞれが大きいかららしい。
「ここから狙い撃ちにしたいな。飛び掛かられると非常に面倒そうだ。」
『炎弾』を天井と水平に打ち込んでみる。ドドドドドッという音と共に<ブラインド・バット>がボタボタ落ちてくる。高圧洗浄機で汚れを落としてる感覚に近いが狙いをつけていないのでかなりの数が生き残ってギーギー言ってる。
また、全然『炎弾』が当たらなかった個体もいたみたいでバサバサと大きな羽音と共に突っ込んできた。
「思ったより当たらなかった!各自迎撃よろ!」
「飛んでる相手苦手なんだけど!」
「ウ、ウチもやるの!」
「んー!」
ミリーがブンブンとショートソードを振り回すが<ブラインド・バット>は巧みに回避し続けている。どうやら回避特化のモンスターらいし。
俺的には『視覚強化』があるので逃げようとしてる方向へロングダガーをずらすだけで中てられるからまだいいが、テトにゃんたちは大丈夫だろうかとチラ見してみる。
「う~、やっ!」
可愛らしい掛け声と共に振り抜かれる双剣がしっかりと<ブラインド・バット>の羽をズタズタに切り裂いていく。どうやらテトにゃんは平気そうだ。
「ん!」
いつもの掛け声と共に杖を・・・使うことなく足元の小石を複数同時に投げつけるニコ。避けきれずに礫に中たり力なく墜落したり壁にブチ当たる<ブラインド・バット>たち。点ではなく面での攻撃を即座に実行に移すなんて・・・蝙蝠の狩り方を知っていらっしゃるんですね。なんで?
それでも全ての<ブラインド・バット>に対処できたわけじゃなく、何匹かに張り付かれたり噛まれたりしたが大したことはなかった。俺が他のメンバーをサポートしてる時に噛まれた程度だからだ。ここでも外套が活躍したんだが、仮にもモンスターの牙を通さないってこれなんの皮使ってるの?
ちなみにミリーは腕を噛まれてしまったみたいなので水で洗って止血剤を塗り込んでおいた。8日も前に使ったヤツの残りなんだけど平気かどうかよくわからなかったが、折角なので有効利用したのは内緒だ。
モンスターの事後処理も終わらせ先へと進む。次に出てきたのはかなり大きめのネズミのようなモンスターだ。本当にネズミと表現していいのか迷うレベルで大きい。だってネズミってせいぜい両手になるくらいの大きさでしょ?コイツってば学校の机くらいの大きさあるっぽいんだもん。相当ヤバいよ。
まだ距離があるので速攻『炎弾』で処理する。正直もっと接近戦の練習をしたいところではあるがホントに小さなハムスターでも人の皮膚を貫通するレベルなのでこの大きさはムリだろう。きっと薄い鉄板くらいなら簡単に貫くよアイツの出っ歯。ちなみに名前は<ヒル・ラッド>というらしい。大群に襲われたら少なくない被害が出そうで怖い。
それにしても、コウモリとかネズミとかはこっちでも通じるのか。ていうか同じような生き物がいたから自動翻訳されたのか?相変わらず異世界はよくわからない。でも俺の記憶の中のコウモリより顔が猿系だった気もするし、ネズミも鼻が長かった気がする。じっくり見る気がなかったがもしかしたら結構違ったのかもしれない。今度暇な時にでもしっかり確認してみよう。
「また十字路か。思った以上に複雑で厄介そうなダンジョンだな。」
「真ん中の方からまた<ブラインド・バット>の声がするの。」
「右はデカネズミっぽい魔力が近づいてきてるかも。」
《左方向から蛇のようなモノが近づいてきています。》
ぶっちゃけこの十字路の団体さんがキツかった。コウモリの団体さんとネズミの団体さん、それと目が無い蛇に同時に迫られテンヤワンヤでわさわさした。
『炎弾』でコウモリの群れをいくらか倒した所にネズミが猛烈なダッシュをかけて突っ込んできた。それをミリーが受け持ち交戦したところでコウモリがバサーっと突っ込んでくる。
テトにゃんとニコが果敢に応戦。俺は更に奥から突っ込んでくるネズミに『炎弾』を投げつけながらコウモリの処理を手伝いつつ蛇をこれまた『炎弾』で焼いていく。やっぱり受け持ちが多すぎるねこれ。
ホントは周囲に旋回させてる『炎弾』でバリアのごとくコウモリを受け持ちたいが、基本的に自動旋回してる『炎弾』はオートで障害物を避ける設定になってる上に制御が甘くなってるところでモンスターにあてちゃうと損耗が激しいのでやりたくないというのもあったりする。
正直な話し物量&そこそこの速度で接近してくるコイツらは俺と相性がよくないかもしれない。ダンジョン内暗くて遠くまでそんなに見えないし。
その後、迷路をあっちにフラフラこっちにフラフラしながらモンスターと戦うこと暫し。いい加減疲れてきたところで迷路部分を抜けることができた。結構長い時間迷路の中にいたせいか、かなり疲れたんですけど。
「ここら辺はちょっと趣が変わるんだな。」
さっきまでの迷路部分は周りを石壁で造られていたが、いまいる場所は周りが土造り状態だ。イーザウ氏が迷路部分に気合いを入れ過ぎて力尽きたのか、単純にDPが不足しただけなのだろうか?もしDP不足が原因なら思った以上にダンジョン経営は大変そうな印象を受ける。彼?は浪費家だったのだろうか?
「少し歩きヅラくなるから足元気をつけるんだよ。」
なんだかんだと湖からこっち、延々と歩き続けて体感で8時間くらい経っているような気がする。疲れるのもムリはないと思っての一言の直後、《そろそろ3時間になります》とカナデさんクロックが時を告げてくる。やはり閉鎖された空間は人の認識を狂わせるようだ。気を引き締めねばなるまい。
「でっかいトビラなのー。」
「凄いわねー。メタリカーナの外門もこれくらいの大きさだったわよね?」
「・・・しかも分厚そうだな。俺らの力だけで開くのかこれ?」
見るからに重くて動く気のなさそうな石トビラが俺たちの眼前に立ちはだかった。どこぞの殺し屋一家の正門のような重厚感に圧倒される。これを坊ちゃまやツンツン頭君は開けたっていうのか・・・ちょっと信じらんないわー。
「これは仕掛けあるのかな?あるといいながきっとある?」
「流石にこれは壊せそうにないわね!」
「なんでお前はすぐに壊そうとするんだっつの。」
「匂いも空気の流れもあっちの方からするのー。」
「まさかのブラフ?!この扉開けなくても進めちゃう系なんだったらこのトビラの出落ち感の仕事っぷりに驚かされるわー。」
「これを開けなくていいならそっちから行きたいわ!行きましょう!」
石トビラをシカトしながら左の側道へと進む俺たち。RPGで言えばボスの手前にあるトビラをスルーしたような形だ。ゲームだと大体そのままの流れでボス戦行っちゃうと引き返すことができなくてこういった側道のアイテムを手に入れられなかったりする展開が多いアレな感じの道だ。
暗いし狭いし普通なら見落としてもおかしくない感じもそんな雰囲気を醸し出す手助けをしている。ちなみにいまは俺を戦闘にした王道RPG歩きだったりする。道が狭いから縦1列になっちゃうのもしかたいないよね。
「これは・・・多分ドア的なモノだったんだよな?」
「きっとそうね!でもいまはボロボロだし汚いわねー。」
「匂いも空気もこの部屋からなのー。」
ボス戦手前の横道を進むと、そこには小さな部屋があった。土壁を掘って作ったであろうこの小部屋は日本人的感覚で8畳程度しかないように見える。わかり易く言うと8畳一間の1Rだ。バストイレなし下駄箱なし洗濯機置場も物干しスペースも窓もない、地面剥き出しの不人気確定の野性味溢れる物件だが、自然を好むロハスな人たちには需要があるかもしれない。いや無いか。
さて、そんな野宿にほど近いお宅を拝見してみようと土足でドカドカ上がり込むと、ベッドだったと思われる粗大ごみと辛うじて机だと思われる粗大ごみ。それと元々は本棚とそれに収められていたと思われる本だっただろう粗大ごみ&燃えるごみのコンビが見えた。
「手掛かりなんて欠片もなさそうだな。」
「どれもゴミのようね。」
「でも、あっちの方から匂いが続いてるのー。」
「あっちって・・・あの元ベッドだと言えるかも怪しい粗大ごみの方?どれどれ・・・。」
「そのゴミ動かすの?それなら手伝うわ!」
「ウチもやるのー。」
みんなで協力して粗大ごみを外へと運び出す。ちなみにニコが大人しいのはそろそろおネムの時間だからだ。俺たちの作業中壁にもたれてうつらうつらし始めてしまったのでめっさわかりやすくて可愛らしい。
「んーっと、ここらへんかな?みんなちょっと外に出ててー。土とかホコリとか払うわー。」
「わかったわー。」「はーいなのー。ほらニコ、おいでなの。」
みんなが外に出たのを確認してから『生活魔法』の『ドライヤー』を発動。送風って案外色んなところで使えて便利だなーとか思いながらベッドがあった場所周辺をキレイにしていく。メチャクチャゴミが舞って部屋中大変なことになるからおススメはしない。
「げっほげっほ・・・えほっえほっ・・・これでいいかなっと。あー、やっぱあったな。地下への入り口っぽい。」
「えふっえふっ!それにしても凄いホコリっぽいわねー。あ、これがそうなの?あたし開けてもいい?こういうの開けるの好きなのよね!」
「いいけど勢い余って壊すなよ?多分古くなってて脆いかr」
バキャンッ!
「あ・・・あれー?おかしいわね?そ、そんなに力を入れたつもりもなかったんだけど・・・。」
「お、お前なぁ・・・。」
フラグを回収しないと気が済まないミリーさんが、金属製の取っ手を切り離ししてくれやがりましたっと。どうすりゃいいんだよ、これ?
お読みいただきありがとうございます。
最近ミリーと想君がイチャイチャしてるように思えてきたんですが、落ち着いてみるとかなりぶっきらぼう。目の錯覚なのかなんなのか?不思議な気分です。
次回予告
ボス戦?
攻略
ボス戦




