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落ちたら叩きつけられる

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第60話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

ドライヤーで髪を乾かす

乾いた頭でスタイリング

お肉げっちゅー

ミリーと共闘

転落人生

非情なまでの不意打ちで非常な不快感を覚えながら落ちる堕ちるおちる!落ち続ける我ら無力な我ら4人組。羽根もなければ○空術もホウキもル○ラもリビテーション(浮遊術)もレイ・ウ○ングもワック・オ○ レイ・ヴンも持ち合わせていない俺たちに最早抗うすべなんてあるハズもない!なんで飛べる機能をつけておかなかったんだ?!自分!!

逡巡しながら他のメンツをグリンと見渡す。テトにゃんもニコもメチャクチャ下を凝視して着地のタイミングを伺うかの様に真剣な眼差しを放っていた。テトにゃんはネコ科だしわかるけどなんでニコまで?!と疑問が頭を走り抜けるが、ショック状態になるより余程マシだろうとムリクリ結論づける。

一方ミリーは白目を向いて「あばばばー」と言いつつヨダレを解き放っていることから通常運転(いつも通り)だろうと見切りをつける。


《いいえ、マスター。完全に気をヤって・・・いえ、気を失っているようです。》


(えっ?マジで?普段と変わりない状態なのかと思ってた!)


どうやら気絶してたらしい。紛らわしいヤツだな!プンプン!気絶してるなら気絶してるで何かしら視覚エフェクトに訴えてくれないと困りますわ!ですわ!

落ちる先が全然見えないので『炎弾』を1発撃ち込むと、数瞬後にピカッと光った。光が眩しくてよく見えなかったがカナデさん曰く、下は水が溜まっているらしい。相変わらず良く見えるね?同じお目々を通して見てるとは思えない精度である。


「下は水だ!真っ直ぐの姿勢(アッテンション)!」


時間がないので端的に伝えたが、すぐに両手を上げて着水姿勢に入るテトにゃん。本能仕事しすぎじゃね?と思いつつニコを見ると続いてそれを真似ていらっしゃる。賢すぎる幼女だ!と全力でツッコミを入れたくなるがいまは我慢だ時間がないでござる!

間髪入れずに『生活魔法(マギアズ・リベアン)』で出来立てホヤホヤ『ドライヤー』を全力展開!!風力に任せてミリーを回収&抱き抱えて着水に備える!

先に垂直姿勢になったテトにゃんとニコが見事な着水を見せるがこの高さから落ちたのに飛沫(しぶき)がほとんどあがらない、だと?!思った以上に高さがなかったのかもしれないな!それなら俺も・・・あっ!


「手が伸ばせないから脳天直撃まったなしじゃね?!く、強制変形(クイート・メタモーゼ) 『大炎槍(グレテア・フレイm)』・・・!!」


ビッターーーーン!!!



―――――――――――――



空が白い かといって雲があるとかって訳じゃない。

地が白い かといって一面が白いタイル張りって訳じゃない。

先が白い かといって真っ白な壁に囲まれてるって訳じゃない。

四方八方どこを向いても白い。白い世界。白の世界。世界に唯一白くないのは俺だけなのかもしれないと思うくらいに真っ白けっけ。手抜きが過ぎるな。背景さんに逃げられたか?それとも


「マスター。そのくだりはやったばかりです。」


「あれ?その声はカナデさん?なんでメイド服着てるの?」


「・・・マスターのご趣味でしょう。」


「いやいや!そもそもなんでカナデさんがお外にいるわけ?!おかしくない??」


「はぁ・・・どうやら完全に記憶が抜け落ちているようですね。説明するのも面倒ですので早く起きてください、マスター。」


「起きる?起きるっていってもここって死後の世界じゃないの?(じじー)(笑)がいた・・・あれ?でもなんかこんなやり取りしたような?既視感(デジャブ)ってるような・・・。」


・・・・ウ!・・・・がい・・・・ソウ!


「今回は一時的なショックによりこの世界に来てしまっただけのようですね。外部刺激に早速マスターの身体が反応を示しています。」


「外部刺激・・・いまいち要点はわからんけど、俺的にはカナデさんの顔が見えないのが不満です。」キリッ


「その内マスターの逞しい妄想力がカナデの顔を形創ってくれることでしょう。それまではこのモザイクバージョンを思うが儘に堪能してください、マスター。」


「ええっと。モザイクを楽しむってかなりの上級者向けな気がするんですけどそこんとこどうなんでしょう?」


「マスターならできると信じております。」


「要らない信用ばかりが(かさ)増しされていく状況に戸惑いと憤りしか生まれないんだけど・・・。」


・やく・・・ソウ!


・わ・なさい!こー・・とき・・なぐれ・・いのよ!!


ドコンッ!!


「ぐぽえいりゃ??!・・・・・・ゲボッゴホッガッホガッホ!・・・はっ??!ここは誰?私はどこ?!私の気は正しいの?!」


「ソウ!よかったの!起きたの!」


「ほら見なさい!やっぱり殴れば治るのよ!」


「んー!んー!」


「ゲホッ、ゲホッ!あーー・・・?なになにどゆこと??なにがどうしてどうなった?5W1Hを要求したい気持ちでいっぱいだよ!

・・・んん?あれ?いたい!痛い痛い!何?なんかお腹がめっちゃ痛いってかサムッ!寒いんですけど?!痛いんですけど??!」


何故かしらんが猛烈に腹痛が痛い!それと寒い!いったい何がどうしてこうなったんだ??


「テト、いったいこの状況は?てかここどこ?湖?洞窟?」


「それよりソウ、お身体大丈夫なの?どこか痛くないの?」


「えっ?痛い?痛いのはお腹。うん、お腹痛い。けど腹痛っていうより鈍痛なんだけど?俺お腹どこかにぶつけたっけ?」


チラッと3人娘の顔を見渡すとミリーがフイっと顔を背けた。犯人判明!ディス イズ ア ギルティーに違いない!


「おいこらミリー。なんでそっぽ向いた?怒らないから言ってみな?」


「べ、別にそっぽ向いてないし隠してることもないわよ!?なななんであたしのことをすぐに疑うのかしら?そういうのってよくないんじゃないかしら??」


「語るに落ちてるってことに気付かないってことはホンモノのミリーか。そんでお前が俺の腹を殴ったってことだな。言え、白状しろ。なんで殴った?」


「なんで少しも躊躇わないのよ?!あ、あたしがやったって証拠でもあるの?そうやって決めつけるのよくないんじゃないの??!」


「証拠を求めるヤツは大体犯人だ。別にお前に聞かなくてもいいんだぞ?テト、ニコ。犯人は?」


素直にミリーの顔を見つめる愛妹たち。眼で語ってくれるだけで十分わかりますね。うん。

そしてミリーのバカを軽く問い詰めたところすぐにゲロった。曰く、「あんたが動かないから叩けば動くと思って」とのこと。俺は家電じゃねーんですけど?

しかしながらどうやら落下の衝撃で意識を失っていた俺はそこそこ水を飲んでいたらしく、お陰で蘇生したっぽいからそんなに強くは怒ることなくゲンコツ1発で勘弁してやった。我ながら心が広いし器が大きい。

でも、なんか腹が痛すぎるから更に問い詰めたらなんとこのバカは『魔硬』まで使って殴っていたらしい。追加で5回ほどドついておいたのは言うまでもないだろう。俺の中身が弾けて混ざらなかったのは俺の魔法的な防御力がそこそこあったからだろう。もしかしたらカナデさんバリアーがあったかもしれないが、とにかく本気で危険が危なかった。


「にしても、なんとなくここ明るいな?」


「あれが光ってるの。」


テトにゃんが指差す先にボンヤリと光り輝く物質があった。多分苔っぽい。その光苔が近場の湖の周りをぐるっと囲んでいるらしく、数m先くらいなら見られるていどの光量を確保できているらしい。不思議苔だな。


《あれは・・・清流光の苔草(ノーブライト)ですね。》


「清流光の苔草?」


《はい、マスター。清流光の苔草(ノーブライト)は中級のマジックポーションの原料になるアイテムです。基本的に地下や洞窟などの日光が届くことがなく魔力濃度の高い場所にしか生育せず、同時に清流が必要になる苔です。》


「思った以上にレア度高めなアイテムだな。そこまで限られた条件ってそんなにないんじゃないのか?」


《はい、マスター。自然界では限られた範囲でしか確認できていませんが、迷宮内には比較的簡単に自生するモノですので希少というほどではないかと。》


「あー、ダンジョンねはいはいはい。そういえばダンジョンって魔力の濃度が高くなるんだっけ?それに洞窟とかで作るケースがほとんどだろうし、あとは清流だけあればってことか。」


中級の素材だからもっと希少価値高めのアイテムかと思ったらダンジョンマスター的には雑草感覚で自生してるモノ扱いらしい。まぁ、俺は洞窟ダンジョンも地下ダンジョンも持ってないから自家栽培できないんですけどね。


「じゃあ、こうした天然の洞窟?内に自生してるヤツはそこそこレアってことじゃん。いいね!採集していきましょう!・・・って自然界ではって言った?」


《はい、マスター。》


「ってことはここって、ここって・・・?」


《マスターが懸念されていることは、先んじて言ってしまえば早とちりですね。》


「はぁ~、なんだよなんだよーカナデさんたら脅かすんだから!てっきりここがダンジョンかと思ったじゃん!」


《申し訳ございません、マスター。正確にはここは元迷宮ですのでマスターのご懸念されているような迷宮そのものではございません。》


「一緒じゃん!?結局なに?ここってダンジョンだったわけ?知らずに突入しちゃってるけどなんでこんなところにダンジョンがあるわけ?!」


《いいえ、マスター。元・迷宮ですのでお間違いなく。》


「どっちも一緒だよ!」


虚しく響く俺の声。ムダに高くて反響しますねウルサイです。


「えっ?ここってダンジョンだったの?」byミリー

「ダンジョンってなぁになの?」byテトにゃん

「えっくち。」byニコ


「あ、そういえば全員濡れネズミじゃん。このままじゃ風邪引いちゃうな。・・・『炎弾』、は全部解除されちゃってるか。着てる物脱いで乾かそう。」


改めてキョロキョロしてみると壁面の一部に窪みを見つけたので全員で移動&脱ぎ脱ぎ。微妙にR12指定展開の脱衣っぷりが多くて困るがいまは緊急事態なのでご勘弁願いたい。俺だってこんな脱げ展開はそんなに望んでいないのだ。ホントだよ?

ちょうどいいのでここを簡易的に拠点にしようと適当に石等を撤去し地面に直接魔法陣を描く。さっき使った炎の初歩魔法陣だ。ここにモンスターの遺灰を撒こうとしたら布袋が濡れてて全滅だった。仕方がないので拾っておいた触手を取り出し直接燃やしてみることにする。


ブオォォォォォォォーーーー・・・・


まずは『生活魔法(マギアズ・リベアン)』の『ドライヤー』で乾燥させ、適当な大きさに切り分ける。このままだと火のつきが悪そうなので引き続き『生活魔法(マギアズ・リベアン)』でどうにかしようと魔法開発を始める。

イメージは水分の蒸発にしようか火あぶりにしようかで悩み、既に火は冒険級魔法で補えるので蒸発を選ぶことにする。対象である触手に我が魔力を満たし、水分子を加速させる方向で・・・ってやっちゃうと電子レンジになっちゃうかもしれないから水分子にエネルギーを注ぎ込むイメージで気化熱を補う方向性でいってみようやってみようかな?

結局やってることはどっちも変わらないけどイメージって大事らしいから早速チャレンジ!魔力を水分子にエネルギーとして供給&水蒸気になる手助けをするイメージをってどんなイメージだよ!全然イメージできなかった!むしろ素直に水蒸気として舞い上がれ―ってイメージで強引にレッツトライしてみる。おんじちゅーんを参考だ。


シュー シュー シュー


手にした触手から激しく湯気が立ち上り、段々と皺枯れていく。さっきまで元気いっぱいだったのにすぐにマーグルバーさんの腕みたいに皺くちゃになってしまった。ささくれも随分目立つ。急速に枯れていくって怖い画面(エヅラ)だなおい。

思った以上に簡単に魔法が完成してしまい戸惑いを隠せないが、ある程度物理現象を理解しているのでイメージが明確な上に『生活魔法(マギアズ・リベアン)』の知識が豊富な俺ならこれくらいできて当然とはカナデさんの(げん)である。褒めてはくれないらしい。


《ついでに言ってしまえば、そもそもマスターの所持しているスキルはこういった作業向きですから。》


と付け加えられてしまった。きっと『魔力操作』・『精密作業』・『並列作業』辺りのことを言っているんだろう。もしかしたら『システム読解・構築』の方かもしれない。

完成した『乾燥』を用いて次々触手をマーグル化していき、魔法陣の中心に組み上げていく。最後に魔石をセットして魔力を多目に流せばボッっと火がつき触手を燃やしていく。


「やっぱり触媒として灰を使ってないから余計な魔力が持ってかれるな。」


《魔法陣全体の魔力伝導率が低いことが原因ですね。魔力圧を高めれば多少はロスも軽減できるかもしれませんが、焼け石に水でしょう。》


火の用意ができたので全員の身体を乾いた布で拭き、『ドライヤー』で髪を乾かす。布は『乾燥』で乾かせるけど人体はやっぱ怖いのでこの役割分担だ。てか布で試してみたが結構ゴワゴワになっちゃったから服も『ドライヤー』かな。

最近小手先ばっかり器用になっていく感がハンパない。具体的にいってしまえばあの素晴らしき世界に祝福をばら撒いてる青年や、白いカバの霊獣に(またが)ってる呂望さんのようで嫌いじゃないが好感度的には上がり辛い気が果てしなくする。

折角異世界に来たんだからもっとわかり易く俺TUEEEEをやってみたいが、そこまでの強さは到底身につけられそうにないので諦めよう。暗黒の破壊神さんやデスゲームでもソロ無双の彼のようにはなりたくてもなれないよ。うん。だって俺のステータスって軒並み平平凡凡だし。


「これで一通り乾いたかな?折角髪形整えたのにムダになっちゃったな。」


「またやるの!」


「ん!」


愛妹2人はやる気満々だが、ミリーが何故か大人しい。寝落ちか?とチラ見してみると眉間に皺を寄せて小難しい表情をしていた。


「どうした?」


「・・・なんでもないわ。」


元気なく目線を落とすミリーの様子を見てみると、なんか足首が腫れてた。捻挫(ねんざ)か?確認するのも面倒なのでポーションを振りかけてシャランラシャランラヘイヘヘイヘヘ~ふふっふーしておく。何を言っているかよくわからない良い子のみんなはこれを機会にご両親かご祖母に話しを振ってみよう!狙い目は40代かな?


「これで治ったろ?違和感あるか?」


「ちょ、ちょっと!なんでこれくらいのことでポーションなんて使うのよ?!」


「はぁ?お前何言ってんの?怪我なんか抱えてのったらのったらされたらこっちが迷惑なんだよ。そういうのはちゃんと言えよ。」


「別に迷惑なんてかけないわよ!これくらいの怪我なんかで動きが鈍るわけないでしょ!」


「そういう問題じゃないって言ってんの。チームで行動してるんだから不具合が生じたら情報を共有する。それくらい常識だろ?それとも『城砦の矛(お前んとこ)』は違うのか?」


「うっ・・・うちもそうよ。」


「だろ?これからそういうのはちゃんと言えよ?ちなみにテトとニコは?怪我ない?」


コクコクと首肯する愛妹たち。どうやら問題ないようだ。問題ないなら髪形を整えようかと櫛をかけたりなんだりだとしてみたが、水で濡らしたのが悪かったのか少し髪がキシキシする感じでちょっとやり辛かった。複雑な髪形は諦めて編み込みを太目にして簡略化するとしよう。

俺は左前髪を軽くネジネジして後ろへと流して結んで止める。テトにゃんは源しず○ちゃんスタイルのヘアスタイルにしてニコは変わらず後ろ髪を三つ編みでおk。ミリーは大五郎にしてやろうかと思ったけどサイドポニテにしておいた。理由は特にない。

それから、周囲の探索をする前に小休止にしようということになり川辺で仕留めた猪肉を取り出してジュージューと焼いてみる。焼くっていうか炙るっていうか、直火なのでそんな感じだ。湖の水でイイ感じに冷えてるから痛む速度を多少は抑えられるかな?と思ったが、衛生的にはヤバそうな予感しかしない。

さっき昼食食べたから軽く口にできる分だけ焼いて食べたが、それなりにいい肉だ。惜しむらくは塩などの調味料がないことだ。帰ったらちゃんと大将に料理してもらおう。故ウサギを超える味になってくれると嬉しいんだけどそこまでは高望みしすぎだろうか?

食べ終えたら周囲を散策。3人娘は拠点に残して俺だけでブラブラタイムだ。ちょっとニコの体力的に微妙そうだったからお昼寝タイムも兼ねていたりする。当然俺の外套(マント)は毛布代わりにかけてあるし、お世話はテトにゃんに頼んだ。ミリーは番犬だ。


「この苔は普通にそのまま(むし)っていい感じなの?」


《はい、マスター。採取後、魔力を流すことによって状態の保全ができるようになります。注意する点としてはそれくらいです。》


薬草類と違って採取が簡単でとても助かります。あんまりヘンテコな採取だったら1人じゃできない可能性が大だしね。片手はツラいよこの世界。

ある程度間隔を開けて苔を採取しつつ魔力を流すついでに周囲を見て回ったが、特にモンスターもいないし目立つものも特になかった。出入り口が1カ所だけぽっかり開いていたくらいかな。俺たちが落ちてきた所はとてもじゃないけど届きそうにないくらいに遥か上方だ。他にもいくつか穴が開いてるっぽい。

てかこの地底湖ってかなりの規模感があったりする。感覚的には舞浜にある夢の国全部がすっぽり入りそうなくらい?適当だけど。ちなみに細かい描写を入れるとすれば、湖本体をホタテの貝柱に見立てると俺たちが立ってるのはエラの部分に該当する。壁面が窪んでる所が中間くらいだな。出入口はウロら辺。気になる人はググってね☆


「ちなみにカナデさん。ここが元ダンジョンってどういうこと?」


《はい、マスター。どうやらここは約20年程前に攻略された迷宮のなれの果てのようですね。当時の迷宮主は自称魔王を名乗っていたイーザウ・ケリウムです。》


「自称ってとこが引っかかるな。」


《あくまで自称であり他称されたという記録はありません。公式には人間種(ヒューマン)ですが、多少エルフの血も交じっていたようです。》


「そいつが作ったダンジョンってことか。」


《記録によると、自然洞窟に手を加えて迷宮登録をしていたようです。ですが、その登録にはここまで巨大な湖などの記載がありませんね。恐らくは何らかの意図をもって隠ぺいしていたのでしょう。》


「隠ぺいね。なんの為かは知らないけど、厄介なことしてくれたもんだな。ちゃんと全部を登録しておいてくれればもっと早くにダンジョンだって気付けただろうに。」


《いいえ、マスター。恐らくですが正直に情報を登録されていてもすぐには気付くことはできなかったと思われます。》


「?なんでさ?」


《上部の洞窟の構造とこちらの構造を比較するに、上部の洞窟は彼の死後にモンスターなどの手により拡張された可能性が高いです。》


「あー・・・なるほど、ね。」


どうやら俺たちが歩いてきた洞窟はダンジョンマスター消失後にワーム系なのかなんなのかは不明だが、何かしらのモンスターによって拡張された部分らしいとのこと。なので、洞窟が不安定な上に単調な道だったと。


「それもそうか。こうやって隠すんだったらもっとわかりづらくて進みづらいダンジョン造るもんね。」


《はい、マスター。ですので、あちらの通用口の向こう側は迷路型(ラビリンス)となっている可能性が高いと思われます。》


迷路型(ラビリンス)はめんどいな。そんで、いくら倒しても使役可能モンスターに登録されないあの植物系モンスターはイーザウ・ケリウムさん絡みの可能性が高い、と。」


《はい、マスター。各迷宮で独自に改良された魔物は、倒しても他の迷宮主が使役することはできませんので。》


つまりはそういうことらしい。てなるとあのデクッポイドもそうっぽいな。色々と謎が解けてきた。真実はいつも1つだが、この世界に俺のじっちゃんはいないから謎解きは晩御飯のあとでもいっか。俺探偵じゃないし。


「そうなるとここから出るにはイーザウ・ケリウムとやらが出入りする時に使っていた場所を探すか、勝手に拡張された部分を辿って外に行くしかないってことだな。」


《そうなりますが、迷宮型はその規模以上に動き回ることを強要されます。十分に休息をとってから進むことをおススメします。》


「ロクな装備もないままにダンジョン攻略とか勘弁願いたいわー。」


雑談と採取を終え3人娘の元へと帰る。案の定ミリーはアホ面で寝ていたがテトにゃんが起きていた。ごめんねテトにゃん。番犬が役に立たないからいつも頼っちゃって・・・およよ。

とりま燃料として触手を追加し、燃えカスから灰を調達。いま現在拠点にしている壁面の窪みの周囲へ簡易結界を張るタメの魔法陣の材料にするためだ。結界の強度はそんなに高くあげることができそうにないので侵入者がきたら音を鳴らす設定にすればいいかな?それだけに注力すれば省エネで長時間連続稼働が可能な上に精度も高く作れそうだ。

ガリガリと地面に陣を描いてパラパラと遺灰を撒く。そんでもって魔石をセットして魔力を流せばはい完成!簡易警報結界のできあがり~。こういう条件式とか組み上げるのは前世からの得意分野と被る部分が多いから楽しくお仕事ができるな。ゲーム制作で培ったプログラミング的思考が異世界で役に立つとは・・・いやはや何が役に立つかはわからんもんだな。

淡く輝く半球状の壁を眺めて自己満足。壁っていってるけど物理的な役割は限りなく0に近い値で設定してるから壁っていうより膜かな?とりま急場しのぎとしては十分だろうと俺も休息体制へと移行する。テトにゃんにも寝る様に伝えておやすみぐ~。



―――――――――――――――――――――



パパパパパパパパパパパパンッッッッッ!!!


「うひゃあおっ??!」


「敵襲か?!」


ガバッと目覚めて周囲を確認。前方にミリーが尻もちついてる。結界がなくなってる。俺のお腹に愛妹2人が引っ付いた状態でびっくりしてる。なんだ、天国か。いやいや違う!


「おいミリー!敵か?何があった?!」


「な、なにって・・・なんか薄い透明なナニかがあったから触ってみただけなんだけど・・・触ったら急に弾けて凄い音が・・・?」


「・・・結界触ったのお前か。その透明な膜っていうのは俺が警戒用に張った簡易結界だ。みんな寝てたから伝えそびれてたな。すまんすまん。」


「そ、そういうことはちゃんと言ってよね!すっごくびっくりしちゃったじゃない!」


「いや、そもそもお前が見張りしないで寝てる間に(こしら)えたもんなんだが?お前が起きてたらちゃんと伝えてたしわかってたと思うのは俺だけか?」


「うぅっ。」


それを言われるとーみたいな顔してるけどモンスターとの遭遇頻度高めの場所だったら居眠りとか洒落にならないからな?まぁ、不寝番立てなかった俺がいうことじゃないんだけどさーということでこの件は両成敗。

軽くストレッチしたり水分補給したりと調子を整えつつまた少しだけお肉を焼いてもぐもぐする。ついでに濡れて若干べちょべちょしてる干し肉も出してもぐもぐする。散々身体冷やしちゃったからこうして定期的にタンパク質と塩分を補給しているが、ホントは糖分高いのがいいなー。

みんなで装備や服装の点検を行い特に問題がなさそうだったので、拠点の後始末だけしていざデッパツ。死語すぎた。出発!

ただ1つしかない出入口は重厚・・・ではない普通の鉄のトビラで閉ざされていたのでそれを押してみる。ビクともしない。今度は引いてみる。ぎぎぎっとメンテ不足な音がして開いた。イーザウさんは鍵をかけない派だったのかもしれない。

トビラを潜ると天井両サイド全てが石造りのまさに迷宮!みたいな雰囲気の道が現れた。横幅は2m50cmちょっとで天井は3mくらいかな?圧迫感もなく歩けそうだ。どこぞのRPGみたいな造りにこっそりテンションが上がっていく。

しかし、迷宮(仮)の中は真っ暗で湖側の明かりでどうにか足元が照らされているってところだ。


「もしこのまま暗いようなら魔法で灯りをつけよう。」


全員で頷き合っていざ前進。20歩くらい進んだ先は、壁でした。

お読みいただきありがとうございます。

落下中の超高速思考を声優さんが全力で再現するっていうシーンをどこかで見た覚えがあるのですが、まったく思い出せません!

冗談か?!ってくらいに早かった気がするんですが、夢で見たのか現実で見たのか・・・。

ちなみに音声合成ソフトちゃん達なら超高速で歌まで歌っちゃいます!聞き取れる速度ではないレベルで!いやはや、スゴい時代です。


次回予告

壁との付き合い方

得意分野苦手分野

安全地帯

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