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まったり休憩 のったり冒険

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第59話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

膀胱炎痛再び

ゴブ殺しの悪魔

レア素材ゲット

R12くらいの展開?

《少女達の下着姿をよりしっかりと見たい。そんな欲にまみれて発動した初めての『生活魔法(マギアズ・リベアン)』は如何ですか、マスター?》


「ご、ごめん!そんなつもりはなかったんですすんません!マジすんません!!」


誠心誠意力の限りの謝罪を無拍子で行う俺氏。マジ変態。ただでさえ下着姿の少女たちに囲まれて世間体とはなんぞや?な状態にある俺が絶対にしてはならない愚行を犯してしまった。スカートめくりである。(回想シーン)

古今東西、往古来今、行く年くる年、あっちもこっちも、にっちもさっちもどんな次元のどんな場所でも、そしてどんな人種でもどんな風習でもやってはいけないことがある。それは、スカートめくりである。(回想シーン)

言い逃れができようハズもなく、言い訳なんてできるハズもなく、ただただ謝罪を重ねる以外に選択肢なんかあるわけもなくひたすらに、ただひたすらに許しを願い乞うばかり。それがスカートめくりである。(回想シーン)

ミリーにいたっては多少布で隠れてたくらいで元々チラチラ見えたりガッツり見えてたりしたからそんなに大差ないかもしれないが、でも似たようなものだしまとめて謝っておかなければならないことだろう。(回想シーン)


「ごめん!ほんっとごめん!そんな気はなかったなんて言い訳にできない!本当に申し訳ございませんっしたー!!」


「ソ、ソウ?!どうしたの?何かあったの??」


「もう!布が顔に絡まって苦しいじゃないの!急に変な魔法使わないでよ!」


あ、あれ?なんか温度差が違くね?これって俺がスカートめくりして怒られてる雰囲気じゃなくね?


《マスターは女性だと思われていますので全く問題のない行為かと。強いて言うなら火元の近くでやるのは危ないので自重してくださいくらいのものです、マスター。》


あれあれあれあれー?おっかしいなぁー?あーでもそっか。さっきまで一緒に頭洗ったりだなんだってしてたのに下着見るくらいどうってことないのか。ないのか?

俺自身のアイデンティティにも深く係わるでりけ~と部分(ゾーン)だからどうにも納得ができそうにないが、思い起こせばこれ以上ないってくらいに同性扱いされていた。なんたることか・・・。怒られるのも怖いけど、怒られないのもなんか違うと俺の(こころ)がとどろき叫んでいる。


「い、いや。なんでも・・・ない。ないのかな。なくていいのかな。ごめんな?急に風吹かしちゃって。いま魔法の練習してたんだけど、ちょっと力込めすぎたみたいだ。」


《・・・その逃げ方はどうなんですか、マスター?》


うぐぅっ。カナデさんのジト成分をメチャクチャ感じる!でもでも、しっかり謝罪するには俺の性別をちゃんと理解させる必要があるんだもん!この娘たちってば全然さっぱ信じてくれないんだもん!ダメなんだもん!


《・・・はぁ。それを日和(ひよ)っていると言っているんです。怒られなければいいとは最低ですね、マスターは。》


自分でも同じことを思う以上精神的HPがガリガリ削られていくのを禁じ得ない。どうしてまずは風系の魔法にしようだなんて思っちゃったんだろうか?別に魔法っていうのはもっと自由なんだから、直接水分に干渉して乾燥させたり余分な水分を吸着したりする不思議なナニかを作ったりとかだってできるかもしれない可能性に満ち溢れているというのに。ドライヤーとか発想が貧相すぎる。

有耶無耶になった状況をこれ幸いと享受してみんなで昼食を済ませ、習得したドライヤーっぽい魔法で髪を乾かす。ちなみにイメージさえ固めてしまえば発動は思った以上に楽々で、詠唱も術式(コード)も要らない素敵仕様だった。そもそも送風だけだから簡単な魔法だしね。

例えるならいままでの術式(コード)魔法はPC(パソコン)を使ってフォトショ○プやパワーディレク○ーみたいな画像や動画編集ソフトでお絵かきやムービーの編集をしていた感覚で、『生活魔法(マギアズ・リベアン)』は手書きでお絵かきをしている感覚と言えば伝わるだろうか?いや伝わらないか。

完全に自由度は『生活魔法(マギアズ・リベアン)』が上だが、再現性・連続性・複雑な処理を同時に処理したりする能力・また自動性などはやはり術式(コード)魔法に軍配が上がるだろう。まぁ、つまりは実用性は術式(コード)魔法が圧勝ってことだ。詳しく深く理解すれば応用もめちゃくちゃ利くし。


ブオオオオオーーーーーー・・


「俺が『並列作業』持ってるから「ながら運転」ができるけど、普通なら『生活魔法(マギアズ・リベアン)』って使い勝手めっさ悪いな。」


《はい、マスター。通常は火種を出したり手に水を出したりといった簡単な使い方しかしませんしできません。一部の職業、例えば錬金術師や細工師などの細かい作業を生業とする場合は重宝している場合もあるようですが。》


ブオオオオオーーーーーー・・


「つまりは研究職系や芸術系かな?特に動きながらとかを考慮しないからその系統の職業には使い道の幅が広そうだな。でも全部自前の魔力でやるから結構消費激しそうだけど?」


《はい、マスター。ですので、実際に実用化に足る魔力を保有するのは上位の者に限られますので、その錬度が高い者はそう多くはありません。逆に、魔物に関しては無意識や本能で使用するケースが多く、主に身体強化や防御の強化に使っていることがあります。》


ブオオオオオーーーーーー・・


「それだって高位のモンスターでしょ?この付近じゃ出会うことはなさそうだからその内忘れちゃいそうだよ。」


《そういえば、ミリーの使用している『魔硬』も魔物の身体強化に近いですね。本能の成せる技でしょう。》


ブオオオオオーーーーーー・・


「マジで野生のタヌキだったのか。でもそういわれると納得しちゃうな。『魔硬』以外で魔法使ってみろっていってもできそうにないし。」


「もー!いつまで髪乾かせばいいのよ!それにカナデさん?と話すのはいいけどあたしの頭の上で話すのやめてくれない?気になっちゃうのよ内容が!」


「おっととと。おいこらミリー、まだ動くんじゃないって。お前がちゃんと水分拭き取らなかったから余計に時間かかってるんだぞ?そんなに髪長くないのになんでこんなに時間がかかるんだか。」


実は既にミリー以外の髪は乾かし終えていたりする。ちなみにテトにゃんの髪はすぐに乾いた。流石は獣人種。次いでニコ。サラサラの髪はそこそこ長いし量もそれなりにあるのだが、すぐに乾いたのは細いせいか独特な絹のような手触りが影響しているのか謎のままだが楽々乾いたのはいい意味での誤算だ。

逆に俺の髪はしっかり拭いたのに水分をやたらと含んでしまってめっさ大変だった。長いし髪の量が多いしあんまり細くないからね。仕方ないと言えば仕方ない。

ていうか、何気に驚いたのはニコの髪だ。ニコは緑がかった茶色い髪だと思ってたんだけど、ちゃんとシャンプーで洗ってみたら緑がかった白い髪だった。いままでの髪の色はなんだったんだろう?汚れじゃないと思いたい。テトにゃんは変わらず赤みがかった黒い髪で。俺のは真っ黒だ。光を吸い込む闇のカーテンの如く黒い。


ブオオオオオーーーーーー・・


「お前の髪は思った以上に赤寄りだな。前はもっと茶色系じゃなかった?」


「自分の髪なんてそんなに覚えてないわよ!塗ってた香油の色かしら?」


異世界人の髪のことはいまいちよくわからんな。それにしてもたった1回のシャンプー&ブローでこんなにサラサラツヤツヤになるとは異世界印の洗髪セットはすごいな!さっきまでゴワゴワしてた髪質なんてもうどっかいっちゃたよコレ。ドライヤーしてて楽しいくらいだもん!


「ようやく乾いたかな?次からはもっとしっかり水分を拭き取っておけよ。そしたらふわっふわに仕上げてやるから!」


「ふわあぁぁ!すごいわね!これ!タンロ姉のお手入れしたあとの髪よりふわふわでツヤツヤなのに滑らかな手触りだもの!高級な蜘蛛糸みたい・・・。」


「ウチの髪もニコの髪もふわふわのツヤツヤなの~。」


「んー。ソウ、かみきもちいー。」


「髪も服も乾いたし、お着替えしたら帰ろっか。」


全員の頭に光輝く天使の輪ができてしまった。これでまたうちの愛妹たちの天使度が跳ね上がるな!もう天使ですと言い切ってもなんの問題もない!俺とミリーの分の天使の輪はノーカンでいいだろ。天使のイメージを壊しかねん。

折角髪もキレイになったし、髪形もちょっと変えるかとみんなでキャッキャウフフなスタイリングタイムへ突入。テトにゃんは2つおさげにして、ニコは後ろ1つの三つ編み。ミリーは両方は面倒だから片方だけのサイドのカチューシャ型の編み込みにでもするか。案外これ難しいな。

俺のは面倒だからいつものでいっかな?と思ったらテトにゃんが「ウチがやってあげるの!」と左前髪を全部後ろに持っていきつつ1つまとめにしてくれた。右前髪は変わらずパッツンで左半分がオールバック風の不思議スタイルだが視界が開けるのでとてもありがたい。


「ありがとう、テト。」


「どういたしましてなの。」


気持ち的にリフレッシュできていい休憩を取ることができたので大満足だ。火の後始末や洗濯紐を片付けていざ出発!といきたいところでお客様がお見えになったので接待をしなくちゃいけない。


「なんかこっちの方へと近づいてきてる<ピアド・ボア>がいるな。あの辺から出てくるっぽいからみんな注意してね。」


「ソウのその能力って反則よねー。『城砦の矛(うち)』の索敵担当のフッドとハンロ姉がみたら絶対驚くわよ。」


「そうなのか?でもまぁ、いちおう位階中級の能力(スキル)(プラス最下級スキルの複合)だからな。そこそこ上等な能力だぞ?」


「中級って言われてもいまいちよくわからないわね。普段からそんなにスキルって意識しないもの。」


「あー、そういえばそうか。そんなに気軽にスキルなんてみれないんだもんな。そう考えると不便だな。」


雑談をしつつ川縁の土壁の様子を伺っていたら<ピアド・ボア>が勢いよく飛び出してきたのでサクッと『炎弾』で始末する。MP枯渇状態だとあんだけ苦労したのに・・・気付いた時には完全なる魔法職だな俺。

仕留めた猪の血抜きや解体をみんなで済ませ(やはりミリーはへたっぴだった)、今回はマイダンジョンにばきゅることなくお持ち帰ることにした。お肉食べたいねん。俺だけ食べてないねん。


「それにしてもこの猪変なとこから出てきたな?土壁から出てきたってことはあそこも洞窟に繋がってるのか?」


「ちょっと見てくるわね!まだ陽も高いし少し探検してみるのも面白そうね!」


「ウチもいくのー!」


ミリーとテトにゃんが駆けていってしまった・・・ってテトにゃん早くない?ほぼ同時に走り出したのにミリーより余裕で早く土壁近くまで移動してしまった。獣人補正?


「おっきな洞窟みたいになってるのー!」


「この間の洞窟みたいな感じよー!」


「やっぱりあれと繋がってるのかな?だとしたらちょっとだけ調査したいかもしれないなぁ。」


好奇心猫を殺すというけれど、この世界にきてあんまり異世界っぽいことや冒険者っぽいことをしてないからなんかこういうザ・冒険!って感じの雰囲気に弱いな。別に入ったが最後の死の洞窟ってこともなさそうだしちょろっと行ってみようかな?


「野営の準備してきてないからそんなに長居はできないけど少しだけ探索してみようか。俺的には植物系の魔物の素材とか欲しい物もあるし。」


「さんせーい!あたしこういうの好きなのよね!早くいきましょう!」


「ウチも気になるの!奥の方から不思議な匂いがするの!」


「ん。ん。」


ニコも首肯してくれてるし満場一致だ。MPにも余裕があるのでいってみようやってみようと穴倉へとインしてみる方向でファイナルなアンサーだ。


「『炎弾』の灯りだけで十分見えそうだな。やっぱり魔力切れさえ起こさなければここってイージーモードだったらしい。」


「あんたの魔法はちょっとおかしいと思うけど、この東の森は本来モンスターも少なくってあんまり危なくない所ってバルムさんに聞いてたわ。」


「俺もそう聞いてたんだけど、ここ最近は他所から流れてきたモンスターが結構いるらしくてちょっと賑やか・・・だったらしい。」


「他人事みたいに言ってるけど、それってあんたがほとんど倒しちゃったってことでしょ?」


「いや、いくらなんでもそれはないだろ?急にモンスターが増えたってことで冒険者ギルドの方から何人か調査の人が来てたみたいだし、その人らもいくらか間引きしてるだろうし。」


そもそもここ東の森は何故かモンスターも動物もあまり数が増えないらしい。それに加えて出てくるモンスターは素材的に美味しくない種類が多い不遇の土地。猪なんかもホントは希少らしいよ?かなりの頻度でエンカウントしてるけども。


「ここの横幅はこの間通った所よりも若干狭い感じがするな。雰囲気は似たような感じっぽくてずっと奥の方まで続いているような気がするんだが・・・。」


「あんまり先の方は見えないけど、真っ直ぐ続いてるし道もそんなに歩きづらくないわね!」


「歩きやすいから進みやすいのー。ねー。」


「んー。」


「・・・そういえば、さっきからテトとニコの会話が成立してるような?」


「少しずつだけど言葉がわかるようになってきたの。」


「ん。テト、わかる。」


「俺が寝てる間に2人の間柄がそんなに進んでるなんて・・・若いって力だな!」チラチラ


「ちょっ!ちょっとなんであたしのことチラチラ見てくるのよ!?あ、あたしだってちょっとはニコと話せるようになったんだから!ねっ!?そうよねニコ??」


「・・・?」コテン


「全然わかってなさそうなんだが?」


「そ、そんなことないわよ!ねぇ?そうよね?!」


「こらこらこらこら圧迫するのはやめろって。ニコが可哀想だろ?」


どうやらニコと意思の疎通ができるようになりつつあるのはまだテトにゃんだけのようだ。なんとなーくなんにも考えないから本能のままにニコとやりとりを始めるのはミリーかと思ってたんだが、そこまで仕事しなかったか本能。

わいのわいのと騒ぎながら洞窟を進んでいく。どうやらゆったりとした下り坂になっているようで、カナデさん曰く現在は地下4mくらいの地点にいるそうな。俺のスキルの何を使っても調べようがない気がするが、どうやって計測してるのか甚だ疑問である。


《土中と空気中とでは魔力濃度・魔力成分、並びに動物や魔物の分布などが違いますのですぐに判断がつきますが?》


と一蹴されてしまった。なにそのチート?俺のスペックを余すとこなく自在に活用してとんどもサーチをかけるのをやめていただきたい。本人ができないのにAIができるってことは、俺の人格部分が足を引っ張ってるってことだもの。普通に凹む。


「むむむっ!この感覚はモンスターだな!おそらくは以前倒した植物系のモンスターだとみた!」


「やけに気合入ってるじゃない?あ、わかったわ!アンタも冒険が楽しくなってきたんでしょ?そうなんでしょ?」


「違うな。俺はいまカナデさんと競争しているのだ!カナデさんよりも早く!正確に!周囲の状況を認識してみせるのだ!」


《マスター、土中に触手が伸びてきています。すぐに退避を。》


「あーもー!ミリーが邪魔するからカナデさんに先越されたじゃん?!テト!後ろに下がって!ニコ!こっちへおいで!ミリー!真下から来るぞ!」


「ま、真下って・・・きゃわわわわっ!ちょ、ちょっと!急になんてムリよー!」


「なんで捕まってんだよ!テトもニコもちゃんと避けたぞ!」


「そんなこと言ったってきょわーーーぶへんっ??!」


右足首を掴まれたミリーが触手によって引きづり倒されてしまった。ついでにアゴも強打して奇声をあげている。受け身くらいとれよと言いたい。


「仕方ないなー。テトー!ニコと一緒にちょっと下がっておくれー!」


「はいなのー!」


術式(コード) 魔力自動吸引マギア・オート・バキューム 実行(ラン)! 長両刃短剣(タウィール・ダグエス) (フォア) 性質付与レクシアン・エンクルムント 切断(アンピュイション) 強化(クラトス)


ホントは術式(コード)をもっと整えて名前だって変えようと思ってたのにそれすらできてない不遇な魔術を行使する。


最小(ミニムム) 武器強化開始アルム・クラトス・ディスケード


毎度お馴染みお手製自作のライトセーバ○だ!ブゥゥゥゥゥンという鈍い唸り音を響かせる我がフォースの剣にて斬り伏せてくれるわーうはははははははー!


《マスター、右前方下部より触手・・・3本来ます。》


「い、いまのは気付いてたもん!気付いてたんだからね?!」


叫ぶと同時に地面がボコボコと隆起してボゴッ!と触手が伸びてくる!これに対して強引に左脚を向かって右へ押し出しそのまま軸にして左回転しつつ触手を切り裂く!スパッと切れるが触手はもちろん止まらない!触手が伸びきった頃合いを見計らって返す刀で再度ロングダガーちゃんを叩き付けて切り落としを放つ。

こうやって触手を切っても相手は植物系のモンスター。根本から断たないと効果が薄いのは前回で学習済なのだ!目前の触手が大人しくなったのでおっとり刀でミリーの元へと向かうと、何故かミリーのショートパンツを触手が引っ張る謎のシチュに出くわす。マジでなんでやねん?


「・・・なんなんだこの状況は?」


「あ、ソウ!いいから早く助けなさいよー!脚に絡まった分は切ってやったのに今度はズボン掴まれちゃったのよ!ってちょっとー!引っ張らないでよこらー!」


触手にショートパンツを引っ張られてお尻丸出し状態のミリーさん自称15歳。四つん這いになって必死に抵抗してるけど、ズボンくらいなら脱げば脱出できるのになにやってんだ?


「よくわからんが助けてやろう。ていっ!」


「わきゃっ?!」


スパッと触手を切ったら勢い余ってミリーが転がったが大して問題じゃないだろう。それよりもこのモンスターどうやって倒そう?前回みたいに火あぶりにするのがいいんだろうけど、触手がウザくてそれどころじゃないな。


「まずは触手をいくらか片付けよう。ミリー手伝え。」


「いったたたたたたー。も、もちろんよ!やられた分はやり返すわよ!」


ミリーは叫ぶと俺が今朝ほどあげたショートソードをしっかりと構えて敵を見据えた。


「・・・敵の姿見えてる?」


「見えてないわ!でもあっちの方にいるんでしょう?任せなさい!」


妙な所で本能のまにまに動き出すミリー。それに合わせて俺も駆け出しモンスターの本体へと迫っていく。モンスターが地面からとか頭から触手を突きだしてくるのに対し、俺の的確な指示もあって切り落としたり叩き落としたりと危なげない対処で確実に距離を詰めていく。


「右に一歩!左に切り払い!」


「えい!」


「後ろへ跳べ!しゃがんでからの切り上げ!」


「てやー!」


「右壁に向かって中段蹴り!」


「ふんっ!」


「しばらく囮になってくれ!」


「任せなさい!って嘘でしょバカー!!?」


操りミリーを強制終了し、モンスターへとダッシュ&ダッシュで迫る俺氏!ミリー式目くらましが効いたのかどうかは不明だが、どことなく動きの鈍いモンスターへと肉薄することに成功!ロングダガーちゃんで切り付けること数回。流石に胴体的な部分を輪切りにするのはムリっぽいな。


「伐ってダメだなら燃やすのみ! 2つの弾よ在れ(ツヴァウ・バレティア)! 炎弾(フレイム・バレッタ) 変換(メタトロペート) 性質付与レクシアン・エンクルムント 業火(ヘルベレーネ) 燃え上がれオーベン・トー・フレイム!」


生きてるモンスターを直で火あぶりにするのは初体験なタメ、『炎弾』2個分のエネルギーで燃やしてみる。初めの数瞬はモンスターの抵抗値が上回ったのか全然燃える雰囲気を醸し出さなかったのに、ある時を境に急激に燃え広がり1柱の火柱となりすぐに動かなくなった。


「あちちあっち!近くでやると俺まで熱いな!」


「ちょっとソウー!そっち終わったんなら助けなさいよー!絡まっちゃって・・・この!んもう!」


「まだちゃんと終わったか確認できてないんだけどなー。忙しないヤツめ。」


《触手の拘束力が緩んだんでしょう。魔石だけ取り出して救助へ向かいましょう、マスター。》


「りょーかいっと。」


モンスター本体の魔力が一際高そうな部分を狙ってスパスパやってみるとすぐに魔石を発見。謎の魔石をゲッチューだ。相変わらずこのモンスターの名前が不明で不便が続く。

魔石を抜いたので討伐完了と判断し、ミリーの救出へと向かう。今度はさっきみたいな恥ずかしい恰好はしていなかったが、右腕と右脚に触手が絡みついて身動きがとれないっぽい様子だ。


「なんで利き腕封じられてるんだか。」


「仕方ないじゃない!すっごく暴れて剣で切れないから、手で捕まえようとしたら絡め取られたのよ!」


「全然仕方なくないな。もう少し剣の扱い練習した方がいいぞ?」


「うっ・・・うっさいわね!わかってるわよ!これでも練習してるんだから!」


「まぁ、まだ冒険者になって1年しか経ってないっていうなら仕方ないのか?その辺はちょっと帰ったらカナデさんにトレーニングメニューを考えてもらうといい。」


その後少しの間反抗的なコメントを繰り返していたが、やがて不承不承といった感じで「わかったわよ・・・その代り、しっかり教えなさいよね!」とか言ってきたから多少はやる気が出てきたようだ。てか俺が教えるんじゃないんだがわかっているんだろうか?

ミリー救出も終え、手早くモンスターの遺灰と触手を数点回収&それ以外の余計な部分はばきゅっていく。案外コイツの灰は触媒として優秀っぽいから重宝してたりする。やっぱ魔力が潤沢な木材は使い勝手がいいのだろうか?今後色々と検証していきたいな。

それから更に3体の植物系モンスターと対峙し戦闘を繰り返す。木っぽいヤツ2体と茎っぽいヤツ1体だったが毎回単体とぶつかる。ここの洞窟の仕様がタイマン形式なのかもしれない。

いまのところ戦闘で大きな被害は被っていないので概ね良好だ。ミリーが何回か殴られたり引き摺られたりしたが、囮作戦の弊害なので問題ないと言えるだろう。


「さっきからあたしだけ痛い思いしてる気がするんだけど・・・。」


「睨むな睨むな。単純に役割分担だろ?お前前衛、俺後衛。」


「えっ?あっ、そうだったの?てっきりアンタに怪我させたこと根に持ってるのかと思ってたわ!けど、役割分担なら仕方ないわね!バルムさんも大事だって言ってたもの!」


・・・チョロ。ちょっと(みそぎ)的な思いも含めて囮にしてるのもホントなんだけど、こうも簡単に信じちゃうミリーの将来がちょっと心配になってきた。もしかしたら殺人事件を犯す前に騙されて食い物にされる方が早いかもしれない。バルムさんに注意だけしておいた方がいいかもしれないとか思ってしまった。


「まぁ、怪我しないように頑張れ?」


「えぇ!任せなさい!」


やる気満々だしこれでいっかと思考を打ち切り再び移動を開始したが、直後にパラパラと何かが落ちる音がする。


「なんか降ってない?なにこれ?」


「少しだけだけど天井がミシミシ?言ってるような気がするの。」


「マジで?」


「あたしには特に聞こえないわ。テトって耳がいいのね?」


「いやいや!そんな悠長なこと言ってる場合じゃn・・・」


ゴトンッ


「うげっ!崩落してきた!?ヤバい!逃げるぞ!みんなこっちへ!」


ゴトゴトと大きな土の塊や岩っぽいモノが次から次へと降ってくる!インディーさんじゃないんだからこの手の状況はお断りなんですけど?!って思ったが、それほど広範囲には広がらず落盤は納まったみたいだ・・・でも。


「退路が断たれたな。」


以前似たような感じで道を塞がれた際はマイダンジョンでばきゅってことなきを得たが、今回はちょっと使えなさそうだ。だってまだ天井が残ってるから作業中に追加が振ってくる可能性が高そうだし。

とりま全員の様子を軽く確認したけど誰も落下物に当たってなさそうってことだけわかればいっか。このまま奥へと進んで他の出口を探すとしましょうかと土くれが盛り上がった所をボケーっと眺めていたら、ピシリ・・・ピシリと広がる亀裂。土砂を起点に焼き菓子が割れるかのような音を伴い崩壊が拡がっていく。


「お、おやおやおや~?なんか猛烈にイヤな予感がするんですけどー・・・?」


「ウチも。」「ニコ、も」


「き、奇遇ね。あたしもそんな気がしなくもないわ!」


「でーすよねー!じゃあ、総員全力で退避ーー!!!」


四者四様顔を引きつらせたまま駆け出した!


「ひゅっ?!」「ひにゃ?!」「んー??!」「わっひょー?!」


瞬間、足元の地面が一気に崩れ全身を襲う浮遊感と不快感!


「ちょっ?!なんでだよ!?なっとくいかーーーーーーーん!!!?」


何故に崩壊から逃げる構図にならないのか!激しい憤りと共に俺たちは暗闇へと呑まれていった。

お読みいただきありがとうございます。

毎度毎度行き当たりばったりな行動をし続ける想君一行。ある意味冒険しまくりですね。

あとあと、いくら異性と見られてないからってそれはどうなの?とツッコミをいれたくて仕方がないんですけど!


次回予告

落下地点

台無し感

本格派

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