キレイにするのに水浴びです
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
いつの間にやらブック数が150件を突破してしまいました!ありがとうございます!!(154名様!)
総合ポイントも400以上もいただいてしまって嬉しい限りです!(409P!)
ユニーク閲覧者様も1万名をこえるなど、私の中ではびっくりな数字が沢山並んでて驚いております・・・ビクビク
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第58話を投稿させていただきますー!
これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)
前回のあらすじ
異世界お肉は完食済み
ちょいちょい出てくるゴルドルさん
ゴブの村、刈りました
ズキンズキンと痛みが走る。これが包帯でグルグル巻きの左手とか隠された第三の眼とかだったら多少は恰好がつくものの、いまの俺が痛む部分はただ1つしかない。
・・・そう、膀胱だ。どうやら膀胱は起き抜けであれだけの激戦を交わしたというのにまだ満足していなかったらしい。いや、ふざけても仕方ないからちゃんと向き合おう。単純に炎症が治まってないんですねそうですね。
仕方ないので『HP回復強化(小)』を意識して魔力を集中!炎症を治す!炎症なんていうものは免疫の過剰反応だったりなんだりだって前に聞いたことがあるから、そもそもの炎症の原因になってる部分を治せば勝手に治まるってことだろう。間違ってても悪い所が治ればいいだろ?そうだろ?
でも膀胱炎の原因になっているのは俺の究極の不摂生。どこまで治せば完治したことになるのかわからないから痛いのが治まるくらいの回復までに留めておこう。不測の事態がいつなんどき起こるかわかんないし、魔力の節約大事です。
「こんなもんでいいか。これで治らなかったらポーションでも使わないとダメかもしれないけど。」
《膀胱炎を治療しながら大掃除をする迷宮主は、恐らく世界で初めての存在ですね。貴重な体験です、マスター。》
「全然嬉しくない・・・。ていうかダンジョンマスター以外でもこんなヤツいないだろ。いたら会ってみたいわ。」
不満を口にしながらゴブ落の大掃除を終えた俺達一行はその脚でテクテクと小川を目指す。何故ならゴブの死体や死に損ないを処理する際に大量の返り血を浴びていて気持ち悪いし頭が痛くなるくらいの悪臭がするからだ。
「テト、鼻は大丈夫?」
「うぅ~、まったくきかないの。」
テトにゃんにいたっては完全に鼻がバカになってしまっているようだ。ニコもミリーも似たようなもので、特にミリーは酷く顔を歪めている。
日本の女芸人でもここまでの表情はしないと思うほどにリアルな変顔してるけどそれは乙女的にどうなんだと思ってしまう。
「それにしても、やっぱりあのゴブ村はできたばっかだったんだな。」
「当たり前じゃない!最近出てきたゴブなんでしょ?それにしては数がやたらと多かったけど。」
「情報によるとそうだな。俺が初めて対峙した群れと同じ集団だとすれば、ここら辺に来てまだ10日くらいしか経ってないってことだし。ムダに多かったけど。」
「えっ?ソウが第一発見者だったの?」
「ギルドの受付嬢さんがいうにはそうらしいな。あれから数えると俺はいったい何匹のゴブを殺してるのかわからんけども。」
《ゴブ種全てを合計して171匹ですね、マスター。》
「171匹って・・・マジかよ・・・。この辺りはゴブが多すぎるな。勘弁してほしいわー。」
どうやら知らない内に200の大台が見えてくる位置まできていたらしい。そろそろゴブリンスレイヤーとかってあだ名がつきそうな予感までしてくる。
「ちょっ?!171匹って本気で?!いえ、でもさっきのを見たらあながち・・・ううん?」
ミリーがない頭を必死に使って考るフリをしている。どうせ考えたってわかんないんだから考えるだけムダなのに、おかしなヤツだな?
ちなみにさっきのゴブ落にはゴブ以外はほとんど何もなかった。通常の巣には多少の収集品だったり武器だったり時に生きた人間やらなんやらがいるケースもあるらしいが、今回は居ついてすぐだったからかそれとも単純に東の森では略奪対象がいないからか何も蓄えている物がなかった。
他に被害がなかったってことを普通に喜ぶべきところなんだろうけど、可愛い村娘を助けてウハウハとかって展開フラグが用意されていないことと、何故かゴブの巣にあった強力なアイテムゲットだぜ!みたいな王道展開も特になくそこら辺はそこそこにご不満だ。噛まれた憂さは晴れたからいいんだけどさ。
道中戦利品的なサムシングは何かないかと眼を皿のようにして探してみたが、あったのはポーションの材料くらいなもので変わったモノは特になかった。
サクリ草、ジマク草、ミトミの樹液、それから赤露草の花粉。草はいつも通りにブチブチザクザク。樹液はここのは少ないなぁ~と思いつつも、そろそろストックが切れそうらしいので水筒にトプトプっと。
「赤露草の花粉は1つの花から集められる量が少ないのが難点だな。ポーションの空き瓶に入れて頑張って溜めますかねぇ~・・・ってコレそこそこレアなヤツじゃん?!」
何気なく集めていた赤露草の花粉。これは下級マジックポーションの材料になるそこそこお高めのアイテムだ!なんで極自然な感じで受粉させつつ余った花粉を採取してんだ?自分でやってたことなのにこの行為にいたった経緯が全く思い出せない!
思えばさっきゴブの村を攻め落とした時だってあまりにも無感動すぎなかったか?いくら加害者一家が相手とはいえこんなに好戦的なのはおかしい。いつの間に俺は流星街の住民になってしまったのだろうか。俺の精神状態不安定すぎやしない?
(・・・カナデさん。これってどういうこと?)
《はい、マスター。どうやらまた軽度の魔力酔いの状態になっていたようですね。》
(魔力酔い?いやそれってさ、『魔力操作』に慣れてきたしだいぶ解消されつつあるんじゃないの?)
《いいえ、マスター。確かにマスターはこの世界の魔力に対し、耐性というか適正を獲得しつつありますがまだそれも完全ではありません。それなのに先日一気に魔力の保有限界が上がった影響でマスターの魔力保持量、所謂MP値が急激に上昇しマスターの精神状態に少なくない干渉を及ぼしているようです。》
魔力量って別にそんなに・・・ってなんだこれ?今日はもう2回魔法を使ってるからほぼスッカラカンなハズなのにまだ半分以上残ってる、だと?まだ維持してる『炎弾』があるから多少の誤差はあるけど、これならあと2発くらい撃てるってことが感覚的にわかっちゃう。
(でもでも、この間見せてもらったステータスだと前のレベルから特に変動してなかったように思うんだけど?たしか D- だったハズ!)
《いいえ、マスター。現在のマスターのMP値はDです。》
(マイナスとれただけじゃん!それで2倍?!)
《2倍ではありません。そもそもマスター自身の魔力を全て使い切れば、マスターの意識はそこで途切れます。ですので前回でいえば2回魔法を使ってもなお意識があったので、マスターは冒険級の魔法を2回分以上行使するだけの魔力量があったことを示しています。》
(つまり、意識を失うほどに全力を込めればもう1回魔法が使えた状態だったと?)
《魔力の残量が魔法発動に足るかは微妙なラインでしたが概ねその通りです、マスター。ただし、仮に発動したとしても魔力枯渇は命に係わる可能性もありますので下手をすれば死んでしまいます。》
(そうなの?)
《そうです。》
し、知らなかった・・・。俺ってばいままで殺される以外にも何度も何度も命の危機にさらされていたのかよ!全然知らんかった!いや、どっかで聞いてたっけ?お、思い出せない。
《ですが、命を危機にさらす代わりに魔力の保持量が上昇するチャンスでもあります。現にマスターの魔力量はそれによって上昇を繰り返しています。》
(レベルアップの恩恵かと思ってた・・・。)
そして、カナデさん式の位階のつけ方によると基本は4倍算らしい。例えばFを10とすればEは40。Dなら160といった具合らしく、現在俺は160くらいMPがあるとのこと。細かい計測器を通してないのであくまで暫定値らしいが、俺のスキルの精度もそこそこ高くてある程度は信用できる数値だとのこと。
(ようするに、冒険級の魔法を使う際に俺が使用しているのは大体MP40くらいって認識でいいの?)
《はい、マスター。そうなりますね。》
そして、マイナスやらプラスやらは目安的なものだと。ざっくり言えばD-- で80くらいでD- なら120くらいってことかな?魔力の総量が増えて嬉しい反面、また影響受けて思考とか精神とかが安定してない俺って魔力に対してどんだけ脆弱なの?
いやぁ~強敵に出会わなくてよかったー・・・。あっぱらぱーなまま突撃なのら~って突っ込んでいって死んでしまう可能性だってあるんだからマジ笑えない。悩み頭を抱える俺を心配してくれたのか、テトにゃんが不安気な面持ちで近付いてきた。
「ソウ、だいじょーぶなの?なにかあったの?」
「いや、全然だいじょーぶだよ!ちょっと珍しいモノ見付けただけだから!」
誤魔化せてるのか非常に微妙な感じだが、咄嗟に誤魔化しつつ赤露草の花粉を採取する方法をテトにゃんへと伝えることにする。
自生してる赤露草がそもそも少なくて貴重らしいのでその数が減ってしまわないように受粉させてから、ホンの僅かな量だけポーション瓶へと確保する。これだけでいい。
ここら辺に咲いてる花の数的に5本分にでもなれば上々だろう。帰ったらマジックポーションを作ってストックしておくのがよさそうだな。真面目に生命線だし。
手早く採集作業を終えてちょいちょい歩くとすぐに小川へとたどり着いた。流れは早くないし膝上くらいの水量もありそうだからおあつらえ向きだな。
「太陽が真上に差し掛かろうとしてるくらいだから時刻的にはお昼時かな?ご飯休憩も兼ねて水浴びにしよっか。」
「じゃあ、ニコの水浴びはウチが手伝うのー。」
「ん。テト、いっしょ。」
「ありがとうね、テト。ニコのことよろしく。ミリーも一緒に済ませちゃいな。警戒は俺がしておくから。」
「いいの?いいならすぐに入るわ!汗と血と土で汚れて気持ち悪かったのよ!」
言うなりミリーはポンポンと装備を外し、服も脱ぎ捨ててしまった。なんの恥も外聞もない見事な脱ぎっプリでものの数秒ですっぽんぽんのタヌキ腹モードだ。色気も何もあったもんじゃないな。
そのまま汚れた服や装備を抱えて平たい岩の上を陣取ると、川に入りつつ洗い物をし始めた。実に効率がいいな。流石に冒険者稼業を年単位でやってるだけはあると珍しくミリーに関心してしまう。
「つめたーい!でもきもちいー!」
「身体冷やし過ぎるなよー?あとミリー、コレも使っていいからしっかりキレイにしなー。」
「わととたっと!?ちょっ、ちょっとー!急に投げないでよねー!って石鹸じゃない!い、いいの??」
「いいから渡したんだよー。テトたちはこっちの石鹸使いなね。はい。」
「ありがとーなの!ニコ、行こうなのー。」
「ん。いくー。」
「ちょっとー!なんでテトには手渡しであたしには投げつけるのよー!」
「いや、お前がさっさと入っちゃうからだよー。遠いしなー。」
それに、いくらミリー相手といえども近くでマジマジと裸体を見るわけにもいかんだろう。年頃?の女の娘でもあるわけだし、そのくらいの分別はあるつもりです。
ぷりぷりと怒りながらブンブンとお手てを上下するミリーの胸部装甲がぷるぷると揺れている。お腹は揺れないのにこっちは揺れるのか。いやはやどういう構造になっているんだか。
いちおう怪我が残ってないかどうかを遠目で確認してみるが特に傷跡は見当たらない。地の肌はそこそこ白いんだな~日焼け跡とのコントラストが眩しいぜ!
だがしかし、別に太ってるわけでもないのになんで全体的にぷにぷにな質感なんだろう?若さ故の肌質がなせる業なのだろうか?それにムダ毛がいっさら見当たらないけどミリーはお手入れするタイプじゃないっぽいのになんでだ?今度聞いてみるか。
「ニコ、眼を閉じてなのー。」
「んー。」
テトにゃんはニコを頭から洗ってあげるようで、手で一所懸命パシャパシャと水をかけてあげている。テトにゃんの小さなお手てじゃ時間がかかるでしょうにと苦笑が漏れる。
「メニューオープン。」
メニュー表をチラチラ見つつすっぽんぽんの幼女と美少女へと歩み寄る。特に何を考えることもなくただただ事案全開の字面に絵面だが、今日に限ってはお日様もサンサンと輝いてるからきっとうまいこと編集でどうにかできるだろうと日光さんへ期待を馳せる。
腕の角度や泡加減でもどうにかできるかもしれないから全年齢仕様と豪語することも可能なハズだ!編集前だから俺には全部見えちゃうんだけどもそこは放送前だからセーフだろうそうだろう。
「ニコは年相応に絶壁&ポッコリ。テトにゃんはほんのりささやかな盛り上がりがあるようにみえる程度と少しだけポッコリだな。まだまだ可能性は十分あるから問題ないな。」
2人とも川を背にしてパチャパチャやってるから前面が完全に見えてしまっている。ミリーみたいに川に入ってくれてたらまだ隠しようがあったのに、これでは編集さんが大変すぎるしムリがありすぎるな。ツルツルペッタンだし子供扱いでどうにか放送枠に載せられないだろうか?
《一昔前ならともかく、現代では不可能でしょう。それにしても2人とも多少なり肉付きが改善されてきているようで何よりです。それに伴いマスターの下卑た視線がより顕著になっている点はいただけませんが。》
「誤解を招くようなことは言わないでよマジで。最近はそういうの色々とキツいんだからさー。お、あったあった。てことはこの世界のどこかにこれの製法があるってことか。そこそこお高いけど召喚実行っとーおわわわわわ!?」
手元に現れた2つのツボを慌てて抱え込む。足元に召喚しなかったせいでうっかり落として割りそうになっちゃったよマジ焦ったー。
「危ない危ない。召喚直後にダメにしちゃうとこだったよ。これ1つでDP100もするんだから気をつけないとだっつーに。」
《合計で200Pですか。それは必要な召喚なのでしょうか、マスター?》
「必要に決まってるじゃん!だってこの辺じゃお金積んでも手に入んないんだよ?カナデさん的には石鹸があれば殺菌できるし油汚れも落とせるから気にならないかもしれないけどさ、可愛い愛妹たちの身嗜みには多少の投資はやむを得なくない?」
召喚したツボの中身を確認する。うん、こっちがシャンプーでこっちがリンスで間違いないな。頭にお水をかけるように空の水筒を使うように促してからテトにゃんの正面へと立つ俺氏。黒っぽい外套で身を包んでるから怪しさMAXだけど家族だから全然セーフだ。そこんとこよろしくぅ!
「テト、これは髪の毛を洗う用の石鹸だから髪を洗う時はこれを使って。身体と服を洗うのはさっきの石鹸でいいからさ。」
「う~?わかったのー。」
「中に水を入れちゃうとダメになるからこの木製のスプーンを使うとするか。お手てだーして。」
「はいなのー。」
「ニコの髪は・・・ちゃんと濡れてるな。これはしっかりと頭を濡らしてからじゃないとダメだから気をつけようね。それでまずは手の中で泡立ててから頭をわしゃわしゃするの。そうそう。指の腹でやってあげてね。こんな感じで。」
「こうなの?わっ!すごい泡なの!楽しいのー!それにいー匂いなのー!」
「んー!んー!」
「あぁ、眼に入っちゃったかな?!流してあげるから擦っちゃダメだよ?よいしょっと。はい、ザバー!」
3人兄妹の楽しいお風呂?タイムを満喫中だ。最近殺伐としてたからこういう時間は嬉しいし楽しいなぁ。ほっこりするもん。ニコの頭を洗い終えたら今度はニコと一緒にテトにゃんの頭もわしわしと洗ってあげる。猫耳の中に入らないように気をつけながらってのは当然の留意事項である。
「あとは身体と服を洗ったら呼んでくれる?最後の仕上げにリンスするからさ。」
「はーいなのー。」「んー。うん。」
「あ、そうだ。ちょっとテト、お腹みせて。」
「?はいなの?」
「うん、ちゃんと傷痕は消えてるな。特に違和感とかない?」
「へーきなの。そういえば、ボアの角にやられちゃってたの。ちゃんと避けれなくてソウに迷惑かけちゃったの。ごめんなさいなの。」
申し訳なさそうに頭を下げてくるテトにゃん。そこは覚えてるのか。んむ~、ニコを襲ったことや俺を噛んだことについては何も言ってこないってことはその辺は覚えていないんだろうか?これ以上はちょっと聞けない雰囲気だな。
「謝ることはないよ、テト。むしろちゃんと倒しきれなかった俺が悪いんだから。テトに怪我が残らなくてホントによかった。特にお腹の傷は目立っちゃうからねぇ。」
怪我をした付近をツンツンしてみると「ひにゃんっ?!」て声がテトにゃんから飛び出した。
「んん?テトってもしかしてお腹が弱いの?ここ?ここが弱いの?」
「いひゃっ!ふへへへへへへへっはっはふぅっ!?ひゃめ、ひゃめひぇ!へへふひゃひゃっははっ??!」
独特な笑い方だな!でも楽しい!どうやらテトにゃんはくすぐりにメチャクチャ弱いらしい!これは好機だ!強制的に笑ってもらおう!
――――――しばらくお待ちください――――――
「ふぅ・・・。ちょっとやりすぎてしまったかもしれない。」
顔を真っ赤に染めた涙目テトにゃんがお腹を両手でガードしたまま上目づかいで警戒体制に入ってしまった。お腹押さえてるせいで上はモロだしなんだがそれは正しいのか?テトにゃんに警戒されちゃったから今度はニコもいってみようやってみようとレッツチャレンジ1年生!
「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー?」
「・・・・・・・・・・・イヒッ。」
「イヒッ?」
「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!イヒッ!イヒッ!イヒヒヒッ!」
「ニコも面白い!!」
ニコの独特すぎる爆笑を初めてみた!なんだこれ?なんだこれ??半眼で笑いまくるニコっておっもしろーい!!ここか?ここがええのんかぁー?!ほれほれー!ほりゃほりゃー!!
――――――しばらくお待ちください――――――
「ヒック・・・ヒック・・・。」
「お、おうふ。ご、ごめんニコ。やりすぎたかも?」
「だ、だいじょーぶなの?ニコ?」
「ん。ヒック・・・へーき。」
どうやらくすぐりすぎてしゃっくりが出てしまったようだ。これはいかんな。反省だ。
「ごめんなニコ―。ニコの笑い方が可愛くてつい・・・。テトにゃんもごめん。」
「んヒック。・・・ニコ、変、ヒック・・・ない?」
「んー?ニコの何が?全然ニコは変じゃないよ。むしろめっちゃ可愛かった。でもごめん。やりすぎはよくないよね。」
「んー。ヒック。なら、いい。」
「ソウ、ウチは?」
「えっ?テトも全然可愛かったよ?やりすぎちゃってごめんね?反省してます。」
「反省してるなら・・・いいの。」
どうやらお許しをいただけたようだがちょっと今回のは反省だな。笑い過ぎると苦しいもんね。うん。2人分の洗髪とじゃれ合いにそこそこ時間を使ってしまったが仕方のないことだろうと割り切ろう。恐らく初めてのちゃんとした洗髪だろうし、切り替えないと身体冷えちゃうもんね。
《たしかに随分とキレイになりましたが、やはり納得できません。単純に洗髪料を召喚、もしくは作るだけでしたらもっと安価で可能でしたが?》
(知ってるよ。この世界に普及してる一般的な普通のシャンプーやリンスならもっと安いし、原材料だけ召喚して必要な量だけ作ることもそれほど難しくないだろう。だが!今回はこの錬金術を用いて作られた異世界印の素敵洗髪セットがどうしても欲しかったんだ!後悔はない!)
《髪にダメージを与えずに汚れや古い角質を洗い落とすというのは確かに画期的ですが、だからといって魔法具に匹敵する品をわざわざ召喚しなくてもいいと思います。元々この世界にある洗髪料はオーガニックで肌にも優しい品ですから。》
(カナデさんはわかってないな!髪は女の命だよ?もっと大切にしないといけないんだよ!いままで手入れを怠ってきたんだからその分しっかりケアしないとじゃん?これは常識なのジョ・オ・シ・キ!)
まったくもう。カナデさんたら少女の髪の毛をなんだと思ってるんだか。俺の記憶やあっちの常識を共有してる割にそこんとこなんか抜け落ちてるんだよなー。合理的に考えすぎなのがいけないんだろうか?ちゃんと当たり前の常識を教えてあげないとダメだなこれは。
「ミリー、頭はもう洗ったか?」
「えっ?頭なんて洗わないわよ?たまに香油つけたりしてるだけだもん。あ、でもたまぁにタンロ姉が蜂蜜が入ってるっていう香油で髪の毛のお手入れしてるのは見たことあるかも?」
「マジかよ。お前も大概だな。女の娘として恥を知れ、恥を。いいか?これは髪の毛専用の石鹸だ。まずはしっかりと髪の毛を濡らすんだ。いいな?」
「?なんでわざわざそんなのするのかわからないけど、別にいいわよ!テトたちがたっくさんの泡で楽しそうだったし!」
ザプーンと川へと潜り「ぷはぁっ」と言いながら出てくるミリー。豪快すぎる髪の濡らし方だな。でも面倒がなくていい。
「よし、じゃあちょっとこっちおいで。眼に入ると痛いからしっかり眼を閉じてろよ?痛くても水で流せばすぐに取れるし、慌てることないからな。」
「わかったわ!あ、でも眼をつむったら泡が見えないじゃない!それじゃ楽しくないわよ?」
「いや、洗い流したあとにもう一度泡作ってやるからそれで遊べばいい。とにかくやるぞ。」
ツボからシャンプーをすくってミリーの頭へ直接垂らす。洗ったことないってことはかなりの汚れが溜まってるだろうからちょっと多めでいいだろう。わしわしと頭を洗うが片手じゃやりにくいな。
「ウチも手伝うのー!」
「ん!ニコ、も!」
「ありがとう2人とも・・・ってやっぱり真っ裸か・・・。まったく、みんなしてもう少し女の娘としての恥じらいとか色々とそういうのをわかってほしいもんだよ。マジで。」
せめて布やタオルで身体を隠すなりしてほしいという思いを飲みこみつつ、みんなで一緒になってミリーの頭を洗いまくって川の水でザバザバと流す。これで全員洗うのは終わったから仕上げのリンスをぬーりぬり。櫛でしっかり全体に馴染ませたらこっちは軽くすすいではい終わり!
「うん、これで完璧だな!ちょっと待っててねーいま身体拭く布用意するから。」
ごぞごぞと荷物をあさり大き目の布を2枚取り出してテトにゃんとミリーに手渡す。これで身体は拭けるとして、あとは濡れてる服とかを乾かさないとだな。
ニコのことをテトにゃんに任せて近場の枝やらなんやらを拾い集める。木のそばに拠点作ってここでやることにしよう。身体を拭き終わって肌着を着終えた少女達が服を抱えて走ってきたので木と木の間にロープを張る作業をお願いする。
ニコは返り血がほとんどなかったようでワンピースを脱いだだけ。テトにゃんはスカートと上は肌着だけ。ミリーはなんでかパンツ一丁に布を肩から掛けてるだけ。なんでだよ!?漢らしいにもほどを考えろよ?!
「おいミリー。なんでお前はそんな格好なんだ?」
「仕方ないじゃない!思ったより返り血浴びてて気持ち悪かったのよ!」
「あんまり派手に動くな。全部見えるぞ。」
「別に見られて困ることなんてないからいいじゃない!それよりちょっと寒いんだけど、火はどうするの?アンタの魔法でつけるの?」
「寒いのはお前が裸だからだけどな。けど身体冷やすのはよくないからすぐに火を熾すか。」
張ったロープの中間辺りの石をどけて地面を剥き出しにし、簡単な魔法陣を描いていく。初歩の初歩の簡易魔法陣だ。属性は火。でも土の溝だけじゃその用を満たせないから以前も使った植物系魔物の灰を撒いて陣を形成する。
「で、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>の魔石を中心に置いて魔力を流せば。ふんっ!」
ボゥッ
ガスコンロの中火くらいの火が顕現した。いちいち魔法陣を描いて魔石まで使ってるのにちょっとしょぼいな。簡単な魔法陣だしこんなもんなのか?ここにさっき集めた枯れ木を投入して火を大きくしていく。ある程度火が大きくなったら魔石を枝で弾いて取り出せばもう完成だ。
「あとでもっと木を集めるけどいまはこんなもんでいいだろ。服乾かすのも大切だけど、まずは髪をしっかり乾かすように。いいね?」
「はーいなの。」「んー。」「へっくち!うぅー、ちょっと長く入りすぎたかも・・・。」
「お前なぁ・・・。」
ビローンデローンと鼻水を垂らすミリーが汚らしい。普通そこは1番幼いニコの役回りなんじゃないのかとツッコミを入れたいが、相手はミリーだから仕方ないので血に汚れてない俺の服を着させておこう。外套で返り血は全部弾いてるし汚れてないからいいだろ。
ついでに3人の周りを『炎弾』がクルクル回るように術式を変更しておこう。1人頭5個も回せば少しは暖かくなるかもしれんし。
「じゃあ、俺も水浴びしてくるからここで待っててくれ。髪は定期的に櫛をかけた方があとで滑らかになるから、テトに預けておこう。」
「ソウはいいの?」
「俺もあとで使うよ。索敵はスキルで続けるけどみんなも森の中とか注視しといてね。俺の感知範囲はそこまで広くないからさ。」
「任せてなの!お鼻も治ったからしっかりわかるの!」
ついでに小腹がすいたら食べられるようにと今日のお昼も置いてから川へと進む。俺の沐浴シーンなんて需要ないからもしアニメ化されたらこのシーンは割愛されることだろう。それにしても髪が長いし多いしで洗うのめっさ大変だな。片手じゃちゃんと洗えてるか不安になってくるが、手触り的には引っかかりもなくてツヤッツヤなんだよなぁ。俺が人間じゃないからか?シャンプーとかのCM出たら受けそうだな。
一通りキレイにしてから手早く身支度を済ませ、手拭いで拭いていくがやはり髪が重たい。全然水分を拭き切れる気がしないのはちょっといただけないな。乾くのに時間がかかりそうだ。もっと吸水性の高いバスタオルがほしいけどDPで召喚したら高いのかな?
「あーさっぱりした。ホントはお風呂がいいんだけど、水浴びだけでも全然違うなこりゃ。」
「うん、水浴び気持ちいいの。また来たいの!」
「あたしもまた来たいわ!さっきの頭専用の石鹸ってヤツも泡が楽しかったもん!」
いったいこのタヌキ娘はいつまで行動を共にするつもりなんだろうか。そろそろバルムさんたち帰ってくるんじゃね?って思っているんだがまぁいっか。時が来たら飼い主に返すだけだしそれまでくらいは面倒みてやるか。
「次はもう少し道具を揃えてからこよう。ここで簡単な調理ができるくらいの用意は欲しいし、着替えもしっかり準備してからにすれば寒い思いもしなくていいしな。」
俺はミリーに上の服を貸しちゃってるから上半身裸に布を首から下げただけの格好だ。ズボンはちゃんと穿いてるからまだいいけど、髪がまとわりついて冷たいし不快だな。『炎弾』の維持しながらできるかわからないけどやってみるか?
(カナデさん、『生活魔法』の練習っていましても平気?)
《『炎弾』の維持と索敵程度でしたらカナデがお引き受けできますが、『生活魔法』の支援までは手が回りませんがよろしいですか?》
(うん、それでお願い。どうせこの魔法はイメージ力が大切な魔法なんでしょ?ならそれなりにうまく使えるハズ・・・うん。)
まだ知識だけでスキル化してない魔法を試すのは慣れていないが、俺が寝てる間にカナデさんが大量に知識を詰め込んでおいてくれたお陰で特に苦しい思いをすることもなく試せるっていうのは最高だ。インストールの衝撃は毎回ハンパないから!マジで!
もしかしたら寝てる間は苦しかったのかもしれないが、特に夢を見た覚えもないからきっと熟睡してたんだろう。カナデさんに聞いても寝言でマスターに頼まれましたと言ってたから夢を見ていた可能性は捨てきれないが。
(えーっと、まず必要なのはドライヤーの機能かな。送風ができればそれだけでほぼほぼ完成だしこれからいこう。)
風を操る。これは厨二病患者にとっては涎ものの能力だろう。昨今のアニメ業界では火魔法よりも重宝されてたりするし、風が使えたら雷も使えるって利点もある。それに、極めれば空も自由に飛べるかもしれないので是非とも使いこなせるようになりたいものである。ちなみに、空を飛ぼうと自分に風を当てまくるのはお勧めできない。そんな暴風をその身で受けたら色々と大変なことになるからね。空を飛ぶのも楽じゃなさそうだ。
そんな与太話はともかく、『生活魔法』は属性も意思も持たない最下級の精霊に働きかけて行う魔法である。俺が普段やってる強引な自動吸引術式みたいに、術式全部を自身の魔力のみで構成するわけじゃないから若干毛色が違う魔法だ。意思がない連中を統率するのはなかなか難しそうだもの。
まずイメージするのは周囲の空気に俺の魔力が溶け込んでいくところだ。これは『魔力操作』のスキルの恩恵でかなりやりやすい。結構イメージ通りに且つスムーズに成功した。
次の段階。周囲の空気を自身の魔力で満たせたので今度は誘導してみる。魔力だけでなく空気も一緒に動かすイメージというか、ついてきてもらったり押し出したりするイメージだ。・・・・・・・これも案外いけるな。成功だ。
そよ風を発生させることに成功したので次の段階へ進む。今度はこの勢いを強くしてみよう。出力を上げていくというか、さっきまで全体的にふわっと動かしていたから今度はビル風みたいに集束してみようと思う。面ではなく線や点だ。集めることによって力の圧が高まり勢いは一気にますことだろう。
そして、一点に集中するならその場所を指定しなければならない。んむ~、取り敢えず正面に筒状の空間をイメージしてそこへ集めてみるか。
「むむむむむむ・・・。この筒状のイメージが案外難しいな。少しずつやるか。」
まずLow。ふおーーーーって感じの勢いで成功。これくらいの勢いなら安定して出せるな。風力的には弱いけど、髪を乾かすのにはそこそこ重宝しそうだ。
次にmiddle。ぶわーーーーって感じでなんとか成功。まだドライヤーで普段使いしてたほどの風力じゃないな。扇風機の中より少し弱いくらい?
最後にhigh。ぐぐぐって溜めて・・・一気にぶわっと!!
「やった!成功だ!」
勢いよく風が吹き、テトにゃんのスカートがめくれあがったりミリーの布を吹き飛ばしたりした。
「うぅっ?!」
「きゃっ?!はぶふっ??!」
《お見事です、マスター。このチラリズムを狙っていたのですか?》
とんだ濡れ衣である。
お読みいただきありがとうございます。
水浴びするのはいいですけど、DPの使い方はホントにそれであってるのでしょうか?
いえ、それ以前にこの状況で平然と水浴びに興じることができる想君の精神力が凄まじいかも・・・?
次回予告
スカートめくりは犯罪です
魔法の開発
戦闘タイム




