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始まりの場所 過ぎ去りし時

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第55話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

豚男は頑丈だった

人海戦術の恐ろしさを味わう

未熟な魔法の代償再び

懐かしのブデノン


空が白い かといって雲があるとかって訳じゃない。

地が白い かといって一面が白いタイル張りって訳じゃない。

先が白い かといって真っ白な壁に囲まれてるって訳じゃない。

四方八方どこを向いても白い。白い世界。白の世界。世界に唯一白くないのは俺だけなのかもしれないと思うくらいに真っ白けっけ。手抜きが過ぎるな。背景さんに逃げられたか?予算が足りなかったのか?制作陣に苦情を(てい)したい気持ちが少しずつ湧き上がってくるが、逆に言えばこの世界なら俺にだってアニメ化が可能かもしれない。俺の転生事情が現代日本(あっち)になんらかの方法で渡せるのだとしたら制作がとても簡単なので是非とも低予算でアニメ化していただきたいものである。なんかアニメの主人公のモデルになるのって憧れるじゃん?

あ、でも折角アニメ化してもらえるんだったらしっかりと予算と時間をかけてぬるぬる動く系のちゃんとしたヤツにしてもらいたいって願望も無きにしも非ずだな。いまの内から自作のOP(オープニング)ED(エンディング)作っておこうかな?そうすれば予算がちょっと抑えられるしその分を製作に回せるしって何を考えてるんだ俺は?


「んむ~。真っ白な部屋は人の精神にあまりよくないとは聞いていたが、この思考もそれのせいということにしておこう。それにしても懐かしいような懐かしくないような?てかまたここに来ちゃったのか。」


ここはかつて、と言っていいかは微妙なほどの時間しか経っていないくらい前ほどに俺が降り立った白の世界。つまりは(じじー)(笑)が座す御城・・・というか不思議空間?


「ふむ。となると急に(じじー)(笑)が話しかけてくるかもしれないからいつでも殴れるように心を落ちつけておくか。あいつ浮いてたからガゼルパンチで肝臓(レバー)狙いやすそうだし。」


「いいえ、マスター。残念ながらここに担当神(あのかた)はいません。」


聞きなれたいつもの声に振り向くと、そこにはナニかがいた。


「ふぁっ?!なにこれ眩しいんですけど?!!」


白く輝く発光体。周りも白いがこれまた白い!驚きの白さだ!眩しくて白くて眼が痛い!!


「め、めがぁ!めがあぁぁぁぁ!!こ、これ以上俺の眼を攻め立てるのはやめてくれ!俺のおめめが焼けちゃう(サニーサイドアップだ)よ!?」


「これは失礼いたしました、マスター。普段から気にしていないことはダメですね。どうにも考えが回らないようです。」


そういうとカナデさんは光量を段々と抑えてくれた。これでどうにか眼が開けられるくらいにまで落ち着いてきたなーって思ってはみるものの、それでもコンビニの蛍光灯くらいに眩しい!きっと2000ルクスくらいはあると思うの・・・眼に優しくない。


「ちょ、ちょっとカナデさん?まだまだ眩しすぎて直視できないんだけど、これってどういうこと?俺のおめめいじめて楽しいの?」


「いいえ、マスター。カナデはマスターをいじめて楽しむ趣味趣向を持ち合わせておりません。そもそもカナデは神工知能ですので感情を持ち合わせていませんし。」


「またまた嘘ばっかり!カナデさんてば出会った頃に比べてだいぶ感情豊かになってるじゃん?」


「それはマスターの誤認です。カナデはマスターの知識や記憶に触れ、マスターとのコミュニケーションを円滑にするためにその有様を模倣しているにすぎません。」


「うん、だからそれが感情があるってことでしょ?」


「はっ?」


「えっ?」


「マスターが仰っていることがいまいちよくわからないのですが・・・?」


「いや、そんなにわかりづらいこと言ってないと思うんだけどなぁ?だってさ、カナデは『案内役』なんでしょ?なら別に俺と仲良くする必要があるわけでもないのに|円滑なコミュニケーション《仲良くなろうと》頑張ってるじゃん。それって仲良くしたいからってカナデの感情ってか思いがあってこそでしょ?俺としてはそれが嬉しいんだけど。」


「・・・それは必要があって・・・なんてことは言い訳にしかすぎませんね。確かに必須事項でも最優先事項でもない、ただカナデ自身の自己満足の為の雑談(トーク)を数多く交わしていましたね。」


「それでカナデが満足してくれるなら何よりだよ。それにさ、カナデは神に創られし知能体、神工知能なんでしょ?ならその大枠は人間(おれら)と何にも変わらないじゃんね。」


「それはっ!!・・・それは流石に極論にすぎるかと・・・。それにマスターは人間では・・・その・・・。」


俺の発言を受けて発光体が明滅を繰り返すかのように不安定になってしまった。光が揺らぎ、明るさが抑えられた時だけなんとなくカナデさんの全体像が見えそうで見えないチラリズム。白い人型のような気がする塊としか認識できないんだが、これは見えない仕様になってるのか、それとも形自体がしっかりしてないのか?んむ~、どちらにしてもカナデさんがここまで動揺するなんて珍しいな。


「んん?てかなんでカナデさんと対面でお話しできてるんだ?・・・ってカナデさんお外にいるじゃん?!」


「今更ですか、マスター?」


「いや、今更って言うかなんていうか?それよりなんで?どして?!」


「なんでもなにも、ここはカナデの世界。マスター風に言うなら電脳ワールドや仮想現実(ヴァーチャルリアリティ)とでも言った方が想像しやすいでしょうか。とにかくここは現実世界でもなければ神の御座(おわ)す場所でもありません。」


「あ、そうだったんだ。だからここには(じじー)(笑)がいないってことね。それで、どうして俺はカナデさんの世界にいるの?」


「はい、マスター。まだ確定ではありませんが恐らくはカナデとマスターの繋がりが強くなってしまったことが原因だと思われます。」


「繋がりが?仲が良すぎてこうなったってこと?」


「・・・いいえ、マスター。そういったふわっとした対人関係的なものではなく、もっと根本的な部分です。」


「やらしい系?」


「いやらしくありません!そのようなご冗談は控えてください。話しが進みません、マスター。カナデが言っているのは普段から(おこな)っている演算補助のことです。」


「演算補助って、普段からカナデさんにスキル制御を手伝ってもらってるアレのことか。」


「はい、マスター。ここからは推測になりますが、大筋は間違いないと思われます。マスターと共にマスターの脳を使いマスターのスキルの制御をする。その共同行為がどうやらマスターとカナデの境界線を曖昧にしている原因かと。」


「ほお~、つまりは仲良く共同作業をしすぎてくっついてきちゃったってことか。」


「言い方にマスターの悪意を感じざるを得ませんがそういうことでしょう。」


「ふむふむ。それで、それによる困った事とかって何かあるの?」


「随分軽く考えているようですが、このまま同化が進めばマスターのプライバシーというものはなくなってしまう恐れがありますが、よろしいのですか?」


「俺のプライバシー(笑)って。そもそもそんなのないじゃん!行動は全部カナデさんに見られてるし、過去の記憶も漁られてるし、最近じゃ俺の脳内の台詞まで全部聞かれてるじゃん。いまさらじゃんね?」


「・・・そういわれてみると確かに。」


「無自覚だったんかい・・・。そっちの方が驚きだし。でもまぁ、それよりもこれから先の方が楽しみだよ!俺的には!」


「楽しみ?ですか?」


「うん!だってさ、このままずっと俺の感情が一方通行ってわけでもあるまいに、同化が進めばその逆もあるってことでしょ?ならカナデの感情や考えてることが俺にもわかるってことじゃん!それでようやく対等だよね?そうだよね?」


「それについては全力で阻止させていただきます。」


「なんでだよ!横暴すぎる!てかできるのかよ?!不公平だー!やってらんねー!」


「そういった部分の制御はカナデに一日の長がありますので悪しからず。」


「しれっと言いよったよこの娘わ・・・。まぁそれでもいいさ。カナデの考えてることがわからないならわからないで、その分言葉を尽くせばいいだけだしな。これまでとなんも変わらないよ。」


「やはりマスターの思考は理解しづらいです。これだけマスターの記憶を共有しても尚わからないことがあるということは、余程特殊な精神構造をしていると考えるべきなのでしょうか。」


「なんか頭のおかしな(ひと)的な(そし)りを受けてる気がするんですけど?俺はいたって普通の一般ピープルなんですけど?」


「マスターが一般的だなんてことは有り得ません。それだけは確実で確定事項です。」


「随分な言われ方されてるけど、俺だって傷ついたりするからその辺で勘弁してくださいお願いしますorz。」


「ふふっ。本当に、マスターはどこまでも変わった人ですね。」


「えっ?いまカナデさん笑った?」


「はい?」


カナデさんの人影?だと思われる白い人形(ひとがた)がさっきまでよりも更に不安定な感じでゆらゆらと揺れ始めた。いまにも消えてしまいそうだと思った瞬間、急速に密度を高め人の(なり)を成していき数秒も経たない内についには人間のような形で落ち着いたご様子だ。


「おぉ?なんかすっごい人っぽいな!」


「えっ?なっ?!何故このような??」


顔は相変わらずどこかぼんやりしててモザイク入っちゃった人みたいになってるが、首から下は若干粗いCG程度には安定してきている。もう少し完成精度を上げればヴァーチャルシンガーの娘たちと並んでも遜色(そんしょく)ない出来栄えになることであろう。これには興奮を隠せない!萌える!(たぎ)る!(ほとばし)る!


「カナデさん!いまめっちゃボカ○っぽい!これが真の意味での2.5次元か?!いや、ここが電脳世界と言うのならまだ3次元にご光臨されていないということなのか?いやだが!これはこれでなかなかどうして!」


「マ、マスター!落ち着いてください!これはマスターの心理状態の影響を受けているだけです!あまり明確な妄想をされると電脳ワールド(この世界)にも影響が!」


「えっ?そうなの?これって俺の妄想が原因なの?」


慌てて周囲を見回すと、そこは特にさっきまでと変わりない真っ白な世界。この世界で俺が影響与えてるのってカナデさんに対してだけなのかと思い再びカナデさんの方を向いてみたらカナデさんのフォルムが完全にボ○ロ仕様になっていた。何をいっているかわからねぇ以下略。


「学生制服っぽいデザインの服着てて顔だけモザイクってのはなんか色々といただけないな。これで声まで加工しちゃったら完全にそっちの広告とかでしょ・・・。でもまぁ、少なくとも犯人は俺じゃないことがこれで確定したってわけだ。」


「カナデの顔が不定形なのはマスターの想像力が不足しているからではないでしょうか?そして、学生制服に近しい服装なのはきっとマスターの交友関係が狭かったせいですね。通っていた高校の女性用制服にデザインが似ています。」


「いやいやいや!俺がもしヴァーチャル歌姫を想像するならもっと電子機器的なパーツとかイメージカラーとか入れるハズだもん!それにカナデさんに対して学生のイメージは持ってない!せめてメイド服とかもっとこうコスプレっぽいのならまだわかるし!だから犯人は俺じゃない!俺ならもっと良いデザインで仕上げられるハズだ!!」


「マスターの無意識ではJK最強とでもなっているのではないですか?ここまでの学生推しを無自覚とはなかなかの変態ぶりです。恐れ入ります、マスター。」


「顔が見えないのに冷たい眼で見下されてるイメージしか持てない、だと?!」


表情も目線もないのにこの冷たく刺さる視線(のようなモノ)!カナデさんの視線?使いはついにその域にまで達したのだろうか?!刺さる視線?が何故だかゾクゾクするっ!


「あ、そういえばカナデさんってお触りおk?いまのその身体って触れるんだろうか?」


気になったことは試さずにはいられないお年頃の19歳としてはこれはもう試すことが必然だろう。やってみるのは確定だろう。ここで引くなんて選択肢なんか初めから有りはしないのだ!


「ちょ、マスター!?」


カナデに是非を問う前に即実行!思い立ったが吉日とはよく言うものだ!思いつく→やってみるこれ最強!全力で近付いて両手でカナデさんの肩を掴む!おぉ!触れた!!感動だ!まだ肌の質感とか服の構成とかがどうみてもCG系なのに触れるとは!この電脳世界(でんのうワールド)最高だなひゃっほい!!

いままで画面越しでしか見ることができなかったヴァーチャル歌姫たちに対していつも早く現実世界(こっち)に出てきてくれないかと思いを馳せていたけれど、そもそもそれが間違っていたのだ!出てこれないなら入ればいいじゃない?の精神が必要だったとはまずもって盲点だった!来て見て触れる触れ合える!こんなに嬉しいことはない!


「カナデさんって思ったより質感が柔らかいな!服の感触もリアルだし、おぉ!お腹ぺったんこだね!ちなみにブラジャーってしてるの?どうなの?触ってみたらわかるくわぉあ?!」


「いい加減にしてください!マスター!いくらなんでもセクハラが過ぎます!!」


「おぉぉぉぉぉ!!カナデさんが怒ってる!怒ってるよ!いやー感慨深いな!テンション上がっちゃうよ!!」


「頬を張り飛ばしたのにテンションを上げるとか・・・どこまで真性の変態なのですか、マスター?」


ジンジンするほっぺたをさすりながらも自身のテンションがアゲアゲなのをやめられない止まらない!俺はこの日この時この瞬間のタメに転生したのかもしれないってくらいに今日のこの善き日に感謝したいくらいだ!(じじー)(笑)に祈りは捧げないけどな!!

その後も果敢にカナデさんチャレンジをするものの、某怪盗三世VS某女怪盗?グラマラスダイナマイッ!のいつものやり取りの如く時にあしらわれ時に叩かれ無碍(むげ)にされるがこの感じも悪くないとさえ思える!


「だって!カナデさんと触れ合えるなんて思ってなかったから!」


「いい加減にしてください!マスター!これ以上のセクハラは看過できません!」


「この触れ合える喜びを何故理解してくれないのか?!カナデさんのイケズ!ケチ!カワイコチャン!!」


「最早何を言いたいのか何をしたいのかわかりません!何より何を言っているのかが不明すぎです!かくなる上は強制的に覚醒していただきましょう!」


「覚醒?覚醒ってなになにカナデさん?それより俺ともっとスキンシップしよーよ!いましかできないから!いまだけだから!」


「どうやらマスターはこの世界だと知能指数が著しく低下するようですね。言ってきかない子にはお仕置きが必要だとどこかの誰かが言っていたようですので。」


「難しいことはどうでもいいの!ほら!俺の右腕だって戻ってきてるし!あれ?俺の声も元に戻ってない?姿は・・・手が全然違うな。ミロワールドのまんまだ。顔もまんま?右目もちゃんと見えてるんだけど!鏡は?鏡はカナデさん!!」


「間違いなく思考力が低下していますね、マスター。それも時間を経るごとに進んでいるように見えますので、猶予はあまりないでしょう。」


「カナデさんがなんか難しいことを言ってる気もするけど全然さっぱ意味わかんない!そんなことよりこの喜びをもっと全身でわかちあいたいのになんでそんなにツレないの?カナデさんはクールだな!」


管理者(admini)権限(strator)にて 機能(system)制限解放(over・limit)を実行(run)。」


「英語?カナデさんのOSは英語制御なの?なんか英語って久しぶりに聞いた気がするなー。」


「そのように聞こえるのはマスターだけです。カナデは英語設計されていませんので。」


「んむ~。よくわからんが、不思議言語ってことか。そういうことならこの世界って電脳世界(でんのうワールド)じゃないっぽいな。カナデさんの精神世界なんじゃないのか?」


「~~~~~~~っっっっ!!!そういった点はプライバシーに関わってきますので秘匿とさせていただきます!

cd /local/programdata/mirouworld/magicaskill/nocollar/

sudo ./kanade_tgoz_open.sh

magiazliveun.goz

1

1

y


解凍進捗...60%...71%...88%...94%......99%...100%

kanade_tgoz_open.sh successfull

kanade_tgoz_open.shの正常終了を確認。

生活魔法(マギアズ・リベアン)設定ツール(installer)起動(starting) 完全(full・)解放(install) 開始(start)


「めっちゃ聞き覚えのあるフレーズが並んでるじゃん。やっぱカナデさんはPCかサーバー派なのかな?俺と同じタブレット式にした方がアプリ制御で気楽なのにいいいいいいいいいいいいいいいい"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"????!!!!」


あがががががががががががががががががあいあいあいあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!????!!!あべろむごげっちゅぽろぽろふんばーーーー???!ンぁsdbfあぃせbがsjdのいあbj場男sjb度がjs辺おj場小名祖上おf場男sb後lジャンrが


「ただいま『生活魔法(マギアズ・リベアン)』に関わる全ての情報を開示いたしました。これは限られた範囲、冒険級火属性(アーベント・フレイム)精霊(スピーリトゥス)交渉(コミュニケーション)を可能とする『冒険級火属性魔法マギアズ・アーベント・フレイム』とはまったく違う性質を持っています。

生活魔法(マギアズ・リベアン)』は初級魔法であると同時に全ての魔法に係る事象を自身の技量で制御することが可能となるといった特徴があります。何故なら精霊の助けを借りない魔法だからです。言ってしまえば冒険級魔法は交渉術(ネゴシエーション)。これをもって外部の業者などに発注をかけるイメージがそれに近いでしょうか。一方で『生活魔法(マギアズ・リベアン)』は自身による手作業といえるでしょう。ですので基本的に1人で行う作業になりますので実行可能なレベルとなると小さな規模にならざるを得ないというのが実情です。

その小さな規模からくるイメージを取ってこの魔法体系は『生活(リベアン)』魔法と呼ばれています。極端な例を出せば、冒険級魔法は建築業者に依頼をして家を建ててもらうこと。『生活魔法(マギアズ・リベアン)』はDIYのこと。認識としてはそのような感じですね。ですので、『生活魔法(マギアズ・リベアン)』は自分自身で諸々を自由に設計・構築できる反面その情報量は他の魔法体系に比するに値しない程に膨大です。ちゃんと聞いていますか、マスター?」


頭が!頭が弾ける!弾け飛ぶ!ミチミチメキメキいってる気がする!もうダメぽ!破裂る!散るる!壊れるるぅぅぅ!!


「聞いていないようですね。ですがまぁ、起きられたら追い追い思い出すこともあるでしょう。ちなみにですが、一般的な人々はスキルを取得してもこのような大量の情報が流れ込んできたりはいたしません。これはマスターの持つ知識を解放(インストール)しただけで、一般の方々はせいぜいスキルによる恩恵を受けてなんとなく使い方がわかる程度だとご認識ください。」


カナデさんが何か言っているような気がしないでもなかったが俺はまったくそれどころではなかった。痛みと苦しみと絶望に苛まれながら転げまわっている内に意識を失ったからだ。



―――――――――――――――――――――――



「・・・はっっっ!!」


眼が覚めたと自覚したいま、最初に見えたのは知らない天井だったが、いまはそれどころと違う。はぁはぁと呼吸は乱れ頭はガンガンするし寝汗もヤバいことになっている。おねしょしたんじゃないかってレベルの濡れ方だが全身濡れ濡れなのできっとこれは汗に違いない。おねしょしたあげく全身くまなく濡れる様にと動き回った結果では決してないハズだからだ。うん、違うよね?


「クンクン。くんくん。うん、大丈夫だ。変な匂いはしない。むしろいい匂いがするぞ?どことなく小さな女の娘の匂いのような、陽だまりをスケッチしている時のような・・・でもなんだろうか。両肩が重い?かも?」


汗だくになった身体が非常に重い。なんかわからないけどメチャクチャ疲れてるのかなーとか思いながら視線を下に移すと毛布がめっちゃこんもりしてた。なんでこんなにこんもりしてるんだ?まさかの俺巨乳疑惑???


「んなアホな。膨らみ具合からしてテトとニコか?なんで俺の布団の中に2人がいるんだ?」


全然状況がさっぱルンルンなんだが腕もがっちりきっちり押さえこまれてるから目の前の毛布をめくることもできやしない。うぐぅ。この状況どうすればいいの?咽喉(のど)めっちゃ乾いてるし張り裂けんばかりの膀胱の膨張を感じてるからトイレにも行きたいんだけどなぁ~どうしたらいいんだろうなぁ~。


(カナデさん、この状況どうなってるの?てか俺いつの間にここにきたの?)


《・・・。》


(あ、あれ?カナデさん?カナデさーん!どうしたのー?寝てるんですかー??)


《はぁ、相も変わらないご様子で何よりです、マスター。どうやら何も覚えていないようですね。》


(はぁ、面目(めんぼく)ないっす?何も覚えてないからなんのこと言われてるかすらわかってないんだよねー。もしかして俺、頭とか打った?)


《はい、マスター。そういえば森の中で枝へ向かってマ○オの如く飛び上がり強打してましたね。頭は大丈夫ですか?》


(その言い方ダメだって前にも言わなかったっけ?俺の頭がおかしくなってる前提で聞いてこないでよ!心配するのは怪我だよ怪我!しかも自分で頭触れないから確認もできやしない!何よりマリ○は飛び上がる時に腕上げてるからぶつかるのは腕だけでしょ??)


言われて段々思い出してきたが、そういえば森の中でガチバトルをアニメでいえば3週くらいに渡って放送されるスパンで繰り広げていたのを思い出した。いや、そんなになかったかも?せいぜい2週かな?なんか記憶がはっきりしないけどきっとそんなもんだ。うん。

そんでもってその道中に豚を避けて頭をぶつけるという珍事をやらかしていたような気がする。確かしてたよね?カナデさんも言ってるしきっとしてたに違いない。でもなんでしてたんだっけ?その辺りが非常に曖昧だな。あれ?そういえば俺ってば大量に怪我してなかったっけ?いまそんな感じはあんましないし頭痛も大分治まってきたな。天使の癒しエンジェル・ヒーリング効果か?

毛布の下に感じる我が愛妹たちの重みと体温が俺の疲れた色々な部分をしっとりと癒していってくれている感じがもの凄いするし、きっとそういうことなんだろう。異世界の癒し系美少女たちは物理的な癒し効果も持ち合わせているっていう証明になったな!


《いいえ、マスター。マスターの怪我を癒したのは彼女らが用意したポーションのお陰です。彼女らはマスターが惰眠を貪っている間にミリーと共に材料の採取に勤しんでいましたから。》


(マ、マジか!なんていい娘なんだ!眼から汁が噴き出そうだ!)


《汚いのでやめてください、マスター。》


(カナデさんがいつもの通り冷たい!なんでそんなに冷たいんだ?!さっきまでもっと可愛気(かわいげ)があったのに!・・・ん?あったのに?あったっけ?あれれれれ?)


《・・・それについてはいいでしょう。それよりもマスター、マスターは8日ほど眠っていたのですが身体の状態はいかがですか?問題ありませんか?》


(・・・はい?)


《呆けるのもいいですが、現状を正しく認識してください。森から脱出して(あれから)すでに8日が経っていると、そういったんです、マスター。》


(マジでかよ?!なんでなんで??俺そんな長いこと寝てたの?!自爆した時と同じだけ寝てんじゃん!!どーなってんの???)


《少々やかましいです、マスター。いくら慌てても失った時間はもう二度と帰ってきません。まずは落ち着いて深呼吸をするなどして落ち着いてみるといいのではないですか?》


言われてみると確かにそうだと思える的確な助言(アドバイス)だった。流石はカナデさん!できる女は違うぜスーハ―!スーハ―!Yes 陽だまり!ダメだこれ!!!


(単に美少女の匂い吸引器になってるだけでなんの解決にもならないどころか思考回路が暴走してアンビリカブルケーブルを引き抜いてしまいそうな可能性が微レ存だ?!)


《そうですか。非常に気持ちが悪いです、マスター。そもそも美少女の匂いとはなにを指して言っているのか小一時間くらい問い詰めたいくらいです。》


どうやらカナデさんにはこの芳醇な美少女スメルは理解していただけないらしい。現在解明されているのは甘味・酸味・苦味・塩味・旨味の五味に加えここからもう少し、もうホンのちょっとだけ科学が進めば俺が言っている第6の美味を解明できると言われている。これは全ての味覚の上位にくる美(少女)味であるが、そろそろこの美味が解明されて追加されるであろうことを知らないのだろうか?もはや業界では常識だろうに。

しかしながらこれだけわーきゃーやってるのに一向に起きる気配がしないのは一体全体どうしたことか?テトにゃんもニコもこんな状態で熟睡できているのだろうか?成長期に睡眠はとっても大切だから小さくない心配が頭をよぎる。


「お~いテトー?ニコ―?起きないのか―?」


声をかけつつ自分の身体を揺らしてみる。現状美少女サンドイッチになってるのでこうすれば2人同時に揺することができるという画期的なアイディアである。しばらくの間声掛けを続けていると、片方の山がもぞもぞと動き始めた。こっちの方が大きいからテトにゃんかな?これがもし不意打ちでマーグル婆さんだったら死ねる自信があるな。うん。


「うにー・・・ソ、ウ?・・・ソウ!!!」


ガバッという効果音が聞こえてきそうな勢いで飛び出してきたテトにゃんが俺の顔面を襲う!ガシッとマイヘッドを確保するテトにゃん!その行為自体は大変うれしい!とっても嬉しい!非常に嬉しい!うん、嬉しいんだけどゴリゴリする!ゴリゴリしてるよテトにゃん!君のそのうっすい胸板は凶器だよ!うすぺったんは正義だと思うけどいまは素直に喜べないよぅ!!

俺の肉体的ダメージとは裏腹にSAN値は急激な回復を見せているものの、このままではスッと通った可愛いらしい我が鼻筋が回りくねった蛇行道になってしまう!それは由々しき事態だ!でもこの状況に否が言えるだろうか?・・・いくら考えてみてもどう考えてみても断じて否!否である!言えるわけなどないのである!


「く、くっころー!俺は逃げも隠れもしないのだ!煮るなり焼くなりコ○助ナーリー!!」


俺は自身の顔面偏差値を代償にテトにゃんのうすぺったんな絶壁胸板を堪能することに決めた!俺は人間を、人間をやめるぞおおおぉぉぉぉくらいの心持ちだったのだが勢い余ったテトにゃんがそのまま上方へと移動することによって今度は美少女のお腹が眼前へとやってきた!テトにゃんは痩せているけどやっぱりお腹はぷーにぷに!あらやだ気持ちいいにゃん☆って息ができない、だと?!今度の要求(代償)はまさかの命!


「だ・・・だが、ここで引いたら(おとこ)(すた)る・・・うぐぅ。ひ、引かぬ、()びぬ、か、かかか、(かえり)みぬぅ・・・。」


爆アゲのテンションとは裏腹に一気に風前へと(さら)される我が命の灯火。なんだか苦しいのか嬉しいのか気持ちがいいのかよくわからなくなってきた頃、暖かくてイイ感じの風景が続くお花畑が見えてきた。あぁ、ここが夢の桃源郷?どこかから響く美少女たちの声音が響く・・・。どこ?どこにいるんだい?いまそっちへ行くよ・・・。


「・・・ぃかい?・・てる・・・?」


あれ?また違う誰かが呼んでる?なんだよーあと少しで美少女畑へと飛び込めるところだったのに邪魔しないでくれよー。マジでいまがいいとこだったのにさー。ぼんやりする意識の中、目の前の誰かの顔が見えてきた。んんー?誰かなー?テトにゃんかなー?ニコかなー?テティちゃんかもしれないなー?


「うへへへへへぇ~~~~待っへー。いみゃふぃふほーー?」


夢か(うつつ)か幻か。開けづらいおめめを必死になって開けると、そこには山姥(やまんば)がいた。はっ?!?!


「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!?!?!?!ぎゃーー!!ぎゃーー!!ぎゃーー!!!??」


「うるっさいたらないね!このアホ娘が!!」


「山姥が喋ったーー!なんでーーー?!なになにこれはナニ?!美少女は?!美少女畑はどこにいったの?!山姥に食べ尽くされちゃったの?!ひどい!外道!人でなし!この鬼ババアめ!美少女たちをどこへやった!!?」


バシンッバシンッバシンッバシンッバシンッバシンッバシンッ


「いて!いたい!いったい!いたたいた!なにすんだよ!なんなんだよ?!やめ・・・やめて・・・やめーい!コラー!!」


ボカスカ殴りつける暴力の手を必死になって振り払う!でもコレ手じゃなくて杖だ!振り払うとお手てが痛い!なんて罠だ!


「いー加減にやめろってばさ!なんなんだよ!暴力は何も生み出さないぞ!悲しい鬼の末裔め!」


(だぁれ)が鬼かい!いつまでも寝惚けてるんじゃないよこの寝坊助が!」


とどめとばかりに振るわれた杖を掴もうと手を出そうとしたらゴツンッと叩かれた!


「いたい!あ、あれ?なんで手が?って右手ないの忘れてた!んん?なんで忘れてたんだ?ホワイ?」


「寝惚けるのも大概にしなよ、まったく。それにね、起きてそうそう騒ぐもんじゃないよ。身体に障ったらどうするのさね?」


「えっ?マーグル婆さんに触るのは非常にイヤなんですけど?」


「そうじゃないよ!身体に悪いから大人しくしろって言ってるのさね!」


「身体に悪いって思うならバコバコ叩くなよ!いまのめっちゃ痛かったんだぞ?手はアザだらけだし頭だってタンコブができたに違いない痛さだ!」


それに悪いっていうならマーグル婆さんの顔だよ顔。急にどアップで見たのは心臓に悪いし、こうやって見続けてるのは眼に悪いっつーの。せめて新しい顔に取り換えるべきだよ。果物煮詰めた(ジャム)おじさんか乳酪(バター)お姉さん、もしくは絵に描いたように優秀な乾酪犬(チーズ)がいたら作ってくれそうなんだけれども・・・と、じーっと見たくもないマーグル婆さんの顔を見つめていたら臭い息を吐き付けられた。違った。なんか喋ってるな。


「まぁたロクでもないこと考えてそうな顔だね?懲りないならまだまだ叩き直してやるよ!」


「変な言いがかりはやめてくれないかな?俺が変なこと考えるわけないだろう?ただな、いまの状況に困惑してるだけだっての。」


「・・・そんな顔には見えやしなかったけど、まぁいいさ。それより身体の調子はどうなんだい?」


「身体?あぁ、いまのとこ特に支障はないかな。しいて言えば咽喉(のど)が乾いて仕方ないのと、腹が減って仕方ないことくらいかな?あ、あとトイレもすぐに行きたい。」


「・・・何日も寝てたかと思えばすぐにそれかい。まったく、呆れるくらいにタフな子だねぇ。」


「いや、それよりも俺の天使たち(マイエンジェル)は?さっきまで一緒に寝てたハズなんだが?どこ行ったんだ?」


「あぁ、あの子達ならいまお茶の用意をしてくれてるよ。アンタが1度起きたのにまた寝ちまうから大きい方が無駄に心配しちまってねぇ。まったく、なんで起きてすぐにまた寝るのかねぇ。」


それはテトにゃんのぷにぷにお腹で窒息してたからですとは流石に言えず、適当にはぐらかしておいた。そうか、ならその時間を使ってトイレにでも行っておくかな。流石にもう限界突破して超ヤバい状態だし。気を抜いたら俺のダムは決壊しちゃいそうだよ。

マーグル婆さんに一言告げ、俺はトイレへと移動する。なんかずっと寝てたせいか足元はフラフラするし身体の間隔が全然追いついていない。心なしかトイレまでの距離も遠くなったような気がするが、昔風邪で熱出した時にも似たような感覚に襲われたことを思い出した。


「あの時は周囲がぐわんぐわんってしてどんどん距離感が狂っていくのが楽しかったもんだが、こうも歩きにくいと思い出に浸ってる暇もありゃしないな。」


独り呟きながらトイレへイン。カナデさんたら相槌(あいづち)も打ってくれないとはなんか冷たいなー。さっきもなんとなく素っ気なかったし、また大きな怪我したから怒ってるのかな?前に自爆した時もなんか怒られたし、カナデさんてば心配すると怒るタイプなのかもしれない。そのまま考えながらズボンを降ろして腰を落ち着ける。いままで黙ってたけど、俺はどんな時でも座って用を足す派だからである。だから和式とかマジムリなんよ。いやーメタリカさん家のオマルはキツかったー。

そんなどうでもいいけどちょっと懐かしい思い出に浸りながら頑張り続けた膀胱に許しを出す。が、一向に訪れることのない爽快感。なんだ?すっごくトイレしたいのに出ないぞ?んっ!ほっ!はっ!


「ダメだ。全然出る気配がない。このままでは俺の膀胱が破裂してしまう気がするんだが・・・。」


《失礼いたしました、マスター。そういえばマスターの内蔵機能の一部を変更していたことを思い出しました。》


「はい?な、内蔵機能?」


《はい、マスター。大したことではないのですが、マスターが長期の睡眠モードに入ってしまいましたので、その間に得られる栄養・水分共に足りなくなることが明白でした。そこで『吸収強化』のスキルに干渉し、消化器官内にある物質を強制的に吸収しました。また、普段なら体外に排泄されてしまう栄養や水分(大切なもの)が勿体無かったので極限までマスターの生命維持に回しました。ですのでその結果、マスターの膀胱には高濃度の要らないもの(毒素)が溜まっており、膀胱が膨張している感覚はその影響ということです。》


「カ、カナデさん?言ってる意味がいまいちよくわからないんだけど、簡単に言うとどういうこと?」


《つまりは、膀胱が炎症を起こしているので覚悟をしてください。そう言っています、マスター。》


どうやら俺は膀胱炎になってしまっているらしいことが判明した瞬間だった。

お読みいただきありがとうございます。

カナデちゃんの深層世界はなんだか味気ないですね。作画は物凄く楽そうですが、遠近感は逆に難しいかも?

ちなみに私のカナデちゃんイメージはある程度あったりしますが、まだ不安定な容姿のようなのでここでは触れない方向でいこうと思っています。

みなさまはどんなイメージ像をお持ちですか?

寝起きのマーグルさんは心臓に悪いのでやめてほしいです・・・。


次回予告

感じる違和感

ロケットランチャー部隊登場

その後とこれから

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