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暗闇のその先へ 一部不適切なシーンがあるかもしれません

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

雪がヤバいです!我が家のベビーサンローズちゃんが雪に塗れてしまったので急遽リビングへ移動させましたが、寒害ですでに手遅れだったらどうしよう・・・と思いながらみてたらなんか元気そうだったのできっと平気!多分大丈夫!

みなさまは雪の影響大丈夫でしょうか?遅延スリップ寒いし濡れるし色々あるかと思いますが、お身体にお気を付けくださいませ!

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第53話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ。

「暗いよ狭いよコワイよー!って言うセリフをいつかどこかで聞いた気がする。どこか遠い昔のような気がするけどなんだったっけ?」


周囲を完全なる闇に囲まれた俺が最初に発した言葉はコレだった。特に意味はないんだっちゃ☆(テヘペロッ)

『視覚強化』を発動したままにしても何も見えない暗闇の中だが、(魔力感知が統合された)『魔力操作』と『気配知覚』の感知系スキルによって周囲の状況がある程度わかっている。きっとそれが落ち着いていられる理由だと思う。外敵もいなさそうだし。


「いいい”い”い”!!いい”やああぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!なななんで?!なんでなんでなんでなんで?!何も見えない!何も見えないじゃない!いや!いやよ!いや!いや!いやー!!!」


ミリーのヤツうっさいな。どんだけ叫ぶんだよコイツは。暗い所が苦手なのか?それにしたってこんなに泣き叫ぶのは勘弁願いたいんだが・・・。


「ニコー?だいじょうぶかー?」


「ん。へーき。」


どうやらニコは平気なようだ。テトにゃんは寝てるからいいとして・・・


「ってミリーのヤツ暴れ始めてないか?!それはマズい!テトにゃんのこと殴ったら許さんぞ!灯りを再度つけないと!って松明どこだ松明!!」


《マスター!魔法陣に魔力を!》


「おぉっ!その手があったか!・・・ふんぬっ!!」


足元の魔法陣へと魔力を注ぐとすぐに白い光を放ち始めた。思った以上に明るいな。こうしてみると非常灯レベルの明るさは確保できそうだ。


「ミリー!これでなんとかなるか?完全な暗闇じゃなくなっただろ!」


声をかけるとミリーは1度ビクッと身体を震わせてから、頭を抱えていた両手を降ろし何度かその両手を見つめ直していた。ん~ここからだとちょっと良く見えないけど大丈夫かアイツ?どっか放心してるように見えるぞ。


「ニコ―。さっきの火打石まだ持ってるかー?」


「ん。ある。」


「それならすぐに火をつけられそうだな。ミニ樽はさっき降ろしたままだから・・・あ~あったあった。中身を松明のジョッキ部分に継ぎ足してーっと。布は・・・うん、このままでも平気そうだな。よしっニコ、さっきみたいに火花頼めるか?」


「ん。んぅ~んっ!」


ギュギュッと擦り合わせた火打石から火花が飛ぶ。それを松明で受け止めると再び火が付き周囲を明るく照らし出してくれた。やっぱりこのなんちゃって松明は効率が悪いな。もしこの状況が続くのならランプ的なものとか召喚した方がよさそうだなー。


「これでいったん平気かな?ふぅー・・・また魔力使っちゃったなー。これMPの自然回復待ってる意味なさそうだなって、んんっ?!」


急に服を引っ張られて驚いて振り向くと、なんとミリーがすぐ後ろへと移動してきていた。意識が他へいってて感知が疎かになってたかな?そんなつもりなかったんだけど?いつもならこんな接近のされ方をしたらすぐに気付いていたハズなのにって疑問が湧き出るが、えっぐえっぐと涙するミリーを見たらなんかどうでもよくなってきた。


「おい、いくらなんでも泣くなよ。ちょっと暗かっただけで他になんにもなかっただろ?」


「ら”、ら”っでぇぇぇ・・・んくっ、ひっく。ら”っれぇぇぇ~~・・・。」


・・・ウザめんどくさい。俺の記憶が確かならこの娘は15歳って設定だったんじゃなかったんだろうか?暗闇が怖かったにしてもいくらなんでもこれはちょっと泣きすぎではなかろうか。うちのニコなんて全く動じてないんだぞ?表情も態度も心拍数も正常値に違いないとニコの方を見てみると、いつの間にやらニコも俺のすぐ隣へと移動してきていた。なんぞこれ?

カナデさんに聞いてみるとどうやらこの世界では完全なる暗闇というのは珍しいらしく、それをこわがる人は多いのだという。また、その恐怖の根源は闇に潜むモンスターやらなんやらがベースなので日本のホラーに対するそれとはちょっと違うらしい。いや、アンデット系はむしろそれドンピシャじゃね?とも思ったが声には出さず我慢した。

泣きじゃくるミリーの背中をさすってやりつつニコをお膝に乗せてスキンシップをはかる。考えてみたら幼女と少女に囲まれてるハーレム状態と言っても過言ではない状況下にいるのに、まったくもってツヤっぽい雰囲気とかないな。ミリーなんか俺の服で鼻拭いてるし。ばっちぃからやめれやマジで。

ニコはなんかいつもより大人しくなっちゃってるし、さっきまでのモンスターと戦闘してた空気感とか緊迫した雰囲気とか全部台無しだよ。別にいいんだけどさぁ。


「そういえばメニューウィンドウってあれ人には見えてないけど明り取りに使えたりしないのかな?ぼんやり発光したら使い勝手がいいんだけど。メニューオープン。」


暇なので物は試しとメニューを開いてからニコに聞いてみた。やっぱりニコはメニューが見えないみたいだし明るさも感じることができないらしい。もしかしてコレって俺の脳内か網膜にしか映ってないの?怖いんだけど。

改造人間になってしまったかもしれないという恐怖に襲われたものの、そういえば俺人間じゃないやってことを思い出したので勝手に解決した。バッタ人間もこうやって諦めれば少しは楽だったと思う。

未だ泣き止まないミリーが邪魔でまともに動けないのでこのまま取得スキルを悩むことにした。現在所持しているスキルは完全後衛職向けのスキル構成になっていると言っていいだろう。だが、まっとうに戦えるのはMPがある間だけという制約が厳しい上に思った以上にポーションのクーリングタイムがシビアすぎるということが今回のことでよぉ~~~~くわかった。わかりたくなかったけどこれは死活問題だ。

なので、今回はMPを使わないで戦闘力を向上させることができる身体強化系のスキルか、それを補助する補助系スキルにするかで悩むとしよう。剣術系のスキルは自身で使いこなせないと意味がないので努力で補うと決めた。

逆に、カナデさん曰く身体強化系のスキルはほとんどが生まれながらに持っているケースか長く険しい修行の末に取得することが多いとのことだったので自力取得は諦めることにしたのだ。別に修行パートに入ってもいいけど俺の場合は血反吐ぶちまけるレベルで頑張っても『HP回復強化(小)』の効果でもしかしたら取得できない可能性があるって言われちゃったからちょっと、ね。

ちなみに、身体強化系ですぐに使い物になるのは下級かららしく、俺が持ってる『視覚強化』もその1つだったりする。身体のどこか1ヶ所の動作をアシストしたりハッスルさせたりするくらいの感覚なので超人的なモノではないというのはカナデさんの言。いや、十分超人染みてると思うのは俺だけでしょうか?


「でも下級スキルってなると俺の現在の能力値以上のパフォーマンスが実現するって訳でもないから微妙っちゃ微妙なんだよなー。」


《それでも全力状態を通常よりも長く継続できることと、スキルによる動作サポートが入ることは有意義だと思われます。例えば、『疾駆』を取得すればトップスピードを維持しやすくなりますし、走り方のサポートも受けられますのでいまより早く走ることができるようになります。》


『疾駆』とは以前遭遇した<マーダージャック・ウルフ>が持っていたスキルだ。あいつらは他に『姿勢制御』や『剛毛』なんてスキルを所持していたっぽい。いちおう奮発すれば中級スキルの『身体能力強化』も取れはするが、取ったら自壊するかもしれないので今回はスルーで。


「あ、もしかしたら『姿勢制御』は使えるかもしれないな?これと『MP回復強化(小)』取ればかなり継戦能力上がるかも?いや、それよりエナジードレイン的なのないかな?こっちの方が色々と使い勝手がいいかもしんないし。」


そう思い探してみるがエナジードレイン系は中級スキルだということがわかった。中級は今回見送ることが決定しているので泣く泣く諦め再検索。下級スキルで該当しそうなのは3つだけあったが、考え悩んだ末に『吸収強化』に決めた。

だって、他の2つはモンスター系のスキルだったしなんかいややってん。ちなみにそれは『接触吸収』と『口入同食』。前者は軟体動物とか植物なんかの特性で、触れたものを消化吸収するみたいな感じだ。人間やめてる感半端ない。後者はゴブリンの食性をスキル化したみたいなもんで、口に入ればなんでも食べ物とみなすみたいなもんだ。多分ゴミとか土とか喰えるようになるんだろうけど、喰えるのと耐えられるのとは違うからきっと病気になるじゃないかと思う。飢え死にしそうな時は重宝するかもしれないが、現状そんな予定はないのでやめておいた。

そして取ってから気付いたけど、この2つのスキル自体はそんなに戦力強化出来てないんじゃないかな?果たして俺は強くなれたんだろうか?一抹の不安が押し寄せてくる。


「ま、その辺はどうでもいいか。死なないように生きられれば十分だし。うん。」


《選択として悪くないと思いますが、インパクトに欠けますね。チート街道を歩み始めたとは思えないくらいに地味で地道です、マスター。ぷーくすくす(棒読み)》


「ちょっとカナデさん!ぷーくすはもっと相手を嘲笑(あざわら)い且つ見下しながらも自身は楽しいって感情をありありと見せ付けないといけないんだよ!?何その棒読み!有り得ないんですけど?!」


大切なことなのでしっかりとツッコミを入れたのに、ツッコむ所が違うと逆にお叱りを受けた。解せぬ。少しばかりカナデさんと夫婦漫才を楽しんでいたらいつの間にやらミリーは泣き止んでいたのでそろそろ再出発をしようと準備を始める。

気のせいかもしれないが、またもやミリーがもじもじし始めたが今日何度目のモヨオシだ?と思ったがよくよく考えてみたらコイツもじもじするだけでお花を摘みに行っていないことを思い出す。どんだけ膀胱に苦行を課すのだろうか?あまり苛めすぎると病気になるぞと言ってやりたいが、こちとら恋愛経験もないただの19歳男子なので歳近い異性に気軽な感じでトイレトークを切り出せないのはわかっていただけるかと思う。俺が気にしすぎなのかな?いやいや、こういうのは結構デリケートな話題だしやっぱりそっとしておこうと思い壁へと向き直す。

ここの通路はさっきモンスターと対峙していた所よりも横幅が狭くなっており、大体2mくらい《正確にはマスターの立っている場所の道幅は2m20cmです。》・・・らしいですはい。最近(ことごと)く俺の思考が読まれている気がするのはもうスルーするとして、ここから先は更に道幅が狭くなっていく形になっているみたいで数m先は半分ほどになっている。ついでに天井もぐぐっと下がり、手を伸ばせば届きそうな感じだ。通路の終着付近は土砂が盛られた形になっているので普通に行っても進めないが、崩しながらばきゅればイケそうな気がするからきっと「ね、ねぇ!ちょっとおしっ○に行きたいんだけど!」大丈夫じゃないかもしれない。


「恥らいの「は」の字もないヤツだな・・・普通同年代の異性に対してそんな開けっ広げに言うもんか?」


「はぁ?!異性なんて誰もいないじゃない!それにホントに限界なのよ!だからこっちに来てくれない?」


「なんでだよ!!異性云々抜きにしてもそれはおかしいだろ!なんでお前の放○シーンに付き合わないといけないんだっつーの!」


「だ、だって怖いんだもん!明かりがないと見えないし怖いしどうしようもないじゃない!」


あまりのアホっぷりに開いた口が塞がらない。もしかしてこれが異世界の連れション事情なのかとも思いかけたがそんなことはないハズだ。いや、冒険者は常に危険と隣り合わせだからそれも有り得るのか?考えれば考えるほど訳がわからなくなってくる。困ったな?

俺が悩みに悩んでいるとミリーがニコを連れていこうとしはじめたので仕方なしに着いていき事を済ませた。勿論見てないし聞き耳も立てていない。俺はノーマルだからそっちの趣味はないことをここで主張しておこう。いや、これに関しては黙して語らないのが1番だな。あまり多くを語ると疑われ易くなる気もするし。

気を取り直して行き止まり地点を掃除機、もとい自前のダンジョンでバキュームしてみる。思った以上に瓦礫や土くれを吸い込んでいくが、大きな岩は難しいらしいのでそれを避けてバキュームバキューム。いくらかばきゅってみたら壁までの道がなんとか開けたので壁とその向こうを探ってみる。


「どうやら向こう側は川っぽいな。てことはここは川縁(かわべり)かな?」


《どうやらそのようですね、マスター。壁も厚さがあまりないようですので、切り崩してばきゅればどうにかできそうです。》


「それなら一気に土木工事といきますか。術式(コード) 魔力自動吸引マギア・オート・バキューム 実行(ラン)! 長両刃短剣(タウィール・ダグエス) (フォア) 性質付与レクシアン・エンクルムント 切断(アンピュイション) 強化(クラトス)


魔力で固められていない土壁なら魔法なしでも切り崩せるかもしれないが、100%刃こぼれするだろうことが容易に想像できるのでそれはマズいとロングダガーを強化する。ぶっちゃけDPに多少の余裕があるからスコップやシャベルにツルハシなんかを召喚してもいいんだが、どうせ片手じゃ使いヅライしこのままでいいやとばかりに土木作業を開始する。


最小(ミニムム) 武器強化開始(アルム・クラトス・ディスケード)


魔法を実行すると同時にブイイィィィィンというなんとも言えない音が鳴りロングダガーが強化されていく。少しばかり光を発しているのでなんとなくジェダ○の騎士になったような気持ちになってくるから不思議だ。理力じゃなくて魔力を使ってるからイメージ的にはダークサイドな気もしないではない。いや、魔の文字だけでそんなイメージがついてきてるだけなんだけれども。

そんなどうでもいいことを考えながらも土木作業(仮)は順調で、サクッと入れた刃を動かして少しずつ土壁を切り崩していくだけの簡単なお仕事ですモードだ。アメリカンな映画でよく出てくる特殊部隊のように、鉄の壁を大きく焼き切ってバーンと倒すやつをしたかったのだが生憎とここは土の壁。つまりは大きく切っちゃうと壁が崩れて大変なことになる可能性があるのでちょっとずつやるしかないのである。ちょっと残念。

ある程度切り崩したらマイダンジョンでばきゅる工程を繰り返していくと、なんとか荷車が通れそうな出口が完成した。まずは外に出て安全の確認をしよう。


「うっわまっぶし!目がぁー!目がぁぁぁぁ!!」


《大佐の真似事をする程でもないです、マスター。既に陽も傾き始めています。》


「情緒がないよカナデさん?こういうのは様式美としてやっておかねば男が(すた)る!なのですよ!」


《そういった遊び心もわからなくはないですが、足元の悪さを考えると体力はできるだけ温存しておいた方が賢明でしょう。》


言われて足元を見てみると、砂利とか小石とかでいっぱいだった。これくらいなら別に歩くのに支障はないけどなぁと思ったのも束の間、ココを荷車牽いてくの?絶望しかないんですけど・・・orz。


「いや、ミリーに牽かせればいいか!俺より馬力ありそうだし、怪我もほとんど治ったんだから案外いけるだろ!」


イイことを思いついたのでそれを実行に移そうと地下道へと引き返してミリーを探す。すぐに見つけたのはいいが何故か寝てやがるぞコイツ?どういう神経してんだマジで。


《どうやらミニ樽の中身にあてられたみたいですね。先ほど多少様子がおかしかったのはどうやら酒精にやられたからのようです。》


いつミリーの様子がおかしかったか全然わからないがどうやらそういうことらしい。連れションの件か?くっついてきてた件か?普段からおかしなところばかりなので何を言っているのかちょっとよくわかんないや。

しかもテトにゃんに抱きついてるあたりがあざとい。てかコイツそもそもそれ目的でここで横になったんじゃないの?ロリユリ属性持ちを野放しにするべきではなかったと深く反省しつつとりまゲンコツを5発落としてみたがアホ面のまま目覚めなかったので強引に引っぺがして外套(マント)の端を結んでミノムシにしておいたのは言うまでもなかろうて。


「仕方ない。ミリーが乗ってるせいで更に3倍くらいは重くなってそうだがこの際頑張る他ないだろう。さっきスキル取得の時に筋力向上系を取得しなかったのが早速悔やまれるが言っても仕方ないしなぁ。」


グチグチ言ってもどうにもならないし、このまま時間が過ぎると夜になってしまうのでどうにかこうにか出発する。地下道を出ると思った以上に無理難題だということが判明したが、気合いとど根性でどうにかしようと悪戦苦闘を繰り広げること約1時間。やっとの思いで小石たちから解放され、ただの森道へと至ることができた。でもそんなの関係ねぇってくらいにこっちも歩きづらいし牽きづらい。救いがないからミリーを捨てたくなってきた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・。あーーーーきっつい!なんだこの苦行は!!まったく!アホみたいなバカ面さらしながら幸せそうに根腐りやがって・・・。もしここにサインペンの1つでもあれば鼻の穴を3倍に広げる化粧を施してやるものを・・・。」


なんだかミリーの寝顔を見ているとイライラが湯水の如く湧き出てくるのを感じる。なんでかは知らないがきっとコイツが悪いに決まっているので深く考える必要もないか。休憩がてらニコの頭を撫でて癒されよう。


「ちょっと小休止、ね。ニコ、ちゃんと水分採ってる?しっかり水分採らないと急にバテちゃうから気をつけようね。あ、あと、お腹空いたらすぐ言うんだよ?飴とか買ってくればよかったなー。」


「ん。ニコ、へーき。ソウ、だいじょーぶ?」


「ありがと。俺もへーきだよ。なんだかんだで肉体労働しかしてないから魔力も多少は回復してきたし。このまま素敵筋肉だって手に入れられるかもしれない!」


まだ冒険級火属性魔法マギアズ・アーベント・フレイムを発動できる程の魔力は回復していないが、それもあと少ししたらどうにかできそうなくらいには回復してきているのを感じる。どうやら『吸収強化』のスキルはそれなりに優秀なようだ。

飲食物などから得られる栄養や魔力、それに大気中の酸素などの必要物質やこれまた魔力・・・は吸収してるかはしらんが、こういったモノを以前よりも格段に効率よく吸収しているらしく色々な面で底上げされているような感覚になってくる。選択肢としてはかなり良かったんじゃなかろうか?

これでもう少し余裕があればもっとイイ感じのスキルも取れたかなぁとも思うが、いま取れたスキルの質と数を考えるとちょっとそれは高望みしすぎというか贅沢言い過ぎかなと自身にツッコミを入れざるを得ない。普通の人間種(ヒューマン)の2倍以上のSP取得量(BPちょいちょい貰ってるし)に自分で取得スキルを決められるだなんてチート(ズル)を使っておいて不満とかはよくないと思う。うん。

ちょっと思考がそれたり没頭したりしてしまったが小休止を終え再び出発。カナデさんによるとあと40分程度で森を抜けられるとのことなので最後まで気を抜くことなく森の中をウロチョロしていく。途中何度か感知スキルにモンスターの反応があったものの、距離があったせいか襲ってくることはなかった。感覚的には<ピクシー・ゴブリン>かな?まだアイツらいるのかよ。全滅させたとばかり思ってたわ。

現在の俺の感知系スキルだと、以前までより更に範囲が広がって大体60mくらいまで感覚が広がっている。ただし、魔力感知が主軸になっているため気配をより明確に探るのにはもう少し距離を詰める必要があることもわかった。やはし『気配知覚』ではランクが低いのか。余裕ができたら『気配感知』も取得したい所だな。

考察と荷車牽き、それと時折ニコと話したり荷車の上の寝顔をチラチラ観察していたらあっという間と言いたいがそうは言えない程にツラかった時間が過ぎ去りようやく森の執着点が見えてきた。これで薄暗くてボコボコした歩きにくい森の中ともオサラバだと思うと気分が高まってくる。いまならミリーの寝顔を見てもイライラしないことだろうと思い振り向いてみたらやっぱりイライラした。ダメだ殴りたい。


「最後にまたモンスターに襲われるかと思ったけどなんか順調にここまで来れたな。どこかでフラグ折ることに成功してたのかな?」


《今日は十分にフラグを回収しまくっていたので尽きたのでしょう。といいますか、ここに来て更なるフラグを立てないでください、マスター。もうこれで安心だと思っていたけれど実は・・・のパターンのヤツです。》


おっとそういえばまだそんなパターンのフラグが残ってたか。危ない危ない。でもこれだけ警戒してれば大丈夫だろ?フラグ職人さん的にもきっと今日は大満足な1日だったハズだもの。これ以上は働かないで定時上がりをしていただきたいものだ。


「やはしフラグトークをしたのがいけなかったのかな?この感じは<ピアド・ボア>が2匹かな?」


《どうやらそのようです、マスター。まだこちらに気付いていないようですが、匂いを辿ってきているようですのですぐに駆けてくるものと思われます。》


「まぁ、これくらいなら楽勝かな!なんせ俺にかかればこんなヤツらはただのザコだからな!ヒャッハー!オレサマオマエナブリゴロシ!!」


《いくら疲れているとはいえ変なテンションで訳の分からないセリフを述べないでください、マスター。それに、マスターはいま『炎弾』を使えるほどの魔力が残っていませんが、よろしいので?》


胸が驚きにギュッとしてハッとした!そうだった!いまの俺は最大火力の冒険級魔法が使えないただのザコだったんだ!完全に失念していた!いや、さっきトークでそんなこと言ってたじゃん!普通にボケてただけだ!呆けすぎだろ!!

慌ててロングダガーを「最小(ミニムム) 武器強化開始(アルム・クラトス・ディスケード)」で強化する。何故いまになっても最小で実行するかと疑問を思う人もいるかもしれないので、今週のびっくりどっきりメカ並のノリで簡単ではあるがお伝えしてみよう。


「説明しよう!なぜにいまだに最小(ミニムム)で発動するかというと、それは周囲の魔力濃度と武器そのものにこそ理由があるのだ!なんかちょっと前に言っていた気もするけど、周辺の魔力が薄くなってしまうと魔力自動吸引マギア・オート・バキュームが維持できなくなって消失してしまう。そうなると武器強化(アルム・クラトス)を維持するための魔力を自己供給しなくちゃいけなくなってそう時間も経たずにこちらもまた枯渇してしまうのだ!

しかも出力を上げれば上げるほど当然ながら消費魔力が増え、周囲の魔力がなくなるのが早くなる。また俺自身の魔力も大して残ってないのでこちらも同様である。しかもしかも!これはまだ予想にすぎないが武器強化(アルム・クラトス)の出力を上げ過ぎると武器自体が自壊しかねないという懸念もあったりするので注意が必要だったりするのだ!」


《マスター、説明口調で(無駄口を)話しをして(叩いて)いる暇はもうありません!来ます!》


勢いよく接近してくる2匹のケダモノ。口元から泡を撒き散らしながら狂ったようにダッシュ&ダッシュしてる!だが、コイツらが襲撃してくるまで俺だって説明口調で遊んでいたわけじゃない!大きな声を出すことによってヤツらの注意を引き、また接近するまでの時間を使って荷車とニコを太めの木の陰へと隠していたのだ!よってコイツらの突進なんていくらでも捌きようがあるのである!

迫りくるケダモノの先頭をA、後続をBと認定!Aとの接触直前で右後方へ軽くステップを踏みつつ左脚を下げることで半身になりながらAを躱せる立ち位置に!ちょうどいいからと手にしたロングダガーをAの脇腹へと叩き付ける!って感じでやり過ごす!かなりギリギリで心臓バックンバックンだがなんとか成功!

続いて突っ込んでくるB!すぐに対処はムリ!と後方に跳んで無難にやり過ごす!・・・と思ったら急ブレーキ&急発進して直角走行を披露しながらこっちへ迫るB!お前はどこの空手バイク乗りか?!伸びた角が超怖い!けどだからこそ突っ込め!とばかりにBへ向かって地面をキックしながらの(&)ダーッシュ!

勢いがつく直前のBの懐へと潜り込んでロングダガーを腰溜めに構えて突撃(チャージ)!!屈んだ体制からの飛び上がるかのような突撃によってロングダガーが深々とBの脇の下へと沈んでいく。そのまま両刃の特性を生かして背中側から切り抜き飛び退く!Bは血しぶきを上げながらも2,3歩ヨロヨロと歩いたがすぐに倒れ込みビクついている。どうやら無事に倒せたようだ。

続いてAの様子を見に行くと、左の後ろ足を引き()っている様子からさっきの切り付けで付近の筋肉を断つことに成功していたようだ。ブモー!ブモー!と息を荒げながらなんとか立ち上がろうとしているがそれはちょっと見逃せない・・・が、あんまりにも元気すぎて近寄り難いな。後ろに回り込めば平気かな?


《っ!マスター!ふせ》 ゴッ!!! 「ごへぁっ??!」


なんだなんだなんだなんだなんだ???!痛い(いったい)!!痛いんだ!なんかよくわからんけど背中が痛い!!なんだこれ?!


「くひっ!・・・ご・・・ひぎゅっ!!??」


い、息ができない?!痛い苦しい熱い痛い!!!な、なんで息ができないんだ?!どうなってんだコレ?!


《マスター!どうやら<オーク>による投石が背中に当たったようです!強い衝撃により横隔膜の挙動が麻痺してしまっていますが一時的なものです。まずは木の陰に入りましょう。》


カナデさんが無体なことを言ってくれる!こちとら息ができなくて苦しいってのにそんな冷静になって対処できるかよ?!でもしないとダメ?しないとダメなの???

苦しさと同時に感じる憤りをなんとか抑え込みながら手近な木の陰へと移動する。すると、風を切り裂きながら高速で飛来した石がAの顔面に直撃した。特に爆散するような威力ではないが、Aの意識を奪うのに十分な威力だったらしく、Aは暴れるのをやめて倒れ伏したけどそれそんな威力だったの?よく俺の背中貫通しなかったな?!

痛さの1番激しいところはむしろ首なのだがこっちは衝撃によって首がグラングランなったからだろう。一方背中の感覚を探ってみるとどうやら当たったのは唯一装備していた防具である胸当て部分だったらしい。背中側にも厚みがあってマジ助かった。マジでよかった。これが後頭部だったら俺の冒険はここで終わっていたであろう。次回作に乞うご期待!とかいいたいところだが残念ながら俺には跡を継ぐ者がいないためここで打ち切り終了のお知らせとなっていたに違いない。


「げ、げほっ!ごほっ!うほっ!うほっ!」


《バナナを所望するのはやめてください。有事ですよ、マスター。》


「ちょ、ちょっとカナデさん!別にゴリラの真似事してる訳じゃないんだからそのツッコミ(ボケ)やめてくんない?」


どうにか呼吸を再開できた俺に対するこのブッコミ。ここまで悪ふざけが過ぎるとなるとそろそろカナデさんは邪神ロキのような悪戯の神を目指し始めたのかもしれない。その根底にあるのが俺の人格がもたらす悪影響なのだとしたら俺も一緒に神になるのか?だとすればロキはそもそも炎の化身とも言われているし炎系の魔法の威力がもっと上がるかもしれないからそれはそれでアリか?いや何を言ってるんだ俺は?

ちょっと酸欠になったせいで思考がとんでも方向へとブレてしまったがもう少し頑張らねば!ネバーギブアップの精神で豚野郎を殺そうそうしよう!なんせ俺の感知範囲ギリギリから投石をかましてくる太い(ふてぇ)野郎だからな!落とし前はきっちりつけさせてもらうぜ!!ってさっきの酸欠のせいで武器強化(アルム・クラトス)が解除されてるザマス!こらアカン!再度術式(コード)を構築せねば!


「モ"ヲ"ヲ"ヲ"ヲ"ヲヲヲヲヲ!!!!!」


「なんで豚なのにモーとか鳴くんだよ?!ってツッコミ入れてたせいで詠唱が間に合わない!!?」


叫びながら駆けてくる豚野郎に気を取られてしまい詠唱することをすっかり忘れていた!んなアホな?!俺の脳細胞はさっきの酸欠で死滅したのか?!既に豚野郎との距離は10mほど!完全に出遅れた!間に合わない!どうする?アイフ○?!チワワのように震えているわけにもいかないので仕方なしに俺も駆け出す!魔法の補助なしに<オーク>の体皮を斬れるかわからんが、やるっきゃない!と覚悟を決める!

見ると豚は無手だ!だからその辺の石を適当に投げてきたのか!さっきのはめちゃくちゃ痛かったがそれはそれで好都合!直ぐに息の根止めてくれるわ!って改めて見るとデカいな!怖いな!威圧感がパない!!メタボ腹の癖してそこそこのダッシュ力があるところも嫌いです!こんな重量兵器みたいなものとまともにガップリ四つ組み合えないのでまずは回避だ!パンチやキックが来たらすぐさま逆手に跳ぼうと決めたがなんと初手は肩当(ショルダー)タックル!

予想外デス!体制を低くしてからの見事なタックルを踏み台にすることで華麗に回避!飛び上がった俺の頭を木の枝が強襲!ゴヅン!!!首がもげるかと思うほどの衝撃が走り一瞬何がなんだかわからなかったが初撃を(かわ)すことに見事成功!ダメージを負ったのはこの際気にしたら負けだ!

半ば意識が飛びかけながらも綺麗に着地できたのは『姿勢制御』のお陰かもしれない。そのまま頭を押さえて(うずくま)りたい気持ちを必死に抑えて振り向いて<オーク>へと接敵する!

<オーク>はタックルに全力をかけていたようだ!スカッたせいで前のめりに倒れ込んでいたので手堅く足の(けん)を狙ってロングダガーを切り付ける!ガッ!と強い抵抗を感じるがなんとか軽く刃先が入った!筋肉も脂肪もない箇所でコレかよ?!腱を切り裂くほどには刃が入らんぞ?!これはマズいとすぐ離脱!

焦りながら冷や汗だらだら状態で飛び退いたのに、<オーク>さんたらゆっくり起き上がりつつこちらへと振り向いてきた。その顔はわかりやすく笑みに歪んでいた。

お読みいただきありがとうございます。

個人的には真っ暗闇って好きなんですけど、苦手な方にはかなりダメらしいですね。暗いと心休まるのに?

ちなみに途中でちょいちょい挟まってくる小ネタは色々なジャンルなのですべてを網羅するのは難しいかと思いますが、「訳がわからない」というのも楽しんでいただけたらいいなぁって最近は思っていたりします。

ちなみにこのお話しは、オマージュ含めて小ネタが30g、悪ふざけが8g、夢と希望が11g、その場のノリが62kgで錬成されていますので、用法容量は特に決まっておりません!


次回予告

豚と人間?ガチバトル!

わさわさ

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