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スキルの考察 治療会再び

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

今日は寒いと聞いたので今更ながらマフラーを購入いたしましたー。すでに売り場は春物に押されていてマフラーの種類が少ない上に値引きしてましたが、いまからが1番寒くなるハズなのに?という思いでいっぱいのままに会計を済ませました。むかし葛飾区の派出所勤務の某マユゲ繋がってるおじさんが言っていましたが、その内冬に夏物売るくらいに先取りし始めちゃうんじゃないですかねぇ?って思うほどに季節感さんが仕事してないですね。

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第52話を投稿させていただきますー!

これからも皆様に楽しんでいただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

荷車が危ない

触診タイム

アルコールの取り扱いは十分ご注意ください

何時の間にやらP(ポイント)ウハウハ

SP(スキルポイント)で取得可能なスキルはこんな感じだ。

最下級  3

下級   10

中級   25


ちなみに魔法系スキルはちょっと変わってこんな感じ。

生活魔法 10

冒険級  20


DP(ダンジョンポイント)で取ろうとするとスキルが最下級で1000必要で、生活魔法は3000必要だったりする。つまり、現状俺が保有するP(ポイント)をうまく使えばそれなりに自分を強化できるってことだ。ただし、スキルは多岐に渡る上に階級によってその効果がかなり違う。

最下級  日常生活や、通常の戦闘時に良く使われる動作のアシストレベル。なんか器用とかそんな感じ。

下級   自身の全力程度の動作を無理なく実現させることが可能なレベル。

中級   自身の全力を超える動作を実現させることが可能なレベル。

簡単にまとめるとこんな感じだ。俺が保有しているスキルは現状8つ。『精密作業』、『並列作業』、『魔力感知』、『気配知覚』、『魔力把握』、『視覚強化』、『HP回復強化(小)』、『システム読解・構築』だが、この内『システム読解・構築』は俺の転生時の固有スキルらしいのでカテゴライズ(分類)が難しい。そして、『HP回復強化(小)』にいたっては本来人間種(ヒューマン)ではほとんど取得することがないスキルらしいのでこれもいまは別に考えておいた方がいいだろう。

この2つ以外で言うと、『気配知覚』は最下級スキル。『魔力感知』、『魔力把握』、『視覚強化』が下級スキル。『精密作業』、『並列作業』は中級スキルにカテゴライズされている。『視覚強化』が下級スキルとは思えないがどうにもそうなっているらしい。普通人間は全力出してもズーム機能はないハズなんだが、もしかしたら俺の種族が関係している可能性もあるのでなんとも言えない。

なんでこんな話しをするかと言えば、現在絶賛荷車牽きの苦行を行っている一方、頭脳側は他にすることもなく暇だと訴えているからに他ならない。いや、普通に自分を強くしていまの窮地を打破したいって考えもあるんだけどね。いちおういまはモンスターもいないし、チャンスかなぁって思ったり?


「ぶっちゃけ、中級スキルって俺が取得してすぐに使いこなせる類のモノなの?普通に人間種(ヒューマン)だったら取得SPの関係上結構なレベルになってから覚えるもんでしょ?」


《モノによるとは思いますが、正直戦闘系のスキルなどでしたらマスターの身体が耐えられないと思われます。取得に能力値制限はありませんが、使用には制限はありますので。》


聞いててよかったカナデ式。いや、カナデさんアドバイスね。カナデさんのこの意味ありげな言い方はきっと、「中級スキル?取ってもいいけど使うと死ぬよ?」みたいな意味合いなんだろう。うん。

だが、考えてみればそれも当たり前か。マンガやアニメにあるような斬撃を飛ばすとか、音速で攻撃するとかってスキルが仮にあったとしてそんなもの使ったら腕がもげるとかそんな未来が訪れることが容易に想像できる。なんせ全力を超えて実現しちゃうんだから少なくともそれに対する耐久値が必須であろう。

そう考えると戦闘中に保有SP量に気付かなくてホントによかった。もし知ってたら深く考えないで取得して使っちゃってたかもしれないし。って言ってもまだまだ取得が先だろうからって中級スキルの項目ほとんどみてないから全然知らないんだけどね。

できれば現状ほしいのはMP増やしたりとか、回復を早めたりするスキルとかかなぁ?もしくは剣術系のスキルとか生産系でもいいな。さっきの植物系のモンスターと戦ったみたいに、道具を駆使して闘うとかっていうのもなんか知的で格好良いし。帰ったら錬金術系のスキル見てみようかな?


「そういえば、SP使わなくてもスキルって取れるんだっけ?そう考えると剣術とかをSPで取るのは勿体無いかなぁ?」


《そう考えること自体異常なことですので外ではなるべく控えるようにしてください、マスター。》


「えっ?そうなの?」


《はい、マスター。マスターはダンジョンマスターの特典として、自身のP(ポイント)管理が好きにできる仕様ですが他の人たちはそうはいきません。取得したSPは本人の表層意識に関係なく消費されてしまいます。無意識に影響されたり生来の才能に引っ張られたりと様々ですが、自身で選択できる状況にないことがほとんどです。》


「なにそれめっちゃ不便じゃん?てことは、戦士なのに戦士系統のスキルが生えないで盗賊とかのスキルが生えちゃうことがあるってことでしょ?」


《はい、マスター。その認識で間違いありません。ただ、個人の努力で取得するスキルに関してはSPを消費しませんのでこの限りではありません。修行などでスキルを身に着けるのは簡単なことではありませんのでそれなりの時間と努力を必要としますが。》


「それに努力しても才能と適正もあって好きにスキルは取得できない・・・てことか。そう考えると結構シビアだな?俺は種族上不得手がないから努力がムダにはならないからいいけど、逆に得手もないから難しいところではあるって考えもあるけども。」


更にとカナデさんが説明してくれたことによれば、スキル取得の方向性をある程度絞る技術もあるにはあるらしい。具体的には祈りを捧げたり、儀式をするなどで無意識自体に方向性を持たせようとしてみたり、繰り返し同じモンスターを同じ倒し方で屠ってみたりと様々らしいがその成功確率は決して高いものではないらしい。


「まぁ、生前の世界でも努力と才能の組み合わせは残酷でシビアだったけど、こっちの世界でもそうってだけか。こっちは目に見える形になって現れるからまだマシっちゃマシなのかもしれないな。」


そう考えるとバルムさんのチームは結構異常だな。同じスキルを持つメンバーで構成されるとかってかなり無理があるんじゃないのか?特に3姉妹にいたっては全員『魔硬』持ち。生まれや育ち、もしくは特定の条件下で発生しやすいスキルなのか?

スキルに関して色々と考えている内に、なんとなくだが上り坂っぽくなってきたのを感じる。もしかしてこれ出口に近づいてる系か?アレ以来特にモンスターに襲われてないし、これは当たりを引いたかもしれないな!マジで嬉しい!

ルンルン気分のルンタッターで荷車を牽き続けると、行き止まりに到達した。あれ?俺のこの上がっちゃったテンションどうしてくれんの?こっちが出口じゃないのかよ!!(オコ)


「なんでここに来て行き止まりなんだよ!普通この流れならやったー!出口だー!の流れじゃないのかよ!もう疲れたんですけど!いい加減限界なんですけどー!!」


未だかつてここまで壁に向かって怒ったことがないってくらいにイライラが爆発した!


「こんなに怒ったのはいつ以来か!俺をここまで怒らせるとは大したもんだぞコラー!!」


《先日盗賊紛いと対峙した時にも、ミリーに殴られた時も憤っていた気がするのは気のせいでしょうか?》


はっ!言われて気付くとはまさにこのこと!最近の俺は案外怒っていたことに気付き恥ずかしくなってしまった。どうやらいつも見守ってくれているカナデさんには敵わないようだ。


「冗談はさておき、マジでこれって行き止まりかな?なんか微妙にそんな感じがしないんだが・・・ここの壁って薄かったりするんじゃないの?」


《どうやらそのようですね。微かに外の情報が流れてきています。》


「んむ~。そうなると一旦ここで休憩にするべきかな?そろそろ俺もポーション使ってもいい頃だったりする?」


《残り10分程で再使用可能だと思われます。ですが、どちらを使用するのですか?腹部の傷も無視できない状態になってしまっていますが・・・。》


「そっちはまぁ、どうにかなるっしょ。MP回復ポーション使うよ。」


《・・・あまりご無理はなさらないように。》


とりま少しだけ空き時間ができたみたいなのでニコと共にお水休憩に入る。あ、果実水買ったの忘れてた!ニコにはお水と共にこっちも飲ませよう!ついでにニコには軽食も取ってもらおうと布袋をあさってご飯タイムだ。


「いっててててて・・・なんかさっきより傷口が広がってる気もしないでもないけど、なんかこの塗り薬スゴいな?穴開いてるのに血が止まるってどうなってんの?」


《サクリ草をベースにした軟膏です。ポーションと違い魔力による回復ではなく純粋な薬効成分による血止めとマスターのスキルである『HP回復強化(小)』が相互作用を及ぼし効果を高めているようです。》


「こんな時にも『HP回復強化(小)』か。なんかお世話になりっぱなしな気がしてならないな。はぁ、それだけ怪我しまくってる俺もどうかと思うけど・・・。」


雑談しつつ怪我の手当を済ませると、今度は地面にモンスターの灰を使って魔法陣を(えが)いていく。あんまり複雑なモノは利き手じゃないこの左手では難しいので、今回は簡単で単純な形でお茶を濁そうそうしよう。

サラサラと灰を落とし、マンホールくらいの大きさの魔法陣を作り上げる。今回用意する魔法陣は先日カナデさんに開放してもらった『結界術師』の知識にある自然治癒力に働きかける補助魔法陣の初歩的なヤツだ。俺の左手の治療に使ったヤツより更に簡易な魔法陣だからホントに気休め程度だが、ないよりはマシだろう。

ついでにいってスキルもなしに魔法陣を展開するのはかなり負担になるのでこうして事前準備をしているっていう事実もあったりする。イメージを固め続けるのってしんどいねん。


「ついでに魔法陣の燃料は猪の魔石でいいかな?ゴブのだと臭いし汚いしでなんかイヤだもん。<ピアド・ボア>は食用になるらしいし、今回はコレを使おうっと。よしっ。こんなもんかな?カナデさん、時間は?」


《既に経過しています、マスター。いつでも始められます。》


「それならまずは・・・メニューオープン。MP回復ポーションとHP回復ポーションをどちらも下級で召喚っと。HP用は2本で足りるかな?」


合計200DPを消費して回復ポーションを召喚し、さっそく青い方のMP回復ポーションを飲み干す。相も変わらずゲロマズいが、ここは表情に出すことなくポーカーフェイスでやり過ごす俺カッケ―。


《マスター、表情が隠せていません。眉間に深いシワが寄っています。》


どうやら隠し通せていなかったらしい。でもできれば報告しないで欲しかったぷー。気分を削がれながらも自身の魔力が急速に回復していくのを感じる。大体冒険級火魔法マギアズ・アーベント・フレイム1発分ちょっとは回復したのでさっきと大体一緒だろう。

続いてテトにゃんを魔法陣の脇に移動させるが、当たり前ながら地面に大きめの布を敷いておくのも忘れやしない。不衛生だし汚れちゃうしね。魔法陣を挟んで反対側にはニコに座ってもらい、これで準備はおkだ。


「じゃあ、まずはテトにゃんの治療に取り掛かろう。今回は炎症の治療と失くした血液を取り戻すことが目的だな。ついでに首のひっかき傷か。んで、そのままニコの脚も治療しちゃうからニコ、靴を脱いで脚を出しておいて。」


「ん。ぬぐ。」


素直なニコはすぐに靴を脱いでシミ1つないキレイなあんよを露わにした。地面に刺した松明の光に照らされて。どことなく神秘的な雰囲気もあるかもしれない。流石は我が天使!でもね、スカートなんだから靴を脱ぐときは気をつけないとだよ!今度しっかりと教えてあげなくちゃ!

2人の準備ができたので早速テトにゃんにポーションを垂らす。緑色の淡い光がテトにゃんのお腹へと降り注いでいくのに合わせ、俺のスキルを重ねていく。それと同時進行で地面に描いた魔法陣へと俺の魔力を注ぎ込んでいくと、淡く白い光を放ち始めたのでその光もしっかりと『魔力把握』でコントロールしてテトにゃんの治療に組み込んでいく。

回復用の魔力と、自然治癒力補助の魔力をしっかりとまとめて患部へと集中させていくのと同時に血液増幅のイメージを骨髄ら辺に向けて飛ばしていく。同時進行はマジ大変!こんがらがりそうな所をカナデさんにめっさフォローしてもらうのも忘れない。

回復ポーションの半分程を使ったところでテトにゃんの顔色も落ち着き、呼吸もしっかりとしつつもゆっくりなモノへと変化していく。どうやらいつものテトにゃんの寝顔に戻ったようだ。半分くらいで足りたってことはもうそんなでもなかったのかな?おでこを触って確かめてみるが、子供特有の体温の高さなのか炎症などの反応のせいなのか全然わかんなかった。ただ、汗をかいていたので布でしっかりと拭いてあげよう。

続けてニコのあんよに回復ポーションを垂らすとすぐにアザが消えてしまった。んん?なんか下級のポーションのくせして効き目が良すぎないか?それともアザってそんなに簡単に治るもんだったっけ?よくわからないがいちおう疲れとかも取る効果があるみたいだし、テトにゃんとニコの全身に残りのポーションの魔力を振りかけてみる。元気になぁれ~って感じだ!


「コレでポーション1本目は終わりだな。ニコ、調子はどんな感じ?」


「んー、ん!なおった!ニコげんき!」


二パッと笑うニコの笑顔が眩しい!!普段の無表情はどこへやら!メチャクチャ可愛い天使の笑顔(エンジェルスマイル)がご光臨された瞬間だ!!うれしはずかし大好きな気持ちになってしまったのでとりま頭をわしわしと撫でまわし、ほっぺたをふにふにしてからアゴの下をウリウリしてみる。なんとなく気持ちよさそうにしてるけど、ニコって獣人じゃないよね?なんか猫や犬っぽくない?可愛すぎるんですけど??

一方テトにゃんはというと、胸がゆっくりと上下しているところを見つめるとって違うよ。見ると、どうやら安定している様子だ。これならまぁきっと大丈夫なハズだろうと思うことにする。ぶっちゃけ医者でもなんでもないからこれ以上はわかんねっす。

続いてミリーの治療をどうするか悩む。このまま治療してもいいんだけど、いまの感じだと俺の魔力消費っぷりが微妙だった。具体的にはMP回復ポーションで回復した冒険級火魔法マギアズ・アーベント・フレイム1回分+αのこのα部分は全部使ってしまった感覚だ。もしかしたら俺の自然回復分も含めるともう少し使ってしまっているかもしれない。

つまり、ここでミリーを治療するとすぐさま冒険級火魔法マギアズ・アーベント・フレイムを使えない状況に再び陥るという残念なお知らせが鳴り響くことになるのだ。ぶっちゃけいまのまま放置してても死にはしないだろうし保険のタメに魔法は残しておきたい。だってここから出たら外がどうなってるのかわかんないし、もしかしたらすぐに戦闘って可能性もある。んむむむむ~。


「考えても仕方ないか。ニコ、悪いけどテトを荷車に戻すの手伝ってもらっていい?そのあとミリーの治療もしちゃおう。」


《よろしいのですか、マスター?》


「あんまりよくないんだけどねー。このまま放置するのはちょっと違うかなって?お仕置きのタメに怪我を残そうかとも思ったけど、いまは緊急事態だから別にいいかなって。」


すぐにテトにゃんを荷車へと載せ、ミリーを魔法陣の横へと引きずりおろす。字面だけみるとなんかよくないことをしているみたいに感じるから不思議だな?なんせ目の前の相手は半裸に近い格好してる10代中頃の少女だしな。気を失ってるって言ったら更にヤバい雰囲気がむんむんだもの。

そんな余計な考えはすぐさまバイバイして颯爽と治療を開始する。慣れ親しんだ手順でポーションを使い、あまり慣れないけど魔法陣の力も併用する。完全に折れてる左腕の治療にはちょっと足りないかな?治しきれずに繋げるまでが限界ぽい。けどそれ以外の治療はこれでなんとかなりそうだなーなんて思いながら治療を終えるが、やはり相当な量の魔力を使ってしまっていた。


「むむむ。思ったよりMP使っちゃったな。冒険級火魔法マギアズ・アーベント・フレイム発動に必要な量の半分しか残んなかった。若干マズいくさい。」


《それもマスターが決めたことですので仕方ないと割り切りましょう。それに、治療に際して肌の傷跡を入念に治すから消費が激しくなるのではないでしょうか?前回の治療時同様撫で回すような治療が必要とは思えません。とにかく少しの間ここで休憩してから壁を壊すことをおススメします。》


「なんてヒドい言われようか!!預かってる娘の肌に傷が残るとかそれこそダメでしょうに!俺は決して個人的な趣味趣向で治療方針を決めていないことをここに宣言する!てかこれくらいはきっと許されるハズだし!うん!てことでとりま治療が済んだし敵もいないんだから少し休憩するかー。」


そうと決まればミリーを荷車へと戻してまったり休憩タイムへと移る。理想を言えば俺の腹の怪我を治してから外に出たいんだけどって考えていたら、なんか一連の流れに違和感があった。


「・・・カナデさん、タヌキ娘がタヌキ寝入りしてたのっていつからさ?」


《マスターが治療を開始する前からのようですね。テトの治療中に既にいまの状態になっていたようです。》


「じゃあいちおうセーフ、かな?DPのことは見られてないし。」


《いいえ、アウトでしょう。マスターがミリーの全身をまさぐるように触っていたことは既にバレています。自首してください。》


「そ、そっちは別にいいんじゃないかな?アレは治療行為だし?色々と不可抗力なわけですし?なんなら全年齢対象の行為しかしてないんだから全然セーフなハズだろう!故に俺に罪はない!!」


《痴漢行為は犯罪です。モザイクは入りませんが手錠(ワッパ)は免れません。諦めて下さい。》


なんてこった!社会的にとてもマズい罪状が読み上げられてしまった!これは疑われるだけで相当ダメなヤツなのに言い逃れが全然できる気がしない!やったやらないではない!疑われること自体が既に危険域に達しているのだ!


「だ、だがしかし!1点だけ俺にも活路がある!そう!これは治療行為なんだから訴えられなければ俺の勝ちだ!周り(外野)がなんと言おうが、このレベルなら同意さえ得られれば問題はないハ・ズ・だ!ミリー!起きてるんだろ!直ちに起床し俺の身の潔白を証明してくれ!」


タヌキ寝入りを続けるタヌキ娘ことミリーへと最後の希望を託しながら呼びかける。すると、数秒はこのままやり過ごそうとしていたもののやがてゆっくりと身を起こしながらこちらを見つめてきた。んん?なんで若干頬が赤いんだ?


「治療はしっかりしたハズなのにまだ炎症残ってたか?腕が痛むか?大丈夫か?おい。」


「・・・い・・ぶよ。」


「はぁ?」


「だ、だいじょーぶ・・・よ。」


「なんでそんな声が小さいんだよ?調子悪いならすぐに言えよ?ここは街中じゃないんだから黙ってたってイイことなんて何もないんだからな?集団で行動する以上、情報の共有は常識だからな?」


「わ、わかってるわよ!それくらい言われなくても知ってりゅし!それに、あたしはだいじょーぶよ!もう全然元気に決まってるじゃない!!」


(なんかメチャクチャ噛んでるけどそのままスルーしたな。ある意味では大したヤツだ。)


《そうですね。これだけ盛大に噛んでおきながらそれを表に出さない胆力には目を見張るものがあるかもしれません。》


「なんで怒ってんだ?相変わらずよくわからんヤツだな。でもまぁ元気ならそれでいいんだ。ただ、左腕は骨がまだ治りきってないから注意しろよ?ムリしたらまた折れるかもしれないしな。」


言いながらミリーの頭をポンポン叩く。なんだかんだでコイツの頭の悪さにも慣れてきたな。なんとなく生意気盛りの小学生を相手にしてる感覚になってくる。そういえば従姉妹(いとこ)の6歳下の子が昔はこんな感じだったのを思い出して懐かしくなってきた。元気にしてるといいんだが、ちょっとこっちからじゃわかんないしなぁ。


「い、いつまで頭触ってるのよ!あたしは子供じゃないんだからやめなさいよー!」


おおっと。ちょっと思案に(ふけ)っていたらミリーのこと完全に忘れてた。目の前のコイツを見て思い出したのにその存在を忘れるってすげーな俺。流石俺!


「悪い悪い、ちょっと忘れてたわ。それにしてもそれだけ元気があればもう大丈夫そうだな。なんか飲むか?それとも食べるか?いま丁度休憩中なんだ。お前も休める内に休んでおくといい。」


「休むも何も、あたしはずっと寝てたじゃない・・・。」


さっきまで怒って騒いでいたのに今度は一転急に落ち込み始める。感情の起伏が激しいヤツだな。マジ子供なんじゃなかろうか?でもコイツの感情に構ってても仕方ないのでさっさと飲み物と食べ物を渡して軽く食事を採らせる。

ブツブツ言いながらもしっかりと飲み食いする当たり、食い意地の張りっぷりがわかるというもんだ。そういえばさっきご飯だと告げたら飛び起きたし、わんぱく食いしん坊キャラなのかもしれない。小動物みたいで見てて飽きない。昔飼っていたスノーホワイト種のジャンガリアンハムスターを思い出してしまったが、あの子の毛並は白とグレーだからミリーとは全然違うな。

一通り飲み食いをして満足したのか、大人しくなって小さい声で何かを呟いていた。しかし、その声はカナデさんでも拾えない程に小さい声だったらしく何を言っていたのかは不明である。チート級のカナデさんの情報収集能力を掻い潜るレベルの呟きってなんだ?逆に気になる。顔も真っ赤だし渾身のギャグか何かか?

しかしいくら聞いても答えてくれないのでもういいかと諦め、俺は自身のお腹の穴を塞ぐことに決めた。ミリーも起きたし、コレでテトにゃんも起きれば帰還できる可能性もグンと高くなるしと希望に胸が高鳴る。俺が怪我で動けなくなったりした方が問題だろうという考えだ。我ながら冴えてるな!

魔法陣の上に再度魔石を追加する。なんかさっきまでので1つ目の魔石がくすんじゃったし、きっともうバッテリー切れなんだろう。回復系統は燃費が悪いのかな?それともこの魔石が程度低いから?よくわからんが使えればいいかと治療を開始する。

俺自身にはポーションを使うことができないので、今回もスキル頼みで治療を進める。『HP回復強化(小)』のスキルを意識して患部への働きを強化し、周囲の魔力や自身の魔力を掻き集めてそれを後押しする。前回スクーターを使って走る人を押しまくるイメージでいったが、今回は自転車で走ってる人をスクーターで押していくイメージへと切り替える。

こっちの方がより軽やかに加速でき、ブイブイ言わせることができるだろうという目論見だ。更に、足元の魔法陣がさっきまでより色濃く輝き俺を応援してくれている。コレは良い感じだ。とてもスムーズにイケそうな気がするので青い魔法陣も追加で展開する。回復系スキルの補助・強化の魔法陣だ。

手持ちの回復術を並行使用しまくった結果、みるみる傷口が塞がっていき最後にはキメ細やかな俺の肌が復活した!どこぞの元吸血鬼の少年と変わらない回復力に我ながらびっくりである。種族が人間じゃないのは知ってたけど、人外街道を爆進するスピードが加速度的に跳ね上がるのを感じざるを得ない。


《解放条件を満たしました。『魔力変質』及び『魔力集中』に関する情報が、該当の階位までに限り解放されます。》


「おっ?久々第二のカナデさんボイス!これはマジで嬉しい!」


《・・・ですから、それはカナデではありません。無関係です。》


カナデさんが第二のカナデさんを否定しにかかる。しかしそれはそれ、コレはコレ。今回はなんと2つも一辺にスキルを取得できた!ついに俺にもチート街道が見えてきたのかもしれない!いやでも下級と最下級のスキルとなると別にチートではないのかもしれない。そこんとこどうなんだろう?


《また、既定の条件を満たしましたのでスキルの統合を行います。『魔力感知』、『魔力把握』、『魔力変質』、『魔力集中』を統合し、『魔力操作』を解放。『魔力操作』に関する情報が、該当の階位までに限り解放されます。》


「はいっ?」


《おめでとうございます、マスター。派生スキルを取得できたようですね。》


「派生スキル?急にそんなことを言われても理解が全然追いついていないんですけど?どゆこと?」


《派生スキルとは、特定の条件を満たした場合にのみ取得可能なスキルのことを指します。ランクとしては中級に位置するスキルですので扱いは難しいですが、慣れればこれまで以上に魔力の扱いがしやすくなることでしょう。》


よくわからないがそういうことらしい?でも中級ってことは取得SPは25じゃん?一方統合された俺のスキルは4つ合わせて33。これはもしかすると損しているのかもしれないと『魔力操作』を意識するとこれまで以上に魔力というものに対する感覚が広がっていることに驚いた。

いままではフォークやスプーンで扱っていた物を、素手で直接触るようになった感覚とでもいえばいいのだろうか?いや、例えとしてあまり適切でないのもわかっているがなんかそんな感じなんだ。いままでの俺はどれだけ苦労してカトラリーを扱っていたんだろうか?ムダに器用だったんだなと逆に関心する。

多分その辺は『精密作業』がイイ感じのフォローをしていたんだろう。でもそれにだって限界があるから俺の感知範囲が狭かったりしたんだろうと思われる。これからはフォークもナイフもスプーンも要らない!鷲掴み生活の始まりだ!!文明は死んだ!野生こそが力なり!!


「てかこれだけの制御力があれば『生活魔法(マギアズ・リベアン)』使えるんじゃない?アレって意思を持たないレベルの小さな精霊に働きかける魔法でしょ?」


《その認識で間違いありません。通常はスキルを通して自身のイメージを精霊へ送り現象を顕現させていますが、いまのマスターなら直接イメージを送り込んだり魔力にて誘導したりといったことが可能だと思われます。》


ビンゴだ!それならすぐにでも魔法知識を解放してもらって『生活魔法(マギアズ・リベアン)』を取得するのがいいかもしれない!あ、でももう残り魔力がほとんどないからやめておいた方がいいかも?いま取ってもどうせまともに使えないし、知識の解放でうぎゅんうぎゅんしちゃうし・・・。


「冷静に考えたらいまは必要ないからやめておくか。どうせMPないし。帰ってからゆっくりやるのが良い気がしてきた。」


《そうですね、マスター。すぐに『生活魔法(マギアズ・リベアン)』を取得しても仕方ないでしょう。宿に帰還してから存分に苦しめばいいと思います。》


「悪魔のようなセリフ?!そんなに第二のカナデさん発言が気に障ったの?だって声似てるじゃん??」


《声が似ているからと言ってカナデではありません。訂正を要求します。》


「んむ~?それを言われてしまえば確かに違う、かも?ごめんねカナデさん?」


「・・・さっきから何してるのよ?独り言もそこまで続くと怖いわよ!」


何故か急に入ってきたミリーさん。なんとなぁく焦ってる感じ?みたいな感じがするけどどうしたんだ?またトイレか?


「何って、カナデさんと話してるんだよ。」


「カナデさん?って誰のことよ?どこにいるのよ!そんな人こここここにはいないじゃない!嘘吐き!!」


「いや、見えないくて当然だって。だってここにいないもん。俺の固有能力みたいなもんなんだけど、離れた場所にいるカナデさんと話しができるんだよ。カナデさんは博識で頭の回転が早くてめっさ優秀なんだ。何より頼りになる俺の相棒みたいな存在だよ。」


「遠く離れた人と?そんなことできるなんて聞いたことないわ!うう、嘘じゃないわよね?嘘じゃ!!」


「こんなことで嘘ついてどうなるんだよ。カナデさんはお前の治療の手伝いもしてくれたんだから滅多なこと言うなよ?お前が知らないだけで恩人なんだからな。」


「何よもう!治療のこと言い出すなんて卑怯よ卑怯!この卑怯者!もー・・・なんでよりにもよってこんなヤツにぃ・・・。」


騒ぐだけ騒いでブツブツ呟く自分の世界へと旅立ってしまったようだ。もしかしたら今朝方マーグル婆さんに会ったからその時に何かしらのウイルスが感染したのかもしれない。濃厚接触者?保菌者?バイオなハザードな予感が薄ぼんやりとしてきたが俺達はもっと会ってて平気なんだから抗体があるのかもしれない。ギリギリセーフか?


「だができる限り接触は控えた方がよさそうだな。何が原因で感染するかわかったもんじゃない。」


《その理論だとマスターは既に手遅れですね。先ほどから治療と称して全身をまさぐり倒している上に体液や分泌液にも触れています。これ以上の濃厚接触は通常起こりえないでしょう。》


「・・・返す言葉も見当たらない。いま、自らの行いを悔いる気持ちで胸が張り裂けそうな気持ちでいっぱいだ。つまり反省している。もうしないからそのことは伏せておいてくださいお願いしますごめんなさい。」


もしも周りに誰もいなければすぐにでも見事な土下座を披露していただろうというくらいに純粋に反省しまくっている俺をカナデさんは決して許してくれることはなかった。そもそもミリーが変にテンパったりしないでさっさとさっきの行為は治療行為で間違いありませんでしたって証言してくれれば全ては丸く収まり俺天下の始まりだったのにどうしてこうなってしまったんだろう?

もしかしてどこかで発言選択肢間違えたのかな?ギャルゲーと違ってセリフの選択肢もないし好感度メーターやフラグの表記もないから分かりづらくて仕方ない。どうしてこの世界はこんなにも不合理で不条理なんだろう?もっと住みよくなるようにこの世界の浄化というか作り変えが必要になってくる可能性も視野にいれて、今後の立ち居振る舞いも考えていかないとダメかもしれないな。うん。


「そうと決まればもう少し休むとするか。なんか騒いで疲れちゃったし。」


その言葉を最後に、俺の視界は真っ暗に染まった。

お読みいただきありがとうございます。

ようやくクーリングタイムが過ぎて真っ当な治療ができました。それにしても想君一行が怪我しすぎてて治療の手際がどんどん良くなっちゃってますね。そっちで食べていけるんじゃないでしょうか?

でも、想君は治療にかこつけてセクハラが酷いからきっとすぐに訴えられるでしょうね!即刻お縄ですよ!マジで!


次会予告。

暗闇の真実

有り得ない招待

這い出る混乱

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