モンスターとの戦闘は、格闘・魔法・危険物?秘密のフレーズCHO
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第51話を投稿させていただきますー!
これからも皆様が楽しんでいっていただけると幸いです(*´∨`*)
前回のあらすじ
テトにゃん野生化「がおーん」
お腹に穴が開きました
VSデクッポイド~攻撃するとボコられる~
現在自由落下中 with 荷車
「お、おおぉぉ?おおわああああぁぁぁぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"・・・・!!!」
「んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー~~~~~~~~~~っっっっっ???!!!!」
俺とニコの悲鳴だけが響く中、荷車に搭載されたテトにゃんとミリーもまとめて穴の中へと落ちていく・・・。
「いぃってぇぇ!!?」
「んくぅ?!」
が、さして落下時間は長くなかった。ちんさむを感じてから数瞬で地面へ叩き付けられて、とても痛い思いをしただけで済んだのだから数m程度の落下だったのだろう。
「あいててててててぇ~。あー、びっくらこいた。ニコー!大丈夫かー?!」
「んぅ・・・んっ!へーき!」
どうやらニコも無事なようだ。荷車組は呻き声1つあげてないけど大丈夫かな?この状態でも寝たまんまなの?寝起き悪くない?
《マスター、2人は睡眠ではなく気絶です。そうそう簡単には起きないでしょう。》
どうもそういうものらしい。いや、気絶とかしたことないからよくわかんないんですけどね。とりま現況を確認だけでもしておくかと起き上がり、荷車の状態を確認すべく振り返る。
「に、に、荷車が・・・荷車が・・・?ひっくり返ってんじゃんコレ大丈夫??!?!」
なんということでしょう!落下の際に器用に半回転でもかましたのか定かではないが、なんと荷車が180度回転しちゃって上が下になっちゃってるよ!これテトにゃんとミリー大丈夫なの?荷車に挟まれて潰されたりしてないよね?ねぇ??!
「ややややばいってばよ!すぐにひっくり返そう!もうひっくり返ってるけどそうじゃなくてとにもかくにもひっくり返そうそうしよう!!」
慌てて駆け寄り頑張って踏ん張って荷車をどうにかこうにかしてひっくり返す!ニコも手伝ってくれたがコレって結構重いんだもん!危ないやつなんだもん!
「テテテテテテテテテテト?!テトぉぉぉ!!大丈夫か?!大丈夫なのか??!」
焦り逸る気持ちが波のように押し寄せてくる!パッと見外傷はないように見えるけど潰されてたら中身がやられてる可能性もあるしでどどどどどうしたらいいんだ?!とりあえず触ろう!そうだ触るんだ!!
横向きに倒れてしまっているテトを懸命に上から下までまさぐりまくる!お耳よーし!ほっぺたよーし!首も肩もよーし!ちっぱいもお腹もよーし!腕も背中もよーし!小さなお尻も健康的な太もももいいものだ!いや違う!大丈夫だ!膝から下もすべすべのツヤツヤで産毛もない!大丈夫だ!!
「なんとかテトにゃんは大丈夫だったにゃん・・・ふぅ。はっ!!ミリーのこと忘れてた!大丈夫か?!いま助けるぞ!!」
同じようにミリーのことも頭の上から順番に丁寧に調べていく!頭は悪そうだ!諦めよう!顔は大人しくしてればそれなりに可愛いかもしれんな!身体は・・・俺の外套を羽織ってるせいで肌が診れないので軽くめくって様子を確かめる!うむ!服が破けてて小ぶりな丘が見え隠れしてるな!ダメだコレ!しかもズボン脱げてるのをすっかり忘れてた!薄いピンクの生地をしっかり見ちゃったじゃん!生地とふともものコントラストがががががが??!
「はっ!!?いま何か混乱というか錯乱をしていたような気がする?!俺の正気は大丈夫か?!」
《いいえ、マスター。かなりダメでした。完全に有罪判決が下されることでしょう。》
「異議あり!裁判長!私は無実です!何故ならば私にはここ数分間の記憶がないことを法定証拠として提出します!」
《却下です。そう言うのでしたらせめてミリーのパ○ツをじっくりと凝視するのをやめてください。少なくとも彼女は怪我人ですよ?》
「いや、いちおう俺の名誉のために言っておくが、これは決してやましい気持ちではないのだ!脚を怪我していないか確認しているだけなのだ!」
《どこぞのバカボ○のパパさんみたいな口調で抗議しないでください。頭が悪いフリをしてもムダです。例えマスターの頭が悪くとも責任能力は十分にあると判断する他ありませんので。》
「くぅっ!既に逃げ場はないということか!だってだって!ホントに途中までは混乱してて自分でも何やってるんだかわかってなかったんだもん!でも途中で正気に戻っちゃったからこれ幸いにと続けちゃうのは仕方のないことじゃないか!!」(キリッ)
グチグチいいながらも倒れていた2人を荷車へと積み込み、手伝ってくれたニコにお礼を言って頭を撫でる。傍目から見れば俺がニコをあやしたりしているように見えるかもしれないが、癒されてるのはこっちの方だ!(ドヤァ)
ついでにとニコの身体検査もしてみようとほっぺをふにふにしてみたり腕やらなんやらを確認してみた。ワンピースタイプの服を着てるからちょっと身体の確認をしづらいな。バサッとスカートを持ち上げて中を確認してみる。うん、お腹もキューピーちゃんしてて可愛らしい。胸元はなんにも成長してないから腫れてないし、背中もへーきそうだな!ただちょっと痩せすぎてる気がする。もっとちゃんとご飯食べないとミリーみたいな良質で健康的な太ももになれないぞ☆
「んんっ?これは・・・?」
最後に脚を見てみると、足首の所に青いアザが広がっていた。これはいったいどうしたことかと考えを巡らせていたら1つだけ思い当たることがあった。
「なぁニコ。この脚の怪我ってもしかして木偶人形に脚を掴まれた時のヤツか?」
「ん。そう。」
マジかぁ・・・全然気付かなかったぁ・・・orz。それなりにアザが広がっているってことはそこそこ内出血してる規模が大きいってことだ。こんな状態のニコにあれやらこれやらを手伝わせていたのか。そう考えるとすっごく落ち込むしすっごくしょげる。
けどそんな俺のエゴはどうでもいい。とにかくいまはニコの怪我が悪化しないように心掛けるのが先決だが、捻挫とかじゃないし治療方法が全然さっぱルンルンだ。
「ニコ、気付いてやれなくてごめんな?それにそんな怪我したままでも手伝ってくれてありがとう。けど、怪我した時にはちゃんと言ってほしいな。そしたらちゃんと治療させてもらうからさ。ね?」
「ん。・・・わかった。」
渋々ながらなんとか了承を得られたが、今後こういうことは増えるかもしれないから俺自身注意しなくちゃいけないことだろう。ニコはいつも自分から話しをしたり、意見を言ったりなんてしない引っ込み思案な大人しい娘なんだからそこは俺が察してあげないといけないことなんだと思う。
本当ならすぐにでも回復ポーションを使ってあげたいが、もしクーリングタイム中にニコが怪我を負ってしまうと回復ポーションが使えない時間というものがその分長くなってしまう。故に今回は心を鬼にして泣く泣く涙を飲んで歯を食いしばり清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちをもってしてポーションの使用を控える。だがしかし!気軽に使用可能な場所に着いたらすぐにでも使おう!きっとそれが正解なハズである!!
「ニコ、ここからは荷車に乗って安静にしててくれ。移動は俺がやればどうにかなることだし。あと、回復ポーションはあとで使おう。いま使っちゃうと他に怪我した時に使えなくなっちゃうから危ないからね。」
「ん。ニコ、へーき、だよ?」
はわわわわわぁ!!!語尾を上げつつ首をコテンッってしちゃうニコがヤバいかわゆす!!!なんだこの破壊力は?!無表情で首コテンッなんてどこで覚えたの!この娘は危ないかもしれない!将来とんでもない逸材になる可能性を秘めた恐ろしい娘かもしれない!
あまりの可愛さにギュッとしてハッとしてナデナデしてグリングリンと頬ずりをしたい欲求に駆られてついつい実行しそうになるが、いまはダメだ!俺の服が薄汚れてて・・・って外套ミリーに渡したからモンスターの血肉は既にないじゃん!いやっほーぅ!ヒーハー!これならイケる!我勝つる!ってダメじゃん!俺のお腹穴開いてて血塗れじゃん!なんてことだ・・・その気にさせてから突き落とすだなんて・・・ヒドすぎやしませんか?!
《落ち着いて下さい、マスター。幼女に対してどれだけ妄執を広げているのですか?素直に頭を撫でる程度で済ませておくくらいで十分だと思います。》
マイガっ!!カナデさんはわかってない!この純粋にニコを愛で倒したい気持ちをぜんっぜんわかってないんだよ!うぅ・・・これだから人の心を理解することができない悲しい人工知能は・・・。まぁ、頭は撫でるけどね。撫でますけどね。うん。
「ニコは可愛いし賢いな。でもね、痛い時にはムリしない方がいいんだよ?安静にしてると怪我の治りも早くなるし、ムリしちゃうと逆に治りづらくもなっちゃったりするから気をつけないとなの。ね?」
「ん。わかった。」
コクンッと頭を下げるニコ。素直で賢くて可愛くてヤバすぎる。この娘は絶対に守らなきゃって気持ちにさせられる。いや、守らなきゃってやる気がフツフツと湧き出てくる!いまなら素手で砂型人形共を殴り飛ばせるかもしれないくらいに勇気リンリン元気100倍な心持ちだ!
元気・勇気・やる気の3拍子揃った俺に最早怖い物など何もなく、ニコを荷車へ載せると再び歩き出した。見上げると俺達の落ちてきた穴はそれなりに広くなっており、大体直径4m程になっていた。高さ的には3m29cmらしいことをカナデさんが教えてくれたが当然そんなの届かないし届いてもみんなを運ぶことができない。
俺らと共に落ちてきた元天井だった土くれは後方への道を塞いじゃってるから進むしかないな。てかこんな地下になんで道があるんだ?荷車押し始めてから気付く俺も大概だが、横幅3mちょっとくらいの通路が奥へ奥へと伸びているのが見える。いや、正確にはあんま見えてないけどね。『視覚強化』をもってしても外からの光が入る近場辺りまでしか見えてないもの。奥は暗すぎて不明だな。
「ここってなんの通路なの?熊とかモグラとかの巣穴だったりするんだろうか?」
《現時点では分かりかねますが先程から集めていた情報によれば、魔物が住み着いていることは間違いないようです。》
「・・・はい?」
《種類まではまだ確定できていませんが、マスター達と共に落ちてきた元天井が数匹の魔物を巻き込んでいることからも明らかです。》
「うっそ?!崩落に巻き込まれたモンスターなんていたの??全然気付かなかったんですけど!!」
どうやら先ほどまでいた足場の下にはモンスターの死骸があったらしい。全然気付かなかった。いちおうその姿と種族を確かめてみようと踵を返して観察してみると、何やら緑色の液体がデロデロと伸びているのを発見。それを辿って出所を探ってみると、大きな岩?の下に押し潰された緑のナニかを見つけた。
「これがそうか?なんか普通の植物っぽくて全然モンスターっぽい感じがしないけど、いくらか魔力がこもってるみたいだな。魔石はまだついたままか。」
更に神経とスキルと尖らせて伺ってみると魔石の場所がなんとなくわかった。その場所を少し掘り返すとすぐにモンスターの身体が見え、魔石をサクサクと切り出してみるとすぐに潰れたモンスターの身体が、シワシワのマーグル婆さんの肌へと近づこうとしているみたいに水分を失っていった。
「うっわ!キモ!魔石取ったらシワ枯れるってどういう原理だよ?4~50代の女性が見たら声に出して嫌悪するレベルの怪現象だよ!」
《・・・たまにマスターの感覚がカナデには理解できないのですが、これは植物系の魔物にはよく起こる現象です。基本的に動くことのない植物が自発的に動き出す原因はこの魔石にあり、魔石があるが故に魔物でもあります。また通常は土の中で身体の水分を保ちながら根で土中の水分を吸収するのが一般的な植物の特徴ですが、その魔石のお陰で自身の身体を土中に埋めることなく維持している種が非常に多いのです。》
異世界特有不思議植物兼モンスタートリビアがカナデさんから飛び出してきた。まさか・・・何気なく回収していたこの魔石さんたちはそんな驚きの保湿効果を持っていたのか。となると、その働きと成分を分析すれば質の良い化粧水や保湿クリームが作れるかもしれない。もし作れたらバカ売れするんじゃないのか?なんせモンスター達はその身をもって魔石の保湿効果が高いことを示しているのだから。
「急に金の匂いがしてきたな!これが生産チートへの道筋なのだろうか?」
《・・・落下の際に頭でも打ちましたか、マスター?》
「失敬な!魔石で一発当ててやろうっていう俺の商魂と値千金の頭脳に向かってあまりにも不敬だぞ?最強最高のスキンケア商品が作れるかもしれないアイディアが舞い降りてきたのにその言い草はないんじゃないのかな!?」
《ちなみにですが、魔石に含まれる魔力は魔物の身体に馴染みやすいですがあまり人体に馴染むものではありません。その点はご配慮いただいているでしょうか、マスター?》
「うぐぅ!まさかの盲点!その点はまったく考えていなかった!これじゃあパッチテスト含めて長期スパンで計画を練り直さなきゃじゃん!けど助言いただきありがとう!と言っておこう!」
《変に前向きなのはいいですが、その前にここから帰還できなければその計画とやらを実行に移すことは不可能ですし、研究だって悠長にやることは不可能です。》
「んむ~、その点も何故か見落としていたな。なんだろう?疲れてるのかな?」
頭が冴えているのか寝惚けているのかよくわからない不思議な感覚がどことなくしているがそれが原因かな?よくわからんけど目の前にモンスターの死体があるならばきゅっておくか持ち前のスルーぢからを使って思考を前へと押し進めつつ背嚢式ダンジョンの口を死体へと向ける。
すると、モンスターの死体だけでなく瓦礫の山も特に抵抗を感じることなく吸い込んでいってしまった。この背嚢式ダンジョンって土とか平気だったの?いままで吸わなかったじゃない?
疑問符は残り続けるがすぐに周囲の土くれや植物系モンスターの死体を吸引し終わり、なんとなく植物系モンスターの魔石まで吸い込んでしまったような気分がしてきた。なんせ初めの1体以外にいると思わなかったもんだから周囲の瓦礫共々吸い込んじゃったんだもん。仕方ないじゃんね?
などと思っていたら背嚢式ダンジョンの口から4つの魔石がポロッと落ちてきた。え?なんで?もしかして解体しなくてもあとから魔石だけ取り出せるの??
「カナデさん、なんで魔石だけ出てきたの?もしかしていままで俺はとんでもない勘違いしてた?ホントは解体なんてしなくても楽々吸引して終わりだったりするの?」
《いいえ、マスター。確かに魔物を解体せずともこうして魔石を回収することはできますが、むしろそれが可能なケースの方が稀だと思います。》
「そうなの?なんかすっげー簡単に魔石だけ分離して出てきたような気がするんだけど・・・?」
《それはこの植物型の魔物が脆く、貧弱な上に既に潰れていたからです。マスターのいま所持している背嚢型のダンジョンですが、攻撃力も解体の機能もありませんのでこの方法を用いて魔石を回収できるケースはほとんどないと言っていいでしょう。》
「なんか解せないがそういうことか。なんとなく納得いかない気持ちもあるが、ここはグッと堪える気持ちになって一旦それは保留にしておこう。最近普通のモンスターが相手だったりすると解体するの大変だからその労力を補えるのならって思ったんだが、世の中そううまくはいかないか。」
楽してモンスターの追剥ぎ行為ができるかと思って胸を躍らせてみたが、どうやらそれはできないみたいだ。仕方ないので今後も頑張って剥ぎ取ったりしようと思うものの、楽できるところは楽したいと考える自分が確かにここにいるので方法やらなんやらをこれから考えていこうと密かに心に誓っておくことにしよう。
「でもこれで前も後ろもどっちも進めるようになったなー。どっちから攻めてみるべきか悩むなー。」
《ここから真っ直ぐに森の外へと続いているのはいま荷車が向いている方向ですね。途中で道が曲がっていないのならば、ですが。》
「あっちか。じゃあその方向で進んでみようかな?これ以上森の奥へと進んでいったら人形シリーズが増える可能性もあるし、そもそもここの森には出ないハズの植物系のモンスターとか出てきてるから少しでも早くここから逃げたいし。」
チラッと自分達が落ちてきた穴を見てみるが、いまのところはデクッポイドが降りてくる様子はない。でもそれもこの先どうなるかわからないから少しでも距離を稼いで回復に努めたいというのもあったりする。
・・・進んだ先に新手のモンスターがいないことを祈ろう。流石にここまで連戦してきたんだし、そろそろ休憩か帰還のパートだろ。流石に。
希望的観測を込めて今後の展開を予想してみつつ荷車をグイグイ頑張って牽いていく。体感にして数時間、とかいえる程かかることもなく3分くらい進んだらモンスターと遭遇してしまった。話しが進まないから勘弁願いたい。
見るに、先程押し潰してしまった植物系モンスターと同様に植物系のモンスターに見えるがコレはなんて種族のモンスターなんだろう?落ちてきた穴から少し離れてしまったために暗すぎて色はわからんが、さっきの死体を参考にするなら全体的に緑色なんだろう。
人の胴体程の太さの茎?幹?を持ち、お足元は根っこだと思われる細長い物体がウゴウゴしている。身長?的な見方をするなら多分2mちょっとくらいで別に人型はしていない。てっぺん当たりからは複数の触手のようなモノが複数垂れ下がっているが、アレが自在に動くとしたらちょっと困る。てか逆さまにしても見た目はそんなに変わらないと思われる不思議生物だな?
「根っこと触手以外には幹しかないのか。葉っぱもなければ枝もない。顔もないし手もないからいったいコレをなんと表現したらいいのか非常に戸惑うんですけど。」
《・・・カナデにもわからない物体ですね。感知系スキルから得られる情報によれば魔物で間違いはなさそうですが、データベースには該当する魔物の記載がありません、マスター。》
どうやらカナデさんにもわからない完全謎生物だったらしい。マジかよ・・・仮にも神(笑)から授かった知識だぞ?それに記載がないってどないやねんとツッコミを入れたい。それに、感知系のスキルからもたらされる情報には更に俺達にとって都合の悪いポイントが幾つか盛り込まれていた。
・さっきのデクッポイドよりも保有魔力量が多そう。
・少しずつこっちへ向かって動いている。
・頭?のあのドレッドヘアみたいな触手群は可動式っぽい。
さっきの木偶人形よりも保有魔力が多いということは、そのまま耐久性の高さを表している可能性が高い。先ほどのカナデさんのセリフからの推測だが、植物系の魔物は魔石にて自身の身体を保護しているとのことだからきっとさっきより丈夫だろうとあたりをつける。
続いて移動速度は木偶人形と同じくらいで砂型よりも早いということ。更にはあの触手は11本あるみたいだが、それが全部本体の移動の揺れ以外のタイミングで動いている。となると左手1本しかない俺では対処しきれない可能性が高いときたもんだ。これはマズい。魔法が使えればすぐにでもやっつけるところなんだがいまは完全に魔力切れ状態だ。
「仕方ない。この手はあまり使いたくなかったがやるしかないようだな。」
言いながらメニューウインドウを開き狙っていたブツを召喚する。ぶっちゃけ思った以上に安かった。一斗缶くらいの大きさの小さな樽に並々とアレが込められている。更に召喚を続け、木製のジョッキ10個1セットの品を召喚する。前者は10DP。後者は5DPだ。まずはジョッキに例のブツを並々すくい上げ、モンスターへ向かって放り投げる。何気に物凄い勢いで体温を奪われて手が冷たい!おりゃー!
緩やかな放物線を描いてモンスターへあたったジョッキは、派手に中身をぶちまけてモンスターをブツ塗れにする。いちおう分量が不明なので同じ行為を2回繰り返す。続けて樽の中に要らない布切れを少しだけ漬け込み、その布で近くに落ちていた適当な石をクルクルと巻いて仕掛けは完了だ。いや、一応樽の蓋を閉めておこう。何かあったら怖いしな。
「そんで仕上げに雑貨を詰め込んだ布袋からこの火打石を取り出してーっと・・・うん。ごめんニコ。火打石の使い方わかる?」
「んぅ~。んーん。しらない。」
「そかそか。うん、それは全然いいんだ。これはね?2つの石を強めに擦り合わせると火花が散るって道具なんだ。つまり、使うのに、その、なんだ。うん、両手が必要で俺にはできませんでした。ご協力願いますニコさん!」
自分が火打石を使えないことにいまさっき気付いてしまいびっくりした。まだまだ隻腕であることに慣れていないらしい。反省。
「ん!ニコ!まかせる!」
何故かニコさんはめっさ瞳を輝かせて快諾してくれた。なんてええ娘やぁ!率先してお手伝いできる娘なんだね!お父さん嬉しい!
「ありがとうニコ!あ、お手て気をつけてね?挟んだりしたら痛い痛いだから!」
「ん!」
ニコの小さなお手てに火打石を手渡す。携帯用の小さいヤツを買ったのにニコの手に載せるとその存在感に驚く。どんだけこの娘は手が小さいのだろうか?自分がこれくらいの大きさだったころをまったく思い出せないから驚いてしまう。
そして、ニコが数回ギュッギュッと火打石を強く擦ってみると、石の先から火花が散った。その火花を布で優しく受け止めるとすぐにボッと火がついた。異世界火打石は打ち合わせるタイプじゃないのがありがたい。カッカッてやるタイプだったらニコが怪我しちゃうかもしれなかったし。
「これで火の準備はおkだな!アチチッ!熱いからすぐに投げるべし!!」
ビュッっと勢いよく投げ放たれた布は、包んだ石の重さのおかげでほぼ減速なしでモンスターへと直撃した。
ヒュゥボッ
布についていた小さな小さな火がすぐにモンスターへと着火する。正確にはモンスターが全身に浴びていた先ほどのブツ、つまりはエタノールに引火したのだ。ホントは火炎瓶にしたかったんだけど、もしうまくガラスが割れなかったりモンスターの身体にイイ感じにエタノールがかからなかったら困るので今回は木製のジョッキをわざわざ使ってみた。
そして燃え行くモンスターを黙って見つめているとなんだが左手が熱かったので見てみると、俺のお手ても炎上してるよ!エタノール塗れだったの忘れてた!!パニクる寸前になりながらもしゅばっとしゃがんで地面に擦り付ける!土でお手てが汚れちゃうけど、これですぐに火は消えるハズ!てかすぐ消えたし!
「ビイイイイイイイイイイィィィィィィィィ」
「それにしてもウルサイな。俺だって燃えたのにこの冷静沈着さを維持しているというのに、少しはあちらさんにも見倣ってほしいものだな。それにつけても植物系のモンスターって発声器官とかマジどうなってんだろうか?あのぐちょぐちょの謎ぃのよりも更に深い謎な気がする。」
《マスターの場合は自業自得ですし、全身が燃えていないので比較にもなりません。それと、しっかりと確認をしてみないとわかりかねますが恐らくは咀嚼するための器官か何かがあるのでしょう。》
かなり適当なお返事をいただいたが、確かにこの状況ではこれ以上のことはわからないかもしれない。てか若干カナデさん不機嫌?しっかりとした情報くれなかった神(笑)にでも怒りを感じているんだろうか?
《それに、このような倒し方をしてしまっては、あの魔物の情報を収集することができません。不満です。》
おっとー?どうやらこっちに飛び火してきたようだぞ?そもそも情報をしっかり寄越さなかったあの怠惰なじーさんが悪いのに、このままでは俺が非難されてしまう可能性が急浮上だ!とりま話題をそらさないと・・・?
ボコボコボコボコッ ビュゥゥンッ
「うひゃおっ?!」
なんか地面がボコボコしてると思ったら急に触手が飛び出してきた!しかもムチの様にしなやかにかつ乱暴に振るわれ俺に襲い掛かってきたのを間一髪で回避する!
ビターン!パシンパシン!
しかもその数が徐々に増え、気がつけば5本もゆらゆらしているじゃあーりませんか!俺片手、触手5本。いやいやいやいや!ムリでそ?!捌き切れないよ!!そんな俺の心情にまったく構ってくれる素振りも見せず、無慈悲にも触手が襲い掛かってくる。
「やめて!よして!触らないで!垢どころかモザイクものになっちゃうから!マジ勘弁!俺の貞操は俺だけのモノだ!!」
迫りくる触手の群れを必死になって避け続ける。一瞬ロングダガーで迎え撃とうかとも思うが、もしも切れなかったり力負けしたら一気に持っていかれるという恐怖心からそれすらもできやしない!あぁ!少しでも魔力があれば武器強化で安心安全の狩りができるのに!
そんな余計なことで頭がいっぱいだが、俺のおめめは力の限り触手の群れを捕らえ続ける。薄暗くて見えづらいけど全身全霊を込めて『視覚強化』に頼り切る!だって、俺の身体能力じゃ前もって動かないと間に合わないし!!って嘘だろ?!触手が増えた??!
ただでさえ限界に近かったのに、更に3本もの触手が地面からこんにちわしてきたのが見える!見たくなかったが見えてしまっては仕方がない!このままでは絶対に避けきれずに捕まって良い子に見せられない展開になるに違いない!それだけは避けなければなるまい!
正面右上から振り落とされる触手に対して左脚を踏み込む!それだけで触手は俺の背中を通って地面へと落ちる。ここですかさず左脚を引き元の位置へと戻りつつ、右腰で溜めていたロングダガーを触手へと切りつけ切り上げる!
ガッ!と強い抵抗を覚えたものの、なんとか切断に成功した!やった!武器強化なしでもなんとか切れるぞ!触手がそんなに太くないからいけたのか?よくわからんがコレならいけ「ぐへっふん?!」
腕を振り上げ無防備になった俺の左わき腹に触手がめり込んできた!痛いよ!そこ穴!穴開いてるんだからやめてよマジで!!!お返しにと左手を振るい悪い触手はぶった切る!!「ふんっ!!」
2本の触手を切り落とすことに成功したが、果てしなく痛いのでちょっとバックステップで離脱を試みるも、それでもまだ届くらしく左右から触手が水平に迫ってきた!これをしゃがんでやり過ごし、今度は全力ダッシュで正面へと駆ける!
「絶対許さん!俺はやられたら猛然とやり返すタイプなのだ!やり返さないと気が済まない!!」
気合いの雄叫びと共に触手が生えている場所へと迫る!先っぽをちまちま相手するからいけないんだ!ここで根本を絶ってやるぞこんちくしょー!渾身の力を込めて切り落としを放つ!ガッとこれまた強い抵抗を覚えるが、体重を乗せた一撃だったこともありすぐに断ち切れた!続けて切り上げ、切り落としと連続で触手を痛めつける!
「あと3本だ!これならあべし?!」
穴から伸びた部分を切り落としたハズの触手に腹を突かれ身体がくの字にひん曲がる!
「ぐっぷ・・・うぅ・・・痛いじゃないかバカたれがーー!!!」
やられたらやり返すの根性だけで触手を切り付ける!だが今度は勢いが足りなかったのか、切り落とせずにロングダガーが止まってしまった!マズっ!!と思った瞬間には触手に捕らわれてしまった!お腹と首がグルグル巻きだ!って腕まで捕まえるなよ!逆転の目がなくなるだろ?!空気読めよと言いたい!!
ギリギリと締め上げられてメチャクチャ苦しい!たかだか植物の分際でなんて力だ!くそっ!どうにかして抜け出す方法は・・・
《そろそろですね。》
(??そろそろって何が?)
と思った途端触手の力が緩み拘束が解かれた。
「おやおや?これはいったいどういうことだ?カナデさん何かした?」
《いいえ、マスター。マスターが放った火により本体が死んだようです。どうやら最後の力を振り絞った抵抗だったようですね。》
「マ、マジか・・・。よかったぁ~あやうく絶対みせられないよ!になるところだったわぁ~。」
心からの安堵の吐息が漏れる。この世界に来て以来身に迫る危険を色濃く感じるのももう何度目になるのかわからない。やはり剣と魔法の世界は恐ろしい。そして、全然気付かなかったけど触手が緑色じゃなかった。普通の木の色だ。コレって何色っていうんだっけ?象牙色?肌色?アイボリー?
色が違うのでもしかしたらさっき踏み潰したのとは違う種類なのかもしれないということが今更になって判明したが、本体は焦げているのでよくわからない。ただ、さっきの個体は葉っぱっぽい感じの部位があった気がするのできっと違う種類なんだろうと思う。緑色の体液も出てないし。ここにはどうやら複数の種類のモンスターがいるらしいことがわかったので、いまはそれだけわかれば十分だろう。
手早くモンスターの死体をばきゅってみるが、今度はちゃんと吸い込めなかった。どうやら魔石を抜かないと吸い込めない様だ。これだけでも別種のモンスターだという確認が取れたと思うが、面倒なのでその辺は同じだった方が嬉しい。仕方ないので魔石をくり抜き死体をばきゅる。めちゃめちゃ長かった触手と根っこは5切れずつだけ残し、落ちていた灰も一部拾っておいた。触手は松明代わりに使う予定だ。
荷車の元へと戻りエタノール入りのミニ樽を載せる。正直言ってかなり手狭だな。テトにゃんもミリーも仰向けになって膝を立てた状態だったが、いまは更に2人の間の足元にミニ樽が鎮座している。蹴り飛ばして蓋を開けたりしないことを祈るばかりだ。ちなみにニコは荷車の先頭側の縁に腰かけているのでスペース的にはほとんど消費していない。ミリーの上に座ってもいいんだけどなぁ?更には所狭しとそこかしこに布袋が落ちていたりジョッキが転がっていたりとかなりカオスな状況だが、いまは緊急事態なので勘弁願いたい。
荷車の車載状況を確認できたので、ジョッキとモンスターの触手を使って即席松明もどきを作り上げ、火をつけてもらい再度出発する。ニコには悪いが松明はニコに持っていてもらおう。じゃないと俺のお口にセッティングする他なくなってしまう。それはちょっと勘弁願いたい。
そのまま暫く進んでいると、道が右へ折れ曲がっていた。これだと街からちょっと遠ざかるコースになるが他に選択肢がないのでそのまま進む。ずっと荷車を牽いていると気分は牛か馬のようだ。でも草食動物と違って視野がそこまで広くないので時折後ろを向いてみんなの様子を確認するのも忘れない。ニコからのお返事はいつも「ん。へーき。」だった。2人程気絶してるけどへーきなのかな?多少の疑問ではある。
ただ進むのも結構暇なのでカナデさんにいまの俺のSPとDPの状況を聞いてみた。
《SPは25で、DPは2161です。》
「・・・えっ?ごめん。ちょっと聞き逃したかもしんない。もっ回プリーズ?」
《マスターの現在の保有Pは、SPは25で、DPは2161です。ちゃんと聞き取れましたか、マスター?》
これだけのSPがあればもっと楽にこの窮地を切り抜けられたかもしれない。そんな思いが頭をよぎったが、確認を怠っていたのは自分だしカナデさんは気付いてて黙っていたんだろうからと口をつぐむしかないと思っている哀れな0歳児がそこにはいた。
お読みいただきありがとうございます。
連戦に次ぐ連戦で想君結構ボコられてますね・・・痛そうです。
痛覚を多少はカットしてもらっているみたいですが、私にはとても耐えられるとは思えないなぁ。
あと、作中にアルコールを燃やすシーンがありますが、現実世界では実際に似たようなことをやっても同じ結果にはなりませんので悪しからず!ここは異世界火の精霊もいるんです!
次回予告
ちょっと一息、考えるお時間
ひと時の休憩
治療




