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非力な少女と無力な少女

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

なんとなんと!本作品のブクマ登録者様がついに100名様の大台を突破いたしましたー!!ありがとうございますー!!

2017年中に達成することは不可能だと思ってましたが、達成してしまいました!

いやはや驚きでございます(>□<)

昨年中は皆様にいっぱいお世話になりまして、重ねてありがとうございました。

本年もまた、暖かくもなんかこう良い感じで何卒どうぞよろしくお願いたしますm(_ _)m

私は本日も仕事でございます。日付が変わると同時に初詣は済ませてありますが、お節は一切口にいたしておりません。いまから残り物が楽しみです。およよよよよ・・・。

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、新年初投稿!本編第46話を投稿させていただきますー!

これからも皆様が楽しんでいっていただけると幸いです(*´∨`*)

「テト!」


テトは、突き出された<ピアド・ボア>の角を避け切れずに左腹部を貫かれ悲鳴をあげた。


「いぐぅ?!ぃあっあああぁぁっ!!」


マズい!腹部は重要器官が集まってるのに!!


1つの弾よ在れ(アイン・バレティア)基準点を構築(サテラルピット) ラムダ(λ) 発射(ファイエル)!!」


イノシシの頭部に狙いを定めて『炎弾』を撃ち込む!だが畜生の脳は小さい!確実に仕留めないと!


「死ねクソ!」


ロングダガーを咽喉に突き刺し切り開く!前足の付け根の両肩にあたる部分にもロングダガーをドスドス突き立てる!


「テト!」


<ピアド・ボア>の角が抜け、テトが力なく倒れ込んでしまった。腹部からかなりの出血があるし酷い痛みで呼吸もできてないかもしれない!


「カナデ!状態は?!」


《腹部を貫かれたことによりショック状態を起こしているようです。呼吸も・・・できていません。》


「ポーションでの快復の見込みは?!」


《マスターの補助があればどうにかなるかもしれません。幸い、傷口自体は小さいモノですので回復力を最大まで高めることができれば当面は大丈夫だと思われます。》


言われてすぐにDP(ダンジョンポイント)使用して下級ポーションを召喚。ホントは中級の方がいいけどいまはポイントが全然足りやしない!


《出血を抑えましょう。血が失われると下級ポーションの回復量では足りなくなる可能性が高いです。》


「わかった!ニコ!降りてこられるか?!手伝ってくれ!」


すぐにテトの傷口を手持ちの中でも清潔な布で押さえて止血を試みる。かなり痛みが強いのか、テトの身体は大きく痙攣を繰り返してしまっていて押さえるのを躊躇ってしまいそうになる・・・が、やらねばならんだろ!


「いぎぅ!あがっ!かっあはっ!」


「すまん!痛いと思うが我慢してくれ!」


「ソウ!」


「ニコ!ポーションをテトの腹にかけてくれ!」


「ん!」


すぐにニコがポーションの封を開けてテトへとかけてくれる。緑色に光る液体がテトにかかる度に淡い光の粒へとなって拡散していってしまうのを、俺のスキルでムリヤリ抑え込みテトの身体の深くへと浸透させていく。


「・・・足りない。感覚的に大腸と小腸が両方傷ついてる。ポーションの魔力だけじゃ足りてない!」


感知系スキルから得られる情報からテトの内部の状況がなんとなく伝わってきたが、どうやら重要な器官が2個もダメージを負っているようだった。

これだと片方の臓器と腹膜やら筋膜やらの修復だけでポーションの効力が切れてしまう!続けての使用制限がある以上それじゃダメだ!


「周囲の魔力と俺の魔力を使ってポーションの魔力を増強する!カナデ!サポート頼む!」


《・・・はい、マスター。》


『魔力把握』を最も強く使える範囲、周囲5mほどから魔力を集める!空気中や植物から集めてまとめて把握し、俺の魔力と混ぜていく作業だ。そこからポーションの働きを増強しサポートするイメージで、緑色の淡い光の粒へと練り込んでいく。


「よし・・・この魔力を使って一気に治療を進める。」


既にポーション瓶の中身は全てかけ終えているが、やはり予想通り大腸の穴を塞ぐので精いっぱいだったみたいだ。


「なら・・・まずは小腸の穴を塞ごう。」


《奥側はほとんど塞がっています。手前側の損傷の方がダメージが大きいようです。重点的にいきましょう。》


注意深く、慎重にテトの傷を治していく。1つ1つの細胞が活性化し、テト自身の細胞も自らの怪我の修復を早めていくイメージも付与しながら・・・。


「よし、小腸の傷は塞がったな。次は・・・。」


《マスター!9時!<ヌグリイ>数14!》


「クソ!このくっそ忙しい時に!!」


《後続ゴブ11!マスター・・・治療は・・・。》


「ヤダ!断る!絶対にイヤだ!!このまま殲滅する!カナデ!最高効率の基準点を!」


《・・・かしこまりました。》


ムダに湧き出る<ヌグリイ>とゴブに『炎弾』をブチ込む!ゴミ処理と治療を同時進行だこの野郎!バカの1つ覚えの突撃(チャージ)を披露してくるのでまだ始末は楽ではあるものの、残弾数も俺のMPもガンガン削られていく!度し難い!許し難い!あぁ!殲滅魔法がめっさ欲しい!!


「次から次へとヌグゴブヌグゴブヌグゴブと!!ちょっとは空気読めよな?!」


ブシッ


「はれ?」


《マスター!》「ソウ!」


「お・・・あら?鼻血出ちゃったか?いい歳して恥ずかちい・・・ら?」


おおぅ?頭くらくらふーらふらな感じになったような気がするもん?なんぞこれ?


「なんら?意味ぷめいひゃにゃら?」


うまく舌が回らなくって喋れないぞ?!こりゃあかん!これじゃ呪文の詠唱に差し障りがあるじゃあーりませんか?!


《マスター!テトの治療を中断しましょう!マスターの処理能力が限界を超えています!》


だらころはる(だが断る)!!ほんらころひゃ(そんなことは)れひらいんひゃらら(できないんだから)!」


自分自身何を言ってるのかよくわかんない状態になってしまったが、諦めるなんて選択肢は初めから皆無だ!処理速度が足りないなら余計なモノを削り落としてでも確保すればいいだけだし!眼を閉じ『視覚強化』を打ち切る。感知系スキルの有効範囲を『魔力把握』が有効な周囲5mに限定!


(カナデ!次のモンスターが来るまでに一気に終わらせよう!)


《・・・はい、マスター!》


内臓の修復、血管・神経系の修復、更に腹膜や筋肉、皮膚の回復と意識しながら丁寧に治療を施していったが、正直俺の知識があってるのか治療の仕方が正しいのか自信はまったくない。それに時間も残存魔力も心許なくてかなりの突貫工事の様相を呈してきた。

カナデさんの指示で順番にやってはいるものの、しっかりと俺がイメージしないと恐らく効果は発揮されないと思うしマジでテンヤワンヤだよ!回復魔法取っておけばよかった!最後の仕上げにと気合いと共に入魂の雄叫びを「おーねーがーいーしぃぃまーーーす!!」とプレゼントだ!


「ふんぬうううぅぅぅぅううう!!!・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。い、いちおうはこれでおkかな?」


息も絶え絶え本気と書いてマジと読むほどにフラフラでヘロヘロの状態になりながらもニコが差し出してくれた布っきれで自分のお顔を拭き拭きしてみる。うわぁおっ!めっさ血がついてんじゃん!こわっ!これ鼻血?鼻血だよね?!


《お疲れ様です、マスター。テトの呼吸も正常幅に戻っていますね。っ!マスター!10時!<ヌグリイ>2!》


「空気読めよな・・・ゴミが。」


すぐさま『炎弾』を放つが、知らない内に最後の1発になっててめっさ驚いた!弾切れ前に治療終えられてよかったー!マジあぶないって!やめてよマジで!


《マスター、テトにゃんの心音の確認をお願いします。》


「うえぇぇ・・・魔力枯渇(つかれて)で気持ちわるぅ。・・・んむ~、わかった。」


手首と首に指をあてがってみる。それに胸部にはお耳をあてて心音を確認する。特に問題はない・・・と思うが、そもそも俺にはわからない。せいぜい脈が触れるかどうかといった程度だ。なので、その辺も全部カナデさん任せですごめんなさい。


《概ね大丈夫でしょう。あとは菌感染や内臓の内容物による弊害が考えられますが、現段階では確認することは難しいでしょう。経過観察が必要です。》


「そうか・・・ありがとうカナデさん。」


先程までの苦しそうな様子がなくなったテトは、まだ少し浅いけれどもしっかりと自発呼吸を繰り返している。これならひとまず安心していいかもしれない。


「『炎弾』も撃ち切ったし、残存魔力もすっからかんだ。モンスター村からの後続もなんか切れてるし、ミリーをほったらかして帰りたいな。アイツまだ生きてるのか?」


《現時点ではわかりかねます。感知系スキルの領域を広げていただけますか?マスター。》


「あ、すっかり忘れてたな。はいはいっと。」


周囲の状況が再び情報となって俺の頭に入ってくる。うん、頭痛いし頭痛薬ほしい・・・。多分さっきのオーバーワークの影響なんだろうけど、魔力枯渇と相まって最悪な気分一歩手前だなー。情報の処理はカナデさんに任せて倒れているモンスター達へトドメを刺し刺しルンタッターしてみる。

その間はニコにテトにゃんの様子を看てもらっているけど、既に魔法使えない俺と攻撃力皆無のニコが見張りしたってそんなに意味ないかもしれないって考える変に冷静な俺が顔を覗かせてきたりしたが、顔面にワンパンくれて押し込んでおいた。ニコが頑張ってるのにムダとかいうな!怒るぞマジで!


「うぐぅ。身体がダル重い・・・。でもこれで一通りトドメはさせたかな?ムダに疲れたー。」


《はい、マスター。概ね大丈夫でしょう。それよりも、これだけの魔物の死体があるにも関わらずあの村以外からの襲撃がありません。異常です。》


「たしかに。ここらいったい匂いひっどいことになってるのに、モンスターが追加で現れないのは変だな。あのモンスター村にここら辺のが全部集まってたって考えるのが妥当か?」


《恐らくはそうでしょう。となると、今回の騒動の元凶はそれなりの統率力を持つ個体だと考えるのが妥当ですね、マスター。》


「マジかよ。ボスキャラちっくなモンスターのお出ましな予感?勘弁してくれよ・・・いまの状態じゃ勝てないと思うんだけどー。」


《そういいながら村へと歩みを進めているのはどうしてですか?マスター。》


「いや、だってさーテトにゃんが怪我まで負って頑張ってるのに、ミリーの最後を見届けないのもどうかなって思うんだよ。生きてるにしても間に合わなかったにしても、本当のこと話してあげたいじゃん?」


いちおうあんまり意味ないとは思うけど、ニコにはテトにゃんの双剣を持たせた。大声出すのが苦手なニコと距離を開けるのはどうかと思ったりはしたけれども、テトにゃんは起きないから連れてこれないしでこれ以外の方法は思いつかなかったのだ。仕方ないじゃん、俺じゃテトにゃんの運搬はムリだもの。


「身を守るのにも使えるし、有事の際には打ち鳴らして音も出せるしで案外優秀だなって思うよ。双剣って。」


《本来の用途ではありませんが、今回に限ってはそのようですね。》


カナデさんと雑談しつつモンスター村の外柵の側までトテトテとやってきた。見ると、柵も適当なもので蹴っ飛ばすだけでも壊れてしまいそうな粗末な出来のモノのようだ。


《マスター、ミリーを補足しました。どうやらまだ生命活動を続けているようですね。》


「マジか!それはよかった!どの辺かな?早く助けに行かなきゃでしょ?」


《はい、マスター。最奥の少し大きな建物?の中にいるようです。現在この村の中にいる生きた魔物はその掘っ立て小屋の中だけのようです。》


「つまり、これが今回のボス戦って訳だ。中にいるヤツの情報がもう少し揃えられればよかったけど、俺のスキルじゃそこまではわかんないもんね。」


《はい、マスター。現時点で得られる情報(データ)では、詳細な状況などはわかりかねます。せいぜい中にいる魔物は<ゴブリン>が7匹、<ウォー・ウィード・ウルフ>が2匹、それに<オーク>らしき個体が1匹いることしかわかりませんでした。》


「うん、やっぱりね。流石に魔力や気配を伺うだけじゃ大した情報が出てくるわけが、ありまくりじゃん?!もうほぼ出揃ってない?!それ以上何が知りたかったのカナデさん??」


《やはり1番の関心事といえば魔物の目的やこの集落のことでしょうか。カナデとしては魔物の種類よりも知的好奇心をくすぐられる対象となるのですが。》


「それも気になるけど先ずは今回の事件?解決のタメに使える情報じゃないの?!モンスターわかれば対策も立てやすいしめっさ大事だと思うよ!!」


カナデさんの斜め上なのか斜め下なのかわからない知的好奇心は、どうやら俺の理解を大きく超えた次元に存在しているらしい。流石はカナデさんである。


「てかそのモンスターってこの辺じゃ上位種だよね?いまのままじゃキツいことが既に決定事項として上がってると思うんだけど、その辺はミーティング開かなくて大丈夫な感じ?来週会議して再来週改めてくるとかでもいいような気がしてきたんだけど。」


《ミリーの骨を拾いにくるのですか?マスター。先ほどからミリーが『魔硬』を使って抵抗しているようですが、間もなく魔力が尽きようとしているみたいです。》


「マジか。あんま時間ないな。見殺しは後味悪いから、裏ワザと力技でなんとかするかなー。てかそれしかないもんなぁ~。最近DP(ダンジョンポイント)使い過ぎじゃない?」


《はい、マスター。小さな出費をコツコツ重ねていますね。1番大きな出費はニコに使用した中級ポーションが500Pでしたが、あれは緊急措置ですので仕方なかったと思われます。ただ、それ以外だと荷車が10P、盗賊紛いの治療をするのに50P、先程のテトにゃんの治療で50Pですので必ずしも必要だったかどうかは微妙ですね。下級ポーションでしたら作製が可能でしたし。

ちなみにこの時点で合計で610P使用しています。今回の魔物の討伐分を除くと残りDP(ダンジョンポイント)は102Pでした。》


「今回討伐したヤツの死体は全部美味しくいただきたいもんだな。ザコばかりだけど100体以上倒してるしっと。」


カナデさんと話しながらダンジョンマスター用のメニューウィンドウからMP回復用のポーションを選択。名前はまんま下級マジックポーションだった。目の前に青い液体の入った薬瓶が出現し、お手てでキャッチ。


「こっちのポーションの方がお高めなのは材料が貴重だからなのかな?」


お行儀が悪いけど封を口でぎゅぽっと開けながらカナデさんに聞いてみる。


《はい、マスター。下級のマジックポーションの原材料は通常の下級ポーションとトレンティサ(蓄光樹)と呼ばれる木の根、それとブルードライと呼ばれる青い花が必要です。》


「怪我治すより魔力回復させる方がお高いってのは微妙に納得いかない気もするけど、その辺の価値観は異世界さんのお仕事だから俺にはわからんくていいのか。きっと。」


グイっと下級マジックポーションを一飲みにしてみたらなんていうか超マズい!!


「うえ!うわくさ!くっさー!ナニコレ?!マズいし臭いし苦いんだけど?!咽喉がイガイガする!なんで?なんでなの?!」


《トレンティサの根が魔力を豊富に蓄えていて、ブルードライが地球でいうところの各種漢方のような役割を果たしています。どちらも非常にマズいと評判で、この世界の生き物はほぼほぼ口にしない植物です。》


「そんなので作る他ないの?もっと美味しく召し上がれるもので代用できないか誰か研究とかしないのかよ・・・うぐぇ。」


《実際に出回っているマジックポーションは別の素材を使って実現していますが効能が格段に落ちますし、材料も余計に必要になりますので割高になりますが作成いたしますか?》


「それ程の劣化品なのに自主作成しなきゃならんとか、理不尽極まりないな。なので今回は泣く泣く遠慮しておきます。いつか美味しいマジックポーション作るんだもん!」


味を変えるだけならきっと何かしらの方法がすぐに見つかるハズだと希望を胸に抱きつつ、後味の凄まじさに思わず涙をこぼしてしまう。


「お口直しに飴ちゃんでもほしいけど、手持ちにそんなもんは一切ないからちゃちゃっと終わらせて帰るか。」


服用した下級マジックポーションは味も匂いも強烈にヤバかったが、どうやら効能はしっかりしているようで魔力がグングン回復していくのを感じる。これなら多分余裕で中の連中を蹴散らせるな。伊達にムダ話しをしていたわけではないのだ!ちゃんと回復に努めていたんだからね!ホントなんだからね!って何キャラだよ。


術式(コード) 冒険級火属性(アーベント・フレイム) 実行(ラン)!火の精霊(子ら)よ!!我が魔力(マナ)を糧に、30の炎弾を成し、回り、(めぐ)れ!」


ボスキャラがいると思われる建物?へと近づきながら魔法を構築する。最近かなり使いまくってるし、モンスターをバカにすることができないくらいにバカの1つ覚えなのでその錬度も中々のものであると自負しちゃってるから術式(コード)を練り上げるのも早い早い!


全弾装填(オーラデュー・ロード) 我が敵を(ヤー・イニミークス)射ち穿て(ベラーゲルング) 炎弾(フレイム・バレッタ)!!」


今回使うのはさっきまでガンガン使ってた貫通弾ではなく、以前から多用していた爆発する方の『炎弾』だ。これなら当たれば()れると思う。貫通弾じゃしっかり急所に当てないと殺しきれないから保険といえば保険である。あとは、この威力で仕留め切れるかどうかが問題といえば問題なだけだ。


基準点を構築(サテラルピット) アルファ(α) ベータ(β) ガンマ(γ) デルタ(δ) イプシロン(ε) ゼータ(ζ)


ひとまず速度が速そうで仕留め損ねたら面倒そうな<ウォー・ウィード・ウルフ>2体の頭に基準点を構築(サテラルピット)を3つずつ設定(プレゼント)する。建物の出入り口付近にいるみたいだし、ミリーを巻き込んだりしなさそうだから丁度よかったりもする。


基準点を追構築(サテラルリピット)エータ(η) シータ(θ) イオータ(ι) カッパ(κ) ラムダ(λ) ミュー(μ) ニュー(ν) クシー(ξ) オミクロン(ο) パイ(π) ロー(ρ) シグマ(σ) タウ(τ) ウプシロン(υ)


続けて基準点を追構築(サテラルリピット)設定(プレゼント)するのは<ゴブリン>達だ。こっちは人型だから変な避け方は多分しない・・・というかできないハズなので、1体当たり2つで仕留めたいと思う。ミリーは・・・何故かボスとタイマン張ってるからほっとくか。うん。


「このはた迷惑な騒ぎもこれで終わりにしたいな。ボス以外だけど・・・制圧発射オーラエージ・ファイエル!!!」


ボスのすぐ近くにミリーがいる反応があるので、それ以外の連中をまとめて始末するべく『炎弾』を発射!20の『炎弾』が赤い軌跡を残して一斉に建物の中へと飛び込んでいく。


ボボボボンッ!!!


対象を各頭部に指定した『炎弾』がほぼ同時に当たったことにより、断末魔はほぼほぼ聞こえることがなかった。代わりに響き渡ったのは『炎弾』の爆発音と意外な声だけだった。


「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!おでざまの、部下があああぁぁぁ!!誰だあああぁぁぁ!!!」


「えぇっ!?ミリーのヤツめちゃくちゃ声野太(のぶと)くない?!さっきまで普通の少女声してたのに僅かな時間で何があったの?進化しちゃったとか???」


《いいえ、マスター。どうやらこの声の主は<オーク>のようですね。流石にミリーからこの声は出ないと思われます。》


「うっそ?<オーク>って喋れんの??」


《通常は話すことは不可能です。また、翻訳機能によって言葉が理解できるということでもないハズです。》


「てなると特異体かなにかってことなのかな?<オーク>に詳しくないからそこんとこよくわからんな。」


「おおぉぉーーーがああぁぁぁああ!!」


ゴッ!


「きゃあっ!!」


ドゴンッ!


ミリー改め<オーク>の雄叫びが響いたかと思ったら、掘っ立て小屋の壁が吹き飛んでいくと同時にミリーがフライアウェイしてきた。

俺から見たら随分右側だし支えんのムリそうだから見送ろう。うん。

ゴロゴロ転がるミリー(なにがし)は、ついさっきまで青系の金属で補強した革鎧を装備していたハズだが、現在は鎧がほぼほぼ剥げてるご様子だ。てかブルーのショートパンツとかどこいった?膝当ても見当たらないし何がどうしてそうなったん?


「見たとこ怪我もかなり多そうだな。あとで余裕があれば助けてやるか。その前にまずは豚をやらんとだな。」


《はい、マスター。<オーク>はゴブやウルフと違い、体皮も筋肉も硬く脂肪も分厚いです。ご注意ください。》


「おk。つまりは俺の物理攻撃じゃ普通にムリってことだな。『炎弾』で刺さりそう?」


《貫通特化なら刺さるでしょうが爆発特化では難しいでしょう。》


「そんな固いの?脳筋は魔法に弱い設定どこいったし。」


《それはゲーム世界の設定ですね、マスター。》


「ピゴオオォォォォ!!お、おお、お、おでの!おでのぶぶぶが!ぶかがああぁぁぁああ!!」


ドスドスドスドスとアホみたいにうるさい足音を立てながら豚が飛び出してきた。てか足音よりも更にうるさくて喧しい叫び声にうんざりしまくりな今日この頃。この距離でこれ?勘弁してくれって。

その手には巨大な丸太を持っていらっしゃって流石の膂力というかまさにファンタジーなスーパーパワーというかがそのぶっとい腕にあるのだろうとの予想が容易につく。だが、それ以上に驚きなのは見た目だったりした。マジ見ためにびっくりしてるんですけど・・・。


「か、カナデさん・・・俺の中でのイメージが音を立てて崩れ去っていくんだけども・・・?」


《奇遇ですね、マスター。カナデの中にある<オーク>のイメージ映像もかなりのブレを感じます。情報(データ)との乖離(かいり)が激しすぎます。》


豚の鳴き声そのままでムリクリ叫んでる超近隣迷惑な<オーク>さん。俺の中でのイメージは、ドラ○エシリーズとか少し前のラノベの挿絵にあったりするイノシシ顔に毛深い体表を持った筋骨逞しい150cmcmくらいの猪豚男が鉄板だったりする。

もしくは緑色の肌のこれまた筋骨逞しいマッチョボディを惜しみなくさらけ出してくる無駄毛も毛根もないツルピカ系ブ男~口元の牙あたりが猪っぽいテイスト風味仕立て(200cm前後)~の、一歩間違えるとオーガの緑色版(角がないVer.)ぽいのとかが頭をよぎる方々も多いんじゃないかと思う。

しかしながら目の前の<オーク>はそのどちらでもなかった。まずは身長。イメージの中ではせいぜい2mだが、彼は3m超えてそう。どうやって建物の中に入ってたんだよと突っ込まざるを得ない俺をどうか許してほしい。だって、立ち上がったら建物より大きいんだもん。おかしいんだもん。

ついでにいってそのお手てにある丸太もおかしい。さっき同様その建物の大黒柱とかより大きいんじゃね?って疑問を抱かざるを得ない。いったいどこにしまっていたのやら。未来型猫耳失くしたタヌキっぽいどにでも四次元空間布袋でも借りてたのか?もしくはスモール光線(ライト)でも借りてたのかと問いただしたい。

折角言語を操れる個体のようだし、その辺りも含めてきっちりかっちり小一時間ほど尋問してやりたい。それに、<オーク>といえば醜い顔はアイデンティティだと思うのだが、どうやら彼に顔はないらしい。顔無し・・・か。これ以上の疑問を増やさないでくださいお願いします。あなたいったいなんなんですか?


「非常に不愉快な生物だな。いや、生物なのか?どちらにしてもついさっきまでの感知系スキルで確認してた情報と違い過ぎてキモ過ぎる。」


《同感です、マスター。眼に毒ですので早々に始末をつけましょう。》


問答無用で謎い生物へ向けて、爆発特化型を貫通特化型へ変換してから『炎弾』を3発放つ。いちおうしっかりと狙いを定めて基準点を構築(サテラルピット)を脳天に直置きしておいたのは、俺の中の何かがコイツを許せなかったからだろう。

すぐさま俺の憤りとツッコミ精神が満載の『炎弾』が<オーク>のようなわけのわからない物体へと突き刺さる。


ボボボッ


狙いは寸分も狂うことなく<オーク>の頭を貫いた。額に3カ所も風穴あけて生きていける生き物は流石にいないだろうし、これにてボス戦は終了と相成るハズが、何故か<オーク>は倒れない。なんで?


「頭に『炎弾』受けといてなんで倒れないんだ?まさか、抵抗(レジスト)されたのか?!」


《いいえ、マスター。『炎弾』は確かに刺さっています・・・が、何やら魔力の波長がおかしいです。》


「元々コイツはおかしいとこだらけなんですけどー!これ以上おかしな出来事披露してくるの?もう俺お腹いっぱいだから帰りたいんですけどー・・・。」


「ギィ・・・ゲッギョイ。ゲゲグギョギョゴヨオオオゴグギガアアアァァァ!!!」


気持ち悪い叫び声と共に、なんと<オーク>の身体が縮み始めた!なになに?!どうなってるの??


「か、カナデさん・・・この世界のモンスターって変わった生態してるのね?なんだか縮んでいってるような気がするんだけど?」


《このような変化をする生物は情報(データ)にありません。この個体特有のスキルか何かでしょうか?興味が湧いてきました。》


「興味は持ってもいいけどさ、俺の『炎弾』が効かなかったことに対しては何かないの?案外ヤバいと思うんだけど!」


《頑張ってください、マスター。》


「励ましゃいいってもんでもないでしょ?!投げ遣りすぎるんじゃないですかー!!!」


カナデさんとトークを楽しんでいたら<オーク>の身体が急速に縮んでいって、ついにはどこに出しても恥ずかしくないいっぱしの<オーク>のような見た目のモンスターが現れた。ちゃんと肌はくすんだ緑色だし、口元に牙が見えるし、豚のように鼻が突き出てるし。うん。


「身長は190cmくらいかな?ここら辺の<オーク>の平均身長を知らないからなんともいえないけど、普通の<オーク>の姿かたちに大分寄ってきたのかな。無駄毛ない系だね。」


《はい、マスター。見た目の上ではカナデの情報(データ)通りのブサイクな顔に見えます。このブサイクな面立ちは間違いなくブサイク、いえ、<オーク>です。》


いくらなんでも<オーク>の細工の悪さを気にし過ぎだろうと思う今日のカナデさんだった。案外面食い?思えばうちの娘達に対して優しいのもそこら辺から来てるんじゃないかって勘繰っちゃうんだけど、深くは考えない方がいいような気がしないでもない。


「カナデさん、人間見た目だけが全てじゃないんだよ?確かにイケてる面構えの方が観てる分にはいいのかもしれないけど、内面も大事だと思うんだ。うん。」


《つまり、人間は内面の良し悪しも考えて総合的な評価をするべきということですか。醜い顔面を持った魔物はこの世に出現した時点で内外共に絶望的であると。流石はマスター、辛辣ですね。》


「あ、あれ?そんなこと言ったつもりはないんだけど・・・おかしいな?」


日本語って難しいなって思った瞬間だった。

お読みいただきありがとうございます。

テトにゃんのお腹に穴が!!なんとか治したみたいですが、中身大丈夫ですか?心配です。

それにミリーちゃんも放置しすぎたせいでボロボロじゃないですか!ソウ君!もっと早く助けてあげて!って思うのは私だけでしょうか?


次回予告

VS豚

VS黒

VSピンク

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