ミリーを追ってどこまでも 昼の喧騒の続き
感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)
新規ブクマ登録者様が1名様いらっしゃいました!ありがとうございます!
年始は休みだーと思っていたら先ほど上司から、「悪いけど元旦出てくんね?」と言われた私は頷く他ない哀れな歯車さんでした。
腹いせに1日中執筆してやろうと心に決めましたが、なにか?!(くぅっ)
読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第45話を投稿させていただきますー!
これからも皆様が楽しんでいっていただけると幸いです(*´∨`*)
前回のあらすじ
テトにゃん型抱き枕(非売品)
空っぽでのってるだけの頭
鼻息荒男君現る
フラグの回収主は、みんな大好き鼻男君。もとい、鼻息荒い系男子である。ずっと飽きることなくせっせとモンスターの死体を損壊していた彼が「お、俺は死なねぇ!死んでたまるかぁ!」などと叫びながら森の奥へと突撃ドキュンし始めたのだ。いったい何がしたいのか全くの意味不明である。謎いな?
それにつられて空気君こと空気になっちゃった系男子君が「ちょ、待てよ!待てよ!」と自身の持ちネタを披露しはじめる。似てないからやめた方がいいよという俺のツッコミを待たず、すぐさま鼻息荒い系男子を追っていった。
ここまでならまぁ別にどうでもよかったんだが、何を血迷ったのか何を考えているのか全く持って意味ぷーではあるものの、ミリー某がそのあとを追い始めてしまったのだ。
「ちょっと!これ以上深いとこなんて危ないわよ!戻りなさい!」
そう言うのならお前もほいほいついていかないでくれ。話しがドンドンややこしくなるし、言うほどお前強くないかんな?
「ソウ!ミリーが行っちゃうの!ウチも追いかけr」
「はいダメ―!」
「いにゃっ!」
駆けだそうとしたテトにゃんの腕をがっちりキープ!ちょっと引っ張りすぎちゃってひっくり返りながら我が胸板へカモーンしちゃったテトにゃん。
「ソ、ソウ?ミリーたち行っちゃうの!急いで追わないとなの!」
「テト!焦る気持ちはわかるけどいまはダメだ。こっちの態勢を整えないと追いかけても全滅する恐れがある。」
「で、でも・・・。」
「ニコ、少しテトに着いててあげてくれないか?こんな森の中で冷静さを失ったらマジ危ないからさ。」
「ん。」
「ありがと。そんで、あんたはどうするんだ?他の連中は行っちゃったみたいだけれども。」
「わ、私は・・・できればもう引き返したい。さっきの2人は臨時で組んだだけだからこれ以上は悪いけどもうムリだよ。私のパーティーももう、私しかいないしね。」
悲しそうな面持ちで亡くなった男たちに目線を落としている。どの程度の仲だったのかは知る由もないが、この人の泣きっぷりからみるにそれなりの付き合いがあったんだろう。
「そうか、わかった。ちなみに遺体はどうする?悪いが他に協力者がいないと外まで運ぶのも困難なんだが。」
「わかってるわ。2人のギルドカードだけ持って私が街へ引き返すことにするしかなさそうだものね。」
言いながら横たわる彼らの懐をまさぐり、ギルドカードを抜き取る。それ以外にも、比較的持ち運びやすそうな品をいくつか手にして女は立ち上がった。
「遺品もこの程度が限界みたい。ホントは全部持って行ってあげたかったんだけど・・・ごめんね、2人とも。」
小さな声で謝罪を示すと、彼女はすぐに気合いを入れ直したようだ。
「ごめんなさい。今回は本当に助かったわ。私は戻ってギルドに報告をしてくるわね。」
「そうしてくれると助かる。俺らも少ししたら切り上げて戻るよ。あのバカ娘だけは人から預かってるから連れ戻さないとだけど・・・。」
非常に鬱陶しいヤツではあるが、バルムさんに頼まれてる手前見殺しにはできない。ただ、あのアホな男連中は別にどうなってもいいと思っている。生き残れるチャンスを自分から捨てたんだし、そんなヤツらまで面倒みてらんないもん。
「テト、少しは落ち着いた?」
「うぅ~、だいじょーぶ、なの。血の匂いで焦っちゃったの。いまはへーきなの。」
「血の匂い?・・・あぁ、そういうことか。それならまぁ仕方ない、かな?今後は少し気をつけてくれよ?近くにいてくれないと守れなくなっちゃうかもしれないからさ。」
多分テトは血の匂いで村が襲撃された時のことを思い出してしまったんだろう。心的障害とかで記憶の振り戻しとか?俺には専門的なことはわからないし経験ないから理解はしてあげられないかもしれないがせめて気遣ってあげるくらいはしないとな。お兄ちゃんだもの。
「・・・はいなの。ちょっと気持ちが昂っちゃったの。ごめんなさいなの。」
んんん?あれあれぇ?なんか思ってた返事と違うけど・・・?うん、まぁいいだろ。もしかしたら獣人の血がなんらかの本能的なサムシングを刺激しちゃったのかもしれないが、狂戦士とかそっちのフラグじゃないことを祈るだけ祈っておこう。
「ニコもね。さっきはモンスターの接近を教えてくれてありがと。」
「ん。」
ニコが頭をさしだしてきたので、優しく撫で撫でを堪能させていただく。撫でるという行為は受ける側もする側もとてもいい気分を味わえるとても優れた行為だと思う。
「さて、それじゃあバカ娘を迎えにいこっか。テト、ニコ、お手て繋いで歩けるかい?」
「はいなの。」「ん。」
女性冒険者と別れてミリーらのあとを追う。それなりの時間をグダグダと過ごしていたものの、数分進んだ先ですぐに先行しているヤツらと合流することができたのはよかったんだけれども・・・
「う、うわあぁぁ!!」
「ドンタクゥ!おのれ!ゴブリン如きが!許さんぞ!」
いったい俺は何を観せられているんだろうか?当人たちはきっと命のやり取りをしていて本気なんだろうが、なんかもうギャグにしか見えないな。ドンタク?とか言われたヤツが空気系男子君で、ゴブに憤っているのが鼻息荒い系男子だ。
どうやら複数のゴブに襲われて対処しきれなかったんだろう。空気君は利き腕を噛まれたご様子だ。その噛み付いてきたゴブに対して剣を振るう鼻男君。軽々とゴブを斬殺したのも束の間。今度は鼻男君の背中にゴブが2匹まとめて飛びついてきた。
「ぐ!くそ!舐めやがって!ゴブリン如きに!死ね!死ねぇ!」
肩や腕に噛み付かれながらも奮闘する鼻男君。セリフの言い回しがいちいち劇っぽくて危機感がなくなるから是非ともやめていただきたい。
「ベンタクゥ!畜生!このっ!このぉ!」
一方で鼻男君を助けようと頑張る空気君。利き腕を負傷しながらも懸命に剣を振るうその様は、観客に受けそうなご様子だ。・・・でもね、全然当たってないからむしろ危ないよ?
面倒だがとりま助けるか。ロングダガーを抜いて、落ち着いてゴブの首を切り裂く。こっちを全く認識してないゴブ程度なら簡単な作業なんだけど・・・鼻男!切りにくいから動くなって!
「ゲゲ」「ガギャ」
「き、君はさっきの!すまない助かったよ!」
「いやいや、困った時はお互い様でしょ。それより怪我大丈夫か?深いかどうかはわからんが、血の匂いはモンスターをおびき寄せちゃうから早く止血だけして帰った方が良いよ。」
「ウルサイ!貴様のような女に何がわかる!こんなザコ共にいいようにされてはこのベンタクの気がおさまらん!つぅっ!」
「ベンタク!傷がヒドい!ムリはよすんだ!もう引き返そう!俺達は十分戦ったじゃないか!」
「いや!ドンタク!止血剤をよこせ!」
なんかグダグダやってんなぁ。なんでモンスターが沢山いる敵地ど真ん中でこんな喜劇が披露できるのかまったくわからん。てかミリーはどこだ?
「ところでさ、赤茶色の髪の娘がこっちこなかったか?丸顔で緑目だった気がするちょっと喧しい女の子なんだよ。多分あんたらを追ってたと思うんだけど?」
「・・・知らん。」
「はっ?」
「そんな女など俺は知らんと言っているんだ!」
「知らんってどういうことだ?」
もう1人の空気君にも聞いてみる。
「いや、ここは正直に話すべきだよ。ベンタク。」
でもとかだけどとかと言い争いを続けられているが、ぶっちゃけそんな葛藤とか無くてもどうでもいいんだけど。
「・・・実は、その少女なんだけど、確かに俺達を助けに来てくれたんだ。だけど、俺達にはどうしようもなくて。見ただろ?この大量のゴブリン達を。」
よくわからんが、大量のゴブリンに襲われたから何かしらの仕方がない事案が発生したらしい。ゴブリンゴブリンっていうけど、こいつら<ピクシー・ゴブリン>だから生粋のザコだよ?しかも大して数いないじゃん?
「言ってることはなんとなく理解した。それはそれとして、とにもかくにも俺たちはその赤茶色の髪のバカ娘を追ってるんだが・・・。」
「知らんと言っているだろうが!これ以上言うならこのベンタクが貴様を切り殺・・・ぞ?」
「はぁ~、これ以上言うならなんだって?俺ってば急ぎたいから、加減をするつもりないよ?」
鼻息荒い系男子へ向けて『炎弾』の1つをゆっくりと近づける。かなり繊細な作業なので正直打ち抜いた方がずっと楽だったりする。
「い、いや。なんでもない。そうだ!そ、その娘なら森の更に奥の方へ走って行ったぞ!なぁ!ドンタク!」
「そ、そうだった!そうだったね!ベンタク!たしかそっちの方ひぇっぴゅ!?」
「俺さ、左手って利き手じゃないんだよね。もしかしたら手元が狂うかもしれないんだけど、いまの返事でいいのかな?」
空気読めない系男子君の首元にロングダガーを押し付ける。もう切っちゃってもいいのかもしれないと心の中の天使がささやく。悪魔は燃やせと言ってくるんだが、魔力がムダになるからその案は却下だ!
「ごごごごごめん!なさいっ!実はゴブリンの群れに襲われた時に身代りにしたんだ!それで大半のゴブリンはその子の方へ流れていってゴブァッ!!」
「いっててて。とんだクズだな。」
ロングダガーを握りしめたまま空気君の顔面を殴りつけてしまった。殴ったお手てが思った以上に痛いんですけどー。ムリなんですけどー。(涙)
「おい、ベンタクとかいったか?コイツを連れてさっさと森から出ろ。お前らに限り次に見かけたらゴブリンだと勘違いして打ち殺す予定が、立ったいま俺の中に生まれた。言ってる意味、わかるよな?」
「わ、わかった!おおおれ達だってこんな物騒な森なんかにいつまでもいたくねぇよ!ドンタク!帰るぞ!」
「いへぇ。おえのひゃにゃ。おれのひゃにゃ。」
鼻息荒い系男子が空気読めない系男子を小脇に抱えてダッシュして帰っていく。いちおうその様子を見届けてからにした方がいいんだろうけど、生憎とそんな悠長な時間もないかもしれないからすぐさま出発の号令を出す。
「テト、ニコ、聞いた通りだ。ちょっと急ぐぞ!」
「はいなの!」「ん!」
大量のゴブに連れ去られたって言ってたから、足跡を頼りに追跡を開始する。俺に追跡術の心得はないので今回のナビゲーションもカナデさん任せだ。
《マスター、前方から<ウィード・ウルフ>が来ます。総数・・・9!》
「んむ~、急いでる時にやめてくれっての!」
対象はまだ距離的に遠く、この窪地を越えた森の奥からこちらへ駆けてくる形だ。木々の間を列を成して迫ってきている点だけは、こっちとしては好都合だ!
「基準点を構築 ニュー クシー 15 16 我が敵を射ち貫け」
《マスター、射軸に角度がつきすぎてしまいます。発射角を消してください。》
「りょーかい!この岩が手頃かなっと!炎弾 発射!!」
手近な岩を足場にして、射出の高さをウルフ達に合わせて『炎弾』を発射する。
キュキュン
ボボボボボボボボボッ
仲良く並んだウルフ達を二筋の赤い光が貫いていく。
「よし!全個体に命中かな!」
《お見事です、マスター。》
「ちなみにミリーが連れられて行ったのはこの方向で変わらず?」
《はい、マスター。このまま直進です。》
降りた所よりもなだらかな坂道を駆けあがり、ようやく窪地を出る。出たとこには先ほどのウルフ達が倒れてたり頑張って起き上がろうとしていたりしたので、俺とテトにゃんでせかせかと忙しくトドメを刺していく。何気にテトにゃん初討伐かな?
終わったらすぐさまダッシュだ!運動が不足気味な今日この頃だが、レベルが上がっている影響か思ったほど息は上がらないで走り続けることができるようだ。怪我してた左脚は思うようについてきてくれないが、それは仕方ないと諦めておこう。
《マスター、前方に見えるのが。》
「あぁ、ちょっと暗いがこれくらいならまだ見えるな。ここが巣か?」
《どうやらそのようです。》
「テト、ニコ、ちょっと数が多そうだ。後方の注意を任せてもいいか?」
「うん、なの。」「ん。」
森の中が暗いので詳細はまだ見えない。だが、どうやら簡易的な集落のような作りになっているようで、簡素な柵で囲われた村のようなものが見えた。家だと思われる粗末な建物は、木の枝やらなんやらを支柱にして葉や枯草を使って屋根や壁にしているようだ。
もしかしたら見えないだけで土壁とかもあるかもしれないが、その辺りは誤差だと思うのでスルーしよう。それよりも重要なのは、この村(仮)の住民だと思われる連中が問題だ。
「<ヌグリイ>、<ピクシー・ゴブリン>、<ウィード・ウルフ>、<バルボル・ビー>、それに初めてみるイノシシみたいな個体もいるな。」
《<ピアド・ボア>ですね。牙ではなく、鋭い角が特徴的な魔物です。成体でも100cmほどとそれほど大きくはないですが、その分機動力に優れる厄介な種類です。》
「マジか。イノシシは生命力強そうだな。これはちと骨が折れそうだ。」
それにしても数も種類も多いってのはいったいなんなんだ?これだけの種類がひしめき合っているいるのに、争う様子は見られない。けどなんとなく落ち着きがない気がするのはなんだろう?
「ソウ、ミリーはいるの?」
「まだ見つけられてないな。ゴブの足跡的にはこの集落で当たりなんだろうけど、粗末な建物もあるから中にいたりすると外から見ることは難しそうだ。」
ざっと見渡すだけでも総数100は超えそうだな。こんな数相手にどうしようもない気がしてきた。『炎弾』も残り14発。経験的にあと1回は補充できるけど、それでも44発か。
「残弾数も心許ないが、いつもより条件式複雑にしてる分の消費魔力が気になるな。基準点を構築はただのマーカーだけど、数使えばその分消費しちゃうもんなぁ。」
《『炎弾』の保持と基準点を構築はほとんど魔力を消費してません。現状だと自然回復量と釣り合いが取れていますので、問題なくあと1回は『冒険級火魔法』の行使は可能でしょう。》
「やっぱりあと1回か。」
遠方からの制圧射撃とかで安全に行きたいが、無駄弾撃てないし基準点を構築は感知系スキルの範囲内じゃないと設置ができない。その上、距離があるとその分魔法の威力が下がるから貫通力が足りなければまとめて倒せずに接近戦を強いられる・・・と。困ったな。
「少し近づいて先制攻撃しまくるしかないか。」
モンスター集落からざっくり40m程の距離まで近づいてからテトとニコを樹上へと移動させる。多分下にいさせるよりはいくらかマシだろう、と思いたい。<バルボル・ビー>とかに襲われたら意味ないから優先して叩き落とさねば。
「ここから狙い撃つ。2人とも、下に降りてきちゃいけないよ?ちゃんと守るからさ。」
「・・・わかったの。」「ん。」
テトにゃんが不安そうだな。ミリーのことが心配なのか?それとも普通にモンスターが沢山いるのが怖いのか、それはわからんが早めに済ませられたらいいなと思う。もし倒しきれなかったら全滅するのはこっちかもしれないしな。気合いいれてかないと!
「基準点を構築 オミクロン パイ 17 18 我が敵を射ち貫け」
まずは集落からはみでちゃってる<ウィード・ウルフ>達を狙う。柵の開いた入口っぽいところで塊になってるからギリ感知範囲内だし。
「炎弾 発射!!」
キュキュン
ボボボッ
キャウンキャウンと悲鳴が聞こえはするが、そんなのに構ってる暇はないと言わざるを得ない。流石に野性味全開の彼らはすぐに俺の存在に気付いたようで、全力ダッシュでこちらへ向かってくるからだ。猫まっしぐら並に早いな。
「てかなんで他のモンスターまでトレインしてくるの?!ここのヤツらは全アクティブなの??」
これがMMORPGなら完全に釣り失敗でオコ祭りorボコ確定である。それともリンク個体撃っちゃったのか?!
《マスター、逆に好都合です。列を成しているのならまとめて叩けます。》
「そうはいうけど圧力パないって!!基準点を構築 ロー シグマ 19 20 我が敵を射ち貫け 炎弾 発射!!」
二筋の赤い光が列になって突き進んでくるヤツらを貫いていくが、後続全部を貫けていない!火力も足りないが横に広がってるヤツらもいやがる!
「21 ~ 26! 我が敵を射ち貫け 炎弾 制圧発射!!」
迫りくるモンスター達へ向けて横一列に並べた『炎弾』を発射する!少し広がり始めていたヤツらも含め、ほとんどを射線へ入れることができた!
キュキュキュキュキュン
ボボボボボボボッ
「残弾装填1つの弾よ在れ! 我が敵を射ち貫け 炎弾!!」
残りの弾を全指定してから順次呼び出す術式に変更だ!早くも捌き切れなくなってきたっぽい!
《マスター!11時!ゴブ1!来ます!》
飛び上がり棍棒を振るってくるゴブに対して腰のロングダガーを抜き放ち突き込む!
「おおぉっ!」
ドスッ
「ギギィ」
ゴブの棍棒が振り下ろされるよりなんとか早く、ロングダガーがゴブの眉間に突き刺さる。てかいくら脆いって言われる<ピクシー・ゴブリン>でも流石に紙装甲すぎないか?!
《マスター!2時!ウルフ3!横列です!》
「基準点を構築 タウ 発射!!」
左端の個体のアゴにマーキングを施しすぐさま『炎弾』を発射する。キュンっといつもの赤い光が飛んでいき、3匹で横並びになっているウルフを1つの線が貫いていく。
「バウガウ」「ガッ」「ギャウン」
「1つの弾よ在れ!」
次弾を装填!都度弾数指定しなきゃいけないのが難点だけども制御が格段に楽になるのが利点だ!
《マスター!9時!仰角30!丸蜂7!》
「基準点を構築 ウプシロン 発射!!」
7匹全部を狙うことは不可能なので、とりま4匹を叩く!過半数を叩いたにもかかわらず、動じることなくテトにゃんたちの方へと近づこうとする蜂共へ、続けて『炎弾』をお見舞いしてやる!寄るなクソ虫!
「1つの弾よ在れ! 基準点を構築 ファイ 発射!!」
キュボボボッ
思った以上にギリまで迫られて焦ったがなんとか打ち落とせた!
《正面12時!<ピアド・ボア>3!》
マジか!残弾数1の時にこいつらを相手にするとかマジ無茶ブリなんですけど!しかも横列にも縦列にもなってないじゃん!
「1つの弾よ在れ! 発射!!」
3匹バラバラに突っ込んでくるイノシシ共に対して、射角を合わせるために自身のあんよでダッシュし『炎弾』発射!先頭と最後尾を撃てたが1匹残るんだよなー!くっそー!
「体長はそんなでもなくても重そうだよ!マジでガムバレ!ロングダガーちゃん!!」
どうにか俺にツッコミを入れようと迫りくる<ピアド・ボア>に対し、『視覚強化』されたぱっちりおめめで良く見ながらタイミングを見計らう。イノシシ野郎の先っぽが手を伸ばせば届いちゃうってくらい目前で、反復しない横跳びをもってして避ける!同時にイノシシ野郎の身体へロングダガーちゃんを突き立てる!
「くそ重す!!いってぇ!!」
手首ごと持ってかれるかもってくらいの激痛が走り、手を弾かれてしまった!ロングダガーちゃんはイノシシの腹に刺さったまま持って行かれちゃった!
「やべっ!丸腰じゃん!?」
「ソウ!危ないの!」
「テト?!」
樹上からテトにゃんが飛び降り双剣を<ピアド・ボア>へと突き立てる!
「ピギイィィィィィ」
双剣を突き立てられながらも暴れるイノシシの勢いに負け、テトにゃんが降り飛ばされた。
「あうっ!!」
地面に放り出されたテトにゃん!イノシシが追撃をかけようと前足で地面を抉っている。
「させるか!」
イノシシ野郎の背後から飛び乗り腹に刺さったロングダガーを引き抜く!んでもって再度心臓目掛けて刺す!刺す!刺す!!
「ピゴオオォォォォ」
「はぁ、はぁ、はぁ。や、やったか?てフラグは自重しなきゃな。テトは?!」
「へ、へーきなの。」
よろよろと立ちあがるテトにゃんの姿が目に映る。どうやら大きな怪我はないようだ。
「よかった!でもムチャしすぎだって!早く樹上に戻るんだ!」
「だ、だって・・・ソウも危ないのに見てられないの。」
「俺は大丈夫だから!ほら、無傷だし!」
《マスター、後続が迫っています。》
「もうかよ!うぐぅぅぅぅ・・・。しゃーない!テト!双剣回収してこっちへ来るんだ!一緒に迎え討つぞ!」
「は、はいなの!」
双剣を<ピアド・ボア>から回収したテトにゃんと共に、初めにいたニコが樹上生活を営んでいる木の元へと急ぐ。
「こいつらは死んでるかどうかわからんからきっちりとトドメを刺しておかないとな。」
倒れているモンスターへ次々とロングダガーちゃんを突き立てる。テトにゃんも嬉しそうに命の刈り取り作業に勤しんでいるのだが、我が家の教育方針は果たしてこれでいいのだろうか?という疑問がフツフツとこみ上げてくる。
「でもまぁ、蝶よ花よと育ててもこんな世界じゃ仕方ないから別にいっか。」
既にここへきて30を超える数を倒しているのに後続はまたさっきと同じかそれ以上の数がお目見えしているように見える。これはマジでヤバいかもしれないな。ちゃんと剣術スキルとか取っておけばよかったかもしれない。そしたらMP節約しながら戦うこともできたかもしれないのに。
「術式 冒険級火属性 実行!火の精霊よ!!我が魔力を糧に、30の炎弾を成し、回り、廻れ!」
残りの魔力を注ぎ込んだ『炎弾』を作り出したはいいが、やはし物凄い倦怠感と若干の吐き気が襲い掛かってくる!
「うぐぅ・・・。やっぱ1日2度はきっついな。」
「ソウ?だいじょーぶなの?!」
「んむ~、ちょっとキツいけどだいじょーぶなの。ちょっと魔法使いすぎちゃっただけだから、怪我もなければ病気でもないよ。それよりテトは俺の前に出ないようにしてね?『炎弾』が当たっちゃったらシャレにならないからさ。」
「はいなの!気をつけるの!」
「うん、いいお返事だ!」
それが逆に心配になる気もしないでもないけど、いまはそんなことも言ってられないからテトにゃんを信じるとしよう。そうしよう。
「じゃあ、俺の準備はあとこれかな。全弾装填 我が敵を射ち貫け 炎弾!!」」
今度は初めから全弾を指定して弾倉扱いにする。これによって面倒な詠唱が大分短縮できるし、同じ条件式だからいくらか魔力消費も抑えられると思いたい!
《マスター、今度は<ヌグリイ>とゴブが大半を占めているようです。体躯が小さいので注意して対処しましょう。》
「だな。さっきよりもまとめて倒せないかもしれないから、気を引き締めて取り掛かろう。テト!相手は素早いし小さいから、もし捌けないと思ったら迷わずに引くんだぞ!俺もその時はすぐに引くから!」
「はいなの!わかったの!」
さっきから同じようなお返事が返ってくるけど、ホントにわかってるのかな?それなりの不安が胸をよぎる。ミリーのことをバカだのアホだのと散々思ってきたが、この世界はあまりものごとを考えない性格が多いのだろうか?
《マスター、そろそろ列を成してきました。間引きましょう。》
「そうだな。考えてもわからないことは後で考えるようにしよう。」
ガチャガチャした歯を剥き出しにして近寄ってくる謎い生物の<ヌグリイ>が30程、それから醜く汚らしく臭いゴブが20ちょっとくらい、更にオマケ程度にウルフとイノシシが後続につこうとしているご様子だ。50超えてんじゃん。
「4つの弾よ在れ! 基準点を構築 カイ プサイ オメガ ズィータ」
《カウント4!3・2・いまです!》
「はいよ! 発射!!」
キュキュキュキュン
四筋の赤い光がモンスターの軍勢に突き刺さり、数多くの断末魔を生み出す。即死するほどじゃないダメージしか負っていないモンスターが大半なタメ、その叫び声は凄まじく五月蠅い。耳が痛いし肌にビリビリくるレベルである。記憶の中で該当する音なんか領主家の娘さんのエリザベード嬢と工事現場くらいなもんだ。
そんな居心地の悪そうな空間から、いくらかの個体が仲間?を乗り越えやってくる。中には無傷のヤツもいるかもしんないから注意が必要だと思われる。
「2つの弾よ在れ!基準点を構築 アルファ ベータ 発射!!」
仲間の死体やら蹲ってる連中を乗り越えるタメに通る際、道のようなモノが出来上がってしまう。けもの道と同様で、何かが通ればそこは踏み固められたり余計なモノを除けたりして後続が通りやすくなる。雪道なんかでもそうなので想像は容易い思うが、俺的には大歓迎である。
何故なら皆が同じ場所を通るせいで嬉しいことに列ができあがるのだ。つまりは恰好の餌食というわけで、大した労もなく次々と打ち倒すことに成功してしまっている。こんな楽で美味しい攻撃を数回繰り返すと、すぐに動けるモンスターはいなくなってしまった。
「高効率最高だな!こんな感じで狩りができればどれだけ楽か。このままいけば一方的な勝利でうっはうはだ!」
「ソウは強すぎるの。ウチ出番が全然ないの。」
「いや、出番はちゃんとあるよ。動けなくなっただけで全部倒したわけじゃないしね。これからさっきみたいにトドメを刺すだけの簡単なお仕事に励まないとなんだよ。」
「それならウチにもできるの!やらせてほしいの!」
「んむ~、そこまでいうならいいけど、今回は多数のモンスターがひとまとめになっちゃってるから気をつけるんだよ?もしかしたらまだ元気なヤツとかが飛び出してくるかもしれないから。」
「わかってるの!ちゃんと気をつけながらしっかり手伝うの!」
なんでそんなにテンションが上がってるのかわからないが、ヤケにイケイケなテトにゃんがそこにいた。なんだか少しずつテトにゃんの将来が不安になるけれども、優しい娘だし特に暴力的でもないしこのままもう少し様子見の方向性でラストアンサーでいいかな?いいよね?
考え事をしながらも着実にモンスターへトドメを刺して回る。数が多いからか、やはしそこそこ元気な個体が多いようだ。特にこのイノシシなんか足をやられてなかったらまだ動いてたんじゃね?ってくらいに元気なんだけ「えっ?」ど?
「テト?どうした?」
テトにゃんの驚いた声が聞こえてきたのでそちらへと首を回すと、勢いよくテトにゃんへと突き刺さる<ピアド・ボア>の角が見えた。
お読みいただきありがとうございます。
戦闘シーンの大半が魔法戦闘になってますね。しかもその戦闘方法が射撃や狙撃に近い感じでしょうか?軍事方面に明るくないのでその展開はやめてほしいです!作者がついていけません!
なので、もっと剣とか肉弾戦とかで頑張ってほしいと思うのは我がままなのでしょうか?
次回予告
殲滅戦
衛生兵
回収




