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忍び寄るというよりも駆け寄るタイプの恐怖

感想、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

読んでくださる全ての方々へ感謝の祈りを捧げながら、本編第43話を投稿させていただきますー!

これからも皆様が楽しんでいっていただけると幸いです(*´∨`*)


前回のあらすじ

門兵ハッスル

こっそりポーション

新キャラの名前覚えなきゃダメですか?

ミリー(なにがし)を押し付けられる発言から早数分。いまだにバルムさんとお話し合いをしているから俺ってばいまマジ空気っす!腹も膨れてマジ食う気になれないっす。


(ないな。俺にラップ系の才能はどうやらないらしい。)


《はい、マスター。皆無を通り越して既にマイナスですね。マリアナ海溝が浅く見えるほどのマイナス点を付与してもまだ足りないかもしれません。ですので、カナデをプロデュースする際は是非違うテイストの曲調でお願いします。》


(特にボカ○Pになる予定はなかったのにここまでディスられると・・・なんか逆にやる気になってくるな!むしろ初めに作るのはラップ系の曲にするか?人間には実現不可能なほどの超速ラップ曲とかどうだろうか??)


最近カナデさんにディスられなじられ蔑まれ、新たなトビラが開かれようとしている自分を感じたのでとりまその波に自らダイブする方向でいってみよう!やってみよう!な気分になってきた!


《楽曲については作品を精査してから考えたいです、マスター。ただ、そちらのトビラを開くのでしたらカナデはそれでも構いませんが、幼子を連れているのですから自重していただければと思います。》


(んむ~、確かに小さな子供の前で魅せるには少々教育に悪いというかきっとダメなヤツだな。その辺の兼ね合いを考えながら自分探しをしていこうかと思う。)


俺が自分の才能と性癖について思いを馳せていると、ようやく話し合いが終わったらしくバルムさん達がこちらを向き直してきた。ミリー某が非常に不満そうに、あからさまにイヤそうな顔をしている。態度からして納得のいく結果じゃなさそうなんだが。


「ソウさん、ミリーとの話しはついたからね。悪いが何日か預かって面倒を見てもらいたい。」


「ちなみにそれって俺のメリットは?なんか急に爆弾押し付けられたみたいで落ち着かないんだけど。」


「ば、爆弾って何よ!あたしはそんなに危険じゃないわよ!!」


「こらミリー!少しは落ちつきなさいな。すぐにカッカッするもんじゃないよ。それじゃあ戦闘にだって支障が出るさね。」


「だって、だって・・・。」


「ソウさん、この子は普段はこんな感じだけど戦闘に関しては光るモンを持ってるんだよ。それに力も強い。前衛に使ったって、荷物持ちに使ってくれたって構いやしないんで、暫くの間頼めないかねぇ?」


「荷物持ち・・・ねぇ。」


正直俺としてはやっぱりお断りしたい案件である。俺自身に秘密が多いのもそうだが、何よりこのミリー某を信用することができそうにない。特に暴力とお(ツム)に関しては壊滅的だ。

もしまかり間違ってエロハプニングなんかを起こしでもしたら、彼女の悲鳴とともに俺の頭やらなんやらが周囲へと物理的に広がっていくだろう。脳漿炸裂まったなしである。

だが、荷物持ちとしては恐らく優秀だと思う。力は強いし自衛もできそう。となると、探索中のテトたちの肉壁になってもらうって選択肢が出てくるな。そんな風にテトたちを基準で考えてみると、なかなかどうして何気に魅力的な提案に聞こえてくるからあら不思議だな。


「そのミリー?とやらが全然反省してる様子がないのが難点だけど、こちらとしてもメリットがあるのは理解した。でもなぁ~こんな調子で暴力振るわれてたら俺の身体も保たないし、何より妹たちに危害が加えられそうで心配なんだよなぁー。」


「そ、そんなこともうしないわ!あたしが小さい女の子を叩いたりするわけないじゃないの!」


「まったく信用ならないってわかってる?お前は初対面の人間に殺人パンチをお見舞いして、しかもそれを反省しないっていう快楽殺人者レベルの危険人物だぞ?自覚ないって怖いわぁー。」


「人を殺したことなんかないに決まってるじゃない!!怪我はさせちゃったけど、アンタ生きてるじゃない!」


どうやらコイツの中では、殺人行為そのものは失敗しても罪認定されない行為らしい。完全なるサイコパス発見である。


「バルムさん、コレってホントに預からないとダメ?頭がヤバすぎるんだけど。」


「・・・いちおうこれ以上の危害を加えることはないと言いたい所なんだけどね。あたしもこればっかりは自信を持てないってのが頭の痛い問題さね。ただ、ここで断られちまうと、ミリーを投獄するか逆らえない様に【隷属の首輪】をさせなきゃいけないってなるからねぇ。」


「そ、そうなの?!」


「さっきも言ったじゃないか。ミリー、アンタはいまソウさんの温情によって捕まっていないだけで、本来はこうやって外になんかいられやしないんだよ。そういうところ、もう少しちゃんと考えてくれないかねぇ。」


散々説明したり宥めたりしたんだろう。バルムさんは相当お疲れのご様子だ。一方ミリー某は今日も元気いっぱいに、話しを聞かぬ存ぜぬ右から左へスルー状態だ。いったいなんの為に頭が乗っててお耳がついているのやら。使わないなら捨てちゃえば?


「個人的にはもう衛兵に突き出してもいいんじゃないかと思い始めてるんだが、それをやるとバルムさん達『城砦の矛』メンバーにも迷惑かかるんでしょ?」


「・・・まぁね。けど仕方ないのかもしれないね。これは、あたしの責任でもあるんだからケジメをつけるって意味でもやらなきゃいけない気がしてきたよ。」


「み、みんなにも迷惑が・・・?イヤ!あたしそんなのイヤよ!いっつもみんなに助けられてるんだもん!これ以上迷惑かけたくないわ!!」


なんなんだ?この子は亀か何かが脳を支配しているのだろうか?あまりにも遅すぎるこのタイミングでことの重大さを理解し始めたようだ。

何かのお話しで、亀は話しかけられたことに対する返事を翌日以降にするってのがあったが、まさか同じ類人猿と思われる二足歩行のホモサピっぽい生物がここまでとは・・・キャラデ○のジョークな毎日制作陣も恐れ(おのの)くことだろう。って、ネタがコアすぎて誰からも共感を得られそうにないことが頭に沸いてくるくらいに衝撃だな。


「その様子じゃ、今回起こったことの全容っていうか影響とかを全部理解するのは何日かあとになりそうだな。」


このあまりにもあんまりなポンコツ娘への対処で頭を悩ませる時間も、なんかもう勿体無くなってきたな。投獄でよくね?


「ん。・・・ソウ?」


「おっと悪い。起こしちゃったかな?」


「ん。へーき。」


俺のお膝の上でもぞもぞと体勢を整えるニコ。俺が動いてたもんだから、ちょっと座り心地が悪かったのかもしれない。


「ニコ、お腹空いてるならちょっとしたモン食べとくか?まだ芋?っぽい何かと謎肉のベーコン?みたいなヤツのソテー?と思われるのとか残ってるぞ。冷めたジャーマンポテトみたいなヤツ。」


「んん・・・。たべう。」


「っっっ・・・!!」


か、かわゆす!普段から少し舌っ足らずのニコが寝ぼけてグレードアップしてますもの!こ、これは萌える!特に幼女愛好の毛はない俺ではあるが、単純に子供を愛でる気持ちは人一倍だという自覚はある!

うとうとしながらも頑張ってご飯を食べるニコを抱えながら、ふとバルムさんを見てみると蕩けるような眼差しでニコを見つめている。母性本能直撃しちゃったかな?さっきまで戦士やリーダーって顔してたのに、いまや幼子を慈しむ肝っ玉かあちゃんにしか見えない。

その横で、ミリーとやらは眼を輝かせながらニコをガン見していた。若干ハァハァ息づかいが荒くみえるのはきっと何かを耐えているんだろう。怒られてたのにすぐさま子供を愛でたりしたらダメっていう葛藤・・・だったらいいな。うん。

少しばかり時間がかかったが、ようやくニコの食事も終えられた。膝に抱えてご飯をあ~んしていたから結構疲れたが、その疲労以上に得られた感動はひとしおだ。テトにゃんの方も様子を伺ってみると、お腹が膨れたせいかちょっとうつらうつらし始めていた。

うん、2人ともそろそろ限界みたいだし部屋に戻るとするか。


「うちの妹たちがもう限界みたいだからそろそろ部屋に帰るよ。別にミリーとやらを連れて依頼(クエスト)行っても構わないから、ここに留まる必要ないよね?帰ったら報告くれればいいよ。」


ニコを抱え、テトにゃんを支えて席を立つ。なんか返事とか待ってたら遅くなりそうだしとっとと部屋に戻ろう。そうしよう。


「か、階段きついな。」


2階へ上がる階段を前に、どうにもならない絶望感に襲われる。この状況・・・どうしろと?


(一旦ニコかテトをここにおいて、1人を部屋に寝かせてから戻るってくるとか?)


《それだと無防備な状態でどちらかを放置することになっておススメできません。特に、後方に危険人物が控えているので尚更です。》


「後方に?」


何気なく振り返ると、めっさ近くに赤茶色のツムジが見えた。


「うわっほい!!すぐ後ろに無言で立つなよ気持ち悪い!」


「か、可愛い・・・。」ハァハァ


「キモ?!幼女見つめてハァハァすんなし!完全有罪(フルギルティー)!マジ犯罪者!!下がれ変態!」


変態とニコの間に我が身をねじ込み距離をとる。ちょっとテトにゃんには悪いけど頑張って起きて階段を進んでもらう他ないな!


「テト!悪いが少し頑張ってくれ!部屋まで急ぐぞ!」


「ふにゃっ?!は、はい!わかったにゃん??」


アメイジーング!!ここでまさかのにゃん語・・・だと?!あまりの可愛さに一瞬思考が飛びかけたっ!なんて心臓に悪い可愛さなんだ・・・ってこんな可愛いテトにゃんを見たら変態(ヤツ)がパワーアップするに違いない!


「ね、ね、ねこにゃーもかわいいにゃー!!」


「テラヤバす!!近付くな変態!里に帰れ!」


「ふぐっ!」


咄嗟に変態のみぞおち辺りを蹴り飛ばす!こんなの相手に遠慮はしていられん!()(さま)感知系各種スキルの発動領域を全解放(フルスロットル)にして警戒レベルを引き上げる!


《食堂ではバルムが他のメンバーに取り押さえられているようです。応援は期待できそうになありません。》


「ちぃっ!さっきの蕩けた顔はそっちの意味だったか!」


悪態を吐きながらテトにゃんと階段を駆け上る!下の方から「あっ、見えそうで見えない!」とか聞こえるが絶対ダメなヤツだ!瞬時にテトにゃんを先行させ真後ろに位置取りする。「けほっけほっ。せ、せめてマントを脱いでよ・・・。」なんて言葉が聞こえてきた気がする。まさかの真性だな。おい。お巡りさんを異世界召喚しなければならないかもしれない!

ドタバタと自室へ飛び込み心許ないカギをかける!今日ほどこのトビラの薄さが頼りなく思えた日はなかった。こんなんじゃ『魔硬』が使えるヤツらの進撃を防ぐことなどてきないだろう。てか紙も同然と破り捨てられる未来しか見えない。


「テト、ニコ、大丈夫か?!」


「は、はいにゃの!けど、な、なにがあったの?」


「んー。んぅー・・・。」


ニコはもう寝落ち寸前というか、これ寝言で返事してないか?何気に器用だな。仕方ないからこのまま寝かせてあげよう。


「ちょっとばかし頭のネジがぶっ飛んで腐った上に病魔に侵された最上級の変態が出没しただけだ。あぁ、もしかしたらモンスターかもしれないからちょっと注意はしておこうか。」


「よくわからないけど、怖そうなの・・・。」


あぁ、あれは恐ろしい。というかおぞましいレベルにイっちゃってたな。まさか腐女子系のロリコンだとは思いもしなかった。この世界の闇は深すぎるだろう?なんだってこんなヤバいのがウロチョロしてるんだろうか。


「カナデさん、マーグル婆さんとこの結界の構成って覚えてる?もしくは俺の異世界知識にありそう?」


《はい、マスター。どちらも保持していますがどうしますか?》


「そうか・・・いや、迷ってる暇はないな!異世界知識の解放を頼む!」


《かしこまりました、マスター。それでは、『付与術師』の基礎知識と『結界術師』の知識を一部解放いたします。》


カナデさんが言うが早いか、真っ白な光を放つ魔方陣が2つ現れ例の如く俺の頭を攻め立ててくる。


キュイイィィィィ・・・ン


「あぎががががが!!うぎゅん!うぎゅん!」


突然頭の中身が外に飛び出しそうな痛みと違和感がしたかと思うと、次の瞬間には鈍器で頭をぶっ叩かれたかのような衝撃が脳天を貫いた!


「いぃったい!!いたいよマジで!もっと穏便に解放できないの?!」


《いいえ、マスター。解放には穏便な方法はありません。強いて言えば、地道に勉強をする他ありません。》


「解せぬ!しかもこれで一部なの?!全部きたら死んじゃうヤツじゃないの??」


建前上は授かった知識のハズなのに、普段は使えないし解放には極度のペナルティ的な現象がいちいち発生する。(じじー)(笑)から受け取った際にも随分な苦痛をしいられたのに、何故また更なる苦痛を享受せなあかんのだろう。納得がいかない。


《死には至らないと思われますが、程度でいえばまだ初級です。総てを解放するには更なる苦痛が待っていることでしょう。》


これだけの激痛なのにまだ初級とはこれいかに?!こんなの怖くてやってらんないな。


「うぐぅ。まだ頭がグラグラするけど、そんななこと言ってる場合と違うな。早速だがインストールされた知識を使って結界を・・・?」


なんだろう?インストールされて鮮明になった様々な知識達が俺に声宝かに教えてくれるこの事実は・・・。


「マジかよ!!こんな痛い思いしたのに使えないじゃん!!」


《はい、マスター。結界の作成には用意するべき物が多々ありますので現状では実現不可能です。せめてスキルを取得していれば多少は実現できたかもしれませんが。》


なんてこった。結界だったら魔法みたいにパパッと設置できるかと思ったのに、いまの俺ではできないことがわかっただけで終わってしまった。もっとも簡単に創る結界魔道具が魔石に直接魔方陣を刻むってことがわかっても、刻む道具もなければ利き手じゃないこの手ではぶきっちょすぎて描けやしないことがわかったのた。完全なるヤられ損。一気にテンションが下がるのを感じる・・・orz。


「もう・・・変態が来たら撃つか燃やすでいいかもしれない。」


心の内を吐露するのとほぼ同時に、コンコンとトビラをノックする音が響いた。

感知系スキルで補足していたが、変態じゃないな?大きさ的にはさっきまで近くにいたヤツっぽいな。


「んむ~、フッドか?なんのようだ?」


「いやいやいやいや!なんでわかったの?!俺まだ何も言ってなくないか!?」


適当に当たりをつけて言ってみたらビンゴだった。ヤダーこっちもビックリなんですけどー?


「安心してほしい、適当だ!」


ホントはある程度の予測もしていたが、そんなことはいまどうでも良いからスルーだスルー。


「ま、まぁいいか。何かしらのスキルか魔法か、はたまたそれ以外かはわかんないけど流石だね!ちょろっと話したいこともあるし、開けてもらってもいいかな?」


「それはできない相談だな。今しがた『城塞の矛(そちら)』のメンバーに襲われかけたところだし、できれば接触は控えたい気分だ。」


「あ~、それもそうだなぁ。なんだか迷惑ばかりかけてしまって申し訳ない!あの2人はちゃんと拘束してるし、今晩は見張りも置くから!ごめんね!」


「・・・手慣れてんな?日常事なの?」


「それも含めて話しをしたかったんだけどね。はい、と言わざるを得ないのがもどかしいかんじだな。うちの評判的にもできれば内密で願いたいってのは虫がよすぎるかな?」


「いや、なるべく関わりたくないから他言はしないよ。ただ、こっちとしては身の危険を感じるから抵抗は力一杯させてもらうつもりだ、とだけ伝えておこうかな。」


「もう全然!それでかまわないよ!いやぁ~ソウちゃんが話しのわかる人でよかったよ!依頼(クエスト)から帰ってきた時に評判がた落ちじゃたまったもんじゃないからね!」


「こっちも物理、精神両面でたまったもんじゃないけどな!」


「あはははは!それは耳が痛いな!ソウちゃんはキツめな美人さんだったんだねー?本気で惚れてしまいそうだよ!」


《嘘ですね、マスター。》


(即答っすね?!いや、俺的には男は勘弁だから別にいいんだけど、断言するなんて珍しいねカナデさん?)


《はい、マスター。フッドの魔力波形に特徴的な乱れを感知いたしました。先程の発言は嘘ですね。》


「マジか・・・カナデさん『宣言宣誓(うそはっけんき)』の魔法具機能まで手に入れちゃったの?なんかチート進んでません?」


《いいえ、マスター。これはカナデの能力ではなくマスターのスキルから得られる情報(データ)ですので、特に不正(チート)ではありません。》


(そ、そういうもんなのかな?)


《そういうもんです、マスター。》


些か納得いかない気持ちがムクムクと育っていくけれど、そんなもんかと納得しておくか。よくわからんし、あって困る能力でもないし。うん。


「そういう悪い冗談はやめといた方がいいぞー?むしろ熟女が好みとかじゃないのか?」


「んな?!な、なぜそれを??!誰にも言ったことなかったのに!!?」


後半は適当に言ったのだが当たってしまったようだ。ふむ、なんかすまんな?


「そんなことはどうでもいいから、バラされたくなかったら見張りはしっかりと頼むよー?」


「う、うん。はじめからそのつもりだったんだけど、これは気合いを入れ直さないとだな・・・。とにかく、今日のところはもうお騒がせすることはないと思うからね!明日は早くに出るし、安心してほしいってことだけ伝えたかったんだ!それじゃあまたね!ソウちゃん!」


「はいはい、またねー。」


彼の好みを暴露してしまったからか、来るときとは違い物音を立てながらというか、ワタって帰っていくフッド氏。動揺するにしてもそんなに慌てることだろうか?


「趣味は人それぞれだと思うんだけどな?」


《地球と違い、年齢層が高い女性は支持を()にくいのでしょう。それがこの地方特有の感覚なのか、フッドの出身に関わるのかは判別できませんが。》


「んむ~、そんなもんか。まぁ、そこまで興味もないからどうでもいいけど。」


フッド氏には悪いが、会ったばかりな上に今後お付き合いがあるかもわからないとなると僅かばかりの興味すら浮かんでこないのも仕方がないことだろう。故に誰にも言わないみたいな約束をした気もするが、それすら忘れてしまうこともあるかもしれない。あとは彼の頑張り(見張り)具合によるかな。うん。


「ソウ、もう怖いのへーきなの?」


「うん、いちおうはもうへーきだよ。ごめんね?怖がらせちゃって。もう変なのは来ないから大丈夫!」


「う~、よかったの。街の中でも油断できないの。」


「そうだね。でも今回の場合はちょっと特殊だから、次からは事前に回避できるようにするから。」


テトにゃんの頭を撫でながらごめんねと大丈夫を繰り返すと興奮が収まったようだ。なんか全然違うのに、浮気がバレてしまった彼氏が言い訳を繰り返しながら謝ってる図が頭に浮かぶ。何故かはわからない。不思議だなぁ?

それからすぐにテティちゃんがお湯の桶を持ってきてくれたので、ゴシゴシと身体を拭き洗いする。ニコの身体はテティちゃんにも手伝ってもらい、テトにゃんのはテトにゃん自身とテティちゃんにやってもらう。2人がお喋りしながら楽しくやってる間に自分の分を手早く済ませる。完璧である。

それにしてもなぜにテティちゃんは無事なのか?何か法則があるのかもしれないが、知りたい気持ちと知りたくない気持ちがバチバチとぶつかり合う。だってあんまり変な人の思考回路とか知りたくないし?

その後手早く寝仕度を整えるとベッドへイン。すぐに寝息を立てるテトにゃん。やはり疲れていたんだろう。頑張って起きててくれたんだと思うとちょっと申し訳なく思う。


(ちょっとばかし『城塞の矛(あの連中)』が信じられないままなんだけれども、どうしようもないからこのままでいく他ないのかな。)


《はい、マスター。もう大丈夫はまだ危険が残っている際に使う常套句です。》


(そうだな。とてもじゃないが鵜呑みにして信じられない話しだな・・・って、それは何気に俺も含まれてるの?!さっき散々言ってただろ的な??)


《いいえ、マスター。気のせいではないでしょうか?もしくは心当たりがあるから後ろめたく感じるのでは?》


(うぐう。確かに繰り返し大丈夫って言ってたな。人の立場で客観視するとこんなにも浅くて信用ならないものなのか・・・今後気を付けますごめんなさい。)


自身の発言に誠意と配慮が足りていないことを思い知った今日この頃だった。薄っぺらい人間にはならないぞ!と固く心に誓い、マスターはもう人間ではありませんとツッコミをいただく。どないせいっちゅーのか?謎いままに夜は更けていく。


(んむ~、どうやらマジで今日は平気そうだな?流石にもう来ないよね?)


《はい、マスター。明日は早くに出立するそうなので、現時点で襲撃がないのでしたら概ね大丈夫でしょう。》


(ならスキル練習の最後に、ちょっと試してみたいことだけやっとくか。)


もしかしたらがあるので、スキルの練習がてら周囲の警戒をしつついくつか試してみたいことの試行をしていたのだ。でも、もういい時間だからそろそろいいかと魔力操作による自己治癒を試してみようと思う。

まず、『並列作業』と『精密作業』を意識しながらいつもの各種スキルセットこと『魔力感知』、『気配知覚』とついでに『視覚強化』を立ち上げ直す。次いで、『魔力把握』を上乗せして自身の魔力と周囲の魔力を意識下に置く。続いてできる限り意識下にある魔力を左手に集めてみる。


(これが案外難しいな。こう、ズズッて感じ?もっとスウッて感じで集まってほしいわぁ。)


《操作系のスキルも魔方陣の補助もないので仕方がないでしょう。》


(まぁ、そうなんだけど。)


ちなみに、普段使っている『炎弾』がスムーズに発動できるのはスキル効果と魔方陣の補助の他に、精霊の助けがあるのが大きかったりする。

この世界の意思ある精霊は『冒険級(アーベント・クラス))』からであり、普段の詠唱はこの精霊達との対話でもあったりするので別に廚二よろしく独り言を言っているわけでは断じてないったらない。

一方で、いまやっている魔力の操作は手動式(マニュアル)運転に近いものがあり、結構大変で難しいのだ。


(これをカナデさんサポートも『並列作業』と『精密作業』もなくやるのってかなり上級者向けな気がする。異世界人すげー。)


《いいえ、マスター。通常は魔法具や師のサポートを受けて練習を行いますので、マスターのように独力でやってしまうのは基本的に異常です。普通なら有り得ない、頭がおかしいとさえ言われる奇行の類いです。》


(・・・マジで?)


《マジです。》


どうやら俺も変人や変態の仲間入りを果たしていたらしいことが判明した瞬間だった。


(てかそういうことならもっと早く言ってよ!?睡眠時間削ってまで連日頑張ってるのがアホみたいじゃん?!)


《?嬉々として練習に励むマスターからは喜色の感情しか伝わってきてませんが?》


うぐぅ。異世界っぽいからってついついテンションが上がってしまっていたのが裏目に出てしまったようだ。でも仕方ないじゃん?魔法とかってワクドキするじゃん!熱がムネムネじゃん!


(まぁ、多分カナデさんに言われてても変わらず練習してたんだろうな。ここら辺は魔法使いが少ないらしいから、練習用の魔法具の調達も師事する人も探すの大変そうだし。そう思うことにしよう。うん。)


自分自身を慰め宥め、意識をスキルの集中へと移す。


(この集まってきた魔力を使って『HP回復強化(小)』の働きをサポートして・・・ぬうううん・・・。)


スキル発動の力が働いてるところへ、後押しっていうか燃料投下っていうかそんなイメージを持って魔力をグイグイ押し付けてみる。働けー!働け―!とムチをフリフリする如しな心持ちでスキルに強制労働を強いる。

イメージ的にはマラソンしてる人の背中を全力ダッシュで押しまくるイメージが1番近いのかな?でもそれだとちょっと弱いな!スクーターで追いかけながら背中押すくらいのイメージがいいかもしんない!イケイケゴーゴー!マイ魔力ぅ!!

グイグイを超え、ブイーンブイーンと魔力を込めていたらなんか『HP回復強化(小)』の仕事っぷりが加速してきた気がする!お手てがポカポカしながらなんとなく傷が治っていってるような気がする!

ここですかさずイメージを追加だ!俺のターン!傷口が癒えていくイメージカードを更にオープン!『HP回復強化(小)』のスキルだけでなく周囲の魔力にも働いてもらうイメージで展開する!それにより『HP回復強化(小)』のスキルを強化するだけでなく補助していくイメージも付与される!

この効果により『HP回復強化(小)』のスキルだけでは足りないところまでも回復効果が及ぶのではないかという打算と、俺自身のイメージ力が強化されることを期待している所存である!!口調がおかしくなっている気はしているが、なんとなくこの方がイメージが強くなる気がするので致し方なし!!


《マスター。イメージにチラホラ銀色のドラゴンや怪しげな服装のマジシャンが混じっています。あ、歳若い女性マジシャンも出てきましたね。これだとイメージがブレてしまいます。色々な意味で自重してください。》


(具体的な登場人物はアウトだから!俺の存在がBANされちゃうからやめてくんない?!)


どうやら俺のイメージがちょっとズレてしまっていたようだ。反省しよう。では、気を取り直そうとして今度は各種RPGとかラノベを踏襲してイメージを固めよう。

ホイ○やケ○ルといった回復魔法はなんとなくHPしか回復しないイメージが定着してしまっているので、今回はお見送りしよう。ではヒー○やキュ○といった回復魔法はどうだろうか?それもやはりゲームの意識が強くて怪我を治すってイメージじゃないな。HP回復ってなんなんだろう?

ぶっちゃけHPゲージと身体の傷が俺の中ではなんとなくリンクしていない気がするので、アニメのお世話になるとしよう。映像からの方がイメージしやすいし。


(・・・・・・あれ?なんか、怪我が治癒していく映像がしっかり見える回復シーンってなんかパッと出てこないな?血塗れのキャラが回復魔法あてられてすぐに元気になるシーンは沢山あるけど、怪我とかを実写よろしくリアルに描く作品が少ないからか?)


《はい、マスター。そもそもアニメ映像で怪我を表現する際に、あまりにもリアル描写をすると批判を買うだけでなく描写作業が大変すぎてスタッフ一同泣き喚く参事になることでしょう。》


(おう・・・なんてこった・・・カナデさん(異世界キャラ)からアニメ関連のダメ出しを受けようとは・・・orz。)


いや、大事なのはそこじゃないか。大切なのはイメージがしづらいってことの方だな。うん。ならば最後の砦のマンガ様だ!マンガならリアル描写も沢山あるし、イメージの補完になるハズだ!多分。


(マンガですぐに思い浮かぶのはバスタ○ドと異世○飯って・・・なんか俺偏ってない?他にも沢山あったと思うんだけど、スキルの並列作業に思考余力(リソース)喰われすぎじゃない?)


《いいえ、マスター。単純にマスターの思いつく力や連想力が乏しいからだと思われます。ですので、いくつかカナデがイメージを補完いたしましょう。》


ドラ○エや○ァイナル○ァンタジーのパロディに始まり、ナ○トやブリ○チといった王道作品(怪我の治療シーンがある作品)も網羅し、気功で傷を治す某少女の作品だったり、再生能力を持つ吸血鬼的なキャラがいる作品もご案内してくれた。アララ○ギさんを噛みまみたしちゃったのはご愛嬌なのか?本気なのか?

だがしかし!駄菓子のように様々なラインナップを挙げていただいたおかげで、俺の拙いイメージ力でもかなりしっかりとしたモノが出来上がってきた!余計なキャラがやたらめったら頭をよぎるが、そこは鋼の精神力を錬成して跳ね除けておこう!


(つまり、白とか青とかの魔法陣が浮かんでそこから回復の魔法が降り注いで、俺の筋繊維やお肌の角質細胞的な部分を繋いだり自然治癒力を強化するんだろ?そんな感じでやってみよう!)


イメージをしっかりと固めて再度実行してみると、なんということでしょう。いま、私の左手の周囲に3つの魔法円が出現したではありませんか。これが匠の技か?

1つは白い光を発し、1つは青い光を放っている。そこまではイメージ通りなんだが、最後の1つは赤黒い光を発している。なんぞこれ?それぞれの魔法円は複雑な魔術文字で構成されているようで、白と青はいちおう内容がわかる。

先程カナデさんに解放してもらった『結界術師』の知識からきてるな。白が自然治癒部分に働きかける補助魔法陣で、青が回復系スキルの強化ってとこだな。それで赤黒いのは全部はわからないけど、多分・・・


《バンパイア用の回復促進魔法円に見えますが、実際は周囲のエネルギーを吸収して取り込むドレイン系の魔法円ですね。いつから化け物になったのですか?マスター。》


どうやらエナジードレイン的なヤツだったらしい。効果は強くないが、周囲の生命体へ害を及ぼしかねない危険なヤツだということが判明した。いるだけで回りを不幸にするあのキャラに近づいてしまった瞬間だった。


(いや、でも多分きっとおそらくメイビーそれなりにパハープスな感じで大丈夫な感じな可能性が微レ存しつつもせめぎ合って対消滅して俺的にはセーフになる予感がしなくもなくてだな。うん。)


《何を言っているかわかりませんが、この程度でしたら大丈夫でしょう。この距離でもテトにゃんやニコには影響はないようです。》


(よかった。害獣とか歩く災厄とか言われずに済むのか・・・。じゃあ、そこんとこはあんまり考えないようにしながら一気にやっちゃうとしますか。)


試行がうまくいったので、各種スキルの出力を上げて仕上げに取り掛かる。初めから全力じゃないだなんて、俺も成長したものだなーなんて思っている間も、しっかりと傷が再生していく。

俺の魔力(MP)の大半を消費した所でなんとか左手は完治したような手応えがあるが、肌のキメがまだ荒い気がする。やっぱりポーションにはちょっと及ばないけどこれは便利だな。


《左手の完治、おめでとうございます。治療にあたり相応の魔力を消費した様子ですので、今夜はもう休んでください。警戒はカナデが継続します。》


(・・・お肌のキメまで気にするなってことか。ま、それもそうか。じゃあカナデさん、悪いけど経過お願いね?何かあったら全力で大声?出してくれれば多分起きると思うから。)


《はい、マスター。有事の際はなるべく痛覚を刺激できるような知識を解放して起こそうと思いますのでその辺りの心配は皆無です。》


(なんでそんなにイキイキとしちゃってんの?!俺の苦痛わかるでしょ?できればもっと穏便に起こして欲しいんですけど?!)


《緊急時ですから、仕方ないと割り切ってください。》


(割り切れないのが人間なんだけどなぁ。できれば即座に行動できる余力は残りしておいてね?お休み、カナデさん。)


《はい、マスター。おやすみなさい。》


お読みいただきありがとうございます。

世の中には色んなタイプがいます。

いい人も悪い人もいると思いますが、大半は変な人だと思っています。

私もきっと変な人ですね。ですが、それは納得いかないところもあるので反論しましょう。

「私は変態じゃない!」

はい、きっとこんなことを言う人は決まって変態さんですね。残念。


次回予告。

旅立て

ムリだから

役割分担

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