妹達とお外デート 異世界の風味をトッピング
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前回のあらすじ。
少女の下部装甲が極薄だった
幼女のあれこれ、名前が決定
下準備完了?
俺的には準備は万端だと思っていたが、テトにゃんからしてみたら全然らしい。そもそも3人共まともな武器を持っていない。
荒事に向いてる人材がいない。このままでは<ヌグリイ>にすら勝てるか微妙、とのこと。
「あぁ、それは問題ない。俺は魔法が多少使えるからな。取り敢えず当面の予定が済んだらテトとニコの装備もしっかり考えようと思ってる。」
「魔法が使えても、この辺りじゃ通用しないの。素早くて、数が多くて、森や茂みがあるから急に襲って来るの。間に合わないの。」
「テトは良く知ってて偉いな。もしかして、村に魔法使える人がいたとか?」
「村長が使えたの。見たことはないけど、『冒険級魔法』の魔法スキルが使えたって聞いたの。でも、危ないからあんまり村から出なかったし、出る時も護衛が沢山いたの。」
「そうなのか。確かに、それくらいの魔法が使えたとしてもこの辺りのモンスターの相手は難しいかもしれないな。」
「そうなの。だから、ソウも危ないことはしないでほしいの。もしお金があるのなら護衛を雇っていくのも必要なの。」
「ふむふむ。テトは賢可愛いな。しっかり考えられてるから話しに筋が通ってる。」
「じゃ、じゃあ、今回はいくの止めるの?」
「いや?その辺りは既に問題解決してるから大丈夫かなって。俺ここ何日か外に出てるけど、無傷で帰ってきてるからきっと大丈夫だよ!」
「それはたまたま、とかじゃないの?」
「ちゃんとモンスターは倒してるから安心してほしい。無謀なことやって2人を危険な目に遭わせたりしないから。約束するよ。」
「・・・なら、いいの。」
渋々許諾してくれたみたいで何よりだ。
(あれ?そういえばお金、あと幾らあったっけ?)
《残金は残り銀貨19枚と銅貨87枚です、マスター。》
(いつの間にやら大分減ってる気もする。故ウサギのお肉の臨時収入があったのにちょっとびっくり。)
《逆に、現在の装備をこの価格内に抑えられたことの方が驚きです。》
(そうなの?あ~でも思い出してみたら結構お世話になってたわ、割引とか。特に防具屋さんとかあれヤバいんじゃないの?色んな意味含み、で。)
《はい、マスター。確かに店主は若干の錯乱状態にあったように思えますので、今後注意が必要かと思います。しかしながら現状は放置でいいでしょう。当分用事はございません。》
(あ、うん。そだね?)
もう意外でもなんでもなく、通常運転すぎるカナデさんだった。
《ですが、金銭的な問題は特に気にする必要もないでしょう。ギルドに預けた分の魔石も、マーグルの所へ預けたままの狼皮もありますので。》
いつの間にか預けたことになってる皮もあったか。あ、ついでに魔石も置いといてたか。
(うん、十分に生活はしていけそうだな。これで当面の目標の1つだった、生活環境を整えるってミッションはコンプリートかなぁ~。)
久々にカナデさんとのトークを心ゆくまで堪能していたら東門へ到着。新手のおっさんとエンカウントした。
おっさん甲の口撃「ミナイカオダナ ソレニドレイヲ2リモ ・・・・・ クロカミクロメノ」
おっさん乙の口撃「ヒキツギニアッタ トクチョウガ ゴニョゴニョ」
おっさん甲の口撃「・・・・・ トオッテヨシ」
「はいどーもー。お勤めガンバってねー。」
うん、流石はおっさん、息が臭かった。この世界はあんまり歯磨きとか一般的じゃないのかな?もしかしたら虫歯菌自体が存在しないのかもしれない。
そうなると、歯磨きは身だしなみや個人の趣味の範疇ということになる。それはいただけないというか許せないな、臭いし。
「なんか、すっごく変な感じで通してもらえたの。ソウって何かあるの?」
「いや?なぁんにもないただのFランク冒険者だよ?ここの門扉は3日続けて通ってるから、多少は知名度的なナニかが活躍したのかもしれないってくらいかな。」
「とてもそんな感じじゃなかった気がするの。それに、どことなく少し怯えてた気もするの。」
「そうかなぁ?けどまぁ、問題なく出入り出来ればそれでいいよ。カナデさんも保障してくれてるし問題ないかなー。」
《はい、マスター。奴隷は携行品。いわゆる荷物扱いになりますので、マスターの冒険者カードで問題なく出入り出来ます。もし不当に扱われたら訴えましょう。》
そんなに攻撃的にならなくてもいいけども・・・案外カナデさんもこの2人のこと気に入ってるのかな。やはり可愛いは強烈な正義だ。
イイお天気の下、妹達と街道を進む。俺のあんよの状態はいままでで1番マシな気配を醸し出しているが、多分油断すると余計な気苦労が発生するな。無駄に折れるから。
視えはしないが、感覚的には多分くっついてる部分と折れたままの部分とが混在してる混沌なパズル状態になっているハズだ。杖を握る手にも力が入るってもんだぜ。
もし、妹達がもっと女戦士な体型をしていたら、荷車を牽いてもらってそこに鎮座するのもやぶさかではなかったのだが、如何せん相手は少女と幼女だ。荷車牽かせたら周囲がドン引き待ったなしである。
いや、俺もそんなことする自分自身に引きまくる自信がある所存ではあるけれども。
「ソウ、ちゃんとその、周囲の警戒とかってしてるの?だいじょうぶなの?」
「あぁ、それは任せてくれ。俺には感知系スキルがあるからその辺は問題ない。カナデさんもサポートしてくれてるしな。」
「カナデさんもなの。それなら安心なの。」
Oh Jesus ・・・orz。早速俺よりカナデさんが妹の信頼を勝ち得ている件について、背中からイヤな汁が噴き出るのを禁じ得ない。
カナデさんは神様のくれた加護だから、っていう無条件に近い信頼があるのはわかっていても心にうぐぅってくるのを止められない止まらないんだぜ。
「んっ。」
テトにゃんとお手てを繋いで歩くニコは、どうやら俺の味方のようだ。我、援軍を得たり!正義は我にありー!とばかりに我が自信さんがグングンとやる気を見せ始める。我ながら単純明快である。
「ありがと、ニコ。俺もニコを信頼してるぞ!」
「えっ?・・・あ、ち、違うの!別に、ソウを信じてないわけじゃなくて、カナデさんは神様がくれた加護だからそれだけで安心なの!ソウが見張っててくれればウチも安心なの!」
「わかってるよ。テトもありがとう。それにな、カナデさんと俺は視界を共有してるから、俺が視てないとカナデさんも視えないぞ?」
「そ、そうなの?加護ってそういうものなの?」
「いや、他の加護を知らないからなんともいえないけど、俺の場合はそうなってるな。ていうか、俺の視覚だけじゃなくて全ての感覚を共有してるっぽいからかなり頼りになるぞ、カナデは。」
「よくわからないけど、すごいの!」
・・・んむ~、テトにゃんはもしかして深く物事を考えるのは苦手なのだろうか?いや、でもしっかりしたトコロもあるからいまいち判断に苦しむな。
猫的な部分があるっぽいから、興味のある分野とそうじゃない分野の差が激しいタイプなのかもしれない。今後そういう面は注意して観ていかないといけないかもしれない。長所は伸ばして短所はフォローするのが俺の教育方針だ。
最初のおっきな硬いの、つまりは大岩が見えてきた。ここからこの景色を眺めるのも連日だと慣れてくるな。もう懐かしさすら感じるかもしれない。
予定通りあの岩の辺りで1回休憩挟もうかな?それとも全部パパッと終わらせて帰ってからご飯にするか・・・いや、ココだな。帰ってからだとマーグル婆さんの所でご飯になる。
あそこは臭いから折角のご飯が美味しくいただけない可能性が極大だ。何より美少女との昼食に老婆が転がり込んでくるのは避けたい。俺のSAN値が削られそうでイヤだ。断固として拒否するんだもん。
「いったんあの大岩の所で小休憩にしよう。2人とも疲れてない?」
「へーきなの。」「ん。」
肯定のお言葉を賜り適当な石へ座ってか~ら~の~普通にご飯。大将はサンドウィッチにしてくれたみたいでとても食べやすい。屋外だとこういうファストフード的な伯爵ご飯が重宝するな。なんのお肉か知らんけどうまい。
「凄く柔らかいな、このお肉。もしかして<ミヌラビー>じゃないの?風味がそんな感じなんだけど。」
「えっ?この柔らかくて美味しいお肉が<ミヌラビー>なの?<ミヌラビー>って大ネズミより硬くて臭いと思ってたの。この辺りのは違うの?」
「んむ~、そう聞かれると困るな。実は俺も普通の<ミヌラビー>は食べたことがないんだよ。2日前に宿屋の大将に自前で持ち込んだヤツ買ってもらったのを食べたくらいかなぁ。それがなんか状態が良かったとかで買い取ってもらえたんだけど、それは上物扱いだったし。」
コテンっと小首を傾げる様子のテトにゃん。よくわかっていないご様子だ。うん、俺にもよくわからん。軽く塩漬けにされてるから、獲れたて新鮮な状態よりは風味が落ちていてそこら辺も判断が難しくなるポイントだったりする。
勝手なイメージでは熟成肉の方が美味しいって思っちゃうけど、ここは異世界だしアミノ酸やら発酵菌やら酵素や酵母とか醸す系の方々が違ったりする可能性も大いにあるから恐らくこの疑問は解消されないだろう。
ただ、冷蔵庫的なモノも普及していないから、多分新鮮な方が美味しいよ。だってすぐ腐るもの。
わからないことはわからないままに、今度<ミヌラビー>獲ってあげるからそれで確認しようということにしておいた。こうしたフラグを立てておけば、あとから<ミヌラビー>が勝手に来てくれることだろう。
予想外に美味しい昼食に一同大満足しつつ、昨日の薬草群生地帯へ移動する。
「ここら辺が薬草の群生地帯だな。取り方を教える前に、2人は良く聞いておいてほしいことがある。これがポーションの材料だってことは、誰にも言わないで欲しい。」
「別にいいけど、なんでなの?」
「ん~、実はね、ここら辺ではポーションが非常に貴重で普通は手に入らないんだ。」
「・・・やっぱり。やっぱり貴重だったの!おかしいと思ったの!それなのに、なんでソウは簡単に私たちに使ったりするの?!」
「いや、急にそんな怒んないでよ?!怖いから落ち着いて?ね?」
フー、フー、と威嚇するように荒い息遣いをするテトにゃん。あの、眼が怖いんでマジやめてくださいお願いします。
「ちゃんと貴重なのにも理由があるから、落ち着いて聞いてほしいんだけど、いいかな?」
「うぅ~、ちゃんと話してほしいの。ウチに使ったせいでソウやニコに足りなくなったらイヤなの。」
「うん、だいじょうぶ。大丈夫だから落ち着こうね?」
サラッと嬉しいことを言ってくれるじゃないの。お兄ちゃん、ちょっと感動しちゃったよ。
いつの間にやら仲間意識を持ってくれているご様子のテトにゃんだが、そんな展開になる布石ってどこかにあったかな?覚えがない。
でも、とりま嬉しいので頭をなでなでしながらテトにゃんが落ち着くのを待つ。
「もうへーきなの。お話し、続けて?」
「おおっふぅ。」
このタイミングで上目遣いはおよしよお嬢ちゃん。そいつは俺に、効果抜群なんだぜ。
あんまり小難しくならないように気をつけながら、貴族連中が回復薬系統を買い占めてる話しをした。
そして、俺のポーション作成レシピは裏ワザ的なものだからバレる心配が低く、こっそり作って知人を通じて必要な人へと届けていることも話しておいた。
「だから、2人が頑張ってくれたら多くの人が助かるし俺も怪我を治せてイイ感じってことなんだけど、おk?」
「うん、わかったの。だから秘密にしなきゃなのもわかったの。だいじょうぶ!ウチは誰にも言ったりしないの!約束なの!」
「ん、ニコも。」
おぉ?ニコもこの話しわかってくれたのか?だとすると想像以上に賢い幼女ちゃんだな。嬉しい誤算だ。
「ありがとう、2人とも。別に命令とかじゃなくてお願いだから、守ってくれると嬉しいな。」
「うんなの。」「んっ。」
素直な少女達は素敵なお返事をくれた。この調子でいけばきっととても良い感じに成長していってくれるんじゃなかろうか?反抗期とかないといいな。
《・・・マスター。マスターは親ではなく兄の設定では?》
(はっ?!つい父性を刺激されすぎててお父さん気分になってたよ。あぶないあぶない。)
ポーションの材料採取は非常にスムーズに進んだ。2度目の作業はルーティーンだから割愛しようと思ったが、妹達が可愛すぎてついつい描写を挟みたくなってしまう。
これはもう兄として仕方がない現象といっても過言ではないだろう。だって見てよあの一生懸命さ!額に汗しながら頑張るうちの妹達マジ可愛すぎるっしょ?そうっしょ?パないっしょ?!
《マスター、キャラが崩壊しかけています。》
カナデさんのツッコミをいただくが、キャラなんて放っといていいんだって。いまこの瞬間が大事なんだって!
お馴染みのサクリ草は、テトにゃんが上へ引っ張り、俺とニコで掘り返す。手がカブれると可哀想だから布をお手てに巻いているのは当然だ。
ニコには使いやすそうな木の板を渡してある。爪の間に土とか入ったら案外痛かったりするし、汚れちゃうし。
サクッと15束を収穫し、ジマク草もゲット。ミトミの樹液は十分マーグル婆さんの所にあるから、続いて他の群生地を探す。
森の外縁部を歩くこと数分でまたすぐに発見。生えすぎじゃね?特定の条件下っていうけど、条件緩いんじゃないか疑惑が浮上した。
ゆるゆる~ゆるゆる~と心の中で適当に緩く罵倒していたら、カナデさんから《この周囲が条件を満たしやすいだけです》とお叱りの言葉をいただいた。
いつでもどこでもすぐに手に入る訳じゃないってことですね。わかります。
「これだけあれば十分だろう。2人共よく頑張ったな。帰りはちょっと荷物重くなるけど、疲れたらちゃんと言うんだぞ?」
「うん、わかってるの。でも、これくらい全然へーきなの。」
「ん、へーき。」
(素直で勤勉、可愛くて愛くるしい。うん、これ以上もう何も望むべくもなく完璧な妹達だ。俺、この世界に来てよかった。ホントよかった。)
《マスター、先程から若干気持ちが悪いですが、何かありましたか?精神汚染系の攻撃などは受けていないようですが。》
(いや、この世界に来てから癒し成分が足りてなかったのを補充してるんだけど、なんで頭おかしいみたいな良い方するん?悲しいんだけど。)
《いいえ、マスター。マスターが正常でなかった場合はカナデが制止役になる必要がありますので、その確認です。》
(・・・若干変質者扱い、止めて?)
《はい、マスター。マスターの奇行が収まればすぐにでも。》
うぐぅ。どうやら俺の心の中での呟きはちょっとマズい方向へ逝っていたらしい。まったく無自覚であったが、カナデさんが言うからそうなんだろう。
どの方面で危なかったのかは皆目見当もつかないが、今後どうにか気をつけていくことにしようと心に誓う。誓うだけだけど。
《マスター、森内部に飛行する魔物を視認いたしました。》
「マジで?全然気付かなかったけど?どの辺?」
「え、えっと、ソウ?カナデさんが何か見つけたの?」
「あぁ、こっちに魔物が向かってるらしいんだが、俺にはまだ認識できてない。カナデさん、情報を。」
《はい、マスター。現在の目線から左に9度修正してください。奥に黄色の塊のようなものが飛んでいませんか?》
「9度って、異様に細かいな・・・この辺り、あ、いた!なんだあれ?デカい蜂?」
「大きい蜂って、もしかして<丸蜂>のことなの?大変なの!早く逃げないとなの!」
「<丸蜂>ってそんなにヤバイの?」
「1匹見たら30匹はいると思えって言われるくらいに群れの数が多いの!ウチたちだけじゃどうしようもないの!」
《単体の脅威度ランクとしてはFランクですが、群れやすく、また飛んでいるので一般人には対処しづらい昆虫系魔物です。集団が密になればランクが上がり、稀に混ざるスキル持ちがいれば最高Dランク相当との扱いを受けます。》
「単体ではザコ、か。いま見えてるのは8匹くらいだけど、見えてる分だけで判断するのはマズそうだな。殺るか。」
「殺るって・・・どうやってなの?!」
プチパニック状態になってしまってるテトにゃんの肩を引き寄せ、ニコも手招きする。まぁ、ランクも低いしそんなに問題もないだろう。
「術式 冒険級火属性 実行」
俺達の足元に青白い光を放つ魔法円がすいーって感じで描かれていく。
「ひにゃっ!?な、なななんなのっ??!」
「火の精霊よ」
周囲に生まれていく無数の火の子たち。回数を重ねることによって自分の制御力が向上しているのがわかる、が、テトにゃんのワタワタっぷりはすんごいなコレ。
「火っ!火に囲まれたの!もうダメなの!」
「我が魔力を糧に、30の炎弾を成し、髙く回りて、待機せよ。」
数多の小さな火が寄り集まって、次第に大きな炎になり片っ端から凝集されて炎弾を形成する。ふむ、中々の構成速度だな。できた炎弾は俺達の上空周辺を、大きな円周を保ちながら旋回している。
テトにゃんは両目を瞑って俺の胸元にしがみついてきているが、ヤバい可愛い・・・内股プルプルとかこの娘は将来魔性の女性になりそうでお兄ちゃんいまから心配だぉ。
「大丈夫だよ、テト。これが俺の魔法だから。」
できるだけ優しく頭を撫で声をかけるが、あんまり聞こえてなさそうにゃん。
「対象は前方、<丸蜂>の各頭部に設定。」
それなりの速度で飛んできているが、真っ直ぐなので指定は楽チン。早期発見してくれたカナデさんに感謝だな。
<丸蜂>のそれぞれの頭を指差して、意識をセットする。
「1、2、3、4、5・・・8」
30の炎弾の内、1番~8番までを指定。個体が小さいし、多分30分1程度で十分だろう。テトにゃん曰く30匹いるかもだから油断はできないし。
ブワンって感じで8つの小魔法円が円上に並び輝く。
「我が敵を射ち穿て」
小さな8つの並列魔法円がゆっくりと回転を始め、青い光を放ち輝き始めるが、テトにゃんは一切見てないし聞いてない。
ニコは興味深そうな無表情でじーっと見ている。その左手は俺の右脚を掴んで離さない。
「炎弾 制圧発射!!」
総ての魔法円が強く光を放ち、炎弾が勢いよく飛んでいく。
ヒュヒュヒュンっと軽やかに飛び立つ炎弾。それを視認すると同時に逃げようとそれぞれ逃げ出す<丸蜂>。
バスケットボールくらいの巨体のくせに機動力は中々だ。バラバラと逃げる<丸蜂>の頭部を全ての炎弾が貫き爆散。頭バラバラに。
流石は昆虫型。外骨格さえどうにかできちゃえば虫って脆いよなー。空を飛ぶ性質上そんなに厚く重くもできないだろうから、このサイズだと案外紙装甲だし。中身の乾燥くらいしか防げないんじゃないの?
ドサドサと落下し地面へ叩き付けられる<丸蜂>たちの遺骸をぼけーっと眺める。テトにゃんの頭を撫でる手は止めないがな。
「終わったよ。テト。後続がいないかちょっと警戒は続けるけど、多分だいじょうぶじゃないかな?」
「えっ?えっ?終わったって?何がなの?<丸蜂>どっかに行っちゃったの?」
うん、どっかに逝っちゃったの。て言って通じるかわからんし、テトにゃんが余計混乱しそうだからやめておくか。
「全部やっつけたよ。数も少なかったし、たまたま通りかかっただけだったのかな。」
「そう・・・よ、よかったの。ウチのおばさんとおじさんは<丸蜂>に襲われたことがあるって言って、傷痕を見せてくれたの。とっても痛そうだったの。」
「そうか。それじゃあなおさら怖かったな。怖い思いさせてごめんな?でも、見ての通り、ちゃんと守るから大丈夫だぞ!」
「うん、うんなの!」
ようやく恐る恐る顔を上げたテトにゃんと眼が合った。めっさ心細かった感が溢れだしてしまっている。未だに俺の服を握りしめてるし。
一方でニコはというと、変わらず俺の右脚を掴んでいるものの、特に怖かった的な様子が感じられない。この娘は大物になる予感がする。
「ニコは怖くなかったの?」
「・・・ん。へーき。ソウ、いるから。」
キューーンッ
なにそれなにそれ??!それなんてご褒美?!めっちゃくっちゃにうれすぃーんですけど!嬉しいーんですけど!!
ヤバいよもうこの妹達はお兄ちゃんの心臓を鷲掴みってか直掴んで離さないし離れないLevelですよぉーー!!
これが所謂キュン死とか萌え死って境地なのだろうか・・・俺はいま、真理のトビラを開けてしまうかもしれない。代償は理性とか常識でいいですか?こいつら邪魔やねん。
《マスター。トリップするのはその辺にしてください。<丸蜂>は危険が迫ると特殊なフェロモンを放出して救援を呼ぶことがあります。
<ピクシー・ゴブリン>戦の時のような連戦は好ましくありません。》
うぐぅ。カナデさんからのストップが入ってしまった。でも確かに長居は危険かもしれない。先日のゴブ達だってまだウロウロしてるかもしれないし、強いのにいきなり襲われるかもしれないし。
取り敢えず、テトにゃんも少し落ち着いたから<丸蜂>の魔石とお尻の針を追剥ぎしておく。針は売れるらしいが、需要の方向性が分からん。金属でもないし裁縫にも向きそうにないもの。
その後、追加で現れた7匹も仕留め戦利品を回収し、いそいそと帰り道を歩む。これだけFランクの魔物に遭遇するのに、初日以降<ヌグリイ>を見かけていない。あいつ多いんじゃなかったの?
途中、<ミヌラビー>のフラグを回収することはなく門兵さん達の元へと到着。門兵のおっさんらがアホ面晒しながら上を見上げてるから何事かと思ったら、炎弾待機させたままだった。いやん恥ずかちい。
適当に解除してから手荷物検査を受け、薬草類は食用だと押し通し、門扉をまかり通る。おっさん達は息を荒げて見つめてくるけど、この街は少女達に危険かもしれない。視線がヤバす。
おっさんのせいで微妙な気持ちになったが、テトにゃんとニコの顔を見てたらどうでもよくなってきたので、ルンルン気分でマーグル婆さんのお家に到着。
いつもははっちゃけながらぶっ飛んだコミュニケーションを実践していたが、ここは妹達の手前、しっかりと礼儀作法を弁えていこうと思う。教育って大事だもん。
コンコンッ コンコンッ
扉を叩く手はなるべく優雅に、しかししっかりと音が内部に届くように全力で魔力を集中させる。これまで鍛えてきた『魔力感知』と『気配知覚』のスキルを全開にし、『精密作業』と『システム読解・構築』スキルも駆使して結界の弱そうな所に的確な衝撃を通していく。
んむ~、あと少しで何か掴める気がする。ここの結界の構造も大体わかってきたな。全体的にたわんできたからもうひと押しかも?
意気揚々とノックを続けようとしたら、マーグル婆さんが近づいてきたのを感知した。ふっ、最早扉など恐るるに足らんわ。ゆっくりと下がろうとしたら妹達がいたことに気付き出遅れた!
バンッ ゴッ
「いってーー!!衝撃を受け流すこともできない俺にこの仕打ち!何をするか!無礼であるぞ?!」(涙目)
「うるっさいね!アンタが毎度おかしなことし腐るからだろうに!まったく!」
「またそういう良くない言葉を平気で使う。そこに痺れないし憧れないよ?ただただ不快でしかないいんだから。あんまり乱暴な言葉使ったりするの、止めてもらえませんか?うちの妹たちの教育によくないので控えて頂きたいんですけどー?」
「クルクルクルクルと、よく回る舌を持ってるのはどっちさね?まったく。それに急に妹だって?一体全体どうした心向きさね。・・・ってこの娘達かい?・・・こりゃぁ・・・」
我が麗しの妹達を怪訝な表情で訝しむマーグル婆さん。ふふふっ、あまりの可愛さに二の句も出まい?何せテトにゃんはケモミミ美少女!ニコは正統派幼女であるからな!ふーーははははははっ!
「我が正義を見よ!これが可愛さだ!!」
「人攫いは看過できやしないよっ!!」
意識の外から放たれた老婆の杖打を、避けること能わなかった。
お読みいただきありがとうございます。
想君のテンションが今までとはちょっと違った方向でおかしくなっていますが、彼は大丈夫なのでしょうか?
正直冷や冷やいたします。ノータッチって、どこまでがノータッチ判定なんでしょう。
次回予告。
草大量消費
これが年の功か
お金に困ったらギルドへ行こう




